スタパ齋藤

安定への道
~東芝TECRA 780DVD~



■ 安定への道

 Windowsが当たり前になりまくった現在でも時々、「あ~やっぱりDOSって素晴らしかったなぁ」とか思うことがある。ていうか実は俺はほんの2~3年前までDOS上で原稿を書いていたのであった。もちろんWindows環境もMac OS環境もあったのだが、でもDOS上で書いていた。MS-DOS 3.3DとMIFESとVJE-βの組み合わせで書いていたのだ。
 なぜかと言うと、まるっきり安定していたから。時には「そろそろCUIやめてGUIしようかな」と思い、WindowsやMac OS上での原稿書きに挑戦した。が、そのたび、「糞ったれこんなOS使ってられんかよふざけんじゃねえ消去してやる!!」と怒髪天を突きまくり、やっぱりDOSに戻ったりしていた。

 WindowsやMac OSが不安定この上なくダメでヘボで糞でゲロなOSだとは言わないが、とにかく原稿を書いている途中でよくハングアップした。原稿を書き、メールをチェックし、再び原稿を……と思った瞬間お亡くなりになったりするわけだ。お亡くなりになると同時に、俺の原稿執筆意欲もお亡くなりになるのであった。ちなみに当時挑戦した原稿書きOSは、Windows 3.1~Windows 95や漢字Talk 7~Mac OS 7.6あたり。どれも全然ダメであった。当時の俺は、WindowsやMac OSで仕事してる人を見て「まあよくあんなモンを本業のツールにしようと思うよなぁどうかしてんじゃねえのか」と思ったものだ。

 で、Windows 95のOSR2がリリースされた頃、俺は再度GUI環境で原稿を書くことに挑戦した。Mac OSはともかく、Windows 95 OSR2はかなりイイ感じで、俺は本腰を入れてGUI原稿書き環境を構築し、現在に至っている。

 あ、誤解を招くといけないので書いておくと、俺がたびたびやった“GUI環境原稿書き挑戦”は、気が向いてチョッとGUI環境使ってすぐにゲッと思ってまたDOSに戻る、みたいな簡単なものではない。トラブルによって原稿執筆意欲が失われるのはこの上なくムカつく状況なので、すげーシビアに安定性を求めたのだ。これでもかこれでもかと使うソフトやTSR*(とは言わないのかナ!?)を選び、何度も何度もマシンをリセットし、うんざりするほど幾度もOSを再インストールし、少しでも環境が安定しますようにと念じながら、何日も何日も執念深くトライした結果、やっぱダメだったと終わった感じだ。まあ、DOSと違って、WindowsやMac OSは、同時にいろんなコトできちゃうから問題が起きる可能性も高くなるのであり、一概にOSのせいだとは言えないが、でもDOSってステキだなぁとGUIなコンピュータ社会において頻繁に思ったりしていた。ていうかそーゆー奴はやっぱUNIXですかFreeBSDですかEmacsですか?

 さて、そんなわけでここ数年はWindows 95に乗り換え、DOSを捨てた原稿執筆野郎の俺になったのだが、よーく考えてみると、やっぱりまだWindows 95というのはイマイチ安定性に欠ける。もちろんそれはWindows自体の問題もあるし、使うマシンやデバイスの問題もあるし、選ぶアプリケーションの問題もある。ノートパソコン野郎の俺が特に感じるのは、(きっとデスクトップマシンでもだいたい同じだと思うが)機種による妙な動作やトラブルだ。

* TSR:Terminate and Stay Resident program、メモリに常駐するプログラムの意(編集部)


■ 些細な問題

 Windows上で原稿を書くようになってから、俺が使ってきたマシンは、ああっ!! 今調べて驚いたのだが21台もある!! こんなに買っててインカ帝国!! 毎年7~8台買ってる計算!! それなのに現在持ってるマシンは4台!! 残りの17台はどこへ!! なんか!! なんかなんかなんか!! くわッ!! 大散財!! あ~。

 気を取り直して、Windows 95環境で原稿を書くために使ってきたマシンを挙げると、DEC HiNote Ultra II(Pentium 120MHz)、Panasonic Let's note AL-N1(Pentium 133MHz)、TOSHIBA T3400(i486-33MHz)、Proside Safari200(Pentium 133MHz)、SONY VAIO PCG-715(Pentium 166MHz)、TOSHIBA Satellite305CDT(Pentium 166MHz)、SONY VAIO PCV-M300TV7(Pentium 200MHz)、SONY VAIO PCV-S600TV7(Pentium II 333MHz)の8台。けっこういろんなマシンに手を出している。

 このうち、アレは使えるマシンだったな~と思える(つまり原稿を書く際に超安定してて良かったナーという)マシンは、HiNote Ultra IIとPCG-715とSatellite 305CDTあたり。どれも使いやすく、ナイスで、便利で、モトが取れるマシンだった。なお、Let's note AL-N1とT3400も非常に良かったのだが、どちらも半月ほど酷使して売ってしまったので、いまひとつ強い印象がない。

 まあ、大雑把な話をすれば、上記の8台のマシンはどれも“不安定なんてことはなかった”。ふつーに使えて、ふつーに便利で、ふつーに頼りになるマシンだった。しかし重箱の隅をつつくようなスタンスで考えると、どのマシンにも多少は問題があった。いわゆるひとつの些細な問題だ。例えば、PCカードを入れた瞬間死ぬことがあるとか、シリアルが突然死ぬことがあるとか、レジュームの挙動がヘンになることがあるとか。たまにしか起きないことだが……。基本的には無視してもいいかもしんない“些細な問題”ではあるのだが、しかし、気になる。原稿を書いているマシンが妙な挙動をするとなると、これは精神衛生上非常に良くないことなのだ。で、精神衛生上わりと良いマシンが、HiNote Ultra IIとPCG-715とSatellite 305CDTあたり、というわけ。

 しかし“精神衛生上わりと良い”のはナイスだとしても、ホントは“精神衛生上すげえ良いマシン”が欲しいのだ俺は。そういう観点で考えてみて、「イイ!!」と思えるマシンは少ない。HiNote Ultra IIは、たま~にドッキングステーション絡みのトラブルが起き、FDD周りもちょっとだけ不安定だった。PCG-715は、外付けマウス・キーボードがたま~に死んだりPCカード周辺が弱まったりした。まあホントに重箱の隅をつつくように考えてのことではあるが、“精神衛生上すげえ良いマシン”ではなかった。

 ところが、東芝のSatellite 305CDTだけは違ったのであった。それまで俺は、前述のT3400とかLibrettoとか、何台か東芝のマシンを使ったことがあった。どれも不調も問題もない素直なマシンだったと記憶している。しかしSatellite 305CDTを使ってからは“素直なマシン”どころではないかもしれないと思ったのであった。というのも、Satellite 305CDTが、俺にその凄まじい安定性を誇りまくったからだ。



■ DOSマシンみたいに強靱!?

 東芝のSatellite 305CDTを買ったのは、何となく安くてCD-ROMドライブとFDDがコンパクトに内蔵されていて、けっこう使えそうだと思ったからだ。で、使ったわけだが、なーんか飽きたというか別のマシンを使いたくなったという感じで、妹がやってる薬局の業務用マシンにしてしまった。ちなみにSatellite 305CDTがこなす業務は、毎日の帳簿記録と毎月のDMの宛名作成・印刷と商品ラベル作成・印刷といったところ。毎日ExcelとATOKを使い、たまにエディタとDM印刷ソフトとラベル印刷ソフトを使うのである。で、ビックリしたのが、こないだふとそのマシンを見た時。

 俺が業務用マシンとしてSatellite 305CDTをセットアップした後、ナナナナ何と、もう4カ月も連続でレジューム・稼働を繰り返していて、その間一度も再起動していないのであった。ていうか妹はWindowsの終わらせ方を知らないのであり、使うときはパカッとフタを開け、使い終わったらスコッとフタを閉め、それをずっと繰り返しつつアラこれって超おいしぃ~とチョコとか食ってる一般ユーザーなのだった。レジュームなんですよ4カ月なんですよスゲエんですよ驚くんですよとまくし立てても、ふぅんそうなのあたしバイオのC1が欲しいナとか言ってるのであった。しかもその4カ月の間、PCカードのハードディスクカードの抜き差しを何度か行ない、ZIPドライブをつなげたりはずしたりして、ついでにプリンタケーブルの抜き差しも行なっていた。Satellite 305CDT!! 大したヤツだ!! なんか、DOSが動いていたかつての98ノートみたいな強靱さである。

 というわけで、俺は東芝のマシンを改めて見直した。そしてそういう観点でいじくりなおしてみると、動作もまっとうだし、挙動も素直だし、こなれた作りをしているし、良くできているのであった。あっそうか東芝ってずーっと昔からDynabookとか売ってたんだノートパソコンの老舗だったんだ、と、改めて見直したのであった。

 で、俺は決めたのだ。次に買う仕事用マシンは絶対に東芝製をと、決めたのだ。
 で、決めたそばから買いたくなったのだ。
 で、俺はおもむろかつ速攻かつ俊敏に東芝のWebサイトにアクセスし、注文メールを出したのだ。
 そう、東芝と言えばやっぱりワールドモデルなのだ。世界で売られてる英語版ノートパソコンを、東芝ダイレクトPCから買うのが筋ってモンなのだ。ていうかカッコ良い英語キーボードがついてる海外向けノートパソコンを買おうと思ったのだ。なのだなのだなのだーっ!!



■ 東芝のマシン

 東芝のノートパソコンのラインナップについて、インプレスのDOS/V POWER REPORT誌に俺は『ここ数年の東芝製ノートは、どういうわけか妙な名前がついていて、俺としてはどれが何なのかイマイチよくわからなかったのだが、東芝ダイレクトPCの商品マップのページを見たらスンナリ理解できた。位置づけとしては、Librettoが高機動モバイル、PORTEGEが高性能モバイル、Satelliteがスタンダードノート、SatelliteProがミドルクラスノート、TECRAがハイエンドノート、になる。でも俺としてはやはり、全機種をDynaBookにして、その後につく型番でクラス分けをして欲しかった感じだ。だってせっかくいいマシン群なのに、名前で損してる感じするんスよホントに。ThinkPadみたいに統一した方がブランドイメージが定着するしユーザーは理解しやすいしイイと思うんスよって感じで余計な文句をたれちまうのは、俺が東芝製ノートに惚れなおしたからであり他意はない』と書いたのだが、これについては現在でも同じように考えているので、以上のとおりだと思っているっていうか、一回雑誌に掲載した原稿をそのまま流用しちゃダメですか? ズルいですか? サボってますか? 原稿料ドロボウですか? でも、最近は国内モデルの新モデルの名前のアタマに“Dynabook”とついているので、なんかちょっと嬉しい気持ちである。

TECRA 780DVD
東芝TECRA 780DVD
東芝直販価格528,000円(日本語OS版は538,000円)
DVDドライブを搭載した、東芝のフラッグシップモデル
 で、俺が選んだのは、TECRA 780DVDというモデル。
 えっナニそれどんなマシン!? という感じかもしれない。いまひとつ認知度が低いマシンではある。ていうかいろんな人に「俺ね俺ね俺ね~TECRA 780DVD買ったんすヨ~」と言っても、みんなに「はァ?」とかいう顔をされるのだった。悲しいのであった。もっとビックリしていただきたいのであった。

 しかし!! こないだ出した書き下ろしの単行本『100台のコンピュータ』(とても愉快な内容なので買ってチョ)の相棒である船田戦闘機氏に同じセリフを言ったら、「うぞ~ソレ買ったのかよ~アンタねえそれはねえ東芝のねえ~もうねえ、フラッグシップマシンなんですよ東芝の顔なんですよわかってくださいよふたつで十分ですよノーノーツーツーフォー」と動揺してくれたので、非常に嬉しい。

 そうなのだ、TECRA 780DVDは、現在の東芝製マシンの中で、いっちゃんハイスペックなフラッグシップコンピュータなのだ!! 値段は、安くて安くてしょうがねえ東芝ダイレクトPCだっつーのに56万8,000円もするのだ!! たたたた高い!! 今月末には俺の口座からそーゆー金額が引き落とされるのだ!! こここここ怖い!! だからもう俺はすごいテンションであり我ながらビビってるわけだが、誰も何とも言ってくれないので寂しいのだが、船田くんキミは偉いすごいわかってるよ嬉しいよ!! といった感じなのであった!! なお、マシンについての細かいコトは東芝ダイレクトPCのサイトを見ていただきたい!! ていうかぜひ見れ~!!



■ TECRA 780DVD

 TECRA 780DVDは、かなり強まったマシンだ。CPUはモバイルPentium IIの266MHzで、HDDは5.6GBで、メモリは64MB。さらにDVD-ROMドライブが付いていて、CD-ROMだろうがDVD-ROMだろうがDVDビデオソフトだろうが音楽CDだろうが何でも来いなのだ。しかもビデオカメラが付いているので、インテルビデオフォンを同志と楽しんだり、静止画や動画のキャプチャが楽勝なのだ!! そして1,024×768ドットで24ビットTrueColor表示である上にそのTFT液晶ディスプレイは13.3インチなのだーッ!! 加えてたまらなく使いやすくカッコ良い英語キーボードなのどぅわーッ!! はあはあ。

 だから約60万円もすんのかよハイスペックだから高いのかよ、と言われれば俺は、それ以上にもっとすげえんだよこのマシンはよォわかってくれよぉッオラオラオラオラーッとカラむのである。

 TECRA 780DVDの真髄は、そのハイスペックさ以上に、世界に名だたる東芝が気合いに気合いを重ねて編み出した秘技とも言われている、その安定性にあるのだ!! と俺は思っていた。
 が、ななな、なんかコレ、調子悪い!! なぜだ!!
 まず、東芝のWindows 98アップグレードサポートキットを使ってTECRA 780DVDをWindows 98マシンにしたところ、いきなり内蔵モデムが死んだ!! 次に、魅惑のビデオカメラとビデオキャプチャソフトがうまく動きやがらねえ!! ああっ、買ったそばからトラブル!! もうこんなマシン要らねえから金返せーッ、と一瞬取り乱したすぐ後に悔い改めた俺だった。

 実は内蔵モデムが死んだように見えたのは、モデムのファームウェアをアップグレードしなかったからであった。東芝のWindows 98アップグレードサポートキットのCD-ROM内に用意されていたアップデータを使い忘れた俺の失敗であった。また、ビデオカメラがうまく動かないと思えたのは、ビデオキャプチャソフトのCODEC設定をいい加減にやった俺の失態であった。というわけで、このふたつの問題の原因に気づき、それをサクリとクリアした俺は、まさに素晴らしい安定性を備えた原稿執筆環境を手に入れたのだ。

 結論から言うと、かれこれTECRA 780DVDを2カ月ほど使っているが、マシンや東芝のドライバからくる問題は何も起きていない。たま~にOutlook Expressが死ぬのもIEがお亡くなりになるのも、TECRA 780DVDのせいではないということは、多くのWindows 98野郎の話からわかった。



■ 具体的にはドコが安定!?

東芝TECRA 780DVD
 TECRA 780DVDを手に入れてから、俺は嬉しさのあまりいろんな人に「コレすげえ安定してんですよイイんですよ最高っス」とか話すのだが、そのたびに「どう安定してます? どこがいいですか?」というふうなことを訊かれる。そして答えに困り果てるのだ。

 感覚的な話で申し訳ないが、何十台もコンピュータを使ってくると、そのマシンの安定性というものは、感触としてわかるのだ。
 例えば、幾多のマシンに触れた経験からくる、一瞬のざわめきというか胸騒ぎがある。この感じは、決してイイ感じではなく、つまり「あっ、この操作やったらトラブるかも」と感じる、ほんの一瞬の緊迫感だ。例えば俺の場合、ノートパソコンが主だが、PCカードを挿す時や、ドッキングステーション類につなげて再起動する時や、ダイヤルアップ時や、IMEプロパティ変更直後や、サウンドや映像再生時の超高速マウス操作や、シリアルの外付けデバイス使用時や、多数のドキュメントを同時に開いた時や、外付けストレージにファイルを書き込む時や、その他もろもろ時に、この特殊な緊迫感を味わう。それで、何も起きずにスンナリうまくいったらホッとする。逆にトホホなコトが起きたらゲンナリする。

 実際には“緊迫感→ホッ”というパターンの方がずっと多いわけだが、“緊迫感→トホホ→ゲンナリ”というパターンもわりとある。だからかなり前述のように“ホントは精神衛生上すげえ良いマシンが欲しいのだ俺は”と思い続けてきたのだ。

 ところがこのTECRA 780DVDは、ほとんどの場合“緊迫感→ホッ”というパターンを踏んでいる。一部あるのはOutlook ExpressやIEの突然死くらい。俺の緊迫感が、非常に嬉しい肩すかしを食っているのである。
 というわけで、俺思うに、TECRA 780DVDは安定性が高い、と。

 まあ、突き詰めていけば、メーカーのハードウェア設計がどうとか、ドライバのデキがどうとか、そーゆー事実に突き当たるのだと思う。が、Windows 98というドデカいソフトウェアと、メーカーごとに微妙に違うハードウェアとドライバが絡み合って、そのマシンの安定性を決めているのだから、具体的に突き詰められないというのが正直な話。結局、感覚的にどうなのか、という話になってしまうのだ、と思う。

 そうそう、Windows 98と言えば、このTECRA 780DVDはWindows 95プリインストールのマシンだ。それをWindows 98 UpgradeKitを使って、Windows 98マシンにした。で、最近、なんかやっぱりよく聞くのが、Windows 98アップグレード後悔話。98入れたら調子悪いよ~、98のせいで最初からやり直しの95インストールっスよ~、98入れなきゃよかったゼ~、みたいな。まあ、Windows 3.1→Windows 95の時ほど、トラブってる話はなくなった。全体的にはけっこうスムーズに移行できているのではないか、と思う。そして俺のTECRA 780DVDの場合は、もうこれが最高に調子よくWindows 98を使えているのだ。Windows 95からアップグレードしてWindows 98マシンにしたというのに、これほどキッチリ動いているマシンは、あるいは珍しいのかもしれない。この辺にも“安定性”の片鱗が感じられる。ていうかコレって東芝のWindows 98 Upgrade Support Kitが良くできてるってコトかも。

 ちなみに、東芝のマシンを買ったことのある人ならおなじみだが、ヒジョーにマジメなアップグレードサービスをしてくれる。早期からのリカバリCD販売(最近のマシンはもちろんリカバリCD同梱)とか、LibrettoのHDDアップグレードサービスとか、もちろんWindows周辺のOSやBIOSのアップグレードサービスもそうだ。まあ、最近流行のマシン故障時無料ピックアップサービスみたいな超ラクチンなコトはやっていないようだが、老舗だけあって淡々としてはいるが確実なアフターケアをしてくれる。また、東芝ダイレクトPCで売られているワールドモデルPCに関しては全部、ILW(International Limited Warranty:世界60カ国で修理等を受けられるサポート)を受けられるようになっている。全人類分け隔てなくサポートしちゃうヨという怒濤のILW、さすが世界一のノートパソコン出荷メーカーである。

 ところで、安定性とか信頼性とかいうこと、それからサポートについて、改めて東芝ダイレクトPCで売られるマシンを見ると、「もしかしたら東芝にとっては安定性や信頼性は命がけの課題なのかもしれない」とか思う。だって東芝って世界中で凄まじい数のポータブルコンピュータを売り捌いているメーカー(ポータブルPCでは世界トップシェア)だから、もしマシンにトラブルがあったりすると、サポート電話受けるだけですげえ膨大な人件費がかかるし、欠陥的トラブルなんか出した日にゃあ無償修理で会社のひとつやふたつ潰れるほどの大騒ぎになるのだ。俺の言う「東芝のノートパソコンは安定してるゾ」なんてコトは、東芝にとってはあったり前の常識なのかもしれない。



■ 余裕のTECRA 780DVD

 TECRA 780DVDは、非常に余裕をもって仕事ができるマシンだ。前述の安定性もあるし、またハードウェアスペックも高い。ていうかなんかモバイルPentium IIの266MHzって快適ですな。「テキスト処理とWebページ閲覧と表計算程度ならPentium 133MHzで十分だ」と思っていたのだが、やっぱ速い方が快適だ。というわけで、なんか非常に快適かつ気分良く原稿が書けるので、原稿の生産性も上がっている(ホントです)。

 それ以外にも、このマシンを気に入っちゃう部分がいくつもある。例えばDVD-ROMドライブ。最大12倍速のCD-ROMドライブとしても使えるこのドライブは、そのままDVDビデオデッキとして楽しめるというのがいちばん愉快な点。DVDの映画ソフトをドライブに入れれば、すぐに画面上に映画が再生される。ディスプレイも13.3インチあるので、十分に鑑賞にたえると思う。ちなみに、NTSC/PALのビデオ出力端子とS-VIDEO出力端子とオーディオ出力端子もあるので、テレビなどにつなげばTECRA 780DVDをマウスで操作できるDVDプレーヤーとしても使える。また、ビルトインスピーカーはもちろんステレオで、その上けっこう音がいい。俺は、VAIO PCG-715のようなソニーのA4サイズVAIOの音はいいなぁと思っていたのだが、TECRA 780DVDもどうして、かなりいい音を出してくれる。

 また、東芝のノートパソコンのイイところが、ハードウェア各所に見られるちょっとした工夫(というか洗練)。例えばDVDを再生していて感じるのは、本体前面にあるボリューム。多くのノートパソコンのボリュームはFnキー+ファンクションキーでコントロールしたりするが、アレはけっこう遠回しな感じだ。まあ、筐体がシンプルになるというのはあるが、実用的なのは東芝方式のボリュームだろう。それから、東芝のノートパソコンの電源スイッチには、誤操作防止のスライドカバーが付いている。これもちょっとイイ工夫。他には、PCカードスロットが本体横手前についていて扱いやすいとか、さらに使用スタイルに応じたPCカードスロットのフタ2種類もついててナイスとか、リセットスイッチが本体前面にあるとか、レジューム時に黄色いLEDがいびきをかくように点滅するとか、外付けポインティングデバイスを接続したときに内蔵ポインティングデバイスを殺したりするような設定も自由にできるとか、とにかくまあ、ユーザーの文句と要望とをたーくさん聞いてきたようなメーカーじゃなきゃ作り込めないような機構が至る所にある。ノートパソコンマニアを自称する俺が「うんうんそうなんですよソレなんですよ」と同調できるシカケがキッチリ用意されているのだ。

 それから、このデカい13.3インチTFT液晶(1,024×768ドット表示)は、やはりかなり使いやすい。TECRA 780DVD導入直前まで使っていたVAIO PCG-715も1,024×768ドット表示だが、VAIOの液晶より一回り大きいので、原稿書きとかビジュアル閲覧みたいな作業にはかなりシックリくる。また、VRAMも4MB載っているので、1,024×768ドットで1,677万7,216色表示が可能でつまりフルカラーである。

 結局のところ、俺はこのマシンに不満がない。いやーホントはこんな高いマシン買って不満が出たらどーしよーかなーと思ってたんスよマジで。ところが大満足。あーよかったという安堵と同時にやったぜコレだよこーゆーのなんだよと興奮。もしかしたらこの先、DOSマシンはやっぱり良かったと思うことがないかもしんない。あーでもあるかもしんない。いや、ないかも。いんや、あるなきっと。やっぱりないかも……でもとにかくTECRA 780DVDは、俺的コンピュータ購入史の中で確実に深く記憶される金字塔的マシンだと言えよう。

(スタパ氏大満足だったTECRA 780DVDですが、実は本原稿執筆後にトラブルが。次週後日談を掲載します:編集部)

□TECRA 780DVD製品情報
http://www2.toshiba.co.jp/tdirect/products/t780/t780.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp