【ソフト】 |
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雰囲気満点のデモムービー | シナリオ選択画面。シナリオが7本用意されている | 中国全土のマップ。かなり広い | 武将選択画面。慎重に選ぼう |
イベント画面、四者会談が行なわれている |
●シンプルな操作で、わずらわしさを感じない
ゲームの目的はもちろん、群雄割拠する中国大陸を統一し、自分の帝国を築き上げること。プレイヤーは登場する人物の中から好みのキャラクターを選び、その城(都市)を本拠地として戦いを開始する。あるときは敵と講和し、またあるときは武力でこれを撃破して、自分の領土を広げていく。街を開発し、食料と兵力を貯え、徹底した富国強兵策を貫くのが基本だ。
こうしたシミュレーションゲームはえてして操作が面倒になりがちだが、「三國志VI」では大胆にコマンドを整理し、とてもわかりやすくまとめている。基本的には担当大臣を決めて任せるだけでよく、プレイヤー自身が細かく采配する必要はない。軍事や外交に関する命令もすべて選択式で、実行前に軍師が適切なアドバイスをしてくれるから安心だ。わずらわしい操作に悩まされることなく、いきなりシナリオに没頭できるのはありがたい。戦闘シーンもシンプルで、部隊ごとに「城門を開けろ」「敵の大将を討ち取れ」など、大まかな指示を与えるだけ。兵種も歩兵や騎兵、山岳兵、水軍などが用意されているが、部隊によって攻撃力や移動力が違うだけで、指示の与え方や操作方法はまったく同じだ。操作はすべてマウスのみで行なえるので、キーボードが苦手という人はもちろん、お茶やお菓子を片手に楽しめるところもいい。
「三國志」というタイトルの重さからか、つい、重厚長大で複雑なゲームであると連想してしまいがちだが、今回リリースされた「三國志VI」はシナリオの楽しさはそのままに、初めてこのシリーズをプレイする人でも楽しめる、とても遊びやすいシミュレーションゲームとしてまとめられている。
内政を誰にどう任すのかを決定する | 都市がどうなっているのか細かくチェック | 群雄選択画面 | 群議フェイズ画面 | 捕虜の処遇を決定するのもプレイヤーの宿命 |
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なんといっても最大の特徴は、プレイヤー自身に「統率者としての懐の深さ」が求められるという点だ。「三國志VI」のコマンドは「内政」「軍事」「外交」などいくつかのジャンルに別れているが、基本的には1フェイズに1人の家臣が1コマンドしか実行できない。仮に5人の家臣を従えている場合、自分+家臣5人で、最大6コマンドを実行することができる。つまり、家臣が多ければ多いほど複雑な指示を与えることができるが、逆に家臣が少なければ自ずと行動に制限が生じるというわけ。したがってただ戦闘を繰り返し、闇雲に領土を広げても、十分な家臣を従えることができなければ、ゲームは自然に行き詰まってしまう。領土の拡張にあわせて、家臣もまた増やさなければならないのだ。
とはいえ、家臣として使えるならどんな人物でもかまわないというわけではない。各登場人物には知力、統率力、魅力、政治力など様々なパラメータがあり、性格や能力はそれぞれ違う。同じコマンドを実行させても、誰にやらせるかによってその結果は大きく変わるのだ。たとえば徴兵や条約の締結なら「魅力」や「政治力」の高い人物にやらせたほうが成功しやすいが、街の開拓や商業化なら「知力」や「統率力」の高い人物のほうが効果があるのは当然のこと。戦場においては、やはり「武力」がモノを言う。こうした能力の違いを把握し、どれだけ有能な人物を登用できるかが、このゲームの明暗を分けることになるだろう。在野の知将や名将を、いかにして取り込むか。また戦闘で捕らえた敵の家臣を、どのように懐柔して自分の「手駒」に加えるか。敵を倒し、斬首するだけでは、味方は増えない。統率者として魅力ある行動を取ることができなければ、大陸全土を支配することはできないのだ。
このほかにも、家臣同士の相性や忠誠心の揺らぎなど、「三國志VI」には単なる戦闘シミュレーションゲームを越えた複雑な要素が盛り込まれている。家臣の志に合わない命令ばかりを繰り返せば、次第にその心は離れ、いつしか忠誠心も失われてしまう。逆に志を汲みとり、同じ理想を抱く人物と共に仕事をさせれば、持っている力以上の能力を引き出すこともできる。実際「三國志」の魅力とは、関羽や張飛、諸葛亮など登場人物のつながりにあることは誰もが認めるところだ。
冒頭にこのゲームのことを「歴史シミュレーション」と紹介したが、中国史に登場する英雄を演じ、登場人物の志や心理が複雑に絡み合って物語が生まれることを考えるなら、むしろ「歴史RPG」と位置づけたほうが正しいかもしれない。人材の登用と適正な配置は企業経営にも通じるところが多く、ある種の「経営シミュレーション」的要素も感じる。
●果たして歴史は変わるのか!?
ヘルプ画面もちょっと凝っている |
知ってのとおり史実では、戦いの中で関羽、張飛が相次いで倒れ、劉備と諸葛亮も志し半ばに世を去った。「魏は蜀を滅ぼし晋となり、晋は呉を滅ぼす」というのが、史書の一節。さて今宵、あなたのパソコンではどんな歴史が生まれるのだろうか。
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