後藤弘茂のWeekly海外ニュース

Microsoftと司法省の和解交渉はわずか2時間で終わり



●Microsoftと司法省の和解交渉はわずか2時間で終わり

 先週伝えた通り、Microsoftと司法省&19州検事総長の間の和解交渉が行なわれた。「Microsoft, Regulators Discuss Settlement」(Washington Post,99/3/31)によると、話し合いは首都ワシントンの司法省本部で、火曜日の夕方5時過ぎから始まったという。Microsoftからは、法務・企業問題担当上級副社長のWilliam H. Neukom氏が率いる弁護士連が話し合いに臨んだという。しかし、ミーティングは、わずか2時間後の7時過ぎには解散となり、両者ともコメントをしなかったという。「Microsoft, Justice Lawyers Meet, But Apparently Reach No Deal」(WALL STREET JOURNAL,99/3/31、 http://www.wsj.com/ から検索)によると、何も合意に達しなかったのは明らかで、今後のミーティングも予定されていないという。話し合いは継続されると見られていると言うが、出だしがこの様子では、4月中旬の公判再開までの間に、合意に達するかどうかは疑わしいだろう。



●Windowsをオークションに

 となると、ますます司法省側が裁判で勝った場合のMicrosoftに対する是正措置に関心が集まる。これに関しては、Microsoftにとって呑みやすいものから非常に厳しいものまで、色々な観測や意見が出ている。あまりに騒がしすぎて、はたして誰の観測が正しいのか、どんな意見が通るのか、わかりにくいのが現状だ。なかでも話題になっているのは、Microsoftのお膝元シアトルの地元紙Seattle TimesがスクープしたWindowsオークション案だ。

 「States want Microsoft to auction off Windows coding」(Seattle Times,99/3/28)によると、同紙は、19州の是正措置案のドキュメント“Remedies Re: Microsoft Litigation”を入手したという。そして、その中には、Microsoftに対する是正措置案として、いくつかの候補が挙げられていて、Windowsのソースコードとトレードマークのオークションにも言及されていたという。オークションで、Windowsの知的所有権をMicrosoft以外のソフトメーカーにも分け、各社がそれぞれWindowsをリリースできるようにするというアイデアだ。つまり、Windowsがスタンダードだと認めた上で、Windowsを提供するメーカーを複数にすることで、競合させようという話らしい。Microsoftも、もちろん自社版のWindowsを出してビジネスができるというわけ。このスクープは波紋を呼び、「States reportedly propose Windows auction 」(CNET NEWS.COM,99/3/28)など多数の記事が引用している。はたして、両者の和解会談の席で、この案が出たかどうかはわからないが、19州がここまで強硬な是正措置まで考えているのなら、和解はどうあっても成立しないだろう。しかし、オークション案が、万が一通って、しかも、Sun Microsystemsが競り落としてしまったら……Sun版Windows 2000なんてのが実現することになる。



●Cyrixは砂漠へ

 National Semiconductor/Cyrixの次世代MPUのコードネームが変わった。これまで、「Jedi(ジェダイ)」と呼ばれていた「Cayenne(カイエン)」コアの単体MPUは、新たに「Gobi(ゴビ)」と呼ばれるようになった。「May the trademark laws be with you: Cyrix bows to Lucas」(Electronic Buyer's News,99/3/26/99)によると、これはスターウォーズシリーズの知的所有権を握るLucasfilmとの間で、トレードマークを巡る問題が起こるのを避けるためだという。近頃では、コードネームをどのメーカーも大々的に宣伝するようになったので、法的な問題が心配になり始めたというわけらしい。Gobiはもちろんゴビ砂漠のこと。ちなみに、次々世代MPUコア「Jalapeno」ベースの単体MPUのコードネーム「Mojave(モハベ)」も砂漠の名前だ。MPUのコードネームに、砂漠というのも……。



●CyrixのSocket 370 MPUは年末までに

 その、Gobiだが、IntelのSocket 370対応版があると報じられてからずいぶん経つのに、まだCyrix自身からの発表はない。しかし、「Cyrix Mulls 370-Pin Socket Chip」(Computer Retail Week,99/3/25)は、Cyrixに近い幹部の発言として、年末までにSocket 370に移行するという話を伝えている。年末というのは、またのんびりした話だが、Cyrixの製品計画は、このところ遅れ遅れなので、これが現実的なラインかも知れない。

 また、この記事には、Cyrixの話ではない部分でひとつ気になる記述があった。Computer Retail Weekが入手したロードマップによると、Intelはグラフィックス統合型チップセット「Intel 810」で133MHzフロントサイドバスのサポートを計画しているという。これまでの情報では、133MHzサポートのチップセット「Intel 815」になるということだったが、どうやらそれが変わったらしい。たんに、名称の変更だけかも知れないが。



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('99年3月31日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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