秋葉原

月1回連載:ショップの側から見た秋葉原事情

AMUAMUの「アキバの楽屋から」 第15回

3月のショップ状況。そしてWin98へ向かって

TEXT:AMUAMU


 「アキバの楽屋から」は、秋葉原のパソコンショップ店員である「AMUAMU」が、ショップの側から見た秋葉原事情を、月1回お送りするコーナーです。(編集部)


■3月の状況

 3月は年度末。企業の購入が多いお店にとっては年間を通して一番売れる時期です。決算前・期末の駆け込み需要が多いのが大きな特徴で、比較的高額商品や新規パソコン導入・アップグレードパーツの購入が多い月です。昨年の3月は消費税値上がり前と言うことで、非常によく売れましたが、今年の3月の売れ行きは簡単に言うと「まぁまぁかな」という感じです。企業の需要が比較的高かったのが影響していると思います。

 企業の需要が高い理由は税制の問題です。これまで資産扱いとなる価格が20万円以上とされていたのが、4月1日より10万円に引き下げられます。このため、20万円未満のパソコンやディスプレイ等への企業の駆け込み需要が高まったのが原因です。
 とはいえ、不況へのテコ入れから30万円に値上げされるという話も現在では出てきています。そうなればなったで、また需要が高くなると思うので非常に期待しています。

 でも、こうコロコロ変えられると大変ですね。店舗では3月にはセールストークで「来月から10万円になっちゃいますから、今買った方が良いですよ」なんて言っていたのに、30万に上がるとなれば嘘になっちゃうじゃないですか。(^^; これによって店舗でのセールストークも変わり、「今年だけですからもっと良い物を買っても余裕で30万円に収まりますから、良い物買いましょうよ」なんてことになりますね。


■3月に売れた商品

 3月に急にヒットし始めた商品といえば液晶ディスプレイではないかと筆者は思います。3月になり、急に売れ行きが良くなってきました。やはり価格が大幅に下がってきたのが大きな要因だと思います。14.1インチを中心に15インチも比較的よく売れます。人気があるのは飯山電機を筆頭に、シャープやI/Oデータ・メルコなどです。商品によっては人気が出過ぎて納期が3カ月以上かかる機種もあります。

 相変わらずノートパソコンは絶好調です。LibrettoとThinkPad 535Xが2強というところでしょうか。東芝のSatellite Proシリーズも比較的人気が高いです。SONYのVAIOシリーズは生産力に問題があり(筐体用のマグネシウム合金が不足しているのも原因らしいですが)、決して物が潤沢と言える状況ではなく「店頭にもっと在庫があれば売れるのに……」とはノートパソコン担当の人のため息です。もっと頑張って生産して欲しいですね。新規受注もさっさと終了してしまい、ずいぶん前に注文した物が遅れて今頃入荷することもあり、困ったもんです。でも、売れる良いノートなんですよね。(^^;

 CPUは、AMD人気に少しかげりが出てきてintel Pentium IIシリーズの人気が高まってきました。4月に入ってからは440BX等が登場してきていますが、233MHzや266MHzも比較的良く売れます。AMDはK6 3Dが出るまでは下降する一方かもしれません。

 メモリはSDRAM64MBが中心となってきました。ただ、3月は企業のマシンのアップグレード需要が強いためEDO 32MB SIMMもかなりの数が売れたのが印象的です。
 ハードディスクは相変わらずQuantumが強く、FireBall SEシリーズが主力です。人気の出る容量は昨年末からあまり変わっておらず、4.3GBが人気の中心です。値段は下降する一方なので、ショップからすれば、そろそろ容量を6GB台に持っていって、1台当たりの単価を上げたいところなのですが……なかなか思惑通りには行かないですね。(^^; 彗星のように登場したインド産のJTSハードディスクのように非常に安い物も出回ってきて市場は混乱気味です。筆者としてもJTS社のハードディスクに大きく注目しています。


■夏商戦に向けて。そしてWindows 98

 年度が変わり、ショップも気分も新たに厳しいパソコン業界を突き進んでいく必要があります。4月から5月末は6月・7月の夏のボーナス商戦に向けて、多くの製品がお目見えします。それに伴い、旧製品の終了も多くなり、ちょうど今は商品の入れ替え時期にあたります。品不足気味の商品もいろいろあり、ショップとしては品揃えが大変な状況です。そして7月の末にはWindows 98が控えています。徐々に市場はWindows98をターゲットとして動き始めました。

 店頭でパーツを販売している際に、最近よく聞かれるのが「Windows 98では大丈夫ですか?」という質問です。Windows 95の時のような盛り上がりは無いですが(というかわざとMicrosoftは盛り上げていない)だんだんとWindows 98が気になってくる時期です。パーツ類のWindows 98への対応はまず最初に気になることだと思います。

 簡単に括ると、Windows 98への対応は簡単なので、パーツにおいても早い対応が予想されます。Windows 98のドライバはWindows NT 4.0のドライバとかなり近いものがあるので、対応は容易なようです。どのパーツもすぐにWindows98対応をうたってくると思います。

 ショップでもWindows 98へ着々と準備がすすんできています。ショップブランドパソコンへWindows 98アップグレードサービスやアップグレード版の送付などのオプションがそろそろ付いてくるのではないかと思います。また、メーカー製パソコンもアップグレードに関するサービスが始まってくると思います。おそらく夏商戦向けに出るノートパソコン・デスクトップパソコンはアップグレード保証が付いてくるでしょう。


■Windows 98はUSBが良い!

 さまざまな雑誌等でWindows98β版の情報が流れてきていますので、Windows 98についての細かいところはそちらに譲るとして、筆者なりにWindows 98で感動したことと言えば、USB機器の便利さです。

 Windows 95ではUSB関連が非常に面倒で、動かない機器も多く、四苦八苦しながら設定をしていたのですが、Windows 98では気が抜けるほど簡単で「今まではなんだったんだぁ~」と叫びたくなります。USB関連のいろいろな機器はドライバも最初から組み込まれている物も多く、Windows 95では筆者は動作させることが出来なかったUSBスキャナなどが、繋いだだけでドライバも設定も要らず動いたときは感動ものでした。「USBって、やっぱり便利だ!」と思いました。USB機器は、6月ごろからかなりの種類がショップの店頭に並ぶと思います。楽しみ楽しみ。


■4月・5月は

 440BXを搭載されたマザーボードが発売されて、外部クロック100MHz時代に突入しました。市場でがらりと変わったことといえば、メモリ製品では100MHz対応に人気が集中していることです。

 ボーナス商戦を控えた4月・5月は、夏に向けて新製品がたくさん出てきますから、楽しみなことが多い時期だと言えますね。

[Text by AMUAMU]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp