スタパ齋藤

ウワサのドハデな銀パソ
~Let's noteシャンペンゴールドモデル~



■ ウワサのドハデな銀パソ

Let's note Gold
Let's note/S21 シャンペンゴールドモデル
Let's note発売2周年記念の、500台限定モデル。オープンプライスだが実売は通常モデルより数万円高い程度(しかし流通量が非常に少ないため入手は秋葉原でやや難しく、地方ではきわめて困難と思われる)。上の画像が松下電器のWebに掲載されたもので、PC Watch編集部でも実物を見るまで「金のしゃちほこ色」と盛り上がった
 なんか!! 凄いパソコン借りたっていうか!! なんかなんか!! 凄く光ってるっていうか!! なんかなんかなんか!! モバイルしてるとかなり直射日光を反射して眩しいっていうか!! なんかなんかなんかなんか!! 戦地において光り輝くので敵に発見されやすいっていうか!! スナイパーにやられるっていうか!! でも孤立時には光によるモールス信号を発信できるから生存確率が高まるっていうか!! でもそのモールス信号を敵に解読されてやっぱりスナイパーに狙われるっていうか!!

 ていうかなんか話題のゴールデンサブノートパソコン、なんかパナソニックのB5のLet's noteのシャンパンゴールドモデルをなんか借りたっていうか! ていうか“なんか”とか“ていうか”とか多量に書くのなんかやめれっていうか>俺。

 このマシンは、Let's note発売2周年記念ということで発売された限定500台の特別モデルだ。マシンのベースはパナソニックのLet's note/S21で、外面にシャンパンゴールドの塗装が施されている。Let's note/S21のおもな仕様についてはココを参照していただくとして、なんかコレはイメージとはかなり違ったノートであった。

 こーゆーモンが発売されるヨというアナウンスを聞き、Webページでその現物を見たとき、俺は「げぇっ!! なんだよコレ冗談じゃねえよフザケんなよ色彩感覚失った下品な大金持ち社長とかしか買わねえよ!! 成金だよ!! えげつねえよ!!」とおもむろに思った。「日本人って何周年記念とかになると金銀紅白でなんか作っちゃっいがちなんだよな~恥ずかしいよな~」とWebブラウザをQUITした。
 のだが、機会あってこのゴールデンなLet's noteをお借りしたところ、通販広告などでよく目にする断り書きこと「写真と実際の商品とはイメージや外観が異なる場合があります」という一文の意味を改めて考えることになった。



■ 写真と商品は異なる場合があります

Let's note Gold
Let's note Gold
実際はこんな感じの色で、かなりおとなし め。Windows World Expo会場でカラーバリエーションを展示して人気投票トップだったのがこの色だったとのこと。大量生産すれば、Let's note通常モデルの筐体色とコストは同じだという
 まずこのLet's noteシャンペンゴールドモデル(以下Let's Gold←勝手に名称変更すんなよ>拙者)の実物は、パナソニックの紹介ページのイメージとはかなり印象が異なる。Web上のイメージだと、いかにも中国とか香港とか韓国な雰囲気で、侘びも寂びもありゃしねえ派手さであり、豪邸の庭に真っ赤な龍をあしらった高さ3.2メートルの滝の横に極彩色の千手観音を配置する総金歯の高血圧社長もしくは男の高級セカンドバッグとかベンツとか1本3万円のブランデーが似合う男の腕にぶら下がる商売系女性になら似合うだろうという着彩であり、そのマシンの名称はもしかしたら『スーパーデラックスレッツノートシャンペンゴールドスペシャルツイカムターボII』とか言うのかな~と思うほどゴテゴテしており、きっと値段は799,800円かなと思った瞬間いや100万円だろうだって記念モデルだからセコくてハンパな値段がつくはずねえしなとつぶやいてWebブラウザをQUITするような雰囲気に包まれているが、現物はそうでなかった。

 実物は比較的おしとやかでおとなしい。“金”というイメージでこのページの写真を見るとハデそうだが、実際は“黄色味がかった銀”という感じで、つまりシャンペンゴールドだ。金のネックレスとかブレスレットよりも、身につけて歩く(というか持ち歩く)ものとしてはずっと涼しげな色合いをしている。また、B5という、ある程度の面積があるためか、本文冒頭のようなギラギラ光って眩しいようなイメージでもない。ハデではないのだ。

 それから、液晶を開けると、キーボード脇やパームレスト部分や液晶周辺は銀になっている。パナソニックの紹介ページの写真と最も異なるのがこの銀で、実物はくすんだ銀色。明るめのガンメタリックという感じ。この色が、白とグレーのキーボードとかなりマッチしていてイイ感じだ。

 正直な話、日本人にはこのような色のマシンがけっこうマッチするのではないかと思う。よく、日本人には金が似合うと言う。これは日本人の肌が黄色いから金が合うので、銀のアクセサリーよりも金の方がお似合いですわよ奥様、こちらなどはぜいたくな24金ですからその黄金の輝きは他のものとはひと味違うんですのよお客様、という、貴金属屋に都合のいいガセネタかもしれない。が、確かに、銀のアクセサリーより18金あたりの薄黄色の金のアクセサリーの方が、黄色みがかった肌には合うような気がする。でも、金というのはやはりちょいとくどい(というか重厚過ぎる)色というイメージだ。じゃあ銀だろ、と言われると、それもいまひとつナンだ。白く輝く銀は、ちょっとハイテック(もしくは無機質)過ぎる感じがするし、さらに薄っぺらいというか重厚感にも欠ける。ガンメタリック系の銀だと、インダストリアル感(もしくはサイバー感)が強く、ヘビーで鈍重で暗いイメージだ。で、無機質でもサイバーでもなく、程良く暖かくてハイテクなイメージがある色、それがこのマシンの薄めのシャンペンゴールドではないだろうか、と思う。と同時に、微妙で、際立ってなくて、鮮烈でない色を伝統的に好む日本人には、もしかしたらこーゆーシャンペンゴールドみたいな色がマッチするのかも、とも思ったわけだ。

 俺としては、あとこのトラックボールの色が黒じゃなくて、例えばグレーとかホワイトとかならすげえシックなのになぁと思うと同時に、金だとマズいよなぁとも下世話なことも思い、でも結論としては単なる銀パソよりも欲しさ加減は高まるなぁと思った。

Let's note Gold Let's note Gold
500台限定ながら、コネクタ部やPCカードスロット部なども色合わせがなされるなど、けっこう凝った作り。オプションの予備バッテリも、シャンペンゴールド色のものが少量用意された



■ いわゆる銀パソについて

 さて、このLet's Goldは、メタリックシルバーでマグネシウム合金なLet's noteS21(CF-S21J8)がベースになっている。このベースマシンは、いわゆる銀パソの1台である。VAIOノート505の激ヒットで、他社も続々ファッショナブル系サブノートを出し始め、それらがどれも銀色っぽかったので、銀パソという。

 で、銀パソ(こう呼ばれるのをメーカーは嫌うかもしれないが)について、俺は非常に良い傾向だと思う。何が良い傾向なのかと言うと、ハッキリ言って、ソニーが出したVAIO505をマネして他のメーカーが505っぽいマシンを出したことが、良い傾向だと思う。

 ソニーのが売れてる。バカ売れだ。銀でマグネシウム合金だった。ウチもあーゆーの作ろう!! 売れそうな味付けをマネしよう!! さあできた、売るぜ売るぜ売るぜ!! このことは良い傾向だ。
 なんでこんなことをわざわざ書いたのかと言うと、銀パソに対して、(比較的批判好きな)コンピュータユーザーや、(比較的批判好きな)コンピュータ業界関係者が、「あんなのマネでしょパクリでしょ」とか「シャープやパナソニックや東芝がソニーをマネしてる」といったようなことを、鬼の首でも取ったかのように、声を大にしていまくっているからだ。この状況は、非常に情けない。

 何が情けないかと言えば、まず、「パクリでマネで二番煎じ」ということを、まるで罪悪かなにかみたいに酷評することだ。たぶん、いやきっと、それらの人々は「銀パソのオリジナルはソニーだ」というニュアンスで他メーカーのマシンを酷評しているのだと思う。「オリジナルをパクるのはダメだ」ということだろうと思う。が、俺はオリジナルをパクることは全然ダメじゃないし良いことだし、むしろオリジナルって一体何なのか、と思う。

 俺は、モノやアイデアや手順などに「もしかしたらオリジナルという存在があるかもしんないなぁ」とは思うが、現在あるモノやアイデアや手順自体に、オリジナルを発見するに至っていない。
 例えば現在俺が書いている文章も、どこかで目にしたり誰かから聞いたりしたコトバによって構成されているし、話の展開方法も何かしらから倣ったりしたものだ。だって当然日本語は俺が発生させたわけじゃないし、文法だって起承転結の手法だって、俺が編み出したものではない。いつかどこかで知らないうちもしくは知ってのうえで、誰かに習ったか、誰かのを倣ったのである。要するに、この文章をバラバラにすれば、そのモトがどこかにある文字であり、コトバであり、文法なのだ。つまり、パクリの寄せ集めである。

 モノにしてもそうで、最初から一貫して発明・開発・設計・生産・販売しているメーカーなんかない。あったとしても、最初にある発明のおおよそは、他の発明の寄せ集めからできていたりする。でも、もしかしたら完璧に一貫して発明→開発→設計→生産→販売していてしかもその途中に用いるモノやアイデアや手順も完璧に自社開発で原料も自社開発・採掘とかをやってるメーカーがある可能性は否定しきれないので、俺はもしかしたらオリジナルという存在があるかもしんないなぁ」と限りなく希薄に思うのだ。

 アイデアなんかもっとあやふやだ。「このアイデアは弊社オリジナルです」とか「私が最初に考え出したオリジナルです」とかいうセリフはよく聞くが、それは本当か!? もしかしたら、アイデアとアイデアを複合させてたり、そのアイデアが唯一無二で端から端まで完全独自発案だという証拠がないのに、オリジナルを謳ってはいまいか!? だいたい、オリジナルと言われがちなアイデアは、閃きとか思いつきとかから来るのであり、閃きとか思いつきとゆーのは、脳内の情報が合体して生まれるモンなのであり、その脳内の情報は、体外にあった情報をゲットしたから存在するのだ。でももしかしたら、宇宙的な凄いパワーが直接脳内に浸透したゆえ閃いたり思いついたりしたのかもしれない。でもやっぱ宇宙的な凄いパワーの場合でも、オリジナルは自分ではなく、宇宙的な凄いパワーなのである。

 なんか話が無闇なほど壮大になってしまったが、言いたいのは単純なことで、世の中に出回る製品なんつーモノは、突き詰めれば全部オリジナルではないのだ。言い換えれば、ソニーの505もシャープのアレも東芝のソレもパナソニックのコレも、バラせば似たような部品と素材と技術を使った、だいたい同じモンであり、モトを正せばパクリとかマネの集合体なのである。

 ノイマン型コンピュータのアイデアをパクったノイマンが作ったシクミをマネした誰かが作った計算機をマネたIBMが作ったIBM-PCをコピーした各米国企業のマシンをパクった……というパクリにパクってマネしまくって最近になって出たのが505。その次が銀パソ。505もその他のマシンも、もうどこもかしこもパクリだという。マネしてねえパーツなんかねえという。すがすがしいほど完全な模倣物集合体と言えよう。
 が、我々ユーザーというものは、その“だいたい似たようなモン”を選り好みして買おうとする。各メーカーのマシンにそれぞれ別のオリジナリティーを感じるからだ。

 ホントはオリジナルもオリジナリティーもきっと存在しないと思う。また、そんなモンは考えれば考えるほど認められないのだ。だが、まあそれでは潔癖指向の理屈野郎と化してしまって"お話にならない"ので、清水の舞台から飛び降りたけど無傷だったことを神に感謝するような非常に控え目な気分になって言うとするなら、“編集”にはオリジナルを認めてもいいと思う。また、その“編集”にこそ注目すべきだし、目くじら立てる必要がある。

 例えばサブノートマシンなら、どのパーツをどう組み合わせ、どのデザインをどこに作り込むか。パーツとかデザインとかいう、それ自体にはオリジナリティーが認められない(というか公然のパクりである)モノやコトを、どんな組み合わせにしたかという点に、オリジナルが発生している(と認めなくもない←頑固な俺)。そしてその“編集”こそ、現在の我々が価値を見いだす唯一の点だ(と思わないこともない←しつこいよ>わし)。

 要は、505と他のマシンを比べてパクリだとかマネだとか言うのは、(もちろんパクリだと同時にまったく別モノゆえ)ナンセンスであり、ナンセンスを目くじら立ててやってる状況は情けなきこと家に帰り着いた瞬間気づいたズボン前ジッパー全開状態と言えよう。そして、銀パソ市場のように、何かがトリガとなってその市場全体が活気づくことは、売り手側は儲かって楽しいわ消費者は選択肢が増えて楽しいわで、まったく実によい傾向だと思う。またそれはどの業界にでも当たり前のようにある順当な現象で、こういう現象がない業界なんざぁ遅かれ早かれキュ~ッと縮んじゃうのである。



■ 再びLet's Gold

 なんか限りなく話が逸れて地球を一周してまた戻ってきた感じがしたので、再度Let's Goldの話を。

 俺の場合、筐体をシルバーメタリックにされたり、シャンパンゴールドにされたりするだけで、なんか物欲がうずく。まあ、キティちゃんだとうずかないのだが、とにかく、こーんな些細なことで物欲がうずくのだ。そう言えば、大昔、5インチフロッピーディスクを使っていた頃、IBM製の5インチディスケットを見つけてそれが真っ青だったというだけで、俺はそのディスケットを買い込んだ。その後、黄色とか赤とか緑とかのディスクが出て、それも喜んで買ったりした。最近ではスケルトンな3.5インチフロッピーを各色買ったりした。ハッキリ言って、俺はキレイな色のモノとかに弱く、さらにそれまで色を選べなかったモノだったりすると、思いっきり物欲がわく。

 で、Let's Goldのように、同じ筐体だけど色違いが出せるのだから、もっと色のバリエーションを出していただきたい。まあ、モノの値段が高いだけに、フロッピーの色を変えて出すようにはいかないかもしれないが、それでもカラフルなマシンを欲しがるユーザーは多いはずだ。IBMがビッグブルーな色のマシンを出したらきっとみんな欲しがるはずだ。アップルなんか、スケルトンというだけでググッとiMacの価値をさらに高めている。白っぽいデスクトップマシンとかグレーや黒のノートだけじゃつまらねえ!! もっといろんな色が欲しいんだ!! と感じているユーザーは多いと思う。ていうかこう思ってるの俺だけ!? みんなグレーとか黒とか白とかが大好きなわけ!? あ~、よくわかりません。

 Let's Goldを見て、「こーゆー他にない色のマシンもいいなぁ」と思った俺は、「コンピュータ関連製品って色合いがつまらねえよなあ」とも思い、メーカーさんにカラフルな筐体を出していただきたいと切に願うのであった。

□Let's noteシャンパンゴールドモデル製品情報
http://www.pcc.panasonic.co.jp/letsnote/prod/gold/gold.html
□Let's note/S21の仕様
http://www.pcc.panasonic.co.jp/letsnote/prod/s21/spec98.html

[Text by スタパ齋藤]


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