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CeBITは単なるPC系だけのイベントではなく、事務機や通信関係機器もかなりのスペースを割いて展示されている。そこでCeBITレポート最終回は、これまで紹介できなかったこれらの機器のなかから、ユニークなものを選んでレポートしよう。
●NTT DoCoMo:2001年に実用化される!? “携帯テレビ電話”
CeBIT会場ではPC系に迫るほどの広大なスペースを使って、通信関係の機器が展示されている。なかでも、携帯電話を始めとしたテレコム関係が実に盛んだった。とくにこの春、ヨーロッパを始めとした世界レベルで携帯電話関係の規格統一の方向性が明らかになったこともあって、新規格に則ったデジタル通信機器を展示しているブースも意外に多かった。
そのなかで、ユニークな展開をしていたのが、日本の「NTT DoCoMo」。日本国内では知らない人はいないほど有名だが、現地の人に聞くと、ドイツを始めとしたヨーロッパ市場では意外なほど知名度が低い、極東の一企業というイメージという。
さて、今回、NTT DoCoMoがメインにアピールしていたのが、統一規格になるという「W-CDMA」に準拠した携帯通信システムだ。今回展示されていた同規格準拠の携帯端末としては、まだテスト段階ではあるが、384Kbpsという高速での無線通信システム。そして、中速度となる64Kbpsでの携帯情報システム。より低速な回線を使った音声中心の通信システムという3つのカテゴリーに区分されていた。
実際にブースでは、NTT DoCoMoの仕様に基づいた携帯テレビ電話のモックアップ(型番が"P"になっているので、松下製と思われる)も展示されており、これがなかなかスタイリッシュ。もちろん、普段は単体でのデジタルカメラとしても利用できる点はいうまでもない。
もっとも、実際に液晶上で相手の画像を見ながら、どんなスタイル(持ち方?)で会話をするのかという大きな疑問は残るが、それでもなかなか魅力的な存在であることに変わりはない。その昔から、SFモノには必ず登場した“携帯テレビ電話”。それが、たった3年後の2001年には実用化されるという、具体的なスケジュールまで提示されると、かなり現実的なものに感じられるし、それが統一規格に則っているとなると、世界中どこでも使える可能性まであるわけで、なんだかちょっと不思議な感慨があった。
また、同ブースでは、同じ64Kbps規格の通信回線を利用して通信をおこなう、PCカード一体型の無線モデムも出品していた。
実験段階ではあるが、2Mbpsでの動画転送のデモも行われており、こちらは本格的なテレビ電話用という感じだった。
●松下:次世代モバイル情報機器を参考展示
松下ブースでは、次世代の携帯機器のモックアップが多数出展されていた。いずれも基本的には携帯電話とPDA的な機能を融合したものになっているのが大きな特徴で、テレビ電話やビジュアルデータ取り込み用の画像キャプチャー機能を備えたモデルもあった。
残念ながら、完全なモックアップという感じで、細部を見て行くと、現実味が薄い感じは否めないが、それでも同社が指向している携帯情報機器の方向性が明確に見られる点が興味深い。
また、カメラ機能を備えたモデルも、先のNTT DoCoMoのPマーク入りモックアップを見た後には、それなりに現実味のあるものという感じもする。さらに、機能面から見たデジタルカメラの将来像のひとつが、このような携帯情報機器への組み込み機能になることは、これらのモックを見ても明らかだ。
なかなか日本国内のイベントでは登場しない、このようなイメージモデルの出展だが、できれば国内イベントでもこのような夢のある出展をして欲しいものだ。
●ソニー:モモちゃんドイツへ行く
ソニーは以前紹介した「DVD+RW」「HiFD」「デジタルマビカデッキ」のほかにも、面白い出品が目白押し。そのなかから、とくに目についたものをレポートしよう。
すでに、やじうまWatchなどでも紹介された、ドイツ語版の「ポストペット」を出品。ブース内ではキャラクターのモモの気ぐるみが歩き回り、愛嬌を振りまいていたが、もちろん、ドイツでは無名のキャラクターだけに、来場者はビックリ!
しかし、ポスペのデモスペース自身は、他のアプリケーションと同列の扱いのためか、意外に空いていたのが残念。もっと大々的にアピールすればいいのに……。
まずひとつは、最近かなり普及してきたICボイスレコーダーのニュータイプ「Voice Balloon(ICD-V21)」。録音時間は10分と短めだが、149マルク(1万円強)と手頃な価格で、コンパクトだし、なによりもデザインがステキ! 実用性を考えると10分では足りない感じもするが、アクセサリー感覚で持ち歩いてもいいかなあ~と思わせる魅力がある製品だった。
そして、もうひとつは、超小型ムービーのように見える、スタイリッシュなマイク一体型マイクロカセットレコーダー「Mic'n Micro」。金属ボディーの本格的な(?)マイク一体型モデルで、結構コンパクトだし、とにかくわけもなくカッコイイ! 価格は199マルクと適度なもの。海外ではまだまだ現役で結構見かけるマイクロカセットの最新モデルだ! いずれもドイツでは今春発売になるという。
CeBITはPCだけのイベントではなく、さまざまな製品が展示されるだけに、こんなステキなモノが見られるのも、CeBITの大きな魅力といえる。
●ナナオ:18インチでSXGA対応の液晶ディスプレイ
●東芝:独語キーボードのLibretto 100CT
今回展示されていたのは、ドイツ語固有文字が盛り込まれたドイツ語版キーボード採用機。とはいっても、キーの数が多い日本語版キーボードに比べると、キートップが大きく、かなり打ちやすい。これは英語版「Libretto 50CT」にもいえることだが、やはりその打ち易さは「Libretto 70」よりも遥かによく、これなら原稿執筆にも耐えるレベルという感じがする。
一瞬、ドイツ語版でもいいから「Libretto 100CT」を買って帰ろうかなあ~とも思ったが、価格が5,000マルク近い(約35万円)ので、今回はパスしてしまった。もっとも、最近は英語版なら東芝の通販「Direct PC」で購入できるので、キーボードの打ちやすさにこだわる人は、多少高くても(今日現在で、218,000円)、そちらがオススメかも。
実際に今回のCeBITでは、かなり多くのブースで液晶モニター搭載のデスクトップPCをデモ用に使っていたのが印象的。もちろん、CeBITは巨大イベントとはいえ、展示スペースが限られることもあって、CRTモニターよりも多く感じられるほど、あちらこちらで採用されていた。もちろん、液晶モニターはヨーロッパでもまだまだ高価な存在ではあるが、将来が有望視される魅力的な表示デバイスとて注目を集めているようだ。
□CeBIT 98のホームページ(英文)
http://www.messe.de/cb98/index_e.html
□参考記事
プロカメラマン山田久美夫のCeBIT 98レポートインデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/980331/cebit_i.htm
('98/4/2)
[Reported by 山田 久美夫]