非同期通信レポート 第37回

World PC EXPO98 Telecomレポート

TEXT:法林岳之


アジア最大の展示会

 '98年9月30日から10月4日まで、千葉・幕張メッセで開催されたWORLD PC Expo'98は、アジア最大の総合展示会として知られている。個人から企業まで、幅広い層をターゲットにしているため、出展社数も非常に多く、ユーザーの注目度も高い。5月のNetWorld+Interop'98 in LasVegas、6月のCOMPUTEX TAIPEIなどで展示された海外製品が日本市場向けにローカライズされて出品されるケースも多く、個人的にも毎年、目が離せなくなっている。

 今回は会場スペースがさらに広くなり出展社数もかなり増えて、革新的な製品こそ見掛けなかったものの、これから市場に投入される注目製品を見ることができた。


これからのISDNルータはデザインも重視?

ヤマハ RTA50iとパッケージ
ヤマハ RTA50iとパッケージ
ヤマハ RTA50i
ヤマハ RTA50i本体

 まず、最初はISDNダイヤルアップルータだ。MN128-SOHO(NTTテレコムエンジニアリング東京)の登場以来、確実に人気を得てきたISDNダイヤルアップルータの市場だが、さらに強力な製品が次々と登場している。

 たとえば、筆者が個人的にも注目しているヤマハの『RTA50i』もそのひとつだ。写真を見てもわかるように、とにかくカッコいい。ISDNダイヤルアップルータは元々、企業向けを中心に販売されてきたこともあり、ラックに設置するような地味なデザインの製品が多かったが、RTA50iはオーディオ機器を彷彿させる黒いボディとキューブデザインを採用している。しかも本体前面に光るおなじみの音叉マーク。これをカッコいいと言わずして、何と言うのか。

 気になるスペックだが、基本設計は同社が販売してきたRT80iとほぼ同じで、パフォーマンス的な不安はまずない。設定はWebブラウザからできるが、わかりにくいと不評だったRT80iの設定メニューを見直し、グッとシンプルにまとめられている。ちょっと凝ったことをしようとすると面倒になるが、通常の利用ではまず不満に感じることはないだろう。また、RTA50iが優れているのは、クライアントPCのセットアップツールを添付していることだ。細かい点に不満は残されているが、かなり期待できる製品と言えるだろう。ちなみに、出荷は10月10日の予定だそうだ。

IBM ISDN SOHO ルーター
IBM ISDN SOHO ルーター
IBM ISDN SOHO ルーター設定画面
設定画面

 一方、IBMが出品していた『IBM ISDN SOHOルータ』もRTA50iに負けず劣らずカッコいい。ThinkPadシリーズでおなじみの黒い筐体に、青いIBMロゴがシブさを醸し出している。機能的にはNAT、NATe、DHCPサーバ、WWWブラウザからのセットアップ、掲示板/電話帳機能、メール着信自動確認、前面スイッチによる手動接続/切断などが搭載されている。ここまで読んでピンと来た人もいるはずだ。

 このIBM ISDN SOHOルーターは、NECの『COMSTARZ ROUTER』をベースにしたもので、基本的な機能はほぼ同等となっている。ただし、IBM独自の基準に合わせるために、さまざまなリファインが行なわれている。COMSTARZ ROUTERは元々、素性のいい製品であり、そこにIBMのネットワークに対するノウハウが活かされているのであれば、かなり期待できそうだ。価格はDSU内蔵モデル(DSU切り離し可、S/T点装備)が59,800円、DSUなしのモデルが52,800円で、11月11日から出荷が開始される。ちなみに、この製品は日本だけでなく、海外向けにも展開する予定があるそうだ。

RELIA TECHNOLOGIES RE3046
RELIA TECHNOLOGIES RE3046
RELIA TECHNOLOGIES RI3220
RELIA TECHNOLOGIES RI3220

 続いては、今年のCOMPUTEX TAIPEIのレポートでも紹介したRELIA TECHNOLOGIESのIPルータ『RE3046』だ。RE3046は4ポートの10BASE-T対応HUBとシリアルポートを1つ備えたIPルータで、当時の記事では日本語マニュアルが用意されていることから国内発売が近いと指摘していた。結局、国内では島津製作所の関連会社である島津インターナショナルが7月から取り扱いを始め、すでにT-ZONEやコンプマートなどで販売が始まっている。価格も直接的な対抗製品となるマイクロ総合研究所のNetGenesis4とがっぷり四つの約2万円に設定されている。

 また、今回は次期製品として開発が進められている『RI3220』なども展示されていた。この新製品では4ポートの10BASE-T対応HUB最大460.8kbpsに対応した2つのシリアルポートの他に、拡張スロットが用意されているのが特徴だ。この拡張スロットにはシリアルポート、Ethernetポートなどが追加できるようになっている。その他にも、DHCPサーバ簡易メールサーバなどの機能が搭載され、かなり高機能な製品になりそうだ。ラインアップには100BASE-TX対応ポートを備えた『RI1120』という製品も含まれている。発売はもう少し先になりそうだが、なかなか期待できそうな製品だ。



ISDNターミナルアダプタで複数PCを同時接続

日成電機製作所 128 de USB
日成電機製作所 128 de USB

 ISDNダイヤルアップルータに人気が集中していることもあり、今ひとつ元気がないISDNターミナルアダプタだが、価格や手軽さなどを考えると、まだまだISDNターミナルアダプタのニーズは多い。

 NECのAtermIT65シリーズに続き、USBポートを搭載した日成電機製作所の『128 de USB』は、液晶ディスプレイこそ搭載していないものの、実用性の高い機能が充実していることで知られている。今回は次期ファームウェアで搭載される予定の『USBポートとRS-232Cポート同時利用』のデモンストレーションを行なっていた。

 128 de USBのUSBポートは、Windows 95 OSR2.1以上及びWindows 98で動作するもので、従来はRS-232Cポートと排他利用になっていた。しかし、新バージョンのファームウェアでは、両方のポートに1台ずつPCを接続することにより、2台のPCがそれぞれ個別に64kbps同期通信モードで接続できるようになるのだ。たとえば、デスクトップPCとはRS-232Cポートで接続しておき、ノートPCでインターネット接続したいときはUSBポートを一時的に利用するといったことが可能になる。さらに、128 de USBを介し、それぞれのPCの間でファイル共有やプリンタ共有といったこともできる。複数のPCがある環境ではISDNダイヤルアップルータが適していると言われているが、128 de USBならISDNターミナルアダプタでも同じようなことができるわけだ。ちなみに、ファームウェアは10月下旬に提供される予定で、これをベースにさらなるエンハンスも計画しているようだ。

松下電器 TO-TAB128DSU
松下電器 TO-TAB128DSU

 一方、松下電器のブースではISDNターミナルアダプタ『TO-TAB128DSU』が展示されていた。先月あたりからパソコンショップなどで販売され始めているので、すでに見かけた読者も多いだろう。

 この製品はNTTテレコムエンジニアリング東京MN128miniのOEM供給品のようで、基本的なスペックなどはまったく変わりない。DSU内蔵、アナログ2ポート装備、64/128kbps接続、MP、BOD、フレックスホン、疑似コールウェイティング、内線通話など、必要な機能はひと通り揃っており、一見、問題ないように見える。

 しかし、DSU切り離しができなかったり、停電対策がないなど、実際に使う上で困るであろう点もいくつかある。セールスポイントになる機能がないことを考えると、ISDNターミナルアダプタの激戦区を勝ち抜くのは難しいのではないだろうか。標準価格で29,000円と格安であることは魅力なのだが……。

メガソフト RVS-COM
メガソフト RVS-COM

 その他のISDN関係の気になる情報としては、メガソフトの『RVS-COM』のLite版を発表したことが挙げられる。RVS-COMはドイツのRVS Datentechnik GmbHが開発したISDN統合コミュニケーションソフトで、ISDNターミナルアダプタを利用したFAX送受信、リモートコントロール、ファイル転送、電子メール、テレフォニー環境などの機能を搭載している。なかでもFAX送受信は、FAXモデムを利用しなくても済むため、ISDN回線に移行したユーザーには非常に利用価値のある機能だ。ただ、価格が28,000円とやや高いため、個人ユーザーには今ひとつ普及が進んでいない。

 そこで、RVS-COMの機能のうち、FAX送受信、ファイル転送、電話、留守番電話の4つの機能に限定し、価格を9,800円に押さえた『RVS-COM Lite』を11月6日に発売することになった。機能的な制限はあるが、最も利用頻度が高いFAX送信を中心に機能を構成したことで、実用性のあるパッケージになっていると言えそうだ。なお、RVS-COMを利用するには、対応するISDNターミナルアダプタが必要になる。対応ISDNターミナルアダプタの情報は同社のホームページでも公開されている。



相変わらず元気なNTTドコモ

 NTT Multimedia World'98のレポートでもお伝えしたが、NTTドコモは非常に元気がいい。World PC Expo'98でも参考出品の製品をいくつか展示していた。

NTTドコモ Moem-D
NTTドコモ Moem-D
NTTドコモ モバイルギアIIモノクロモデル
NTTドコモ モバイルギアIIモノクロモデル

 たとえば、NTTドコモの参考出品でおなじみのアクリルケース内で展示されていたのが『Moem-D』という携帯電話。液晶ディスプレイの大きさから想像すると、おそらく10円メールの機能を取り込んだものだろうか。今秋、登場が噂されている207シリーズとはまた別のラインアップが登場するということかもしれない。

 また、NECモバイルギアIIのモノクロモデル、東芝のLibretto70に大容量バッテリーを装備したモデル、富士通INTERTopなども展示されていた。これらは現在NTTドコモから販売されているモバイル関連製品のリニューアルとして登場するということだろう。

NTTドコモ Dialo
NTTドコモ Dialo
NTTパーソナル パルディオEボード
NTTパーソナル パルディオEボード

 すでに発表された製品ではPDA一体型携帯電話『Dialo』が展示会初お目見えとなった。この製品は昨年、東芝から販売されていたPDA一体型PHSの『GENIO』を携帯電話向けにしたもので、基本的なコンセプトは変わっていない。前回のレポートで7~8万円程度の価格で販売されると書いたが、実際には3~4万円程度の価格で販売されているようだ。ただ、それにしても少々割高な感は否めないだろう。

 また、ちょうど出荷時期と重なり、注目を集めていたのがNTTパーソナルの『パルディオEボード』だ。先輩格のポケットボードが女性に人気なのに対し、こちらは男性が足を止めて見ていくケースが多いようだ。ちなみに、実売価格は15,000円前後と、ポケットボードよりも割高になっている。すでに初回出荷分が売り切れた販売店もあるようだが、ポケットボードに匹敵するヒット商品になるかどうかが見ものだ。


PHS関連製品も新たに登場

松下電器 KX-PH420/TD
松下電器 KX-PH420/TD
松下電器 PIAFS LAN STATION
松下電器 PIAFS LAN STATION

 NTTパーソナルからNTTドコモへの事業移管、東京通信ネットワークアステル東京を吸収合併など、明るい話題が少ないPHS業界だが、トップシェアのDDIポケット電話グループは好調を維持している。特に、接続先を限定することにより、月々の基本料金を抑えることを実現した通話相手先限定サービス(「安心だフォン」 および「Two LINK DATA」)は、モバイルユーザーから企業ユーザーまで、幅広い層にウケているようだ。

 今回の展示会でも松下電器がTwo LINK DATAに準拠したPHS一体型データ通信カード『KX-PH420/TD』を出品していた。同様のPHS一体型データ通信カードはセイコーインスツルメンツMC-P100MC-P110/TD三菱電機TL-DC100TL-DC101/TDなどが販売されているが、このKX-PH420/TDは外見を見る限り、三菱電機からのOEM供給品のようだ。

 KX-PH420/TDはPCカードスロットから出っ張った部分にアンテナが内蔵され、それを引き起こして通信を行なう構造になっている。スペック的にはαDATA32準拠なので、PIAFS対応アクセスポイント、64kbps同期通信モード対応アクセスポイント、アナログ14.4kbps対応アクセスポイントに接続することが可能だ。価格はオープンプライスとなっているが、おそらく1万円台前半で購入できるはずだ。

 松下電器のブースでは、この他に『PIAFS LAN STATION』という製品も展示されていた。こちらはα-PHS準拠のPHSを子機として登録し、無線LANを実現するためのものだ。残念ながら価格や発売時期などはまったく発表されていないが、PHSを利用していることもあり、通常の無線LANよりは安価に構成できるはずだ。今後の正式発表に期待したい。

[Text by 法林岳之]

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp