Business Weekの最新の好感度調査によれば、ゲイツ氏が好きという人32%、嫌いという人8%で、好きが嫌いを4倍も上回った。以前にもこのコラムで『Fortune』やBusiness Weekの調査結果を取り上げ、エグゼク対象の調査ではゲイツ氏の好感度が高いと書いたことがある。今回の結果も、一見、それを裏付けたように見える。
ただし、実はこの“好き”の数字は裁判前の6月より5%落ちている。Business Week誌は、“嫌い”の率は変わっていないし、裁判での証言にも関心を払っていなかった人が過半数だとして、この変化をほぼ無視している。だが、嫌いではないとしても好きとは言えない人が増えているということは、ビジネスマンたちの微妙な心境変化が表われているようで面白い。
その結果、Microsoftは世界で2番目に尊敬されている会社という名誉を受けた。ところが、同地域の北米のCEOや同業のエレクトロニクス・IT(情報技術)・通信分野のCEOたちに限っていえば、それほどMicrosoftを尊敬していないということがわかった。
じつは同社の支持者はラテンアメリカ、ついでヨーロッパやアフリカ、中東のCEOたち。そのため北米に限ると4位、エレクトロニクス・IT・通信の分野に限ると8位に、尊敬度が落ちてしまうのだ。
この調査では“尊敬”のものさしは、経営の質・競争力、財務状況など、いわゆる企業の体力やビジネス上の能力。社会的貢献度がすばらしいとかいう意味で尊敬を測っているのではない。だが、だからこそこの結果は、北米やコンピューター関連企業のビジネスリーダーたちがMicrosoftを企業としてすごいと思わなくなっていることを示しているといえそうだ。
ちなみに1位は総合電機メーカーのGeneral Electric。特に北米、アフリカ、中東で圧倒的支持を得て、2位のMicrosoftに2倍の得票差をつけている。
□MICROSOFT'S TEFLON BILL(Business Week、11/30号)
http://www.businessweek.com/(有料サイト)
□General Electric Takes Top Honours In First Financial Times/ PricewaterhouseCoopers World's Most Respected Company Survey(PricewaterhouseCoopers)
http://www.pwcglobal.com/extweb/ncpressrelease.nsf/DocID/7BCDF1574CDAE91B852566CC0058EA36
調査会社の発表資料に多数目を通しているが、こんな変わったタイトルは珍しい。わけがわからない人もいるだろう。かつて米国の女の子バージニアちゃんは「サンタは本当にいますか」と新聞に投書し、「いますとも(Yes, Virginia, there is a Santa Claus.)」で始まる記者の返事が、米国で最も有名な社説を生んだ。それをもじったこのタイトルからすると、どうやら現代のバージニアちゃんは「DVDをクリスマスプレゼントにもらえますか」とCahners In-Stat Group社に聞いたらしい。
同社によれば、クリスマス商戦の'98年第4四半期に35万1千台のDVDプレーヤーが出荷されるという。台数を見るとVCRと比べて少なく見えるが、伸び率は昨年同期比160%増と勢いはすごい。いよいよスプリングボードの上に乗ったといえそうだ。
その大きな理由は価格だ。299ドル(約39,000円)の製品も登場、ついに普及価格帯に入ってきた。大手電器店チェーンのサーキットシティでは主力は400ドル(約52,000円)以下の製品。1世代前の機種だが、数種類用意され、店でも宣伝などに力を入れる。
タイトルも豊富で安い。映画DVDが21.5ドル(約2800円)くらいで販売され、レンタルもある。ペイパービューで4.5ドル程度で映画が見られるDivxというソフトもある。
もちろんこれは、売れそうだという見込みがメーカーやベンダーにあればこそ。そして低価格やタイトル増がまた需要を呼ぶ。今クリスマスのポジティブ・スパイラルが、'99年、米国のDVD市場のブレークを招くかもしれない。
□Yes, Virginia, There is a DVD Player Under the Tree(Business Wire)
(更新によりこの記事へのリンクは既に消失)
http://www.businesswire.com/
11月から12月頭にかけてこの手の発表をした調査会社は10社近く。多少の差はあるものの、ほぼ一致して昨年の2倍以上の大幅な伸びを予測している。だが、これだけの数の会社が発表を出したということ自体が、今年のクリスマス商戦がオンラインショッピングにとって特別な時ということを示している。
調査会社は、公式発表よりも詳細な調査結果に分析を加えたレポートを企業に売ったりコンサルティングをしたりすることを生業にしている。だから発表が多いということは、それだけ、流通業などがオンラインショッピングに注目していること、調査会社が流通業向けコンサルティングのビジネスチャンスが来たと思っていることを示しているわけだ。
各社の予測によれば、オンラインショッピングによる消費額は、昨年の2倍強の25億5000万ドル(約3300億円)(Yankee Group)、昨年の2倍の23億ドル(Jupiter Communications)など。Cyber Dialogueは、オンライン決済による消費総額は20億ドルだが、実際の買い物は店してもオンラインで情報収集するという人も含めると、消費額は47億ドルとなり、昨年の3倍になると予測している。
ショッパー数はもう少しばらつきがあり、Yankee Groupが米国の875万世帯、つまりオンライン世帯の35%を予想。Cyber Dialogueが670万人、ZDNetが640万人を予測している。
人々はオンラインで本、音楽CD、衣類、花、家電、PC、子供向けの玩具やゲームなどを買うつもりらしい。要するにプレゼントになりそうなもののほとんどはオンラインで買えてしまう。ホリデーショッピングは混雑する店を避けてオンラインで、が定着するかも。
□On-Line Holiday Sales to $2.55 Billion This Year(Yankee Group)
http://www.yankeegroup.com/yg.nsf/7660ab3cde06b649852566580069c4ce/8984e1efeac8a8d0852566d3005d4112?OpenDocument
□Holiday Online Sales Hit $2.3 Billion, But Gift Opportunity Still Untapped(Jupiter Communications)
http://www.jup.com/jupiter/press/releases/1998/1102a.html
□12 Million Americans Will Rely on the Internet for Holiday Shopping(Cyber Dialogue)
http://www.cyberdialogue.com/press/releases/holiday_shopping.html
[Text by 後藤貴子]