スタパ齋藤

DVD-ROMディスクマンことPBD-D50と、その後の東芝TECRA 780DVD



■ 俺とビデオ

 DVDビデオソフトがそろそろ出揃ってきたここ数ヶ月、俺はたびたび猛烈なDVDプレーヤー導入欲に駆られた。何につけても駆られた。寝ても醒めても駆られまくった。

 これまで録画しまくってきた8ミリビデオカセットの棚を見て、これはテープでありこの中に記録されている映像はいずれノイズに飲み込まれるのであり再生不能になるのであり諸行無常だが、DVDならそう簡単には諸行無常にはならないナ、と。CD屋のLDコーナーを見て、あーコレも出たのか買いたいなぁと思う一方で、ねえねえLDって知ってるぅ~30センチくらいのデカいディスクをすげえデカいプレーヤーに入れてやっと絵とかが出たメディアなんだってさ信じられないよネと2000年代以降生まれの人々の間で過去の遺物として語られる存在になるのかなぁ、でもDVDならそう簡単に遺物にはなるまい、と。さらに衝動買いしてしまったVHSのビデオソフトが占拠する空間を感じては、あーVHSテープってドデカいよなぁ部屋が狭くなるよなぁしかも早送りとか巻き戻しとかもタリいしなあ、でもDVDならコンパクトだしランダムアクセスな感じだからすげえイイだろうなぁ、と。そしてWebページのDVD ALL TITLESを見るたびに、くわッ明日絶対DVDプレーヤー買うんだ絶対買うんだ死んでも買うんだッ、と燃え上がった。

 で、ホントにそーゆー日の翌日には電気屋さんに出かけてDVDプレーヤーを物色するのだが、なーんかいまひとつ買うに至らなかった。据え置き型のデッキはデカくて邪魔そうだし、でもコンパクトタイプはヘボそうだし。まあ、パナソニックの銀に光る例のアレすなわち液晶ディスプレイ付きのナニは欲しくなったのだが、けっこうなお値段ゆえ、購入に踏み切れなかった。という感じで、数カ月間DVDビデオとはお近づきになれなかったのだ。



■ ソニーの多機能DVDプレーヤー

PBD-D50
ソニー「PBD-D50」標準価格90,000円。
ソニーのDVD-ROMディスクマン。オプションのPC接続キットは14,000円。オプションでもなんでもないけど、グラストロンとの組み合わせはサイバーでいいかもしれない
 が、とうとう「これは買いだ!!」と思えるDVDプレーヤーが登場。ソニーのDVD-ROMディスクマンことPBD-D50であった。

 買いだ!! と思った理由はただひとつ、そのプレーヤーの機能の豊富さだ。と言っても、ジョグダイヤルがどうとか、入出力端子がいっぱいあるとか、そういったDVD再生に関わる機能ではない。ドライブ自体の、デバイス的機能が豊富だったのだ。

 具体的には、PBD-D50は、DVDビデオを再生可能なDVDプレーヤーであると同時に、音楽CDもビデオCDも再生できるのは当たり前で、ノートパソコンに接続するとCD-ROMやDVD-ROMやフォトCDや電子ブックも再生できるという、まったくマルチな機能を持ったプレーヤーなのだ。12センチおよび8センチの再生専用光ディスクなら何でも来やがれという怒濤っぷりが、俺とDVDの間の見えない壁を打ち破り、ようこそスタパさんDVDの世界へというハコビとなったのだ。

 ちなみに、PBD-D50のスペックなどをザッと書いておくと、まずDVDビデオプレーヤーとしては、基本的な機能(再生や早送りやメニュー呼び出しなど)だけを持つシンプルなものだ。良いのはそのコンパクトさとポータビリティ。幅149×奥行き182.3×高さ33.5mmで570グラム。ディスクマンを名乗るにはちょっとデカい感じがする。が、いつもは引き出しにしまっておいて、DVDビデオを観たい時だけテレビに接続するクイックさは、思いの外便利だ。デジタルメディアだけに、プレーヤーのサイズと映像の美麗さがそれほど比例していないので、やはりこの小ささは魅力である。で、電源はACアダプタか、ソニーのハンディカム用バッテリ。まあ実用的な見地からACアダプタ使用オンリーとなるだろう。このほかスタンドアロン状態では、音楽CDあたりが再生できる。

 PBD-D50をパソコンと接続する場合、別売のPBDKIT-PC1Wという接続キットが必要になる。PBD-D50はSCSIドライブで、このキットはSCSIドライブたるPBD-D50とWindowsマシンをつなぐための単なるPCカードタイプSCSIホストアダプタだ。なので、SCSIホストアダプタやケーブルを持ってる場合はこのキットを買わなくていいと思うのだが、もしかしたらこのキットに謎と秘密の性能が盛り込まれていて、PBD-D50はその謎と秘密の性能があって初めてWindowsマシンと接続されるかもしれないので、このキット以外のSCSIホストアダプタだとダメかもしんない。で、Windowsマシンと接続されたPBD-D50は、8倍速のCD-ROMドライブとして動作し、CD-ROMとかフォトCDとか電子ブックとかビデオCDなど、いろんなメディアを再生することができる。

 なお、DVDドライブなんだからパソコンとつなげばパソコンの画面上でDVDビデオが出るだろう、と、巷では思われがちだが、そーゆーコトはできない。なぜならDVDをパソコン上で再生するためには、MPEG-2データをデコードするハードもしくはソフトが必要であり、PBD-D50は(パソコン用の)そーゆー機能を持たないからだ。が、秋にPBD-D50専用のMPEG-2デコーダカードが発売されるらしいので、これをゲットすればノートパソコン上でDVDビデオの再生ができるようになる。



■ イイのかダメなのか、DVDビデオ

 というわけで、このドライブを買ってからというもの、俺はもう暇さえあればDVDビデオソフトを物色し、鑑賞し、おもしろがっているのだ。で、DVDビデオを観て、最初に思ったのは、その画質の良さ。MPEG-2なんて量子化ノイズだらけの画像じゃ~ん、という悪評を聞きまくっていた耳年増の俺にとって、DVDの映像はけっこうナイスであった。MPEG-2ってのは所詮不可逆圧縮の画像だから、JPEG画像みたいに鼻持ちならないガサガサやザラザラやジワジワが出ちゃうんだヨ、という話ばかり聞いていた俺としては、そうでもないじゃんビデオよりイイじゃん、と思えたのであった。

 それまでの俺は、WOWOWで放映した映画なんかをHi8のテープに録画して非商業的な目的で個人的に視聴していたり、コンビニとかで売ってるVHSのビデオソフトを楽しんでいたわけだが、それらの映像と比べると、DVDビデオの映像はずっとキレイだと思った。LDの方がキレイだよという声もあるが、俺にとってはLDのメディアとプレーヤーのデカさを我慢したうえでのキレイさより、メディアとプレーヤーをまとめて引き出しにしまえる利便とともにあるまあまあのキレイさの方が魅力的だ。

 でDVDビデオ、おおよそのソフトに関しては“鑑賞にたえるキレイさ”だと満足できるのだが、ソフトによっては我慢できないキタナさを発揮する場合がある。例えば、非常に微妙なグラデーションが広い面積にわたってある映像。具体的にはソフトでコントラストの低い夕焼けなどのシーンだと、(ディスクにもよるのだが)グラデーションにハッキリと色の階調を分ける線が見えてしまう。フルカラー表示の画像を256色表示にした時に出るような、色の区切れが見えてしまうのだ。アクション映画のような、動きのある映像などなら、こういう階調の分かれは気にならない(というか階調を確認してるヒマなく映像が流れる→アラが見えにくい)。が、映像にコントラストと動きが少ないような、例えばやわらかな色調の恋愛映画とか顔のアップばっかり多い人間模様映画とかは、このアラがよく目立ってしまう。VHSとかの方がぜんぜんキレイじゃん、と思うほど目立つ。

 こういうアラは、映画の映像などをデジタル化する時にもっと抑えられるという話もあるが、それをやろうとするとノウハウや最新機材なんかが必要だという話もあり、さらにまだDVD制作のテクニックが熟してないからしょーがないという話もある。なので、まあしょうがないかな、と。いずれ時が熟せばもっとマトモになるだろうというのが、多くの人の意見のようだ。

 ともあれ、結論としては、DVDビデオってのはなかなかイイもんである。ソフトもそれほど高くないし、ソフトの出方も最近ではかなりハイテンポになってきたし、あの小さいディスクとプレーヤーで映画を見られるのは、これまでのビデオメディアにはちょっとない快適さだ。



■ 最強に強まった東芝のTECRA 780DVDのこと

TECRA 780DVD
東芝TECRA 780DVD
東芝直販価格528,000円(日本語OS版は538,000円)
最強に強まっていたのだが、Windows 98にアップグレードしたらレジュームが……
 ところで、前回紹介した東芝のDVD-ROMドライブ搭載ノートこと、TECRA 780DVD。コレは、MPEG-2デコーダを搭載しているので、ドライブにDVDビデオソフトを入れれば、マシンの液晶画面上で映画を観ることができる。のだが、まあそんなことは別によくて、実は、絶好調だったこのマシンが、ここ数日絶不調だという点がまったくホントに実に悲しい。

