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今回のCeBITにも、数多くの国産のデジタルカメラが出品された。本邦初公開となったモデルは「CeBITレポート第一弾」でお届けしたとおり。そこで今回は、それ以外の国産メーカーのデジタルカメラについて簡単にレポートしよう。
●ソニー、「デジタルマビカデッキ」を参考出品
海外でも大ヒット中のフロッピー記録式デジタルカメラ「ソニー デジタルマビカ」。すでに世界的に恒例になった会場内での貸し出しはもちろん、フランクフルト空港でも実演デモを繰り広げていたのにはビックリ!
同社は今回、そのデジタルマビカのユニットを使って「デジタルマビカデッキ」というプロトタイプを出品していた。
これはデジタルマビカで撮影したフロッピーディスクを簡単に再生できる、液晶モニター付きのハンディーなプレイヤー。しかも、その画像をビデオアウト機能を使ってテレビに映すこともできる(デジタルマビカはビデオ出力がない)。もちろん、インフォリチウム電池での駆動もできるため、外出先でのプレゼンテーションなどにも利用できる。
さらに、デッキと名乗るだけあって、ビデオ入力(S入力可能)した画像を、3.5インチフロッピーにVGA画像としてJPEG記録することもできる。つまり、これ単体で簡単にビデオキャプチャーができるため、デジタルビデオやビデオテープからでも、いとも簡単に静止画キャプチャーが取れるわけだ。これならパソコンが苦手なビジネスマンでも簡単にビデオキャプチャーができるし、ビデオで撮影して報告書を作りたい人にも超便利。
よくよく考えてみると、ほとんどがデジタルマビカのユニットの流用なのだが、使いようによっては実に便利なツールになりそう。まだプロトタイプということだが、ぜひとも安価に発売して欲しいアイデア商品だ。
●リコー、初めてワーキングモデルを出品した「RDC-4300」
1月のCESで初登場したにも関わらず、まだ正式発表にならない「リコー RDC-4300」。だが今回はようやく、ワーキングサンプル(実際に稼働しているモデル)が出品されていた。
実際に手にしてみると、今回持ち歩いていた「ニコン COOLPIX900」より明らかに一回りは小さく、手にした感じもなかなかしっくりとくる。液晶の動きも十分に早く軽快そう。だが、まだβ版のためか、記録時間は若干長め(5秒前後)だった。また、今回は操作部の表記も英語版になっており、開発は順調に進んでいるようだ。
名称については、現地でのパンフレットを見ると、「4300」の「4」の文字だけが大きく、「300」の部分が小さな文字で印刷されていた。これはもしかすると、日本国内では「DC-4」という名称になるかもしれない。また、300という数字が3倍ズームを意味するなら「DC-4Z」あたりになるかも・・・。
●カシオ、今回もアクリル越しだった「QV-5000SX」
カシオは今回、QVシリーズとカシオペア、そして事務機関係(計算機やレジスター関係など)を多数出品。QV関係では、巨大なQVスタイルのデモ用カウンターを作ってアピールしていたが、注目の130万画素モデル「QV-5000SX」はまだアクリルのなかに鎮座していたのが残念。もちろん、まだ動いておらず、だいぶ開発が遅れている様子。
なお今回は、簡単なパンフレットが作製されており、主だったスペックとしては、CCDは1/3インチ131万画素。画像サイズは1280×960ピクセル。レンズは単焦点式で、ピントはAF式(最短10cmまで)。内蔵メモリーは8MBで、撮影枚数はSUperFineで17枚、Fineで33枚、Normalで64枚、ECONOMYで102枚となっている。サイズは147×69×50mm。
●松下、「COOLSHOT II mega」のシルバーモデルを出品
松下ブースでは、日本でも発表されたばかりの「COOLSHOT II mega」の欧州向けシルバーモデル「NV-DCF5E」を出品。デザインは日本向けと同じだが、同社のOEM供給と思われる某社のモデルと同じカラーリングだったのは、ちょっと意外だった。また、カタログによると、欧州向けなのにビデオ出力がPALではなく、NTSCになっているのがちょっと不思議だった。
●三洋、意外に賑わっていた三洋ブース
このところ、自社ブランドの新製品が途絶え気味の三洋電機。CeBITではドイツでの愛称である「D-Cam」シリーズでVGAモデルの「D-Cam(VPC-G 200EX)」と、XGAの「D-Cam X」(VPC-X 300EX)の2モデルを出品。その場で撮影し、PC経由でプリントするというデモを繰り広げていた。これらは日本国内向けモデルと同じモデルという。また、ブースでの話では、日本国内にないモデルとして、ヨーロッパの一部でVGA版マルチーズ「DSC-V1」のスマートメディア採用機も販売しているという。
だが、これといった新製品はないのに、なぜか、ブース奥にある商談スペースがやけに賑わっていたのが、ちょっと気になるところ。
●富士フイルム、FinePix700を積極的にアピール
富士フイルムはやはり「FinePix700」(現地名MX-700)をメインにした展開。ブースでは、パントマイム風の女性にFinePix700を持たせてのデモを繰り広げていた。また、「BIG JOB(HD-250)」も展示されていた。
意外にウケていたのが、プリントから簡単にプリクラ風シールを作製できる「CoCo De Seal」。まだまだ、この手のフォトシールはヨーロッパでは珍しい存在なのだ。
●エプソン、CP-500でプリクラシールのデモ
そろそろ新製品がでても良さそうな時期だが、今回も「CP-500」がメインのエプソン。同社はもちろん、プリンターがメインで、ブースではCP-500で来場者を撮影して、プリクラシールに印刷するデモを繰り広げており、行列ができるケースもあり、なかなかの人気を博していた。
●シャープ、Windows CE用カード式カメラがメイン
シャープは今回、デジタルスチルカメラ単体ではなく、話題のWindows CEマシンとデジタルカメラユニットという組み合わせでの、新型情報機器といった側面にスポットを当てていたのが印象的。同社もそろそろ次機種の声が聞こえてきてもいい頃なのだが・・・。
●東芝、Librettoへの入力機器としての展開がメイン
東芝は今回もアレグレットのみ。だが、現地ではLibrettoが大人気ということもあって、ノートPCへの気軽な画像入力機器といった位置づけでのアピールが中心だった。ユニークなモデルだけに、そろそろ同機の進化形が登場して欲しいところ。
□CeBIT 98のホームページ(英文)
http://www.messe.de/cb98/index_e.html
('98/3/30)
[Reported by 山田 久美夫]