プロカメラマン山田久美夫のCeBITレポート サンヨー編

MicroDrive採用の150万画素“動画デジカメ”と
CD-R方式のデジタルアルバム発表


●MicroDrive採用の150万画素“動画デジカメ”「VPC-SX500EX」発表!

 三洋電機から、1/2インチ150万画素搭載の、きわめてコンパクトな“動画デジカメ”「VPC-SX500EX」が突如、発表された。

 このモデルは、記録媒体にCF Type2規格のHDDである「IBM MicroDrive」を採用した超小型モデルだ。同社は「DSC-V100」から一貫して、動画が撮影できる点を大きなアピールポイントにしてきた。だが、「DSC-X110」までは、記録媒体にスマートメディアを採用しており、AVIによる高画質で本格的な長時間の動画記録をするには、容量的に厳しい面があった。その点を解決するため、本機では記録媒体に大容量化に有利なCF Type2を採用。その象徴的な存在が本機と一緒に展示されていた「IBM MicroDrive」といえるわけだ。
 もちろん、この規格はCFカードの上位互換のため、通常のCFカードを利用することもできる。
 同社のデジタルカメラのメディアはこれまでスマートメディアだったが、ここにきてCFカードを採用した理由として、スマートメディアもCFカードも、最終的な記録媒体ではなく、CD-RやMDに記録する一時的なストレージのため、カメラのコンセプトに最適な記録メディアを選んだという。

 CCDは、1/2インチの150万画素原色系タイプを採用しており、昨秋のパーソナルハイエンドモデルと同等。レンズは単焦点タイプで、AF機能を備えている。
 サイズは実にコンパクト。ウインドウ越しでの出展であり、正確なサイズはわからないが、ほぼX110と同じサイズに収まっており、やや厚みが増した程度。もちろん、このクラスでは世界最小最軽量であり、胸ポケットにスッポリと収まる150万画素モデルとして魅力的な存在だ。

 電源は単三型のニッケル水素電池で、わずか2本で駆動する。これでCF Type2のHDDを十分な時間駆動できるのかどうか、やや疑問を感じる部分もあるが、その点については、すでに検証済みなのだろう。

 モニタは2インチの低温ポリシリコンTFTを採用。また、スピーカーを内蔵しているので、動画再生時には、音を聞くこともできる。

 気になる速度は、まだモックアップのためわからないが、X110並みの速度を目指すと説明している。つまり、150万画素モデルながら、記録は1秒以下というわけだ。
 前記の通り、音声付きの動画記録ができるわけだが、記録時間や品質についての詳細な説明はなかった。だが、少なくとも、現在のX110と同等か、それ以上の実力を備えているのは間違いなさそうだ。

 ブースでの展示は、実に何気ないもので、ブースの外側には、なんの説明もなく、危うく見過ごしてしまうほど。ブース内でも同社自慢の液晶プロジェクターで、簡単なスペックが紹介されている程度だ。

 価格は記憶媒体なしで、1,500DM前後という。これは1DM=約70円換算で、10万円強になるわけだが、ヨーロッパはデジタルカメラが日本よりもかなり高いため、単純に換算した金額ほど高価なモデルにはならないだろう。
 発売時期はヨーロッパで9月頃。これまでの例で行くと、日本国内での発売は、それよりも1カ月ほど先になりそうだ。

 イメージ的には、「DSC-X110」の150万画素版であり、コンパクトで軽快な“動画デジカメ”として、大いに期待が高まるところだ。

VPC-SX500EX


●CD-R式のデジタルカメラアルバムを出品

 また、同社は今回、記録媒体にCD-Rを採用したデジタルアルバムを参考出品していた。

 このモデルは、スマートメディアとCFカード(Type2含む)から、PCを介すことなく、直接CD-Rにデータを記録できる。しかも、この2種類のカード専用のスロットが設けられているため、PCカードアダプタも不要だ。また、ビデオアウト機能も備えており、テレビ画面で再生して、画像の選択ができるようだ。

 最近はこの手のデジタルアルバムが各社から登場しており、記録媒体もまちまちだ。本機の場合、記録媒体にCD-Rを選んだ理由として、大容量でメディアが安価な点や、ほとんどのPCで使える点はもちろんのこと、大切なデータを間違っても消去できないというCD-Rならではの特徴を評価しての採用という。

 発売時期はヨーロッパでは今秋。価格は日本円で5~6万円程度を目指しているという。

 展示方法のせいで、こちらも今ひとつ目立たない感じだったが、コンセプトや機能的には、既存のデジタルアルバムの中でも、もっとも実用的で広い分野に対応するモデルといえる。また、CD-Rによる大容量さやランニングコストの安さ、PCとの親和性、データ保存の安全性なども、大きな魅力といえる。

 パソコンレスでも実用的にデジタルカメラを活用できるアクセサリとして、ぜひとも手頃な価格で、早期に発売されることを期待したい。


■注意■

('99年3月24日)

[Reported by 山田久美夫]


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