 TECRA 780DVDがどう絶不調かと言うと、ふつーに使っている時はまったく全然問題なく絶好調なのだが、レジュームだけが絶不調なのである。具体的には、マシンの液晶パネルを閉じてレジュームし、再度パネルを開くと、再起しないことがたびたびあるのだ。再起させるには、いったんマシンの電源を強制的に落とし、電源を入れるしかない。で、そうすると、まったく何もなかったように、マシンが起動する。さきほどレジュームして死んだというのに、起動時にはスキャンディスクさえ実行されず、何事もなかったかのようにWindows 98が立ち上がるのだ。

 で、まあそれだけのこと。レジュームして死んだら、電源を入れ直せばまったく完全に支障がない。ファイルが壊れるとか設定がオシャカになるとか、そういうことは全然ない。ふつーの人なら、なんかレジュームすると調子悪いからレジュームすんのやめよっと、という感じでそれほど気にしないだろう。が、レジュームの快適さを求めた末、ノートパソコン野郎と化した俺にとっては、レジュームがヘボまっているなぞ言語道断!! ふざけんじゃねえこのハイエンドマシン!! という感じで、頭に来るわ気分が滅入るわでしょうがない。

 東芝のサポートデスクに電話して相談したら、ドライバやBIOSの問題かもしれないということで、OSを再インストールしたのだが、やはり症状は一緒。四苦八苦して試行錯誤して切磋琢磨したが、どうにも解決しない。思い当たるのは、Windows 98を入れる前、すなわちプリインストールのWindows 95状態ではこんなコトは起きなかった。もしかしたら98のせい!? そういえば東芝ノートの電源管理は、東芝ユーティリティーの中にあったソフトでやっていた。が、Windows 98になってからは、98のコントロールパネルの“電源の管理”でやるようになった。コレのせい!? と思っていたら、VAIOのC1を買った友人から電話があり、奴のC1にも、俺のTECRAと同じレジューム周辺の問題が起きたらしい……C1もWindows 98だ……やっぱりWindows 98の“電源の管理”がなんかしてるの!? というわけで、この原稿を書き終えたら、さっそくWindows 95に戻してみて、レジュームがどうなるのか試してみたいと思う。きっと元通りになるはずだ。ていうか元通りになってちょんまげ!! ていうかどなたか同じような症状で悩んでる方いますか!? それとこーゆー症状を克服したよーんって方いますか!? 大枚はたいてハイエンド機を買った俺は、祈るような気持ちとイヤンな気持ちで、OSのダウングレード作戦に希望をつなげるのであった。

 あーもうヤんなっちゃうなぁと滅入りまくっていたら、別の問題も発生!! なななな、ナンと、液晶のドット欠けが増加したのである!! 最初は常時不点灯ドットが1個だけだったのだが、ある日突然、常時点灯ドットが1個増加!! そしてその数日後にまた1個増加!! さらにその数日後には、横一列に気になる筋が1本増加!! 1,024×768ドットの液晶パネルなので、768ものドットが一気に不調に!! 序盤の3ドットと合わせると、合計781ドット!! これはもはや故障と言えようというわけで、近々東芝さんにどうにかしていただこうと考えている。ていうか日本広しと言えども、買って間もないマシンの液晶が781ドットも逝っちゃったユーザーは少ないと言えよう。ある種、自慢の種と言えよう。ていうかこのコトを自慢すると壮絶に悲しくなるんですけど。

 ていうかなんつーか、いつもたいていコレですよ。よっしゃぁ~このマシンでキマリだァ~!! と思っていたらポチッと小さなトラブル。小さなトラブルなので、まあ実用上問題なく、問題ないからそーゆーマシン上でこのように原稿なんか書いているわけだが……。それにしても、それが小さいにせよ大きいにせよ、コンピュータにおける支障というのは、やはりコンピュータユーザーにとってはもんのすごくイヤ~なモンであり、マジな話、そのコトは頭から離れることがない。あー、ヤな感じ。あーヤだヤだヤだ!! ヤだぜヤだぜヤで死ぬゼ~!!

 最強に強まっているものの完璧な調子とは言えないTECRA 780DVDにおいて、Windows 95をインストールすることでレジュームが健全化し、東芝さんが液晶パネル全取っ換えしてくれることで781ドット不調状態からオサラバできることを、夢にまで見て希望している今現在某日深夜1:37の俺であった。

(最強のマシンから一転して悩みの種となった780DVDですが、本原稿執筆後ふたたび好調に。ひきつづき次週後日談を掲載します:編集部)

□ソニーDVD-ROMディスクマン「PBD-D50」製品情報
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/Peripheral/DVD-ROM/cdrom.html
□東芝TECRA 780DVD製品情報
http://www2.toshiba.co.jp/tdirect/products/index.htm

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp