プロカメラマン山田久美夫のCeBITレポート デジタルカメラ編

コダック、日本未発表の「DC265」を出品 ほか


会場:独ハノーバーメッセ

開催期間:3月18日~24日(現地時間)

 CeBITレポートの3回目は、先にレポートしたオリンパスと三洋電機以外のメーカーから出品されたデジタルカメラを紹介する。



●コダック:日本未発表の「DC265」を出品

 イーストマン・コダックは今回、大型イベントとしては初めて「DC265」を出品した。このモデルは、DC260をベースに内蔵のバッファメモリを大容量化したもので、より連続撮影に強いモデルになっている。それ以外のスペックは、ほぼDC260と同等で画素数も160万画素のままだ。

 本機は、アメリカのコダックのWWWサイトで公開されているが、大型イベントで公開されるのは、おそらく世界初。先代のDC260はアメリカはもちろん、ヨーロッパでも未だに人気の高いモデルで、画素数よりも、どんな条件下でもオート任せできれいに写る点や、Digita OS搭載による機能の拡張性などのメリットが評価されているようだ。実際に今回も、PMAで公開されたDigita OS用の画像処理ソフトやE-MAIL作成アプリケーションなどの存在をアピールしていた。

 また、国内でも発表されている130万画素3倍ズーム機「DC240」も出品されていた。


●シャープ:インターネット ビューカムを出品

 シャープは今回のCeBITで初めて、超小型MPEG-4対応モデル「インターネット ビューカム」を一般公開した。このモデルは、ポケットサイズの小型ボディで、MPEG-4による音声付き動画とVGAの静止画が撮影できるもの。

 ブースでは、ステージ上でのデモを含めたアピールがなされていたが、本体が小さすぎて目立たないためか、人気は今ひとつ。実際に手にとる人も意外に少なかった。もっともMPEG-4自体の知名度が低く、現時点では再生できる環境が浸透していないという点や、価格が1,500DM(ドイツマルク)、日本円(1DM=約70円)換算で10万円以上と、日本国内よりも遙かに高価な価格設定である点も一因だろう。

 デモを見る限り、画像のクォリティーはやや粗めで、インターネットビューカムという名称通り、Web上での利用がメインになりそう。しかし、様々な可能性を秘めたモデルだけに、今後の展開が期待される製品といえる。


●ソニー:メモリースティックとCyber-shotが中心

 ソニーは今回、メモリースティックを大々的にアピール。その中心的な存在として、Cyber-shotを出品していた。出品されていていたのは211万画素の「DSC-F55E」(日本とは型番の末尾が異なる)と、150万画素デジタル一眼レフ「DSC-D700」。

 アメリカではデジタルマビカが大ヒットしているが、アメリカよりも高画質指向が高いヨーロッパでは、これらのモデルの人気が高いようだ。


●ニコン:COOLPIX950/700を出展

 ニコンは211万画素の「COOLPIX950」「COOLPIX700」を出品。こちらでも前評判が高いこともあって、ブースはカメラに触れるのが難しいほど込み合っていた。ニコンはヨーロッパでも人気の高いブランドで、とくにドイツは高画質で堅実なモデルを選ぶ国民性だけに、これらのモデルへの期待はかなり高そうだ。

 また、例の詳細未公開のデジタル一眼レフも、アクリル越しに展示されていた。


●東芝:RDC-M4のワーキングモデルをデモ

 東芝はPMAで発表された「RDC-M4」を出品。今回はきちんとしたワーキングサンプルでのハンズオン・デモも行なわれていた。とはいえ、メニュー表示はすべて日本語で、ホットな市場である日本語版が先行開発されているようだ。

 簡単に撮影した感じでは実に軽快。液晶モニタ使用時でもほとんど瞬時に、次々と撮影でき、とても気持ちがよい。200万画素クラスではトップクラスの高速さと感じられた。


●リコー:ロゴが大きくなったRDC-5000を出品

 リコーは230万画素2.3倍ズーム機「RDC-5000」を出品。ハード的には国内発表時と同じだが、モデルネームのロゴがかなり大きくなっており、パッと見たときに本体が小さく感じるようなデザインとなった。このデザイン故か、ドイツ人が手が大きいためか、会場ではサイズを気にしている様子は感じられなかった。


●富士フイルム:230万画素小型モデルMX-2700をアピール

 富士フイルムは230万画素モデル「MX-2700」(日本名FinePix2700)」をアピール。ブースでは実写データを記録したCD-ROMを積極的に配布していた。意外なことに、同社はヨーロッパのデジタルカメラの分野では、パッとしていない状況だ。町中のカメラ店でもあまり見かけないこともあって、知名度を高めることをメインにした展開という印象だった。


●アグフア:ローコスト版追加でフルラインナップを完成

 アグフアは今年になって発表されたローコスト版の「ePhoto LC-30」と「同CL-50」を含めたフルラインナップを出展。地元メーカーだけにブースもかなり賑わっていた。

 また、ドイツ国内で購入できる世界各国の工業製品のなかから、優れたデザインのものが表彰される、ドイツのインダストリアルデザインアワード99で、デジタルカメラ分野で唯一「ePhoto1280/1680」が受賞を果たしていたことも、人気に拍車をかけていたようだ。


●カシオ:QV-7000SXが多機能携帯電話との連携をアピール

 カシオはWinCEマシンをメインにした出展。デジタルカメラ系では従来機の「QV-7000SX」はもちろん、先だって発表されたばかりの「QV-5500SX」も出品していた。

 また、QV-7000SXは、ノキアのモバイル系多機能携帯電話と一緒に展示されており、QV-7000SXで撮影したデータを携帯電話の大型液晶上で再生し、通信するといったデモが行なわれていた。


●キヤノン:A5ZOOMとPRO70を出品

 キヤノンは基本的にプリンタが中心。その入力手段としてデジタルカメラを出品していた。機種的には昨年発表された「A5 Zoom」と「PRO70」のみで、新製品はなかった。

 世界有数のカメラメーカーだけに、デジタルカメラでも積極的な展開を図ると思っていたのだが、担当事業部間の関係もあって、このような出展になったようだ。


●エプソン:巨大な「CP-700Z」で存在をアピール

 エプソンは完全にプリンタ中心のブース展開。だが、ブースの目立つ場所に、巨大な「CP-700Z」の模型を飾り、デジタルカメラも存在をアピール。もちろん、その場で撮影し、プリントするデモも積極的に展開していた。


●ミノルタ:RD-3000とDimage EXを出品

 ミノルタは事務機分野の製品が多いこともあって大きなブースを展開。デジタルカメラもシステムの一環という印象だ。出展製品は270万画素一眼レフ「RD-3000」と、ユニット交換式の「Dimage EX」の2機種のみで、とくに新製品などは見あたらなかった。


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■注意■

('99年3月29日)

[Reported by 山田久美夫]


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