スタパ齋藤

その後のDCR-PC1
~アクセサリへの道~



■ その後のDCR-PC1

DCR-PC1  ソニーの最新型DVハンディカムすなわちスマートパスポートハンディカムことDCR-PC1は、ほとんどの性能・機能上まるで問題がなくて快適そのものであり、モノとしても最強にナイスであってバッチシなのだが、使い込むにつれて、細かな問題というか納得いかない点が出てきた。今回はその問題点と、俺がその問題をどう克服したかについてちょいとお話ししたい。

 俺の場合、DCR-PC1を日常持ち歩き、例えばスナップ的にビデオ撮影することが多い。意識しないで何となくかつ唐突に撮ったスナップビデオは、後で観て非常におもしろい。日常のありのままが撮れるので、非常に記録性の高い映像が得られるっていうか要するにリアルな光景が撮れるのだが、まあそーゆーコトは今回の本題とはイマイチ関係なく、ポイントは、DCR-PC1の音声記録能力がいまひとつだという点。

 例えばスナップビデオを撮っていると、もちろん撮影者と被撮影者の会話などがある。俺が撮影すると同時に喋り、相手は撮影されると同時にやはり喋っている。で、この会話の音声情報というのはけっこう重要なのだが、これがDCR-PC1ではイマイチちゃんと録音されないのだ。具体的には、やたら俺(撮影者)の声ばかりデカく入ってしまい、相手(被撮影者)の声はあまり入らない。故障かな? と思うほど、レンズが向いている方向の音声が録音されにくいのだ。もちろん、撮影者の声はちゃんと入り、しかも撮影者の鼻息などまで録音され、ついでにDCR-PC1のメカの音なども録音されているのだから、故障ではない。

 むむむ~、と思ってソニーに電話しようとしたら夜。てなわけで、Webページのソニードライブの問い合わせメールアドレスにメールで質問してみた。

 そしたら、まったく丁寧なことに、封書でその回答が送られてきた。要約するに、小型化・軽量化を追求したDCR-PC1なので、マイクとメカの位置も近くてメカ音が録音されやすく、一般のハンディカムのような感じでは録音できないこともあるけど、それは小型化・軽量化を追求した故のナニですからご了承ください、と。まあ質問文を書いていた時に薄々わかっていた結論ではあったが、わざわざちゃーんと書面で説明してきたという丁寧さに驚くと同時に、「ん!! 許す!! あんたらマジメだ!! 正直だ!! 偉い!!」という寛容な気持ちになってしまった。また、どうしてもヤならマイクを使ってちょんまげ、的なことも書いてあって、マイクのカタログも同封されていたので、俺は外付けマイクを買うことにした。



■ マイクへの道

 ソニーの対応に気を良くした俺は、毎度おなじみ速攻ダッシュで電気屋さんに向かい、店員さんの説明もそこそこに聞いて、よさげなマイクをゲット!! ソニー製のECM-S300C。DCR-PC1上部のアクセサリーシューに取り付けられるステレオマイクだ。サイズ的にもDCR-PC1の上部の長さとピッタリ合い、取り付けてもカッコ良かった。が、コレはDCR-PC1にはマッチしなかった。

 DCR-PC1は、プラグインパワー方式のマイクが取り付けられる。また、本体上部に(非インテリジェント方式の)アクセサリーシューがあるので、プラグインタイプでアクセサリシューに取り付けられて、しかもステレオタイプのマイクを買いたかった。が、俺があまりにも速攻だったため、マイクを外見とステレオ対応かどうかとアクセサリーシューにつくかどうかだけで買ってしまい、プラグインパワー方式かどうかを確認しなかったのであった。ECM-S300Cには、ふたつのコネクタがあり、ひとつはマイクロホンジャックに挿すコネクタ、もうひとつは電源供給用のコネクタだった。一般のハンディカムにはつながるのだが、DCR-PC1とかDCR-PC10などの超小型デジタルハンディカムにはつながらないのであった。

 じゃあ返品して、同時にちゃんとつながるのを注文しようということで、再び速攻で電気屋さんへ……行く前に、しっかりソニーに電話確認した。その結果、DCR-PC1に適合するステレオマイクは、ECM-S959Cというもの。モノラルマイクならECM-K57、ECM-Z157、ECM-PB1Cがあるという。やっぱステレオタイプだよなぁ、ということで、電気屋さんにてECM-S959Cを注文したのであった。

 で、数日後、ECM-S959Cをゲット。が、このマイクがけっこうデカい。DCR-PC1のせっかくのコンパクトさが台無し!! でも音は素晴らしくイイ!! でも小ささ台無し!! でも被撮影者の声が超クリアに入る!!
 でも台無し!! でもナイス!! うおぉおぉおぉ~っ!! 困ったぜ~!! いいんだか悪いんだかわからねえ~!! でもやっぱりコンパクトさ台無しだとナンだから、別のメーカーのステレオマイクを探求することに。

オーディオテクニカ
AT9440
標準価格 7,400円
オーディオテクニカ
AT9840
標準価格 5,500円
アイワ
CM-T7
標準価格 9,000円
ソニー
ECM-717
標準価格 8,800円
 そして見つけたのがオーディオテクニカのAT9440というステレオマイク。サイズ的に適当だし、音はDCR-PC1の内蔵マイクなんか比べモノにならねえくらいイイ!! しかもそのカタチがイカス!! さすがマイク単体で店頭に吊してるだけあって、品質は抜群だ!! しかし!! しかし!! しかしコレはDCR-PC1のアクセサリーシューに取り付けられない!! マイクを手で持ちながら撮影しなければならない!! ダメだ!! そんなんじゃダメだ!! だからこのマイクに合うマイクホルダー(アクセサリーシュー取り付け可能のもの)を探すんだ!! というわけでいろいろ探したのだが、結局なかった。ありそうでなさそうなものリスト入りだ。
 だがもはや俺は引き下がれない!! ここまで来たならDCR-PC1にビシッとフィットするステレオマイクをゲットするまで探し続けるゼ!!

 次のマイク!! 今度はaudio-technicaのAT9840!! これは、フレキシブルアームの一端にマイクがあり、もう一端はプラグインパワー対応ジャックになっている。DCR-PC1のマイクジャックに挿せば、それだけでマイクが固定されるし、音もけっこうイイので、まあ実用的なのだが、なーんかこうDCR-PC1に長い触角が生えちゃったような感じになり、いまひとつフィットしなかった。

 次ッ!! 今度はテレコ用マイク!! まずはソニーのネクタイピン型マイクのECM-T110だ。マイク部分がネクタイピン状になっており、記者が取材に使ったりするタイプだ。これだとDCR-PC1のストラップなどに取り付けられ、邪魔にもならないので良いのだが、音がイマイチ!! しかもモノラル!! DCR-PC1のデジタル録音向けではない!!

 次!! ネクタイピン状のバネ式クリップがあるマイクなら、DCR-PC1のアクセサリーシューに合わなくてもどうにかなると思った俺は、またもやクリップタイプのマイク!! 今度のは、AIWAのCM-T7というマイクで、ステレオタイプなのに、タバコのフィルター程度のサイズしかない超小型マイクだ。これはかなり気に入ったのだが、やはり超小型だけに音がもうひとつであった。

 さらに次!! 今度はステレオで、音も良さそうで、クリップタイプのマイク!! ソニーのECM-717!! これはかなり良い!! 音もそこそこナイス!! クリップ形状もナイス!! これでイケるような気がする!! コレでキマリ!! オッケー!!

 でも本当は、ソニーさんがとっととDCR-PC1専用の超カッコ良いマイクを発売してくれることを希望してるんですけど……はっ、そんなこと言ってるうちに、俺は6本もマイクを買ってしまった!! あーなんか非常なムダ使いみたいな気がしてきたー!! あ~。



■ 広角レンズ、フィルターへの道

 DCR-PC1、マイク以外にはほぼ問題はなかった。ていうかマイクはけっこうシリアスな問題になり得るポイントなので、もしこれから購入しようというなら、DCR-PC1の内蔵マイクのフィーリングがどんなもんなのかを一度試してみたほうがいいと思う。

 さて、マイク以外にはほぼ問題はないのだが、要求はあった。それは、青空をもっと青く撮りたいことと、さらなる広角レンズである。CCDの特性上、青や赤などの高い彩度の色はキレイに映る。また、DCR-PC1にはかのカール・ツァイス製レンズが採用されていることもあってか、画質に不満がでることもない。が、湿気の多い日とか夏の真昼などは、やはり空の青さがいまひとつ物足りない。それから、室内で撮影する時などは、デフォルトのレンズの焦点距離だと、いまひとつ画面を広く撮れないのであった。

 てなわけで、マイクの次は広角レンズと偏光フィルタの探求。一般の家庭用ビデオカメラは、レンズ交換などという高度なことはできないので、各種コンバージョンレンズを使って、その焦点距離を無理矢理変え、より広角にしたり、より望遠にしたりするのだ。また、光の乱反射を抑えて画像をくっきり鮮やかに撮影したりするには、偏光フィルターが不可欠なのだ。で、探すぜ探すぜ探すぜーッと気合いを入れる間もなく、専用のコンバージョンレンズと専用の偏光フィルターが見つかった。

 コンバージョンレンズの方は、VCL-0630Sというワイドコンバージョンレンズで、倍率は0.6倍。つまり、今までの約1.7倍程度、視野が広がることになる。数字的にはそれほどワイドにならないような感じがあるが、実際このワイドコンバージョンレンズを付けてみると、片目で見ていた風景を両目で見たほどの空間の広がりが感じられる。レンズの外側が銀色になっており、DCR-PC1に装着した時にもシックリくる。ジャストフィット、目的にバッチリ合致したレンズが手に入った。

 偏光フィルターの方は、VF-30PKSというもの。偏光フィルターとマルチコートのプロテクターレンズのセットだ。使った感じは、まあ一般の偏光フィルターと同様。乱反射で見づらかった水中の様子がスッキリ見えたり、やや白っぽく映りがちな空が真っ青に映ったりする。というわけで、偏光フィルターの方も問題なく使えるものが手に入った。

ワイドコンバージョンレンズ
VCL-0630 S
0.6倍
標準価格8,000円
フィルターキット
VF-30PK S
偏光フィルター、MCプロテクターのセット
標準価格5,000円


■ バッテリコンプレックス再び

NP-F30NP-F20
左がF30、右がF20。標準価格はF30が18,000円、F20が12,000円
 最後の問題は、バッテリ。DCR-PC1にはSサイズのインフォリチウムバッテリを使う。Sサイズのインフォリチウムバッテリは3種類あり、NP-F30(大)、NP-F20(中)、NP-F10(小)。いちばん小さいNP-F10を使うと、DCR-PC1のコンパクトさが失われないのだが、この小バッテリは、公称値でも最大約50分しかもたない。普通に使っているとだいたい30分程度で切れてしまう。だからと言って、大サイズ(最大2時間50分もつ)を使ったりすると、DCR-PC1横にすげえ違和感のある出っ張りがついちゃうので、俺としてはやはりNP-F10(小)バッテリーを数個買っていきたい!! DVテープは通常録画モードで最大60分なので、撮影時間の3倍程度のバッテリー容量を確保していきたい!! そうすると、180分なので、30分程度使えるNP-F10が6本!! ゲッ!! 多過ぎ!! 高過ぎ!! やめた!!

 というわけで、NP-F10を1本、NP-F30を1本、予備バッテリーとして買ってみた。でもやはりNP-F30はイマイチ好きになれない。出っ張っちゃうから。撮影の邪魔にはならないのだが、DCR-PC1のステキ度が当社比で約4096%失われるのであった。

 てなわけで、なんだかんだ言いつつも、しっかりDCR-PC1にハマっている俺であり、ビデオ熱燃焼中であり、熱い日々を送っているのであり、非常に愉快なので、ぜひみなさんもDCR-PC1をゲットして熱い日々を送っていただきたい。

□ソニーのホームページ
http://www.sony.co.jp/
□DCR-PC1製品情報
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/VD/DCR-PC1.html
□DCR-PC1用純正アクセサリ
http://www.sony.co.jp/ProductsPark/Consumer/VD-AC/PC1/index.html

[Text by スタパ齋藤]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp