プロカメラマン山田久美夫のMACWORLD Expo/Tokyo '98レポート 第2弾

~広まりつつあるデジタルプリント ほか~


会場前 会場:幕張メッセ

開催期間:2月18日~21日

連絡先:MACWORLD Expo/Tokyo '98展示会事務局
    Tel.043-296-4455


●富士写真フイルム
JPEG、FlashPix、CAMのほか、CFカードやMOにも対応したF-DIサービス


 今回のExpoで一般公開された話題の新製品「FinePix700」と時を同じくして、富士が同社のデジタルプリントサービスのサポート拡大を発表した。これは一般のカメラ店経由での本格的なデジタルプリントサービスとして、昨年サービスが開始された「富士フイルム・F-DIサービス」と呼ばれるもの。基本的にはカラー印画紙にレーザー光線でデジタル画像を書き込むため、プリントのクォリティーがきわめて高く、保存性もパーソナルプリンターとは比べものにならないほど良好なサービスといえる。

 この「F-DIサービス」にはさまざまな内容のものがあるのだが、なかでも中核をなすものに「デジタルカメラプリントサービス」がある。これは当初、自社が採用している組み合わせである「スマートメディア」または「PCMCIAカード」で「EXIFフォーマット」のものに限定されていたが、今回はその範囲を大幅に広げられた。

 具体的にいえば、記録メディアは「スマートメディア」のほか、「コンパクトフラッシュ(CF)カード」「フロッピーディスク」「MO(540MBまで)」「Zip」までをサポート。記録フォーマットは「EXIF」のほか「JPEG」「CAM」「FlashPix」などもOK。つまり、少数派の独自フォーマット(J6I,TIFF EPなど)と、キヤノンが提唱し、松下も採用しているCIFFフォーマット以外なら、このプリントサービスを受けられることになったわけだ。

 そのため、現行モデルのほとんどは、記録媒体をF-DIサービスを行っている店に持ち込めば、プリンターを持っていなくてもプリントが得られるわけだ。


 また、アメリカで先行発表された、インターネット経由でのプリントサービスである「F-DIネットサービス」も日本国内での本格展開の開始を発表した。これは銀塩カメラで撮影したフィルムを元にデジタルデータ化。ID番号によりインターネット上でその画像を見ることができ、プリントを依頼することができるサービスだ。



●デジタルプリント
無人プリントマシン「デジカメステーション」をオリンパスブースで展示



 オリンパスブースでは、デジタルカメラのDPEサービスデジタルプリントが、セルフサービス型のプリントステーション「デジカメステーション」を出品していた。このマシンは、デジタルカメラの画像データを内蔵の昇華型プリンターでその場でプリントしたり、ISDN経由で本社にデータを転送することでカラープリント用ペーパー(コニカの100年プリント)でプリントできる、無人のプリントステーションだ。

 ステーションへの画像転送は、メモリーカードはもちろん、シリアル転送やIrDA(一部制限あり)での転送もOK。また、MO(128MB,230MB DOSフォーマット)やフロッピーに記録された画像データからのプリントもできるもの。

 もともと同社はインターネット経由でのプリントサービスで名を売った会社だが、この「デジカメステーション」を使えば、パソコンや直結式プリンターがなくても、デジタルカメラからのプリントが得られるわけだ。

 昨年は日本国内だけでも120万台もの市場となったデジタルカメラ。今後はさまざまなデジタルカメラからのプリント環境が整うことで、より多くのユーザーが、より気軽にデジタルカメラを利用できるようになることが予想される。その意味では、この先の「F-DIサービス」や「デジカメステーション」の普及が、デジタルカメラ普及のきっかけになる可能性が高く、今後の展開が期待される。もっとも、いずれもまだ知名度が低く、一般ユーザーに知られていないのが残念だ。



●大日本スクリーン
独自開発のPhotoshop用電子透かし用プラグインソフト「ユニマーカー」を参考出品



  グラフィック関係のプロユーザーが多いMacintoshの世界。それだけに今回のExpoでもデジタルデータの著作権埋め込みツールといった、やや特殊だが今後重要になるツールも出品されていた。

 今回IBMブースでは、大日本スクリーンが「ユニマーカー」という、同社独自開発の電子透かしシステムが参考出品していた。電子透かしというと、Photoshop4.0に標準装備されているデジマークが有名だが、このシステムを利用するには予め同社のWeb上に有償での登録をする必要があり、誰もが電子透かしシステムを有効に長期間活用できるわけではない。

 その点、この「ユニマーク」では、Photoshopのプラグインソフトというスタイルで、このプラグインを利用して著作権情報を始めとした諸情報を画像データに追加することで、このプラグインさえあれば、登録の必要もないうえ、その画像独自の情報(タイトルやキャプションなど)を埋め込んでおくこともできるわけだ。

 データの埋め込みは画像データの指定のチャンネルにバイナリーデータとして追記するもの。もちろん、その情報はある意味でノイズとして画像データに多少の影響を与えるわけだが、同社のテストによると、印刷原稿用としては電子透かしの存在を感じないレベルのものになっているという。

 もっとも、この「ユニマーク」はまだ参考出品であり、'98年春にMacintosh版が登場すると説明されているが、詳細はまだ未定の部分が多いという。なにしろ、電子透かしシステムといっても普及しなければ意味がないので、たとえば、情報書き込み用プラグインだけを有償で販売し、読み出し用プラグインを無償で配布するといった形態も考えられるという。画像情報のデジタル化で問題になる著作権については、現時点でほとんど野放し状態であるだけに、このような電子透かし方式による著作権の誇示は今後重要さを増してくると思われるため、今後の展開を大いに期待したい。


●エプソン
A3版カラーレーザーやPostScriptサーバーでプリプレス分野に進出


 エプソンは今回、A3版対応のスキャナーとプリンター、さらにポストスクリプトサーバーの組み合わせでプリプレス市場に積極的に参入する姿勢を見せた。

 ブースでは、いまやテレビCMでも派手なアピールを繰り広げているA3版カラーレーザープリンター「LP-8000C」や写真画質をうたう「PM-5000C」の実力をその目で確かめようという来場者で終始賑わいを見せていた。なかでも「LP-8000C」の人気がひときわ高かった。


 さらに、従来は小規模なデザイン事務所などでは購入が困難だった、ハードウエアによるカラー対応のポストスクリプトデータ印刷用のPSサーバー「PS-5000」も60万円弱で登場。A3対応の「PM-5000C」や先の「LP-8000C」(LP-8000C用は今夏発売のPS-5500Nという別物)との組み合わせで、高画質でコストパフォーマンスの高いカラーPS環境が整うこともあって、デザインやDTP関係者の間で注目を浴びていた。このあたりはプリプレス分野に強いMacintosh系のイベントならではの光景といえる。


●三菱電機
ロールペーパー採用でキャビネ判プリントも可能な業務用昇華型プリンター「CP800D」


 業務用の昇華型プリンターの世界で有名な三菱電機は今回、キャビネ判プリント(127×178mm)までカバーできる、ロールペーパー採用の新型プリンター「CP800D」を発表した。価格は35万円とそれなりに高価だが、画質はなかなか良好。また、オーバーコート式なので保存性も通常の昇華型よりも優れている。しかも、ロールペーパー式でキャビネ判用で60枚までの連続プリントができ、1枚当たりのコストも約100円と安い。

 会場でのプリントサンプルを見る限り、色や階調の再現性もよく、肌色もなかなか自然。解像度も1,280×1,768ピクセルと200万画素クラスのデジタルカメラにも十分対応できるレベル。インターフェースはパラレルとSCSIに対応しており、Windows 95とMacintoshのいずれにも接続できる。

 現在はデジタルカメラ用昇華型プリンターというとA6版が主流になっているが、キャビネ判、とくに枠なしのプリントができるようになるとかなり魅力的。できれば、このクラスの昇華型プリンターが個人レベルで購入できるようになれば、デジタルカメラで撮った写真を飾って楽しむことができるのだが……。


□MACWORLD Expo/Tokyoのホームページ
http://www.idgexpo.com/MACW/macindex.html
□関連記事
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

('98/2/23)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp