短期集中連載
■矢作晃の iMacと暮らす5つのツボ■Part 3:インターネット接続のツボ |
松下電器とイメーションから発売予定のSuperDisk。イメーションが発売するのは松下からのOEM品と思われる。いずれも9月21日発売、標準価格33,800円 |
もう一つの回答例は「データの受け渡しに必要だから」。思わず「で、誰と?」。せいぜい1.4メガ程度の容量で受け渡せるデータである。「メールに添付して送ったら?」。「相手がアドレス持ってないことだって、あるじゃん」。「………」。相手が会社関係ならば、いまどきメールアドレスすら持ってないところは今後の発展があまり望めないので、いまのうちにお付き合いの縮小を考えるようにオススメするし、友達なら一刻も早くメールアドレスの取得をすすめるのがホントの友情というものだろう。だいたい、フロッピーにたよったデータの受け渡しでは、必ず『送付またはハンドキャリーによる運搬』という手間がともなうではないか。たかが1.4メガ程度の容量に対して、これってムダではないのかい?
実際、ワタシのここ半年を振り返ってみて、計4台もの機器でFDDを利用したのはたった一度。Windows 98をインストールする際、起動ディスクを作成するためだけである(正確には、使い古しのディスクを流用したので、内容を確認するためMacintoshでも中をのぞいた。そんな重要なデータをフロッピーに入れているはずがないのに、生来の心配性が顔を出したのである)。いまは、MacintoshならほとんどCD-ROMから起動できるし、Windows 98ではCD-ROMブートがサポートされた(ちなみに製品版のCD-ROMからはブートできないが、OEM版ではブート可能)。緊急時の起動にFDDが必要だった時代も終わりつつある。
もちろん、どうしてもFDDが必要な環境だってあることは否定しない。そうした場合は外付けのFDDに頼ればいい。だからこそ、USB対応のFDDはヤノ電器やNewer Technologyから出荷されるし、イメーションからはSuperDiskドライブが出荷される。FDD自体を否定しているわけではない。一般的な環境では、もう不要になりつつあるということだ。これから半年もすれば、デスクトップにおけるFDDインターフェイスの非搭載機などMacintosh、AT互換機を問わず、次々と市場に出てくるはず。iMacはたまたま、その第一弾であったにすぎないのである。
じつは、これほどFDDがパソコンの周辺機器としてクローズアップされた時期もない。とっくに枯れたデバイスで、CPUやメモリ、ハードディスクなどパソコンに搭載されるあらゆるデバイスが進歩し続ける中で、ここ何年もまったく変わらなかったものだ。いまiMacの登場に際して、こういった形でフロッピーディスクがクローズアップされるのは、まさに、最後の一花ということなんでしょうかね?
そんなわけで、購入時に拡張したいものが思い浮かばないなら、ヘンに拡張性など気にする必要はない。ホントに拡張したいものがあるなら、最初からそれが搭載されたマシンを買った方が明らかに安定性も高く、結局は安上がりですから。
無粋な純正?モデムケーブル |
ソニー製の電話機から拝借したスケルトンっぽいモデムケーブル |
そんなわけで探してきました、モデムケーブル。実はすでに部屋にあったものなんで価格は不明。以前使っていたソニー製の電話機に付いていたもの。そういや、MagicLinkにも同じケーブルが付属してたような気もする。見た感じはトランスルーセントと言うよりもスケルトンに近いようだけど、純正よりは格段によし。
で、ホイホイと接続完了。リモートアクセスのコントロールパネルを開いてみると50,000bpsで接続している。うん、まぁまぁかな。あらかじめ誤解のないように触れておくと、56kbpsのモデムだからといって56,000bpsのフル速度で繋がることは、まずないといっていい。利用している回線や品質、ノイズの影響でせいぜい50,000bps程度が普通だ。モジュラコネクタの分岐を行なったり、長めのケーブルを使うことも少なからず影響する。モデムやTAなど、新製品の接続テストにも利用させてもらっているプライベートBBSとの接続でも(ともにISDN回線を経由)、52,000bpsにも達すれば上出来の部類に入る。そんなわけで50,000bpsというSo-netとの接続は、結構満足すべき結果というわけだ。
ところが、数分後「プチッ」。おや? 再接続をして確認。あ、今度は大丈夫だ。だけど次の接続では、接続中にまた「プチッ」。これって、ヘンじゃない? そういえば、先行発売された米国では接続不良に関する情報ってのがあったけど、これって、日本でも発生する問題だったのか? と、気になった。もちろん、米国と日本ではインフラが違って、同じ電話回線でも回線品質が違うし(概して日本のほうがいい)、モデムの出力レベルも違う(これは米国のほうが高い)。そんなわけで、実際に体験してみるまではタカをくくっていたのだけれど、いざ現実に自分の身に降りかかると対処せざるを得ない。とりあえず、米Apple Computerのページで資料を探し始める。そして見つけたのがコレ。
http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n30734 (英文)
簡単にいうと、iMacの内蔵モデムはできるだけ速い速度で接続することを優先して、回線の状況に応じた速度ダウンに融通が効きにくくなっているという。そのとき、接続先では安全な接続ができなくなったとして回線を切断してしまうのだ。さらに、これは内蔵モデムのファームウェアの書き換えで将来的に対応できるとも記してある。
じゃぁ、現状はどうするのか? 対処方法はこのふたつ。
http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n22234 (英文)
http://til.info.apple.com/techinfo.nsf/artnum/n58046 (英文)
これまた簡単にいうと、安定しているV.34(最大33.6kbps)のプロトコルを使って接続してね、ということだ。そして、iMac用のCCLファイル(モデム設定ファイル)が提供されている。
http://horton.austin.apple.com/Apple_Support_Area/Apple_Software_Updates/US/Macintosh/iMac/
ここから、「iMac_v34_Only_Modem_S+」というファイルをダウンロードして解凍、「iMac Internal 56k (v.34 Only)」というCCLファイルを取り出して、「機能拡張」フォルダ内の「Modem Scripts」フォルダにコピー。「モデム」コントロールパネルで設定すればいい。
とはいえ、これは結構後ろ向きの対処となる。現実問題、V.90に対応しているプロバイダはまだ少なくて(国内ではAOLなどがテスト用の回線で実験運用している)、V.90 → K56flex → V.34の順でネゴシエーションを試みる現状のCCLは手順的にも無駄が多い。将来的にはV.90のサポートが確実視されているのでこれでもいいが、現状ならK56flex → V.34とネゴシエーションするCCLのほうが無難である。また、ATコマンドによってピーキーな回線速度を抑え、接続速度の最高値を46,000bps~40,000bps程度にしたCCLならK56flexでの接続もできそうな気がする。
CCLファイルの中身はテキストファイルなので、さまざまなエディタ(SimpleTextはのぞく)で変更を加えることができる。そこで、上記のような仕様に書き換えを試みようとしたが、ちょっと困ったことが起きている。それは、iMacの内蔵モデムのATコマンド一覧がどこにあるか、いまだに発見できないのだ。パッケージ内のマニュアル、オンラインマニュアル、米Apple Computerのページも探したがない(探し方が悪いような気もするが)。ご存じのようにATコマンドは基本的なコマンドこそほぼ同一だが、細部にいたっては製品ごとに拡張が図られている。こればっかりは、一覧をみないと何が何だかわからないパラメータもあるのだ。
そんなわけで、iMac内蔵モデムのATコマンド一覧の在処をご存じの方がおられましたら、お知らせいただけると助かります。
[[Reported by 矢作 晃(akira-y@st.rim.or.jp)]