スタパ齋藤

最新型ザウルス登場
~ザウルス カラーポケット~



■ 最新型ザウルス登場

MI-310
ザウルス カラーポケット
標準価格110,000円。シャープでは「できれば10万を切る価格で出したかったが、フロントライト付き反射型液晶がまだ高い」ため、11万円という価格になったとのこと。「使いやすさ」にポイントを置いた製品となっている
 ていうか!! なんか!! シャープがまた俺にケンカ売ってるっていうか!! ついこないだザウルスポケットが出たばっかりだと思ったら、もう新型!! くぬぉ~っ!! わかった。だったら勝負だ!! 新機種こうたる!! これは、いにしえより続く、俺とシャープの戦いなのだ!!

 と思ったが、なぜか俺が常々発揮している地獄の物欲エナジーがエンプティであった。理由はいろいろあるのだが(ザウルスカラーポケットが欲しくないってワケじゃないんダ!!)、とにかくショップへ行ってカードを突き出すテンションがない。さらに、机上にはザウルスポケット、パワーザウルス新旧2機種、カラーザウルス、それにPI-7000が転がっている。金欠(←物欲エナジーが発揮できない最大の理由)に加え、5台もの現役・完動ザウルスがあるのを見てしまうと、いくら物欲野郎の俺とて、なんつーか速攻で新製品に飛びつきづらいのであった。

 ん~、でも欲しいなぁ。でも買うと使わないザウルスが5台になっちゃうなぁ~。む~、でもいじくりてえなぁ……。と思っていたら、シャープさんが貸してくれたのであった!! ズギャーン!! 俺とシャープは戦闘中なのに、敵に塩を送るとは!! ていうかとにかく無料で使えてラッキー!! いじくり回してすり減らしちゃうぜ~!!



■ 使ってみました“カラポケ”

MI-310
 シャープ謹製最新型ザウルスであるザウルスカラーポケット(カラポケと呼びたい)に関する詳細は、まあシャープのサイトやPC Watchの速報ページを見てもらうとして、とにかく多くの人が気にしていた点から。

 まず液晶表示。
 俺は基本的にバックライトカラー液晶(もちTFT)が好きだ。第一の理由は暗闇で煌々と光るカラー液晶はサイバーだからだ!! 第二の理由はない!! 第三も第四も第五の理由もない!! でも第六四あたりの理由としては、見やすくて美しくて、直射日光下以外ならどこでも非常に快適だからだ。一方、反射型カラー液晶はイマイチ好きになれない。理由は、なんか貧相な感じがするし(思い込みですが……)、暗いところだと完璧に見えないから。まあ昼間の屋外などの明るいところほど鮮明に見えるという特性はあるが、それでもバックライトカラー液晶の鮮明さには及ばない。俺の中では、反射型カラー液晶は、バックライトカラー液晶の遙か下方の存在として位置づけされていたのであった。

 で、カラポケのフロントライト付きスーパーモバイル液晶だが、俺の先入観に反して、けっこうキレイで鮮明。40ワットの白熱球の下でもちゃんと使いモノになる。もちろん昼間の屋外ならバッチリ使える。さらに暗い場所でフロントライト(液晶表面にライトを当てる方式/バックライト液晶は液晶の裏からライトを当てる)を点灯させると、これも問題なく使いモノになる。思ったのは「なるほどコレならオールマイティだ」ということ。どんな場所でも画面上の情報を読める。パワーザウルスなどのバックライト液晶モデルが直射日光下で使いモノにならなくなっちまうことを考えると、さすが最新機種に搭載されるデバイス、よくできている。ただ、フロントライト付きスーパーモバイル液晶は、ライト消灯時には画面がやや緑がかって、ライト点灯時には画面がやや紫がかって見えてしまう。画像データなどの正確な色を再現させられないという点が、唯一難点と言えば難点。その他は不都合を感じなかった。

 次に処理速度。
 PC Watchの速報記事では“CPUクロックはザウルスポケットの倍になっている”とあったが、実際のところ俺はザウルスのベンチマークを取るような神経質さを持ち合わせないので、体感的な印象で言うと、「すげえ速くなった感じ」だ。正直な話、このクイックさを体感したら、もはやカラーザウルスなんかには絶対戻れないし、PIシリーズなんかにはどう足掻いても戻れないし、パワーザウルスを使うのも少々憂鬱になるような感じだ。この速度でも、単3アルカリ電池2本で連続約30時間使えるというのだから、デジタルテクノロジーっつーもんはホントにドえらい勢いで進化してますな。

 電池と言えば、カラポケからニッケルメタルハイドライドバッテリーすなわちNiMH二次電池つまりニッケル水素充電池も使えるようになった(というか正式に対応した)。30時間もつとは言え、何年も使えるPDAゆえ、その間の電池代は気になるもの。充電可能なバッテリーへの対応はやはり嬉しい。

 それから、ザウルスならではの各機能。
 アドレス、スケジュール、各種テキストツール、データベース、メール、Webブラウザなど、基本的にはパワーザウルスやザウルスポケットと大きな違いはない。これにプラスして、いくつかの便利ソフトウェアと多量の便利データが入っている。大雑把に言えば、機能的にはパワーザウルスやザウルスポケットとおんなじで、プラスアルファとしてソフトやデータがプリインストールされているという感じだ。もちろん、旧型ザウルスのデータをカラポケにほとんどそのまま移行することができる(機種により移行できないデータがあったり、データ移行の際に注意すべき点もある)。

 論理的には、(パワーザウルスの小型・高速・モノクロ版である)ザウルスポケットのカラー版、ということになる。が、感覚的には、そーゆー存在ではないような気がしなくもない。



■ ザウルス野郎の違和感

 カラポケをいじくって俺が感じたのは、上記のような強化点やメリットであり、それらは非常に魅力的なものである。ていうかこのままシャープさんから借りたカラポケを握りしめて2~3カ月ほどどっかへ身をくらましてコイツをガメっちゃいたいほどだ。が、カラポケに対して俺は、このような魅力と同時に、妙な違和感も感じた。

 どういう違和感があったかをご説明する前に、まず俺がどーゆーザウルス野郎なのかを少々話したい。
 俺は、モノクロのザウルスの(確か)PI-3000からザウルスを使い始め、そのPI系のモノクロザウルスを3台くらい取っ替え引っ替え使い、カラーザウルス → パワーザウルス → ザウルスポケットというふうに使い続けてきた。PI系モノクロザウルスは、もちろん次々と新機種に乗り換えてきて、その経過でシャープのPDAが洗練されていく過程を体感した。

 次に初のカラー版ザウルス(カラーザウルス)を使ったのだが、ここでちょっと妙な気分になった。カラーザウルスに対し、それまでのザウルスの進化とのズレを感じたのだ。原因は、わりと大きなメニューと機能の変更と、サイズ的なもの。「なんか違うモンになったような気が……」と思った俺だったが、よくよく考えてみると、それはよくある違和感で、世代から世代への大きな脱皮のような、躍進を思わせる違和感だった。つまり希望を感じさせる違和感。

 その違和感は俺を裏切ることなく、次の機種のパワーザウルスでは、カラーザウルスの時にやや不満だった部分が大きく改善された。パワーザウルスは、もうコレでしょコレなんですよコレしかないっスよ~、というよくできたザウルスだった。そしてさらにザウルスポケットは、その良くできたザウルスを高機能・小型・軽量にしていて、大したモンでありナイスであった。ついでに、その大したモンでありナイスなザウルスの内容をそのままパワーザウルスの筐体に突っ込んだ第二のパワーザウルスが登場したりして、なんつーか俺は非常にわかりやすい“ザウルスの進化”を見てきた。

 途中少々違和感を感じたりはしたが、ザウルスはそれまでのザウルスユーザーを喜ばせるように、順当に進化してきたように思う。

MI-310基本インデックス
ザウルスマニアにとっては違和感を感じる基本インデックス。半面、初心者には大変分かりやすくなったと言える
MI-310オリジナルインデックス
液晶左のオレンジ色の「オリジナル」ボタンを押すと出てくるオリジナルインデックス。このインデックスを起動時に表示することができないのが、パワーユーザーには煩雑さを感じさせる
 しかし、カラポケの進化には、それまでのとは違うものを感じた。もはやザウルスヘビーユーザー(というかマニア)と化した俺にとって、なーんかイマイチ腑に落ちない違和感を伴う進化だ、と感じた。
 それは、メニューやダイレクトキー(画面左右にあるタッチボタン)の大幅な変更だ。これは、アイコンやキーの機能が少々変わったようなものではなく、それまでのザウルスの操作性をかなり大きく変えてしまうような変更であった。

 例えばパワーザウルスの場合は、ほぼ完全にモードレスというかシームレスというか、つまり、コンピュータのディレクトリ構造的メニュー階層がなかった。アイコンやボタンにタッチすれば、どの機能を使っていようが即、他の機能に移行できた。まあ、カラポケも基本的にはモードレスなPDAなのだが、新たに加わった“基本インデックス”のために、その優秀なモードレスさが少々失われた。

 カラポケを起動するとまずこの基本インデックスが表示され、この画面からはスケジュール、アドレス、メール、それからMOREソフトなどへワンタッチで移行できる。多くのザウルスユーザーは、多くの場面でスケジュールやアドレスやメールの機能などをメインに使うので、このしくみは便利ではある。よく用いられる機能に速攻でアクセスできるようにしたこのしくみからは、設計者らの「よかれと思って」的な親切ささえ感じられる。また、このしくみは、ザウルス初心者には確実に便利だと思われる。多機能・モードレスなPDAザウルスの場合、その柔軟さがあだとなって、「どこから何をすればいいのか」という初心者的混乱が起きがちだったからだ。

 しかし、ヘビーユーザーとしては、この“どうしても起動時に出て来ちゃう基本インデックス画面”に違和感を感じる。これまでのザウルスの場合、例えばスケジュールを見ていて、電源を切って、再度電源を入れれば、さっきのスケジュール画面が表示された。ノートパソコンをレジュームさせたような感じで、次に起動した時には、最後に使った機能の画面が出たのである。が、カラポケだといつも必ず基本インデックス画面。極端なことを言えば、ザウルスでスケジュール画面ばっかり見てる人にとっては、カラポケは起動するたびに基本インデックスからスケジュールを呼び出さなければならない変則的ザウルスなのであり、煩雑さを感じるザウルスだ。

 また、例えばザウルスポケットには、通信/メール、スケジュール、アドレス、表計算、ワープロ、データベース、フォトメモリーなどの機能をワンタッチで呼び出せる“ダイレクトキー”が、画面左側に配置されていたが、カラポケにはない。カラポケ起動直後現れる基本インデックスには、スケジュール、アドレス、メールなどしかないので、表計算やフォトメモリーの機能をワンタッチで呼び出せない。呼び出すには、オリジナルボタンにタッチして、各種機能ボタンをいったん表示させ、目的の機能アイコンにタッチする。つまり、ワンステップ余分に操作しなくてはならない。ヘビーユーザーにとっては、これはかったりい。

 というわけで、ハードウェア借りといて批判的なコト書いちまってシャープさんスマンス的気分だが、ザウルスヘビーユーザー(マニアですな)を自負する俺としては、どうしてもこの基本インデックスに好意的になれなかったのだ。



■ ライトユーザーの場合

 基本インデックスに対する違和感は、ザウルスをずーっと使ってきた人とか、ザウルス野郎(俺)とか、ザウルスが好きで好きでしょうがねえ人とかはみんな感じていることだと思うが、そうでない人にとっては、単に一言、非常にわかりやすいシクミである。

 基本インデックスには、何をどうするかということが、一目してわかるようになっている。例えば、スケジュールを“書く”か“見る”か、のように表示されていて、これは初心者や“軽く使う”ユーザーにとっては、非常にわかりやすいガイダンスだと思う。たぶんデジタル嫌いのオトーサンでも、キカイ嫌いのオネーサンでも、すぐに理解できる画面表示だ。

 そんな見地に立てば、つまりフツーの人にとってはどーなのかという観点から言えば、カラポケは今までのザウルスにはないわかりやすさと使いやすさを備えた製品だと言えよう。基本インデックスもそうだが、画面左右にあった多数のダイレクトメニューキーが必要最小限のものだけに絞られているのは、ザウルスの全貌をつかみ切れていない人にとって使いやすいものだ。また、どの手順で操作していけばいいのかをインタラクティブに表示してくれるナビゲーション的表示機能は、ユーザーの(R.T.F.M.的 *)苦労を大きく軽減してくれる優れたものだ。それから、インターネット接続とパソコン接続に関しては、ウィザード方式の設定ソフトを用意されており、これを使えば不慣れなユーザーでもスムーズにザウルスのネットワーク機能を利用できるだろう。
 そんな部分を見れば、カラポケはカタログの謳い文句どおり“使いやすさにこだわった”ザウルスである。

 ていうかスパッと俺的結論を出せば、ザウルスってゆーのを使ってみよーかナと考えてる初心者にはオススメの製品!! 純粋に機能や性能を見れば、やっぱりコレは最上位のザウルスだし、マニア的にこだわらなければ使い勝手も非常にイイし、ハードウェアとしてもしっかりしているし、PHSやデジタル携帯電話をダイレクトに接続できるアダプタ内蔵(ケーブルは別途必要)だし、単純にかなりイケてるマシンだと言える。

 でも最後にひとつ要望を言わせていただけば、基本インデックスなしのカラポケを出していただきたい。それか基本インデックスを殺す設定にできるカラポケを出していただきたい。ていうかパワーザウルスMI-610をそのままカラポケサイズにして出していただきたい。ってまだ細かいことにこだわってんのかよこの糞マニアが>俺。

*(編集部注:R.T.F.M. ― Read The Fucking Manual)

[Text by スタパ齋藤]


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