買いました、ミニバイオ
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で、さっそく起動。VAIOシリーズはみんなそうなのだが、起動時に“リロレロン”みたいなサイバー感溢れるサウンドが流れる。もちろん“SONY”のロゴもクールに表示される。で、初期設定を終わらせて、とりあえずマシンのユーザー登録。VAIOシリーズはみんなそうなのだが、モジュラーケーブルで電話回線につなげば、アッと言う間にユーザー登録できる。
ちなみに、VAIOのユーザー登録をすると、いつも、なんかちょっと洒落たプレゼントが送られてくる。C1以前に、既に4台ものVAIOを買った俺がもらったプレゼントは、激薄ですげえナイスアイデアなマウスパッド、アルミ製名刺ケース、ゲームのCD-ROM、ノンリニアビデオ編集の指南書など。まあ、そんなに大したモンじゃないわけだが、わざわざそーゆー「買ってくれてアリガトね」みたいなコトをしてくれると、ユーザーとしては非常に嬉しくなる。それから、ソニーっつーメーカーは飛び抜けてサポートがいい。土日祝日も10時~17時まで電話サポートしてくれるし、有償アップグレードサービスなんかすると電話するだけで速攻でマシンを引き取りにやってくる(梱包さえしなくていいのだ!!)。もちろん、現在のような時期だと、Windows 98アップグレード関係もビシッとキメていて、俺の旧型VAIOのWindows 98アップグレード手順の詳細やドライバなどもしっかりWebページ上で公開されている。さらに、俺のようなメディア関係者に対しては恐ろしいほど凄まじいサポート体制だ。こないだなんか、ソニーのDVD-ROMドライブのほんの些細な(実用上問題ないような重箱の隅的)問題点を広報窓口に伝えたら、技術の人が解析を行なったり代替機を送ってくれたり手紙でお詫びしちゃったりと、なんだか薄ら恐ろしい気合の入りようだった。
俺は、IBMや東芝やエプソンなどのビッグメーカーはさすがサポートがいいと思っていたのだが、ソニーはそれに輪をかけてサポートがいい(というか執念深いほど)。俺がVAIOシリーズコンピュータを何台も買っちゃってるが、その大きな理由のひとつは、「ソニーのコンピュータならなんかあっても面倒がなくていいや」という安心感があるからだ。
ありゃ。なんか話が逸れた。
で、オンラインユーザー登録し、Windows 98のオンラインユーザー登録も同時に済ませ、さっそくC1をいじくり始めた。
モーション・アイ 当然回転するCCD部。27万画素CCDではあるが、プリインストールのオリジナルソフトでけっこう遊べる |
で、ライターモード(製品をけなさないようにレビューしたりする商業的かつ営業的俺)を抜け出て、衝動買い技術者モード(買っちゃったんだもんね~うへへへへ~どうやって使おうかナ~という所有者的興奮状態の俺)に入っていじくってみたところ、このモーション・アイという機能、おもしろくてしょうがねえ!! モーション・アイおよびその周辺ソフトだけで、とりあえず15万円くらいはモトが取れたような気になるほど、楽しい。
まず楽しいのは、Smart Captureという、モーション・アイ専用の画像撮影ソフト。これは静止画撮影と動画撮影のふたつのモードを持っていて、撮影はアイコンをクリックしてもできるし、キーボード右上にある小さなキャプチャーボタンを押してもできる。
静止画撮影モード(Still Viewer表示時)は、文字通り静止画を撮影するためのモード。撮影できる画像サイズは、640×480、320×240、160×120、80×60、40×30の5種類。画質は、ファイン、スタンダード、エコノミーの3種類。で、撮った静止画は、即座に記録されてディスク上に残り、Still Viewer(静止画表示ソフト)でいつでも閲覧・削除できる。また、Still Viewerで改めて画像を保存すれば、好みのフォーマット(JPEG、BMP、GIF)で画像ファイルを作れる。さらに、Still ViewerのMAILボタンをクリックすると、プリインストールメールソフトのEudora Lightが起動し、表示中の画像をJPEGの添付ファイルとした新規メールを生成する。要するに、パソコンにデジカメが内蔵されていて、それ専用のソフトがあり、メーラーともリンクしているということ。この“シームレスさ”がヒッジョーに愉快だ。使えば使うほど愉快だ。
やりそうでやらないことのひとつに、“デジカメで撮った画像を添付してメールする”というのがある。デジカメでの撮影や、画像の添付や、メールの送信は、それぞれ非常に簡単な操作だ。が、実際やってみると、撮影→データ転送→添付→メール送信という手順がある。細かいコト言えば、デジカメを引っぱり出してきて構えて撮影→パソコンとつなぐなりメモリカードを挿すなりして画像転送→一応は画像を閲覧→メーラー起動して添付操作で画像ファイルを指定→送信→なーんかけっこう面倒だなぁと思う、という手順がある。が、C1だとこの手順が大きく変わる。Smart Captureを起動した時点で、撮影も閲覧も添付も、もう済んだようなモンなのだ。この差は大きい。面倒がないので、画像添付メールをバシバシ出したくなる。さあどんな絵をアイツに見せてやろうかな、と考えるだけでヒッジョーに楽しくなってくるのである。
イマイチ残念なのは、モーション・アイが27万画素である点。メガピクセル時代の現在としては、“美しい”と思えるほどの絵は撮れない。また、ピントもいまひとつシャープに合わせづらくて、“絵作りに凝る”ようなことにも向かない。でもまあそーゆーコトをやりたい場合はデジカメを使えばいいのだ。この小さなコンピュータにデジタルカメラがビルトインされたことから生まれる、類い希なるシームレスさからくるおもしろさを考えれば、画質なんか些細なことに思えてくるから不思議だ。ちなみに、320×240で撮った画像は約50KB程度のJPEGファイルとして保存できる。メールでクイックに送れるサイズだし、主に人の表情なんかを見せるだけなら十分使える画質だ。
動画撮影モード(Movie Player表示時)は、モーション・アイを使って動画(もちろんカラーで音入り)を撮影できる。動画の保存や、メールへの添付は、静止画撮影時とほぼ同様。やはりシームレスな感じで動画を楽しめるわけだ。作れる動画ファイルは、最大60秒までのもので、保存可能ファイル形式はAVI(非圧縮と圧縮)とアニメーションGIF。表示サイズは160×120固定。ちなみに、録画時間を5秒に設定して録画し、非圧縮のAVIファイルとして保存すると、そのファイルサイズは約3.5MBとなった。また同じ秒数で圧縮の度合いを最大限にしてAVIファイルとして保存すると、ファイルサイズは約90KBとなった。おっ、けっこうコンパクト。メールで送信するのも楽勝なサイズと言えよう。あと、圧縮時も非圧縮時も見た感じではそれほど画質が変わらないような気がした。まあ、もともと解像度の低いムービーなので、画質よりもその内容が重要なのだと、俺の脳が判断して見ているのだろう。
ところで、静止画撮影モードと動画撮影モードに共通した、非常に楽しい機能がある。これは画像に各種効果を加えるエフェクト設定で、合計12種類のエフェクトが用意されている。具体的には、フレーム(プリクラみたいな枠を付加する)、デッサン(モノクロ2階調の荒い鉛筆画的効果)、エンボス(浮き彫り的効果)、イラスト(色鉛筆描画的効果)、ミラー(万華鏡的効果)、白黒(グレースケール階調画像にする)、モザイク、ネガポジ反転、原色(8色表示のような画像にする)、セピア色、ソフト(画像をぼやけさせる)、うねうね(画像を水平スキャンラインに沿ってぐにぐにねじ曲げる)など。それぞれのエフェクトは微調整が可能(できないのもある)。非常にお手軽に画像遊びができ、おもしろいのやイイ感じのができたら、そのままメールしたり、保存したりできるわけで、なんつーかモーション・アイをオモチャっぽく使って遊べるのだ。
静止画と動画を、文字通りいつでもどこでも作れて、見られて、送れて、遊べる。コレだけのことなのだが、コレだけで今まで感じられなかったコンピュータのオモチャ性が強く浮き上がる。あーなるほどC1はやっぱ“遊ぶためのマシン”なんだー、と強く実感した。
Smart Captureを使いまくって十分楽しんだ俺が、さらに楽しめたのが、CyberCode自動識別ソフトのCyberCode Finder。これがですね、もうね、サイバーなんですよホントに。ていうかソニーならではの遊び心というか、ノリの良さを感じるソフトだ。
CyberCode(サイバーコード)は、ソニー独自の2次元バーコード。1,677万7,216通りのパターンを持つバーコードである。C1はモーション・アイでCyberCodeを自動識別し、コードに合わせてプログラムを起動したりWebページを読み出したりすることが可能だ。具体的には、CyberCode Finderを起動し、モーション・アイの前にCyberCodeが印刷された紙などをかざすと、コードが自動的に読みとられ、そのコードに登録されたアプリなりページなりが表示されるのだ。
ソニーはCyberCodeを次のように活用するといいと考えている。例えば、静止画管理ソフトPuctureGearでフロッピーディスク内の映像をCyberCodeとともにカタログ登録する。で、CyberCodeを画像データが入ったディスクに貼る。すると、(CyberCode Finderを起動したうえで)そのディスクをモーション・アイの前にかざせば、画面上にディスク内にある画像のカタログが表示される。使い方によっては、いろいろ便利に、もしくはおもしろおかしく利用できるギミックだ。俺としては、CyberCodeに動画ファイルを登録して、CyberCodeをかざした瞬間「おはようフェルプスくん今回の任務は……」とか言い始めるスパイ大作戦パソコンを実践してみたい。
まあ役立てるも役立てないもユーザーの勝手なのだが、とりあえず多くのユーザーはとにもかくにもCyberCode Finderを楽しめると思う。というのは、CyberCode Finderの動作(というか演出)自体が、非常に愉快なのである。
CyberCode Finderを起動して、モーション・アイの前にCyberCodeをかざすと、なななナンと、サイバーなビープ音とともに赤い照準が出現し、CyberCodeを追いかけるのだ!! そして照準がCyberCodeを捕捉するや否や、ピッと音がしてアプリなどを起動し始める!! これがイイ!! この経過がイイのだ!! というかおもしろい!! コードを自動認識するだけなら、わざわざこんなにサイバーで近未来な照準とかサウンドとかを描かなくても事足りるのだ。コンビニのバーコードリーダーよろしく「ピッ」だけでもいいのだ。が、ソニーはそうせず、アイデアと人力を使ってまで、このよーなサイバーな雰囲気を醸し出そうとしたのである。何のために? もちろんユーザーを喜ばせるためだ!! それ以外考えられない!! 演出目的以外に、この一連の動作の必然性を言い当てられない!!
フツーに考えれば、この演出はヤリ過ぎだ。こういう演出をしたからって、C1が便利になるわけでも、使いやすくなるわけでも、C1自体の機能的価値が高まるわけでもない。フツーのメーカーなら、金につながらないようなお遊びはせず、必要十分な機能を持たせただけのソフトを入れるだろう。が、ソニーはこーゆートコロにこだわったりしているのである。こんなコトにこだわってどーすんだよと呆れられるような演出を、わざわざ作り込んでいる。前代未聞の大不況だというのに、株価が軒並み下落しているというのに、円安が引き続いているというのに、失業者率が高くなっているというのに、こんなコトをやっちまうのだ。そこがスゴイ。そんな心意気に対し、俺はコンセプト的な贅沢さを感じ、共感してしまう。ソニーってのはいつでも心が錦だゼ、と思う。
それと同時に、改めてVAIOシリーズ全体に流れる、そういった、贅沢な遊び心を思い知る。VAIO505のレビューの時にも書いたが、VAIOのカタログにはいつも、ほとんど“ビジネス”という言葉が使われておらず、“遊び”だの“楽しい”だのとばかり書かれている。そしてマシンはどれもホントに“楽しめるコンピュータ”だったりする。もはやVAIOには“遊び心”なんて言葉は似合わないのである。VAIOはすなわち“遊び”なのだ。
カメラ雑誌に書かれた1行が思い出される。それは、ライカというブランドとステイタスと憧れの代表格的カメラの記事で、ライカを買いたいんだけど買うべきかどうかという問いに対するもの。答えとして、ライカは高価だし機能的にも著しく時代遅れなカメラだとしたうえで「ライカを使って良い写真を撮るのだ、という精神的な高揚感を得ることこそが、ライカを買う目的のすべてである」(アサヒカメラ10月号/赤城耕一氏の記述より抜粋)と断言していた。
C1は、高価ではない(ていうか実売約23万円はソニーさん勉強してるよネと言える)し、時代遅れではない(ていうかちょっと前のデスクトップなんか遙かに凌ぐスペックである)し、単にハードウェアとして見てもベリグーなのであるが、さらに「C1を使って愉快にコンピューティングするのだ」という、ユーザーの計算機魂を煽ってくれる抜群なマシンなのだ。さらに「楽しくなりてえ」というだけで買っても、まったくオッケーなマシンと言えよう。
我々コンピュータユーザーの計算機魂が、いまひとつ盛り上がらない現在において、C1のようなマシンは絶対に必要なのである。
とか力まなくても、なんかC1はいろんな人に人気があるようだ。俺の知人のマニアックなMacユーザーが「いやぁあのちょっとWindowsもやろうかなぁと思ってね、ミニバイオ買ったんですけどね」と言っていた。コンピュータとかデジタルとかはできる人に任せとくのぉ~と言ってた女の子が、モーション・アイのおもしろさを間近に見て、C1のカタログを最初から最後まで読み返してウズウズしていた。パソコンを買おうなどとはハナから思っていなかった俺の弟の嫁さんが、「お兄さんそのパソコン飽きたら売るんでしょいつ売るんですかきっと売るんでしょ売るんだったら売ってネいつ売るのかしら」と俺のC1を狙っている。
なるほど、VAIOシリーズがコンピュータ市場を揺れ動かす現状は、なんか納得できる気がする。
C1のACアダプタ コンセントのさし込み金具は折り曲げて収納でき、アダプタの周りにケーブルを巻けるなど親切設計。ただし大きさは、あんまり小さくない |
キー配列 ノートPCの常ではあるが、「=」や「-」、右下の「_」など、圧縮されているキーもかなりある(配列は、拡大画像をクリックしてご覧ください) |
シリアルもパラレルもなくて、アウトプットはネットがメインというイメージだが、USB端子があり、USBタイプのFDDドライブが付属し、ディスプレイコネクタはあり、IrDAもあり、PCカードスロットも1基あり、モデムも内蔵しているので、今のところ全然困っていない。
1,024×480の変則なワイドディスプレイは、かなり使いやすい。Windowsのディスプレイは横の広さが重要なことがよくわかった。ただ、スタートメニューに多数のアプリを登録しておくと非常に使いにくくなる。
ポインティングデバイスは、かなり使いやすく感じられる。敏感でクイックということもあるが、もしかしたらワイドディスプレイのせいかもしれない。また、ポインティングデバイスのスクロール機能は、思いの外便利だ。ある場面ではMicrosoft IntelliMouseよりもずっと便利に働いてくれる。
メモリもHDDも処理速度も十分だが、しばらく使っていると内蔵のファンが回り始めて、ちょっとだけ電池が心配になる。おもしろがって使っていると、俺の場合はまあ1時間程度しか連続稼働してくれない(Sバッテリー使用)。
持ち歩くにはやはり少々重く、厚ぼったい。C1の厚さが505と同じだったらサイコーなのに……。
キーボードは基本的には打ちやすいのだが、Enterキー周辺の、妙に圧縮されているキーを叩く時にミスタイプしがちだ。また、スペースキー周辺の妙に圧縮されているキーも同様。やはり英語キーボード交換サービス(今度は安くしてネ)の対応を望む。
そんなところだろうか。
ともあれ、久々におもしろそうだしおもしろいコンピュータをゲットできて、少々たまりつつあったストレスが一気に消えた俺であった。
インターフェイスは比較的左側面に集めてある | 右側面にはモデム用RJ45とPCカードスロット、冷却用の穴 |
□PCG-C1製品情報
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/PCOM/PCG-C1/
[Text by スタパ齋藤]