【コラム】

後藤弘茂のWeekly海外ニュース
【ニュースサイトWatch】

Intelのサーバー向け「Pentium II Xeonプロセッサ」は6月29日?


●IntelがKatmaiとTanner計画を前倒し?

 先週のニュースサイトでは、米Intel社関連の話題がにぎやかだった。というのも、Intelの新製品の発表が近づいて来たほか、同社がカスタマ向けに新しいMPUロードマップを公開したらしいからだ。

 「Intel quickens pace of 32-bit processor rollouts」(InfoWorld,6/4)によると、Intelは来年前半の終わり頃に発表すると見られていた次期デスクトップ用MPU「Katmai」と、サーバー&ワークステーション用MPU「Tanner」の計画を数ヶ月、前倒しにしたという。これは、当然KatmaiおよびTannerの開発が順調に進んでいることを意味しているわけだが、Mercedが遅れるという悪材料の発表直後に顧客に明かされたのも、決して偶然ではないだろう。ただし、これでMercedと発表時期が1年近くずれてしまうことになるTannerは、当初はMerced用の新スロット「Slot M」用だと伝えられていたのが、Slot 2用になると変更されているらしい。これも当然の話だろう。Slot 2版MPUにしても、ようやく今月正式発表になるというペースなのだから。


●Xeonの価格は最高で4000ドル台か?

 「Xeon Tapped To Pick Up Slack」(COMPUTER RESELLER NEWS,6/5)は、IntelのSlot 2用MPU「Pentium II Xeonプロセッサ」発表は、6月29日だと報じている。Intelは、前から'98年“前半”にPentium II Xeonを発表すると言っていたので、これはぎりぎりで約束を守ったスケジュールということになる。この記事によると、Pentium II Xeonの当初の動作クロックは400MHzで、パッケージに内蔵する2次キャッシュは1MBと512KBの2バージョンがあるという。興味深いのは価格で512KB版は1,124ドル、1MB版は2,836ドルだとか。かなり、マーケットバリューを考えた価格設定のようだ。ちなみに、450MHzは2次キャッシュが2MBで出荷は第4四半期になるという。「Xeon, Intel price cuts due」(CNET NEWS.COM,6/5)では、業界筋の情報としてその最高速Xeonの価格を4,400ドル以上と伝えている。これでIntelが8 MPU対応のチップセットを出せば、MPUの価格だけで3万5000ドル以上になってしまうわけだ。この記事には、その他にPentium IIラインの今後2ヶ月の価格推移も載っていて面白い。


●新Celeronはもうすぐ発表?

 また、IntelはローエンドのCeleronプロセッサのラインの強化も図るらしい。「Intel Steps Up Plans For Its Celeron Chip」(InformationWeek,6/5)によると、早くも300MHz版を米国時間と月曜、つまり日本の火曜日には発表するという。このチップを使ったPCは複数のメーカーが出してくると思われているが、「With May Sales Off, Retail Looks for Killer System」(Computer Retail Week,6/1)によると、ソニーもこの夏にはこの新Celeron搭載版を含む低価格PCを米国で発売するという。Celeronには、ダイ(半導体本体)に2次キャッシュを搭載した「Mendocino(コード名)」も今年終わりには控えており、徐々にブランドとして定着しそうだ。ちなみに、Mendocinoは、最初は今のCeleronと同じ基盤状の「SEPP(Single Edge Processor Package)」パッケージになると言われているが、ワンチップにキャッシュも統合してしまえばその必要はない。最終的に今のようなパッケージではなくチップパッケージになるかも知れない。そうなった場合は、新しいSocket規格が出てくることになるだろう。


●Intelに対するFTC提訴は限定された内容に?

 IntelのMPU製品戦略の話題が多かったコンピュータ系のニュースサイトに対して、新聞系のニュースサイトでは、Intelに対するFTC提訴と株価の話題があふれた。

 気になるIntelに対するFTCの提訴は、「FTC to meet Monday; Intel may be on agenda」(San Jose Mercury News,6/4、リンクは既に消失)によると、米国時間の月曜日(日本火曜日)に行なわれるFTCのミーティングで話し合われるという。これは、FTCが先週の木曜日に、非公開の捜査に関する強制措置について話し合うと言ったためで、これはIntelの件だと受け止められている。

 しかし「FTC Staff Recommends Narrow Case Against Intel」(The Wall Street Journal,6/3、有料サイト、 http://www.wsj.com/ から検索)など複数の記事が伝えているところでは、FTCのスタッフは今回の提訴を比較的狭い範囲に止めるように提案していると言う。この記事では、今回の提訴は、法廷で争っている3社の顧客に対して、技術情報を公開しなかったという件に絞られるという。

 ただし、「FTC/Intel Lawsuit -2: Also Mulling A Broader Lawsuit」(Dow Jones Newswires,6/4、有料サービス)によると、FTCは今回の提訴とは別に、Intelに対してより広い範囲での捜査を行なっており、その件での提訴は早くても今年後半になるらしい。その捜査内容には、Intelがグラフィックス機能をチップセットに統合しようとしていることも含まれるという。もっとも、この手の記事というのは、FTC側からの意図的なリークということも考えられるので、どういう展開になるのかはまだ全然見えない状況だ。


●Microsoft裁判ではネットワーク効果が争点に?

 米Microsoft社裁判関連では、ちょっと面白い観点の記事があった。「Economists Who Testify in Court Enjoy a Very Lucrative Sideline」(The Wall Street Journal,6/5、有料サイト、 http://www.wsj.com/ から検索)は、政府側とMicrosoft側がそれぞれ経済学者を証人として立てると見られることから、経済学の論争という側面から分析している。

 それによると、経済学上では『ネットワーク効果』の概念の捉え方が、今回の争点になるという。これはどういう効果かというと、多くの人が使うようになればなるほど、その製品の利用価値が増えるという効果だという。例えば、電話がいい例で、電話を持つ人が増えれば増えるほど、電話の利用価値は増えるわけだ。これがOSの場合は、使うユーザーの数が増えれば増えるほど、対応するアプリケーションや開発者の数が増え、ますます価値が増すということになる。

 もちろん、この効果自体には本来的には反競争的な要素はないわけだが、政府側は、OSの場合は、ネットワーク効果がOSでの競争と参入に対して高い障壁を作ると論じてくるようだ。これは、ネットワーク効果の問題としてよく言われることで、効果が強まると、他の選択肢に切り替えるためのコストが飛躍的に増して、ユーザーが今のプラットフォームに縛り付けられるようになる、ロックイン効果を起こすという論だ。ロックイン効果の結果、ユーザーは優れた技術に移行がしにくくなり、独占を握った企業が反競争的な行為をすれば、ますますその障壁は高くなるというわけだ。この論は、上院の司法委員会で3月に行なわれた公聴会で、米Sun Microsystems社のスコット・マクネリ会長兼CEOも引用していた。

 また、この記事の指摘で面白いのは、政府側のMITの経済学者のフランクリン・フィッシャー氏は、じつはMicrosoft側のエコノミストであるRichard Schmalensee氏を教えた人物だという点だ。師弟が、同じ理論から出発して別なサイドに立って論を展開するという現象が起きるあたりが、こうした“法廷”経済学者の市場が小さいことを示していて興味深い。

 このほか、興味深い記事としては、MicrosoftとIntelの提訴を比べた「Unlike Microsoft, Intel Uses Light Touch in D.C. Dealings」(Washington Post,6/4)がある。一言で言えば、Microsoftの乱暴なやり方と対照的に、Intelは慎重に政府や監督機関との対応を研究してきたので、大きな違いが出るというものだ。


●Windows NT 5.0は、やっぱり遅れる?

Microsoft関連でこのほか、先週の目立った記事としては「NT 5.0 hits second beta in July」(CNET NEWS.COM,6/4)などが報じている、Windows NT 5.0の発売日が'99年前半にずれ込んだのが確実というニュースがある。ただし、正直な話、業界の内部では'98年中にWindows NT 5.0が出ることを信じている関係者はいないという状況だったので、目新しさはなく、それほど大きなスクープにはなっていない。 むしろ、Windows NT関連では、ネットワークセキュリティの専門家が、Windows NT 4.0の「Point to Point Tunneling Protlcol(PPTP)」には、根本的に問題があると発表したニュースの方が話題になっている。このニュースは「Cryptographer slams NT security」(CNET NEWS.COM,6/2)などで伝えられている。OSのセキュリティは、叩かれ、枯れてこないと確立しないのが通例といっても、これだけ不信感を植え付けてしまうと、あとが大変なような気がする。


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('98/6/8)

[Reported by 後藤 弘茂]


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