NTTドコモ Dialo |
NTTグループ各社の中で、個人ユーザーに注目度が高い企業と言えば、やはりNTTドコモだ。特に、今年はポケットボードなどのモバイル関連製品をヒットさせる一方、次々と新しい注目度の高い製品を投入している。
たとえば、今回展示されていたPDA一体型携帯電話の『Dialo』もそのひとつだ。以前から展示会などで参考出品されていたが、ようやく出荷が開始され、約7~8万円程度の価格で販売されている。基本的には昨年、東芝から販売されていたPDA一体型PHSの『GENIO』を携帯電話向けに置き換えたものだが、NTTドコモがサービスしているショートメールや10円メール(プロバイダはマスターネット)などにも対応させ、メニュー回りなども改良されている。
NTTパーソナル パルディオEボード |
一方、年内にNTTパーソナルからNTTドコモに事業を移管するPHSでは、パルディオEボードが出品されていた。パルディオEボードはポケットボードのPHS版とも言えるもので、パルディオEメール、きゃらメール、ポケットベルへのメッセージ送信などの機能が搭載されている。標準小売価格が19,800円と高いことが気になるが、注目度の高いモバイルツールであることは間違いない。
今回は実際に電源を入れ、操作することができたが、基本的なコンセプトはポケットボードを受け継いでいるものの、細かい部分の作りなどは変更されており、「やはり違う商品だな」という印象を得た。特に、電話帳編集機能のように、ご本家ポケットボードにはない機能も搭載されており、PHSなりの工夫も凝らされている。カラーリングはシルバーのみだが、これはシルバーの端末が多いことを反映したそうだ。個人的にはもっとポップな色使いを期待していたのだが……。
なお、出荷は9月末になる予定だそうなので、気になる人は量販店やNTTパーソナルショップに出向いてみるといいだろう。
NTTドコモ W-CDMAのプレゼンテーション |
NTTドコモ INS-P回線経由ポケットベル呼び出しソフト |
今回の展示でNTTドコモが最も力を入れていたのが次世代携帯電話『W-CDMA』だ。来場者の関心も高く、デモを熱心に聞き入る人も多かったが、サービス開始が2000年度内と先のことでもあるため、今ひとつリアリティに欠けるという印象も残った。
いくつかの参考出品の中で、個人的に気になったのが『INS-P回線経由ポケットベル呼び出しソフト』だ。情報サービスの提供などにより、少しずつ契約者回復の兆しを見せているポケットベルは、インターネット経由でメッセージが送れるようにするなど、メッセージ送信の手間をいかに少なくするかがひとつのポイントになっている。このソフトはISDN回線のパケット通信サービスを利用し、1メッセージにつき0.4円という低価格でメッセージを送ることができるもので、インターネット経由よりも短時間で送ることができるというメリットがある。この他にも、Outlook 97/98に登録されたスケジュールをあらかじめ設定した間隔でチェックし、追加・修正されたスケジュールをポケットベルに転送する『ポケットベル・スケジュール転送ソフト』なども出品されていた。
たとえばOCNについては、サーバーなどを含めた統合的なパッケージ製品を期待していたのだが、新たに参考出品されたのは5年リースでも月々7万円以上という高価なもので、SOHO環境にはあまりマッチしないものだった。筆者自身を含め、SOHO環境でOCNエコノミーを契約するユーザーは着実に増えているのだが、サーバーなどを含めた安価なパッケージ製品は少なく、結果的にWindows NTやFreeBSD、Linuxなどでサーバーを作り、自分で環境を構築するしかないという状況が続いている。たしかに、企業向けというマーケットも重要だろうが、OCNエコノミーの価格設定や位置づけを考えれば、もう少し購入しやすい価格帯の製品が欲しいところだ。
また、ISDN関連製品については、これだけISDNが普及しているにも関わらず、新製品が少なく、話題提供もない。その昔、「市場が大きくなれば、いろいろな製品を安価に供給したり、新しいサービスができるんですが……」といった話を耳にしたことはあるが、INSネット64だけでも300万回線に迫ろうという時期に何もないというのは残念だ。今年はISDNのサービス開始10年に当たる年でもあるのだから、記念モデルくらいは企画してもいいのではないだろうか(もう遅いという説もあるが……)。
こうした理由を踏まえ、敢えて今回はNTTドコモの製品群を中心にレポートした。不本意ではあるが、個人ユーザーを中心としたマーケットで考えた場合、こう書かざるを得ないくらい見るべきものが少なかったと解釈していただきたい。
[Text by 法林岳之]