■後藤弘茂のWeekly海外ニュース■
Microsoftの次期コンシューマWindowsはWindows 98がベース
●Microsoftの次期コンシューマWindowsはWindows 98がベース
Microsoftは、ついに次期コンシューマ向けWindowsがWindows 98をベースにしたものになることを正式に認めた。
「2000年中にコンシューマWindowsの新バージョンを出荷する」「それは、引き続きWindows 98コードベースになる」
4月7日から始まったMicrosoftのハードウェア開発者向けカンファレンス「Windows Hardware Engineering Conference and Exhibition （WinHEC）」で、同社のスティーブ・バルマー社長は、このように次期コンシューマOS戦略を明らかにした。これは、従来Microsoftが唱えていた、Windows 98の後継OSはWindows 2000コードベースになるというロードマップとは大きく異なる。同社は、このWindows 98ベースの新OSの次に、Windows 2000コードベースのコンシューマWindowsが登場するというロードマップを示したが、その時期は明らかにしていない。Windows 2000の遅れは、同社のコンシューマOS戦略にも大きな影響を及ぼし始めたようだ。
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【Windows新ロードマップ】 |
今年に入ってから、MicrosoftがWindows 2000ベースのコンシューマOSまでの中継ぎとしてWindows 98の拡張版を出すというスクープが、相次いで海外のニュースサイトに登場していた。そのため、Microsoftがこの計画を公表するのは時間の問題と見られていた。
バルマー氏のあとスピーチを行なったデビッド・コール副社長（Consumer Windows Division）は、引き続いて次世代コンシューマWindows（WinHEC 99では仮にConsumer Windows In 2000と呼んでいた）に含まれる機能の概略を明らかにした。機能は以下の通りだ。
○ホームネットワーキング
・Universal Plug and Play （uPnP）
・より広範囲なメディアのサポート
○It just works
・高速なブート
・レガシーフリー
・より高度なパワーマネージメント
○デジタルメディア&エンタテイメント
・Windows Image Acquisition（WIA）アーキテクチャ
・デジタルカメラなどのイメージングデバイスから画像を取り込む技術
・オーディオ再生
・デジタルコンテンツマネージメント
・より高い品質のゲーム体験
○Immersive Web Experience
・高度なWeb体験
これを見ると、カギとなっているのは、PCの使いやすさの一層の向上と、ここへ来て浮上してきたホームネットワークへの対応、それにデジタル家電との相互接続やデジタルコンテンツの利用にあることがわかる。つまり、コンシューマ市場でのニーズの急激な変化に対応した新OSが緊急に求められ、Microsoftがそれに対応するために、開発に時間のかかるWindows 2000ベースのコンシューマOSの前に、Windows 98の延命版を持って来なければならなかったことがうかがえる。
これは、Microsoftにとっては現実的な対応で、Windows 98ベースにすれば2000年の年末商戦までに新OSを出せる可能性が高いことはたしかだ。しかし、その反面、Microsoftの唱えてきたOSプラットフォームのコードの統一は1世代遅れることになり、コンシューマ向けはつぎはぎを重ねた古いカーネルのまま残されることになってしまう。Microsoftにとっては、苦しい選択だったと言えるだろう。
●組み込み版Windows NTがデビュー、64ビット版Windowsのデモも
また、バルマー社長は、64ビット版Windows NTのデモを初めて行なった。64ビット版NTは、MercedのエミュレータとAlphaプロセッサ上で動作。SQL Serverのデモも行なった。
同時に、組み込み市場に向けたWindows NTのバージョンであるWindows NT Embeddedと同OSを搭載したデバイスもデモンストレーションした。Windows NT Embeddedは、機器開発者が必要なコンポーネントを選択できるタイプのWindows NTで、機能的にはWindows NT 4.0に最新のService Packを付加したものに相当する。最小構成では12MBのメモリ、8MBのディスクで動作するという。バルマー氏のデモでは、これを搭載した「Windows Server Appliance」を披露。Server Applicationは、小規模なネットワークユーザー向けに簡易にセットアップや管理ができるサーバーボックス。2,000ドル以下で今年後半に、各メーカーから出荷される予定だという。
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3Dユーザーインターフェイスのデモ |
このほか、バルマー氏は、次世代のユーザーインターフェイスとして、同社の研究機関Microsoft Researchで研究している3Dユーザーインターフェイスをデモした。
□WinHEC 99ホームページ
http://www.microsoft.com/winhec/
□キーノートスピーチ概要のリリース
http://www.microsoft.com/presspass/press/1999/Apr99/WHOverPR.htm
□バックナンバー
（'99年4月8日）
[Reported by 後藤 弘茂]
ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp
