【コラム】 |
●Pentium II Xeonは、'99年後半に700MHzへ!?
来年前半には、新MPU「Katmai(コード名:カトマイ)」と「Tanner(コード名:タナー)」で500MHzを達成すると見られているIntelだが、どうやら来年の後半にはさらにMPUの速度をアップ、700MHzまで持って行く可能性が高いようだ。これは、「Intel plans even faster chips -- but who needs them?」(InfoWorld,7/14)や「700-MHz, integrated Pentium IIs for 1999」(NEWS.COM,7/17)などが伝えているもので、ソースはMPU業界専門誌「Microprocessor Report」らしい。
Katmai後継の高速MPUは、以前からウワサされている「Coppermine(コード名:カッパーマイン)」。InfoWorldではCoppermineが700MHzと伝えており、NEWS.COMではPentium II XeonブランドのSlot 2系が700MHz、Pentium IIブランドのSlot 1系が600MHzと報じている。また、このほかに、256KBの2次キャッシュをMPUと同じダイ(半導体本体)に統合した「Dixon(コード名:ディクソン)」も登場するという。Intel MPUは、より高速化と統合化が'99年に急激に進むというわけだ。
もっとも、これはそれほど驚くようなことではない。というのは、Intelは来年中盤から0.18ミクロンの製造プロセスを立ち上げることを、以前から表明しているからだ。現在の333MHz以上のPentium IIを製造している0.25ミクロンプロセスから0.18プロセスに移行すると、原理的にはより高速な動作が可能になり、経済的なダイサイズにより多くのトランジスタを詰め込めるようになる。
また、MPUの0.18へのシフトが進むことは、0.25の製造ラインが空いて、他の用途に使えるようになることを意味する。例えばチップセットだ。「Intel to take low road in chip-pricing campaign」(InfoWorld,7/16)は、来年前半に登場するチップセット「Whitney(コード名:ホイットニー)」では、Intelのグラフィックスチップi740と同等のコアを統合するという。350万トランジスタとMMX Pentiumと同程度のトランジスタを使うi740をチップセットと統合することも、0.25ミクロンに移行すれば可能になるだろう。Intelはハイペースな製造プロセスの移行で、一気に勝負をつけようとしているようだ。
●Pentium IIは秋には100MHzベースに完全に移行か?
また、Intelは年内のPentium II普及戦略も多少変更、高速化にさらに拍車をかけることにしたらしい。「Intel Roadmap Signals New Strategies」(Computer Retail Week,7/17)によると、Intelは今秋10月末の価格引き下げで、実質的にPentium IIラインを全部ベースクロック100MHz品に引き上げるという。たとえば、ベースクロック100MHzのローエンドのPentium II 350MHz版は、6/7の価格引き下げで510ドルになったが、これを、7/26には415ドルに下げ、さらに9/13には290に、そして10月末には210ドルへと一気に引き下げるという。つまり、秋の終わりには半値以下というわけだ。この通りだとすると、かなりアグレッシブな価格攻勢と言っていい。
Intelの現在のラインナップでは、200ドルはPentium IIブランドのほぼ底値に近い価格なので、この下の333MHz版と300MHz版は、実質的に存在意味をなくすことになる。当初の予定よりもややペースが早いこの100MHzシフトが意味するのは、100MHzベースのシステムのコストと供給量、とくにメモリが十分確保できるという見極めがついたということかも知れない。
もっとも、低コスト版MPU「Celeron」系列は、当面66MHzベースのまま残るようだ。Computer Retail Weekによると、Celeron系では、128KBの2次キャッシュを統合した「Mendocino(コード名)」333MHzが9月に190ドルで登場。一方、2次キャッシュなしの現行のCeleron 266MHzは7月にも100ドルを切るところまで下がるという。ローエンドのサブ800ドルクラスのパソコンでは、もはや100ドル以上のMPUを搭載するのは不可能に近い状態だが、ここへもCeleronの浸透が進みそうだ。
●上院が今週Microsoftをターゲットにした公聴会を開催
裁判まではまだしばらく間があるMicrosoftに、今度は上院が再度アタックをかける。「Senate to hold high-tech hearings next week」(San Jose Mercury News,7/16)によると、米上院司法委員会の委員長を務めるオリン・ハッチ上院議員が、再度Microsoftをターゲットにした公聴会を開くと発表したという。公聴会の日程は「U.S. SENATE COMMITTEE ON THE JUDICIARY MEETINGS OF THE COMMITTEE HEARINGS ON LEGISLATION」にポストされているが、今週木曜日の午前9時半から開かれることになっている。議題は「Competition and Innovation in the Digital Age:Beyond the Browser Wars」とものものしいが、「Beyond the Browser Wars」というのは、もうWebブラウザ戦争を超えたところにも焦点をあててゆくということらしい。San Jose Mercury Newsによると、ハッチ委員長は、セットトップボックス(TVに接続する機器:STB)市場でのMicrosoftの動向を警戒しているという。
前回の上院の公聴会では、Microsoft社のビル・ゲイツ会長兼CEOも証人として呼ばれたが、どうやら今回は招待は受けていないらしい。では、誰が呼ばれているかというと、「Ellison, Papows, Kertzman may testify at Microsoft hearing」(InfoWorld,7/20)によれば、Oracleの会長兼CEOのラリー・エリソン氏に、Lotus DevelopmentのCEOのジェフリー・パポウズ氏、それにSybaseの会長兼CEOのMitchellKertzman氏だという。また、エリソン氏のMicrosoft口撃が出るか?
('98/7/21)
[Reported by 後藤 弘茂]