スタパ齋藤

TEGACKYおもしろし!!



■ TEGACKYおもしろし!!

TEGACKY 東芝 TEGACKY PM-T101
オープンプライス。店頭実売価格は5,000円程度。連続待ち受け約400時間、重量約81g
 やはり電話野郎の俺としては、地獄から来た地獄のPHSキャリアであるDDIポケットが始めた『文字電話サービス』を使わずして屍拾う者無しと言えよう。ていうか我ながら何を言っているのかよくわからないが、ともかく、俺はウワサの文字電話を使ってみたくてしょうがなくなって、3月初旬にようやく東芝の文字電話サービス対応端末ことTEGACKY(テガッキー)をゲットし、使用開始した。

 なお、文字電話やその周辺の技術的内容に関しては、法林岳之氏の非同期通信レポートの第43回・『文字電話』試用レポートがヒジョーに詳しいので、そちらを読んでいただきたい。また、TEGACKYに関しては東芝のサイトから調べていって欲しい。

 さて、まず、どうして俺がTEGACKYを買ったかについて。文字電話サービス対応端末としては、こーゆーのも発売されているし、こんなのも出てくる予定だ。なのになぜ、TEGACKYを選んだのか?

 それは俺がたまたまヨドバシカメラに行ったらTEGACKYが並んでいて在庫があったからだ!! それだけだ!! ていうか文字電話サービスが使えて、PメールDXも使えれば、とりあえず何でも良かったと言えよう。フラフラッと歩いていたらたまたまその筋の人の肩に激突したゆえボコボコにされたように、たまたまあったのでTEGACKYになったと言えよう。

 で、使ってみた。そしたら、非常におもしろいことがわかった。
 最強におもしろいのは、手書きメッセージの送受信。伝えたいことや思ったことをTEGACKYに直接書き込み、送信。間もなく相手にはその手書きメッセージが届く。ただこれだけのことなのだが、これが実に味わい深くておもしろくてけっこうハマるのだ。

 そこには、以前流行ったポケベル遊びやきゃらメール遊び、それから現在でも流行り中のPメール遊びに通じるおもしろさがある。電話で直接話したり、メールで長文を送って知らせたり、もちろん顔をつきあわせて会話するようなコミュニケーションにはない、“川柳的おもしろさ”があると感じた。

 要は、流れるようにコミュニケーションできない、不便な端末だからこそ生まれる、断片的メッセージのおもしろさと言える。大したメッセージは送れないデバイスなんだけど、でも伝えたいことはやっぱり表現したい。そんなジレンマから生まれる“絶妙に簡略化された情報”がイイ。

 例えば「こんにちはスタパですけど。お腹とか空きませんか。拙者は腹が減ったので食事しに行きませんか。どうすか」というメッセージは、まあわりとマトモだが、ふつー過ぎておもしろくない。が、TEGACKYのような端末を使うと、上記のメッセージは(入力するのが面倒なので)限りなく簡略化され「超空腹。死直前。飯必要。同行願。スタパ」みたいなことになる。伝えたいことをその人なりにできる限り簡略化して表現すると、よりダイレクトで生々しいメッセージが伝わる、と俺は思う。

 文字電話ではPメールやPメールDXを扱えるので、上記のメッセージを文字コードとして送受信することができ、まあそれでもポケベルとかショートメールのようなおもしろみがある。が、すげえイイのは全部手書きでOKな点。画面上に直接書いて送信するだけという簡単さに加え、手書きの筆跡や絵の具合は、テキストメールではちょいと伝えられない高密度の情報を持っている。その比較的抽象的な情報を送れる手書きメッセージは、実に表現力豊かで楽しい。

 グダグダ書いてしまったが、ぶっちゃけた話、このおもしろさは“授業中にこっそり回すメモ”みたいな感じだ。多くの人は中学や高校の時にやったことがあると思う。ノートの切れ端に「昼飯何食う?」とか「あの先生鼻毛出てない?」(鼻毛イラスト付き)みたいなくっだらねえメッセージ交換だ。あのおもしろさがある。そう言えば文字電話は中高生~大学生あたりに売ろうとしているデバイス。最近の学生は高度なテクノロジーを用いて授業中の暇つぶしができていいなぁ……。



■ やるなTEGACKY!!

TEGACKY 編集担当がスタパ氏にねだって送信してもらった直筆デジタルサイン(非売品、自慢用)
TEGACKY 同じメールでも、イラストや直筆文字に個性が感じられて楽しいのが文字電話の面白いところ
 俺にとってのTEGACKY、まずは愉快な遊び道具となったわけだ。が、おもしろがってイロイロ使っているうちに、すげえ強力なビジネスツールなのかもしれないなんてことを思った。

 というのは、PメールDXが使える点。これは漢字で1,000文字までのテキストメール等を送受信できるサービスで、インターネットとも接続しているゆえ、まあフツーのインターネットメールサービスと考えてもいい。ちなみに、PメールDXのメールアカウントとメールアドレスは(DDI PocketのPメールDX対応端末購入・回線契約すれば)無料で得られる。

 で、メールを携帯電話で読みたくてしょうがねえ俺は、速攻でコレを利用してみた。まず常用のアドレスに来たメールをPメールDXのメールアドレスへ転送する設定にした。つまり、俺のところへ届いたメールは、自動的にTEGACKY用アドレスにも転送される。なお、PメールDXのメールアドレスに届いたメールは、サーバに対してメールの読み出し操作をしないとTEGACKYに入ってこない。J-PHONEのSkywalkerサービスや、ドコモのiModeのメール受信のように、メールが自動的に端末に送られてくるわけではない。ちなみに、PメールDXにはメールの着信通知サービス(有料)が用意されている。さらにちなみに、着信通知サービスはメールが届いたことだけを知らせるサービスで、メール自体を端末に転送してくれるわけではない。

 さて、話は戻って、俺はJ-PHONEのSkywalker対応端末も、ドコモのiMode対応端末も持っており、そちらにもメール転送設定をしており、すなわちメールが届いたことが速攻でわかる環境になっている。というわけで、俺のところにメールが届くと、まずSkywalker端末やiMode端末で着信がわかる。メールが来たら、とりあえずそれらの端末である程度(Skywalker端末だと全角で64文字まで、iMode端末だと全角250文字まで)読むことができる。が、仕事のメールだったりすると、SkywalkerでもiModeでも、全文読み切れないことが多い。途中で切れちゃったりするのだ。

 ところが、TEGACKYだと全角で1,000文字まで読める。これまで数十通のメールをTEGACKYで読んでいるが、1,000文字を超えるメールってのはめったにあるもんじゃなく、全部ほぼ完全にTEGACKYで読めているから驚く。ただ、聞くところによるとPメールDXのサーバーにはイマイチな点があって、例えばデカいバイナリメールが来たりすると、端末側からの読み出しができなかったり(端末にメールが入りきらないわけですな)するらしい。こりゃヤベぇぜデカいサイズのメール消さなきゃと思っても、TEGACKYにはサーバのメールを一括削除するような機能はない。どうにもならなくなっちゃうらしい。この辺、注意しないと面倒なことになるらしい。実際、携帯電話端末メール野郎のゲヱセン上野氏は、この問題で痛い目にあったと言う。

 ともあれ、TEGACKYでメールを受信し、読むのは、思いの外快適だ。というよりもむしろ、こんなに小さくてこんなに長文のメールを読めちゃうってのは、ちょっと衝撃的。ていうかていうか、長文のメールを受信・閲覧することにかけては、J-PHONEのSkywalker対応の各端末よりも、iMode端末のF501iよりも、全然上を行っている感じがする。張り合えるとしたらドコモのSH601emやMOEM-Dなど、一連の大型液晶搭載型10円メール端末くらいだろう。980円の使用料で操作は激簡単でマッチ箱みたいなサイズなのに、本格派の“メール端末型ケータイ”と張り合い、ある面で圧勝しているのはすっげえコトだと感じた。

 というわけで、現在のトコロ、俺のメール受信環境は、J-PHONEのSkywalker対応端末ことDP-212で着信確認 → TEGACKYで全文受信・閲覧 → 後でパソコンでも受信、みたいなことになっている。いやぁ、TEGACKYを仕事用のメール受信端末として使うとは思わなかった。小粒でオモチャっぽいのにかなりマトモに使えるTEGACKY、そしてキャパシティ十分なPメールDX、なかなかやるな、って感じである。



■ TEGACKYの操作性など

(上)直送メール(文字電話から文字電話へ)の送信画面。(下)センターメール(インターネットアドレス宛)送信画面。
 直送メールは画面右のアドレス帳をタップして登録アドレスを選べる。しかしインターネットあてのメールでは、アドレス帳に登録してあっても、写真下のような入力画面になり、アドレス帳を呼び出すには、右脇の固定メニューの“サブメニュー”を選ぶ。同じようにアドレス帳に登録してあって、しかもメール作成時に「直送メール」とか「センターメール」とか指定するのに、こんなふーに操作が違うのだ。はっきりいってわかりにくい
 もうわりとTEGACKYに慣れてしまったので、まあそれほど使いにくいとは感じないが、第三者的に考えると、ハッキリ言ってTEGACKYのインターフェースはいただけない。正直なところ、使いやすいとは言えない。なーんかシックリ来ない。妙なクセがある。

 例えば、メニューやコマンド(ボタン)類が独特で、ちょっとわかりにくいっていうか混乱を招きまくる。例えば手書きメッセージを見たり、メールの受信をしたりするときに、“PメールDX履歴”とか“センターメール受信”などとゆー、ちっともわかりゃしねえ言葉が出てくる。これらの言葉の意味は、“送受信済みメール一覧”とか“メール受信”などに置き換えても、意味は通じる感じ。

 データの送受信操作で違和感を覚えたのは、メール送受信のためのボタンのアイコンがオフフック(受話器)のマークであることと、“データの送受信=電話をかける”という妙な概念になっている点。このボタン、“送受信ボタン”とかじゃダメなのだろうか? イナヅママークとかにして、データがピピピッと行き交うイメージじゃダメなのだろうか? もしもしハイハイの通話ができない端末なのに、受話器マークがある点に、俺はかなりとまどった。

 まあ、従来の電子メールのような難しさがない、ピッチ感覚のメール端末が文字電話であるということや、PメールDX等のやや特殊なメール環境と一般のメール環境を区別しているということはわかるが、「何それ何のコト!?」と思わせるメニュー名称はやはり混乱する。

 こういう“文字電話に限った特殊なターム”が頻出するので、最初はわけがわからずマニュアルと首っ丈になる。が、マニュアルも的を射てない感じで、な~んかまとまりがない。要するにわかりにくい。ビビアンやチューヤンはこのマニュアルを読んでTEGACKYを理解したのだろうか? ホントに使ってるのだろうか? なんてことまで考えてしまった。

 それから、TEGACKYの使われ方に対し、メーカー側がいまひとつ自信を持っていないようなイメージがある。文字電話端末であるTEGACKYは、インターネットメールや手書き文字(絵)の送受信(PメールDX)、Pメール送受信、αメールポケベル送受信、情報サービス受信など、いろんなことができる多機能端末だ。が、ココに多機能デバイスの悪いトコロが出てて、各機能が並列して扱われているようなフシがある。「PメールDXと情報サービスが得意な端末です!! でもまあ他にもけっこうできるヨ!!」みたいな、メーカー側のアピールが足りないような感じ。

 どれがメインの機能なのかは、まあ本来ユーザーが決めるべきことだとは思うが、ある程度メーカー側が決めてくれないと迷っちゃうユーザーが多いのも事実だ。さらに強力に「コレはPメールDX端末として使うと超便利っス!!」という感じで、インターフェイスやタームを整理してくれれば、我々ユーザーはもっと楽勝にコイツを楽しめるハズだと思った。

 とかまあいろいろ文句を書いちゃったりしたのだが、その機能は実におもしろく、また、使い物になる端末である。また、前述の文句は、TEGACKYに少々慣れればすぐに忘れ去れるものでもある。ともあれ、オモチャっぽいこの新デバイス、実はそーとーな実力とかなりの発展性を備えた、かなりイケてる携帯端末だと言えよう。俺は当分の間、TEGACKYで遊びつつ、仕事のメールを読みまくろうと思う。

□DDIポケットの「文字電話」プレスリリース
http://www.j-plaza.or.jp/ddi-pocket/moji_tel.html
□東芝「TEGACKY」のプレスリリース
http://www.toshiba.co.jp/about/press/1999_01/pr_j2101.htm
□トミー「手描きPiPi」製品情報(Flash使用)
http://www.tomy.co.jp/pipi/
□カシオ「Me-Tel」製品情報
http://www.casio.co.jp/productnews/pm_c101.html
□関連記事
【3月12日】法林岳之の非同期通信レポート:『文字電話』試用レポート
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990312/tegacky.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp