■新春特別企画■

'99年のデジタルカメラはこうなる!

~ 変貌する130万画素クラス ~

■ インデックス
■ '99年2月に待望の200万画素モデルが登場
■ 変貌する130万画素クラス
■ '99年のデジタルカメラのポイントは総合力だ!


■ 130万画素クラスは海外市場もにらんだ新展開

 200万画素モデルよりも楽しみなのが'98年に主流となった、1/3インチクラスの130万画素モデルの動向だ。

 このクラスは1/3(1/2.7)インチとCCDサイズが小さいため、コスト的に手頃であり、レンズも1/2インチクラスよりもコンパクトに設計できるという大きなメリットがある。そのため、今年はそのメリットを生かして、1/3インチ 130万画素モデルが低価格化し、おそらく実販で3~5万円クラスの真の普及機になる。

 そして今年中、早ければ夏前には、130万画素の単焦点レンズ付きモデルで実販29,800円、ズーム機でも49,800円というプライスが、アウトレットや在庫処分でなくても実現すると思われる。

 もちろん、このクラスのモデルでも、画質的にはポストカードサイズのプリントにも十分に耐える実力であり、インターネットをはじめとしたディスプレイ上での画像利用には十分すぎるレベル。そのため、デジタルカメラの入門機として、このクラスはかなり多くの新規ユーザーを獲得することだろう。

 また、このクラスのモデルは、単に安いだけでなく、デザインや機能面でも十分な実力を備えたものへと成長するだろう。というのはこの価格帯のモデルは、日本国内はもとより、昨年あたりから急速に拡大しはじめた海外市場での主力モデルになるからだ。

 なかでも、米国では499ドルや299ドルという価格別の市場が存在しており、デジタルカメラ市場を拡大するためには、どうしてもその価格帯でしかも競争力のある実力派モデルが必要になってくる。

 そこに投入されるのが、今年登場する130万画素モデルとなる。もちろん、価格的には35万画素や85万画素モデルのほうが現実的だが、すでに海外でも“メガピクセル”というひとつの基準ができており、なまじデジタルカメラの知識がないこともあって、数字的にメガピクセル以下のものは市場が受け付けない部分がある。もちろん、画質への要求が高い欧州市場ではなおさらだ。

 しかも、米国では通販はもちろん、販売店でも比較的簡単に返品できるシステムになっているため、画質的にも通常の使用で満足できるレベルでなければ一時的に売れても、翌週には返品の山になってしまう。そのため、中途半端なモデルを発売することはできない。

 また、米国市場ではズーム人気がきわめて高い。ズームであれば、それが2倍でも、固定焦点でも、それを選ぶというくらい、市場はズームを要望している('97年の「コダック DC210ZOOM」がその好例だ)。それでも、今日では実販価格は高くて499ドル。299ドルならかなりの市場を獲得できる可能性が高く、メーカー側としては、ムリをしても、メガピクセルのズーム機を499ドル以下の低価格で投入する必要がある。この米国市場からの要望は、日本のユーザーにとっても好都合であることはいうまでもない。

 そして米国でのデザイン指向は、極端にコンパクトカメラ寄りなものか、デジタルらしいアグレッシブなものの両極端を好む傾向がある。このあたりも、ニューモデルのデザイン動向を大きく左右することだろう。

 さらに、米国では日本とは比べものにならないほど、USBへの対応が要求される。どうもUSBがきわめて扱いやすい、とてもイージーなものとして認知されているようだ。そのため、対米向けモデルはUSBのサポートが必須になるというやっかいな問題もかかえている。まあ、せっかくメモリーカードを搭載しているのだから、カメラとPCをわざわざUSBで接続するのは、どこか矛盾しているわけだが、買う側にしてみれば、デジタルカメラのために高価なPCカードドライブを購入するより安価だと思えば納得できる部分もある。しかし、このUSB対応がコスト高につながるのも確かだ。

 また、さらに広くPCユーザーにデジタルカメラを普及させるためには、もうワンランク下の199ドルや99ドルという価格帯のモデルを投入したいところ。だが、このクラスはすでに台湾メーカーが触手をのばしており、今年春には“150万画素で200ドル”という強烈なモデルも登場するだけに、どうしてもコスト高になる日本製モデルはその市場で勝負するかどうか微妙な状況だ。おそらく、ハイクォリティーな日本製カメラというイメージを崩すことはしないだろう。

 このようなさまざまな条件をクリアしながらも、今年、130万画素モデルは新たな展開を迎える。もし、上記のような条件をきちんとクリアできたモデルが登場したら、それは国内でもかなりのヒット作になることは確実だ。

('99年1月5日)

[Reported by 山田 久美夫]


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