元麻布春男の週刊PCホットライン

Celeronを正式サポートしたIntelの新マザーボード


■Intel製の新マザーボード

 このところIntelは、矢継ぎ早に新しいマザーボードを発表している。先々週はSE440BX-2(開発コード名Seattle 2)、そして先週はRC440BX(同Rochester)と、毎週のリリースである。とはいえIntelは、マザーボードの新製品について、なぜかプレスリリースを出さない。単に同社のWebサイトのマザーボードのページに、新しいマザーボードが追加されるだけだ。そのせいか、あまりニュースとして取り上げられることもなく、たとえばAKIBA PC Hotline!のWeekly News & Updateでも、Intel製マザーボードが新製品として取り上げられることはほとんどないようだ。

 詳細は、IntelのWebサイトを見ていただくとして、ごく簡単に2つのマザーボードの特徴について触れておこう。SE440BX-2は、これまで販売されてきたSE440BXのマイナーチェンジ版。主な変更点は、オンボードのサウンドチップが、Crystal Semiconductor製から、ヤマハのコントローラチップであるYMF740とAnalog Devices製のAC'97 CODECであるAD1819Aの組み合わせ(MU440EXと同じ)に変わったことだ。

 RC440BXはGatewayが採用しているマザーボードで、オンボードにNVIDIAのRIVA 128ZXによるAGPグラフィックスと、CreativeのAudioPCI 64V互換のサウンド機能を持つ。オンボードペリフェラルの選択がGatewayっぽい気がするのだが、BIOSが最近のIntel製マザーボードには珍しくAMI製なのも、GatewayのOEMと関係があるかもしれない。RC440BXのもう1つの特徴は、ATX版とマイクロATX版(ATX版のISAスロット部をカットした格好)の2種類が用意されることだが、この特徴とGatewayの関係はわからない。

 実は、このSE440BX-2とRC440BX以外にも、Intelはこの秋2つのマザーボードをリリースしている。1つは、デルのDimension Vシリーズが採用しているAR440BX(Aruba)、もう1つがIntel製マザーボードとしては今のところ唯一PCIスロットを5本持つWS440BX(Warm Springs)だ。この2つは、おそらくOEM専用で、SE440BX-2やRC440BXのように外販はされないものと思われる。



■この秋リリースのIntel製マザーでは、Celeronを正式サポート

 以上、この秋にリリースされた4種のIntel製マザーボードには、440BXチップセットを採用する以外にも、ある特徴がある。それは、いずれもCeleronを正式にサポートする、ということだ。たとえばSE440BXは、100MHzと66MHz、2種類のFSBに対応しており、233MHz~333MHzのPentium II(FSB 66MHz)と350MHz~450MHzのPentium II(FSB 100MHz)の両方をサポートしていたが、なぜかCeleronはサポートされていなかった。これには、CeleronはあくまでもBasic PC向けのプロセッサであり、安価な440LXあるいは、もっと安価な440EXチップセットベースのマザーボードと組み合わせて、1,000ドルPCを構築するためのパーツとして用いて欲しいという、Intelの思惑が反映されていたものと思われる。逆にいえばIntelは、CeleronがPentium IIを脅かすようなことがあってはならない、と考えていたフシがある。

 こうした考えは、Celeronが2次キャッシュを持たないCovingtonの時代は、杞憂に過ぎなかった。CovingtonベースのCeleronは、ごく一部を除き不評で、Pentium IIの市場を荒らす心配など必要なかったのである。ところが、Celeronに128KBの2次キャッシュを持つMendocinoコアが追加されると、様子が変わってきた。MendocinoベースのCeleron 300A/333MHzは、市場で好評を博すと同時に、Intelが心配していた事態、Pentium IIの代用品として利用され始めたのだ。

 すなわち、多くのPCベンダは、Pentium IIベースのPerformance PCと、CeleronベースのBasic PCの2つを、別々のシステムとして用意するのではなく、1つのベースシステムを用意し、顧客の注文に応じてPentium IIとCeleronのどちらかをインストールして出荷することを望んだのである。CeleronはIntelの思惑通り、Pentium IIとは異なるセグメントのプロセッサではなく、廉価版のPentium IIになってしまった。CeleronがPentium IIの市場を食っていると言っても良いだろう。そして、440BXベースのマザーボードでCeleronをサポートしたことで、Intel自らも、この状況を認めてしまった。市場は、必ずしも100%、Intelの思惑通りに動いてはいない。

 とはいえ、これをもって、Intelが危機に面していると捉えるのは早合点に過ぎるだろう。Intelにとって最悪なのは、CovingtonベースのCeleronのように、出すプロセッサが売れないことである。確かに、MendocinoはIntelの予定通りの売れ方ではないものの、売れていることに違いはない。また、製造原価的に、クロック300MHzや333MHzのPentium IIを安く売るよりは、Celeron 300A MHzや333MHzを売った方が、利益も確保しやすいハズだ。現状でもIntelは、最悪のシナリオはまぬがれているのである。とりあえず、この場は市場の流れに任せ、'99年以降、Performance PC向けプロセッサへのKatmai New Instructionの導入、ソケット版Celeronの投入など、少しづつ2つのプロセッサのセグメンテーションができれば良いと考えているのかもしれない。



■秋葉原では人気がないIntel製マザー

 それはともかく、Intel製マザーボードは、あまり秋葉原では人気がないようだ。取り扱い店が極めて限られている上、価格も米国でのものに比べ割高である。価格が高いから人気がないのか、人気がなく売れないから価格が高いのか、理由は定かではないが、秋葉原で見かける機会はあまり多くない。もう1つ考えられるのは、Intel製マザーボードは、いわゆるオーバークロックができないことだが、ユーザーすべてがオーバークロックするわけでもあるまい。この秋にリリースされたモデルからCeleron対応したことで、わが国でもIntel製マザーボードにもう少し人気が出るかもしれない。

 筆者は、常時Intel製マザーボードを1枚は確保するようにしており、今も実験マシンの1台にSE440BXを用いている。仕事柄、ベータ版のビデオカードの評価等を行なう機会が少なくないのだが、こうしたベータ版のカードは、Intel製のマザーボード以外では、たとえIntel製チップセットであろうとトラブルが生じることが極めて多い。ビデオチップベンダやカードベンダの多くが、Intel製マザーボードをリファレンスとして用いている以上、テスト用になくてはならない存在なのである。

□米Intelのデベロッパ向けサイト(英文)
(マザーボード、チップセットなどの製品情報はデベロッパ向けページにしかない)
http://developer.intel.com/
□米Intelのマザーボード情報のページ(英文)
http://developer.intel.com/design/motherbd/
□インテルのホームページ
(10月27日現在、SE440BX-2/RC440BXに関する情報は掲載されていない)
http://www.intel.co.jp/

[Text by 元麻布春男]


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