★ ゲームソフトインプレッション ★

新世代のウォーシミュレーションゲーム
リアルタイム版大戦略 ~+インターネット対戦~


タイトル画面

 
【ゲームの内容】
     シミュレーションゲームとして確固たる地位を築き上げた“大戦略”シリーズの最新作。今回はタイトルにもあるとおり、ゲームシステムをターン制からリアルタイム制に変更した。また、システムの変更に伴いインターネット対戦が可能となった。
【動作環境】
  • CPU:Pentium 133MHz以上(Pentium 200MHz以上推奨)
  • RAM:24MB以上(32MB以上推奨)
  • HDD:30MB以上
  • 解像度:640×480ドット、256色以上の表示機能
  • CD-ROMドライブ:倍速以上(インストール時のみ)
  • DirectX 6対応(DirectX 5での動作不良は保証外)
  • BGMの再生にはMIDI音源が必要

システムソフトのホームページ
http://www.systemsoft.co.jp/
「リアルタイム版大戦略 ~+インターネット対戦~」のページ
http://www.systemsoft.co.jp/news-info/NewsRelease/RealTime_D.html
「リアルタイム版大戦略 ~+インターネット対戦~」の製品紹介
http://www.systemsoft.co.jp/PRODUCTS/amusement/RealTime_D.html

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【'98年10月13日】写真で見る東京ゲームショウで発表された新作ゲームの数々 ~システムソフト
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 ちょっと年季が入ったパソコンゲーマーにとって、システムソフトの「大戦略」といえば“特別な”タイトルだ。「大戦略」がきっかけでパソコンゲームを遊ぶようになったというゲーマーはたくさんいるし、MS-DOSの時代からパソコンを使ってた古参のユーザーなら、一度ぐらいは六角形が並ぶプレイ画面を見たことがあるに違いない。日本のシミュレーションゲームの基礎を築き、後に登場する多くの作品に多大な影響を与えたのが、この「大戦略」シリーズ。海外からの移植モノに押され気味の昨今、「A列車」シリーズと並ぶ数少ない和製の本格的シミュレーションゲームでもある。

 しかし今回登場したのは、これまでの「大戦略」とはかなり違う内容だ。「大戦略」の基本ともいえるターン制を廃し、しかもインターネット経由で対戦できてしまうという。となれば、従来からの「大戦略」ファンにとっては大いに気になる話だし、期待と不安が入り交じったアヤシイ気分にもなろうというもの。

 そこで今回は、本日発売となったこのソフトの仕上がりについて、キッチリ見てみることにしよう。

大戦略_2 大戦略_3 大戦略_4
リアルタイム制が導入されたものの、ユニットがヘックスを移動する「大戦略」のスタイルは変わらない 用意されているマップは30種類。2~4プレーヤーで戦う 戦闘時の画面。地味なデザインだが、地形や兵力、支援の有無がひと目でわかる

●長考するゲームから臨機応変に戦うゲームへ

大戦略_1
マップ選択画面
大戦略_1
任意のチームをプレーヤーが演じることができる。したがって、ひとつのマップでも戦い方は様々
 「リアルタイム版大戦略 ~+インターネット対戦~」の特徴は、まさにそのタイトルが示すとおり、「リアルタイムであること」、そして「インターネット対戦できること」の2点に尽きる。しかし、この2点が「大戦略」に与えた変化はあまりにも大きい。ターン制でじっくりと作戦を練り、対戦プレイよりもむしろコンピュータを叩きのめして楽しむのがメインだった従来の「大戦略」は、「リアルタイム」と「インターネット対戦」の導入によって消滅したにも等しいのだ。

 ちょっとおさらいしておこう。これまでの「大戦略」は、作品によって多少の変化はあったにしろ、基本的にはターン制を貫いてきた。将棋やチェスと同じように、プレーヤー同士が交互に自分の駒(ユニット)を動かして攻守を繰り返す。これは「大戦略」の母体となったボード版シミュレーションゲームのルールを、コンピュータ上にそのまま再現した結果でもある。ターンという時間の「区切り」を持ち込んだことによって、兵器には「移動力」という便宜上のパラメータが追加された。たとえば戦闘機のように速度の速いユニットは1ターンに多くのマス目(ヘックス)を移動し、歩兵のように速度の遅いユニットは1ターンに少ししか移動することができない。このように移動力に差をつけることによって、各ユニットの速度の差を表現してきた。

 また自分のターンではどの順番でユニットを動かすのも自由で、1ターンで敵のユニットを突然抱囲したり、その退路を断ったりすることも可能だった。こうしたユニットの移動速度の差や集団移動の妙が「大戦略」のおもしろさであり、戦術面での奥の深さを生んだと言っても過言ではないだろう。いかにうまく移動力の差を克服して戦うか。いかにうまくユニットを集中して戦うかが、プレーヤーの知恵の見せ所だったのだ。

 しかし「リアルタイム大戦略」には、その基本となるターンが無い。ゲームの進行速度は低速から高速まで可変だが(つまり、必ずしもリアルタイムというわけではない)、敵味方が常に同じ時間を共有するために、自分だけが長考することはできない。何もしないことは、すなわち、敵に攻撃や守備のチャンスを与えることになる。実際の戦闘さながらに、次々と指示を与えていかなくてはならないのだ。ユニットにも「移動力」という概念はなく、速度の速いものは早く、速度の遅いものは遅く、目的地に到達する。敵のユニットを包囲したいのなら、それぞれのユニットが目的地へ同時に着くよう、移動速度の差を考えながら指示しなければならないというわけだ。

 リアルタイム制の導入によって、その他のルールも大幅に変更されている。従来の「大戦略」では、歩兵ユニットが都市や空港に突入した時点で占領成功だったが、「リアルタイム大戦略」では都市に突入しただけでは占領したことにはならず、一定時間そこに留まらなくてはならない。完了前に敵襲を受けて壊滅してしまえば、占領は失敗。逆に言えば、敵の歩兵ユニットが都市に突入しても、速攻で叩けば容易にこれを阻止することができる。

 そしてルール上もっとも大きな変化は、プレイ中に兵器の生産ができなくなったという点だ。「リアルタイム大戦略」では、戦場となるマップを選んだ直後に手持ちの資金を越えない範囲で兵力を配置し、ひとたびプレイが始まると新たな部隊の投入はできない。ダメージを受けたユニットを補充/修復することは可能だが、従来の「大戦略」のように工場で新たな部隊を生産することができないのだ。ゲーム中での時間が数日~数週間という短い時間であることを考えれば自然なことなのだが、この制限がプレイに与える影響は大きい。従来の「大戦略」では、部隊の大量生産と大量投入(ようするに物量作戦)が基本敵な戦術であり、工場の占領や前線まで部隊を送る輸送線の確保が重要だった。しかし「リアルタイム大戦略」では部隊の追加投入ができないので、消耗戦は愚策である。手持ちの部隊を壊滅させることなく上手に育て、補給と補充を繰り返すのが賢い戦い方だ。


●兵器のリアリティは従来の作品を凌駕

大戦略_1
大戦略_1
F-14トムキャット(上)とレオパルド2A5(下)の兵器データ。武装は必要に合わせて換装することができる。下写真を見ると、地形効果が細かく設定されていることがわかる
 スペック面での話をしよう。ゲームで用意されている兵器は、日本、中国、ロシア、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イスラエルの8カ国。航空機から潜水艦までその数は217種類におよび、実践配備されているものはもちろん、現在配備中のものや次世代の兵器までズラリと揃っている。このあたりは、さすが「大戦略」シリーズというべきだろう。

 各兵器のパラメータも細かく、地形に合わせた移動速度や武装、残弾、射程、装甲なども綿密にデータ化されている。またユニット同士の直接戦闘だけでなく、トマホークによる遠隔攻撃やメガヘックス攻撃など、実践さながらのシビアな戦い方も可能になった。索敵能力やステルス性なども各兵器ごとに数値化され、深々度で敵地深くに潜水艦を潜航させたり、夜間にステルス攻撃機を使った空爆を行なうなど、奇襲攻撃もできる。戦い方のバリエーションは大幅に広がり、兵器の特徴がうまく表現されたと思う。
 艦船は1ユニット1艦、戦車や装甲車は1ユニット8両。戦闘機や攻撃ヘリも、同じく1ユニット8機。歩兵のみ、1ユニット16人の小隊編成となる。各ユニットともに武装はある程度自由に選ぶことが可能で、作戦に合わせて変更することが可能。攻撃を受けて数が減ったユニットは、都市や飛行場に一定時間留まることによって損害分を補充することができる。

 グラフィックは、それほど大きな変化はない。マップはヘックスで区切られ、それぞれに平地や山岳などの地形が割り当てられている。戦闘中の画面も、多少の遠近感はあるものの、従来の「大戦略」と同じだ。

 実際に遊んでみると、これがなかなかおもしろい。最大の変化は、やはりスピード感だろう。リアルタイムであること、そして部隊の追加投入ができないことから、プレイ時間はかなり短くなった。以前の「大戦略」では1マップ数日~数週間なんてのはザラだったが、「リアルタイム大戦略」の場合、せいぜい1時間~3時間。なにせモタモタしている暇などないから、次々に部隊に指示を送り、攻撃、撤退、補充、占領を繰り返さなくてはならない。怒濤のように押しかける敵の進軍を食い止め、押し返すとなると、戦術はもちろんだが機敏な反応も必要だ。自ずと緊張感は高まり、右へ左へマウスを動かすことになる。少々慌ただしいが、よくよく考えてみれば、戦闘とは本来こういうものなのだ。

 また、こうしてリアルタイム制を導入し、1ゲームあたりのプレイ時間を短くすることができたからこそ、インターネット対戦が可能になった。ターン制のままでは1プレイにとんでもない時間が掛かってしまい、不特定多数のプレーヤーと対戦するなど不可能だ。今回は対戦用のサーバーとアドインソフトがまだ未公開(発売に合わせてサポート開始予定)だったので、実際にインターネット対戦することはできなかったが、なるほど、これならば十分オンラインで遊べそうだという感触をつかむことはできた。


●新しい「大戦略」がここに誕生!!

 正直に白状しよう。
「駒沢さんっ! 実は今度の新しい「大戦略」、なんとリアルタイム戦闘で、しかもインターネットで対戦できちゃうらしいっスよ~」
というゲーム担当の編集部F氏から話を聞いたとき、筆者はほんの少し暗い気分になった。というのも、
「すげーぜ、システムソフトっ!!」
という期待より、
「おいおい、大丈夫かよ?」
という不安のほうが勝ってしまったからだ。

 いまさら言うまでもない話だが、「大戦略」シリーズの魅力といえば、なんといってもリアルな兵器パラメータ。そしてじっくり腰を据えて遊べるターン制にある。ユニットひとつひとつの移動距離を綿密に計算し、作戦どおりに敵ユニットを抱囲・殲滅したときのカタルシス。攻略ルートを整然と移動する、機甲部隊や航空部隊。いまここで全軍を指揮しているのはオレなんだと実感できるあの充実感こそ、「大戦略」ならではの味わいではないか。ウォーシミュレーションの様式美と言ってもいい完成されたゲームシステムを根元から覆すとなれば、「大戦略」が「大戦略」でなくなってしまう恐れも否定できない。
「なんでもかんでもリアルタイムにしちまえばいいってわけでもあるまいに……」
と密かに舌打ちした筆者の気持ちを、「大戦略」ファンなら必ずや理解してもらえるはずだ。

 ところがどっこい、そんな不安は見事に裏切られた。というより、予想もしていなかった新しいおもしろさがそこにあった。兵器のリアリティはそのままに、素晴らしいドキドキ感と、前作以上にピンと張り詰めた戦場の空気。大部隊を指先ひとつで指揮するエクスタシー。なによりうれしかったのは、リアルタイム制というまったく新しいゲームシステムでありながら、「大戦略」本来の持ち味である最高司令官の苦悩と喜び(?)が完璧に継承されていたという点だ。

 ターン制の廃止、そしてインターネット対戦の導入については、おそらくシステムソフト社内でも賛否両論の声があったに違いない。他の作品ならいざ知らず、同社の看板ゲームでもある「大戦略」となれば、失敗は許されない。万一中途半端な仕上がりでお茶を濁そうものならなら、コアな「大戦略」ファンが黙ってはいないだろう。「こんなのは「大戦略」じゃねえ、ふざけるな!!」と怒り狂ったファン一個師団が、博多にあるシステムソフト本社ビルを強襲する恐れだってあったはずだ。

 しかし、その危惧は単なる杞憂に終わったばかりか、意外にもよい形で裏切られた。大作のプレッシャーを跳ね除け、見事「リアルタイム大戦略」を開発したスタッフに対して、心からの拍手を送りたい。新しいタイプのウォーシミュレーションゲームが……否、新しいタイプの「大戦略」が、いまここに誕生したのだ。

大戦略_2 大戦略_3 大戦略_4
手持ちの予算で兵器を購入。対戦中に生産することはできない 用意されている兵器は、日本、中国、ロシア、アメリカ、ドイツ、イギリス、フランス、イスラエルの217種類 状態の確認画面。各軍団のユニット数や同盟関係がひと目でわかる


筆者よりの補足

 本文掲載後、数名の方より「『リアルタイム大戦略』以前にも、『大戦略III』『大戦略IV』でリアルタイム制が採用されていたのではないか?」とのご指摘を頂いた。その点について、誤解のないように補足しておきたい。

 「大戦略III」や「大戦略IV」などの作品では、確かにリアルタイムなコマンド入力が採用されていた。しかし、部隊の合流や都市の占領が時間の流れを無視して即時に完了するなど、リアルタイム制とするにはまだまだ無理があったことは否めない。実際システムソフト側も、この方式を「リアルタイムな(ターンの)カウント制」と説明していたはずだ。待ち時間無しでプレイは進行するものの、「ターン」という概念そのものは依然として存在していたと筆者は考える。「ターン」という概念を廃し、リアルタイム制が本気で追求された作品は「リアルタイム大戦略」が最初の作品であり、だからこそこのようにストレートなタイトルが採用されたのだろう。

 およそ10年前のソフトであること、また当時の作品を知る「大戦略」ファンなら両者の違いを自然に理解できると考えて、カウント制とリアルタイム制の違いについて深く言及しなかったが、しかしそれが原因で誤解を与えたとするのなら、この場を借りで深くお詫びしたい。
 それと同時に当時の作品を知り、忌憚なくご指摘くださった“大戦略ファン”がいまもなお確実に存在することを知り、とてもうれしく感じる次第だ。  (12月21日追記

(c) 1998 SystemSoft Corp.

※このレビューはプレβ版を使用してのものです。製品版では若干仕様が変更される場合もあります。

【筆者紹介】
  • 名前:駒沢丈治(こまざわじょうじ)
  • プロフィール:  パソコンからGAMEBOY、将棋、テーブルトークRPGまで、あらゆるゲームを愛する心優しき中年ゲーマー。「大戦略」シリーズをプレイしていると、ついつい攻撃ヘリの大部隊を作ってしまうのは「エアウルフ」の影響か?
【総プレイ時間・ハード環境】
  • 総プレイ時間:約12時間程度
  • 使用ハード:自作PC/AT互換機(Cyrix M2 300、RAM 128MB、HDD 4.3GB、36倍速CD-ROM、3D BLASTER Banshee、SOUND BLASTER AWE32、Microsoft SideWinder Force Feedback Pro)

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