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Intelが、IBMの銅配線技術より速い(?)0.18ミクロン技術を発表



●0.18ミクロンの試作チップが900MHzで動作

 Intelは、'99年後半から量産を開始する0.18ミクロン設計ルールの概要を発表した。IBMの銅配線技術よりも性能が高いと主張、試作SRAMチップは900MHzで動作したという。

 '99年、MPUメーカー各社は半導体のプロセス技術を進化させて、MPUを一気に高速化しようとしている。現在の0.25ミクロン設計ルールのプロセス技術から、0.18ミクロンへのジャンプを予定しているのだ。0.18ミクロンでは、各社のMPUは1GHzを目指すという。そのし烈なレースの中で、IBMやMotorolaは銅配線技術を発表、AMDもMotorolaの銅配線技術を0.18プロセスで導入することを発表した。そして、先週、ついに注目のIntelが、同社の0.18ミクロン技術の概要を明らかにした。

 「Intel sticks with aluminum at 0.18 microns」(Electronic Engineering Times,'98/12/10)によると、Intelは、先週開催されたLSIプロセス技術のカンファレンス「44th International Electron Devices Meeting」で、発表を行なったという。以前からIntelが主張していた通り、銅配線技術は使わず、従来のアルミ系素材を配線に使う。記事によると、Intelは自社の0.18ミクロン技術が、IBMの銅配線技術よりも速いとアピールしたという。これは、11月13日にIntelが行なった「Fall Analyst Meeting」でも主張していたが、今回は細かな実証データを示したらしい。

 銅配線を各社が採用するのは配線遅延を抑えるためだが、Intelは銅配線の代わりに、誘電率の低い層間絶縁膜(fluorided silicon oxide(SiO2F))を採用して、配線遅延を抑える。この会議では、Intelは試作チップも公開したらしい。試作したのは16Mbit SRAMで、900MHzで動作するという。SRAMセルの面積は5.9平方mmというから、現在のセルの60%くらい。つまり、かなり大容量のSRAMを詰め込めるようになるだろう。電源電圧は1.3~1.5Vと、現在の下限の1.6Vよりもかなり低い。Intelは、この電源電圧を下げるという部分では先進的で、消費電力に対して電圧は二乗で利いてくるので、MPUの消費電力もかなり下がるだろう。ゲート長はnMOSで0.13ミクロンと、これもプロセスルールよりかなり短く、最先端だ。スペックを見る限りは、0.18でも十分互角以上の戦いができることになる。


●AMDがAlphaとx86両互換MPUを作る??

 MPU市場は、プロセス技術の戦いであると同時に、アーキテクチャの戦いでもある。とくに、'99年の注目はKatmaiが新しく搭載する「KNI(Katmai new instructions)」と「3DNow!」の対決。「Evolution of the x86 Architecture」(Microprocessor Report,'98/12/7)では、'99年はKNIはローエンドには入ってこないので、3DNow!と共存する。しかし、2000年には、IntelはKNIを全製品ラインに入れてくるので、AMDは「K7-2」でKNIをサポートするかも知れないと予測する。また、IA-64に対しては、AMDはAlphaのライセンスを取得して、Alphaとx86両対応のMPUを作って対抗するかもしれないという。


●2000年にはSlot 1がなくなる

 2000年にはSlot 1がなくなってしまうと予測するのは「Shift to On-Chip Cache Pays Off」(Microprocessor Report,'98/12/7)。理由は、Intelがコストを大幅に下げられるからだという。同記事によると、Intelは現在のPentium IIやCeleronのような基板を使ったモジュールから、ソケットに装着するプラスチックPGA(PPGA)に移行すると、10ドルもコストを下げられるという。'99年後半のCoppermineからは、パフォーマンスデスクトップ用のMPUも、256KBの2次キャッシュSRAMをMPUに内蔵するようになるので、そうなったら、Celeron同様にPPGAに移行を始めるだろうという。その結果、2000年中盤までには、Slot 1はほぼ消えてしまうだろうという。また、サーバー用のSlot 2も、Cascadesが最大2MBの2次キャッシュを内蔵してくるので、こちらのソケット化が進むという。2MBの2次キャッシュを内蔵しても、0.18ミクロンならダイサイズは375平方mmで済むので、2MBの2次キャッシュSRAMを外付けしたPentium II Xeonよりコストが安くなるのだそうだ。


●OracleとSunがOSいらずのデータベース構想

 OracleとSun Microsystemsが、Windows NT/Windows 2000にふたたび挑戦する。「Oracle taps Solaris for server appliances」(InfoWorld,'98/12/14)など、各ニュースサイトが一斉に報じている内容によれば、両者は、Oracleの新RDBMS「Oracle8i」に、Sun MicrosystemsのSolarisのカーネルと必要最小限のサービスを組み合わせて、提供するという提携を結んだという。つまり、ユーザーはWindows NT Serverのような重厚長大を使わずに、Oracle8iを使えるようになる。言い換えれば、一見サーバーOSいらずの、サーバーアプライアンスができるようになるわけだ。Oracleのラリー・エリソン会長兼CEOは11月のCOMDEX Fallで、この計画を「Raw Iron」と名付けて発表していたが、いよいよそれが現実になった。エリソン氏は、NC(Network Computer)構想の時も、NCサーバーをOSカーネルの上で走らせることで、OSいらずにしようとしていた。


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('98年12月15日)

[Reported by 後藤 弘茂]


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