話を先に進める前に、まずは前回のこのコラムの訂正から。前回の本稿において筆者は、NECのPK-UG-X004について、TV画像をPCディスプレイ上に表示し、それをグラフィックスカードのTV出力によりTV表示したのでは、クオリティ的に満足いかないだろう、というような発言を行なった。これに対し発売元の日本電気より、PK-UG-X004について、以下のようなご指摘をいただいた。読者ならびに関係各所にお詫びすると同時に、訂正させて頂きたい。
言い訳になるが、このような誤解? が生じた理由はハッキリしている。この種の製品に関する情報が非常に少ないからである。実際、前回PK-UG-X004について書いた内容というのは、筆者がデータボードを購入するに際して、各社のWeb等で調べて、おそらくこうなのだろうと推定したものをベースにしている。いくらなんでも、すべてのボードを実際に買うことなどできるハズがない。
読者の方はお気づきだと思うが、おそらくCSデータ放送/通信受信用のデータボードに関する紹介記事が、雑誌等に掲載されることはほとんどなかったハズである。それは、評価するのがとても面倒であるからだ。ボードの評価にはボード以外に、2衛星対応のパラボラアンテナ、それを設置しアンテナ線を引きこむ工事、そして何より各種サービスとの契約(仮契約含む)、の3つが揃っていなければならない。雑誌の編集部が、ボードを短期間借用して評価するために、この3つを揃えるというのは、ほとんど不可能に近い。
実は、日本電気からは、筆者の記事の誤りを指摘すると同時に、もし必要であれば同社製のデータボード(ハーフサイズのPK-UG-X022)を貸し出していただける、という申し出をいただいた。筆者のところには、上記の3つのうち、少なくともアンテナと、その引きこみ工事が揃っている。だが、果たして今ソニー製のチューナーで使っているICカードを、NEC製のデータボードで使って良いのか(互換性という問題より、利用契約上許される行為なのか)ということをSKY PerfecTV!ならびにSKY PerfecPC!、さらにはMegaWaveに確認を取らなければならない。
PK-UG-X022にしても、SKY PerfecTV!の予約録画はできるのか(ビデオデッキのコントロールは可能なのか)、筆者のようにPCディスプレイを使わずTV受像機だけで運用している場合にEPGが実用になるのか、チューナーとPK-UG-X022はアンテナを共用可能なのか(2衛星対応アンテナの場合、切り替えという問題がある)、といった疑問(興味と言い換えても良い)がある。だが、実際に借用して調べようと思うと、ICカードを流用することは法的に許されるのだろうか、という別の疑問にまず答えなければならなくなってしまう(さすがに2口契約する気はない)。読者の方々には申し訳ないが、以上の疑問はとりあえず「わからない」ままにしておきたいと思う。
■SKY PerfecPC!はインターネットサービスではない
画面1:DSB-1000に対応したSKY PerfecPC!受信ソフト |
じゃあ具体的には何をやっているのか。
画面1に示したのが、DSB-1000に対応したSKY PerfecPC!受信ソフト(EPG)の画面である。810と820の2チャンネルで、最大同時に4つの「番組」が送信されている。ユーザーは、この4つのうち好きなものを受信して、利用することになる。普通のTVと違うのは、「番組」は放送されている時間にリアルタイムに楽しむものではない、ということだ。
要するに番組というのは、ブラウザで表示可能なインデックスページを中心としたデータの塊であって、一括ダウンロードした後、ブラウザに表示させて利用する(このあたりが、ひょっとするとサービスと誤解されやすいところかもしれない)。放送時間というのは、一括ダウンロード可能な時間枠に過ぎない。また、どのような番組が送られてくるかは予め決められており、ユーザーがその場で選んだり、違うものを要求することはできない。要求するためにアップストリームも存在しないのである(これは、SKYPerfecPC!を利用するにあたって、モデム等でインターネット接続する必要がない、ということでもある)。
■ SKY PerfecPC!の番組は面白いか
画面2:SKY PerfecPC!窓の杜 |
PCソフトウェア関連ということでは、インプレスが提供しているSKY PerfecPC!窓の杜もある(画面2)。毎週月曜日更新のこのサービスは、かうんとだうん窓の杜の内容(ダウンロード数上位20のフリーウェアならびにシェアウェア)を丸ごと配信する、というものだ。今まで2回ほど受信してみたが、おおむね毎回17~18MB程度のデータが配信されているようだ。これを受信するのに必要な時間は2~3分である。つまり1時間の放送枠は、2~3分で送れるデータをひたすら繰り返していることになる。
画面3は、受信内容を表示させているところだが、18MBが2分でダウンロードされていることが分かる。どうやらSKY PerfecPC!は6Mbpsのトランスポンダを1本持っているようだ。が、上述の通り、番組は同時に4つ配信されている。単純に割り算すると、1番組あたり1.5Mbpsということになり、理論上のピーク値として11.25MB/分という数字が出てくる。18MBが2分でダウンロードできても不思議ではない。
問題は、送られてくる内容だ。SKY PerfecPC!窓の杜が無意味だというつもりは全くないが、毎週トップ20を配信されても困る、というのが率直なところである。だいたい、人が欲しいと思うソフトウェアは決まっていて、トップ20に入るソフトウェアが総入替えになることなどほとんどない。逆にいえば、毎週月曜日更新といっても、その内容は多分に重複している。もう少し、何か工夫できないものかと思う(たとえば、毎週ジャンルを変える、リクエストを受けつけるなど)。
■ 大きなソフトを受信すれば、月390円の元は取れる
画面3:受信内容を表示させているところ |
コンテンツ以外に言っておかねばならないのは、SKY PefecPC!受信ソフトウェアの出来映えである。ソニーが提供する受信ソフトウェアは、まぁ普通に動くとはいえ、パワーマネージメントを有効にしてはならないという、リビングルームPCには致命的な問題がある。また、せっかく受信開始時にチューナーの電源を自動投入し、選局してくれるのだが、予約された番組の受信が終っても、チューナーの電源をオフにしてくれない。まだまだ完成度は低いといわざるを得ないのが現状である(だが、これでもMegaWaveのクライアントソフトに比べれば、数段洗練されているというのが、偽らざるところなのだが……)。
□SKY PerfecPC!ホームページ
http://www.skyperfecpc.com/
[Text by 元麻布春男]