プロカメラマン山田久美夫のCeBITレポート オリンパス編

250万画素モデルC-2500Lと、210万画素単焦点モデルを参考出品


会場:独ハノーバーメッセ

開催期間:3月18日~24日(現地時間)

 CeBITは、幕張メッセの10倍クラスの規模を誇る世界最大のメッセ(見本市)会場であるハノーバーメッセで毎年春先に開催される巨大イベントだ。

 世界の三大市場であるヨーロッパ市場の一年を占うイベントとして、各社ともかなり力の入った出展内容で、CeBITをターゲットに発表される新製品も多い。本来は事務機が主体のイベントだが、近年は、PC、通信、そしてデジタルカメラを中心としたカメラ/フィルム系メーカーも出展している。

 昨年秋にドイツで開催された「フォトキナ」、2月にアメリカで開催された「PMA」、3月の国内イベント「PhotoExpo」と「IPPF」と、このところ立て続けにカメラ系のイベントが開催されており、今回のCeBITでは新製品の発表や参考出品は期待薄だった。しかしCeBIT会場では、オリンパスと三洋電機が、新製品を発表/参考出品し、なかなか活発な動きをみせていた。

 まず、オリンパスが出品した新製品についてレポートしよう。



●C-1400XLの後継機、250万画素モデル「C-2500L」

C-2500L

 ヨーロッパでトップシェアを誇るオリンパスは、今回のCeBITで突如、2機種の200万画素級モデルを公開した。なにしろ、先月にコンパクト機風の211万画素3倍ズーム機「C-2000ZOOM」を発表した直後であり、これで一眼レフタイプの上位機種から、コンパクトな単焦点モデルまで200万画素級モデルのフルラインナップをそろえたことになる。

 ヨーロッパでは、'98年のデジタルカメラの総販売台数は約80万台に達しており、成長率も高い。オリンパスは、ここで30%のシェアを持つ、ヨーロッパ市場でのトップメーカーだ。とくに強いドイツでは、金額ベースのシェアは50%、出荷台数ベースでも40%に達する。それだけにCeBITは、大々的にラインナップを発表するには格好のステージというわけだ。

 さて、注目はなんといっても、3倍ズーム搭載の一眼レフタイプ「C-2500L」だ。このモデルは人気の「C-1400XL」の後継機にあたり、CCDには2/3インチと大型の250万画素タイプを採用している。しかも、C-1400XL同様、原色系のプログレッシブスキャンタイプというデジタルカメラにとって理想的なCCDだ。

 今春の200万画素モデルはいずれも1/2インチタイプが主流だが、本機は一回り大きな2/3インチタイプを採用することで、ほぼ同クラスの画素数ながらも、きわめてポテンシャルの高い、高品質な画像が得られるという。

 レンズは従来とほぼ同じ、9.2~28mm F2.8~3.9の光学式3倍ズーム(35ミリカメラ換算36~110mm相当)を搭載している。

 ボディーデザインは、C-1400XLとは雰囲気が異なり、C-2000ZOOMで採用されたアルミ素材をボディーの一部に採用。基本デザインもやや直線基調で高級志向のスタイリングになっている。パッと見た感じでは、若干無骨な感じもあり、好みが分かれるところだろう。サイズ的には、C-1400XLよりもわずかに小型化されているという。

 また、操作部は大幅に改良されており、従来のボタン操作からC-2000ZOOM系のダイアルと十字パッドによるアナログ感覚のものになっている。また、ホットシュー方式の外部ストロボを装着することもできるようになっており、本機に対応したガイドナンバー26~40の専用ストロボ「FL-40」も同時発表されている。

オリンパスブース内

 今回は、後記の単焦点モデルとともに、アクリル越しでの出展であり、実機を手にすることはできない。しかも、ブースでの詳細な説明もなく、写真にあるような概要を記したパネルしかなく、その詳細を知ることは難しい。

 ブースのスタッフに聞いたところによると、写真や同社のホームページにある記述以外では、新たに非圧縮のTIFFフォーマットでの記録ができること。記録媒体は従来通り、スマートメディアを採用。CCDの総画素数は250万画素で、有効画素数は約240万画素。画像サイズは不明だが、画像の縦横比は従来通り、4:3となっているという。

 また、本機にはビデオアウト機能も採用されているが、液晶モニターがファインダーとして利用できるかどうかは不明という。なお、電源は単三型4本のようだ。

 気になる発売時期と価格だが、発売時期はヨーロッパ市場への導入が今夏(7月頃?)になるという。また、ヨーロッパ導入は、日本国内よりも約一ヶ月程度遅いのが通例であることを考えると、日本国内での出荷時期は6月頃になる可能性が高い。

 価格は3,000DM(ドイツマルク)前後。仮に1マルク70円で換算すると21万円程度だが、ヨーロッパは日本国内よりもデジタルカメラの価格が高めなので、簡単に円建てで換算することはできない。

 ただし、国内での標準価格が113,000円の「C-2000ZOOM」の現地価格が1,800~2,000DMと、国内価格の約1.5倍であることからすれば、「C-2500L」国内価格は15万円前後になるのではないかと思われる。

 画素数的には250万画素モデルではあるが、C-1400XLの例でもわかるように、2/3インチ大型CCDならではのポテンシャルの高さはかなりのもの。少なくとも、現行の1/2インチタイプの200~230万画素モデルと比べて、画素数の違い以上の、ワンランク上の画質を実現していることは容易に想像がつく。

 個人的には絵作りの傾向が大いに気になるところだが、このあたりはまだまだ未知数であり、実写できるモデルを手にするまでは全くわからない状態。だが、C-2000ZOOMの絵作りを見ると、従来機よりもやや色や階調性が自然な傾向になっていることもあって、C-1400XLとは若干違った方向性になる可能性もある。

 いずれにしても、現時点では事実上「C-2500L」のライバルは見あたらず、今春登場した1/2インチ200万画素の各モデルをリードする製品として、大いに期待できそうだ。

●詳細未定の単焦点2.1Mピクセルモデル

 どうもハイスペックな「C-2500L」に注目が集まりがちだが、さらに魅力的な存在なのが、同時に参考出品された2.1メガピクセルの単焦点AFモデルだ。

単焦点2.1Mピクセルモデル

 こちらは、説明もほとんどなく、まだ機種名すら公開されていない。展示機種も完全なモックアップ状態。とにかく、今回のCeBITでフルラインナップであることを主張するために急遽、出展された感じのモデルだ。

 だが、サイズ的にはかなりコンパクトで薄型。しかも、外装がすべてアルミ素材になっており、質感もなかなか高そうな雰囲気がある。また、外観と薄さから想像する範囲では、おそらく、電源は単三型2本での駆動になっているような感じもある。

 CCDは2.1M(210万画素?)という記述から想像すると、C-2000ZOOMと同じか、それに近いもののようだ。

 レンズはインレタがはがれており、解読不可能。だが、ボディー上面を見ると、明るさがF2.4の大口径タイプであることと、2.5倍のデジタルズームを搭載していることがわかる。また、液晶表示を見ると、スポット測光や連写もできそう。

 背面を見ると、インターフェイスも従来機と違い、十字パッド風のものがメインになっているようだ。

 ブースでの話では、こちらは完全な参考出品であり、C-2500Lのような具体的な発表に近いものではないという。だが、薄型で高級感がある、常時気軽に携帯できる200万画素モデルとして、なかなか魅力的な存在であり、早期の発売を大いに期待したい。


■注意■

('99年3月24日)

[Reported by 山田久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp