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プロカメラマン山田久美夫の


CeBIT 98 レポート 第4弾 海外のデジタルカメラ編

~ 盛んだった海外勢のモックアップ攻勢 ~



 日本メーカーがリードしてきたデジタルカメラの世界。しかしここに来て、海外メーカーも積極的にデジタルカメラ市場に参入する姿勢を見せ始めた。とくに今回のCeBITでは韓国や台湾メーカーからの出品も多くなっており、今後の動向が注目される。そこで第四弾では、海外勢のユニークな製品やモックアップなどについてレポートしよう。


 
●多数のモックを出品した「SAMSUNG」

 早い時期からデジタルカメラに積極的に参入してきた、韓国の大手メーカー「SAMSUNG」。

SAMSUNGのブース Digimax30 Digimax30
 
Digimax50 Digimax50  まず、前月アメリカで開催された「PMA」で発表されたINTEL規格のCMOSモデル「Digimax30」。今回はオリジナルデザインの姉妹機よして、よりコンパクトでスタイリッシュな「Digimax50」を出品。


 
 さらに、実にユニークなコンセプトの参考出品モデルが多数出品されており、見ているだけでも楽しい。いずれも、モックアップ的で詳細なスペックなどは一切明らかにされていない。だが、すでに製品名がついたモデルもあり、まったくのモックというわけでもないようだ。


 
Digimax50 Digimax50  まず、液晶モニターの取り外しが自由にできる「SDC-56」。このモデルは、普段は液晶ナシで使うことができ、必要に応じて液晶モニター部を一体化できるもの。展示では液晶が内側を向いていたが、回転させることもできるようだ。細部の作りやスイッチ類も現実的で、動作モデルのように感じられた。


 
Digimax50 Digimax50 Digimax50
 
Digimax50 Digimax50  ”POP-eye”という愛称が付いた縦型モデル「SDC-55」。金属ボディーでどこかFinePix700のような雰囲気だ。このモデルはレンズ部がポップアップし、回転することもできる。さらに、ボディーも薄型で、携帯時にはレンズ部を引っ込めることができ凹凸がなくなるため、携帯に便利な点が大きな特徴だ。


 
SDC-55 SDC-55 SDC-55
 
Cshot  きわめてコンパクトな”Cshot”は、携帯時には液晶部がレンズカバーとなっており、撮影時には回転させて液晶ファインダーとして利用できるもの。しかも、液晶を左右どちら側に倒しても撮影できるため、その人の持ちやすい方向で撮影できるというメリットがあるという。

Cshot
 
 また、”O-Cam”という愛称のモデルは、Mini DVDRディスクを採用したデジタルビデオカメラ。40倍のデジタルズーム搭載機で、下部の平らな部分にMini DVDRディスクを挿入するようになっている。持ち易さはともかく、とてもスタイリッシュで斬新なデザインだった。

O-Cam O-Cam O-Cam
 
 これらのモデルはあくまでも参考出品のため、製品化されるかどうかはわからないが、日本企業にはない斬新さがあり、あと1~2年でデジタルカメラの画質レベルが安定したあとは、デザインや機能がカメラ選びの重要な要素になる可能性が高いことを考えると、これらのモデルの将来像には大いに期待できる部分がある。このような斬新なデザインが受け入れられるかどうかは別にしても、日本のメーカーもこのような斬新な感覚のコンセプトモデルを出品して欲しいところだ。


 


●スクエアスタイルのプロトタイプを出品した「LG電子」

LDC-F25  同じ韓国企業の「LG電子」は、発売中の「LDC-F20」「LDC-F25」のほかに、2種類のVGAモデルを参考出品。といっても、こちらは完全なプロトタイプだ。

LDC-F25
 
LDC-F10  「LDC-F10」は内蔵メモリー専用の薄型モデルで、ファインダーも光学式のみのローコストタイプだ。まだ、外観のみのプロトタイプだったが、120gと猛烈に軽く、小さい割に持ちやすいモデルだった。

LDC-F10 LDC-F10 LDC-F10
 
LDC-F30  「LDC-F30」は金属ボディー採用で液晶モニター付きモデル。レンズは単焦点式だ。こちらも外観のみで、どこかFinePix700に似通ったイメージがあり、操作部の雰囲気もDS-30にソックリ。しかも展示機には、富士の”Clip It”シールがずっと貼ってあった。これは半分以上冗談にしても、感心しないジョークだった。

LDC-F30 LDC-F30 LDC-F30


 


●OEM需要を重視した最新モデルを出品した「UMAX」

DC-A1 DC-A1  スキャナーやMac互換機でも有名な台湾のUMAXは今回、新型のVGAモデル「DC-A1」を発表。このモデルは単焦点レンズ式でCFカード採用の液晶付きVGAモデル。スタイルもコンパクトカメラだった。会場でのデモも行われていたが、カタログでは3秒の高速記録をうたっていたが、実際には5秒近くかかっており、まだ製品版という感じではなく、なんとかCeBITに間に合わせたという感じだ。


 
DC-A1 DC-A1  また、OEMを強く意識しており、ビデオ出力機能などはカメラ内で「NTSC」と「PAL」の切り替えもできるように考えられている。実際に会場内で同社のOEM担当者が、他社のデジタルカメラを見ているメーカー関係者相手にOEMの売り込みを通路でしているシーンもあったほど。また、このモデルをベースとしたXGAモデルも予定されているようだ。


 
 同社のほかにも数社の台湾メーカーがOEMメインのVGAモデルを出展しており、以前は内蔵メモリー専用機が多かったが、今回のCeBITでは大半のモデルがCFカードかスマートメディア対応になっていたのが印象的だった。


 


●地元だがいまいち元気がなかった「Agfa」

AGFA ePhoto1280  地元の大手フィルムメーカー「Agfa」は、今回も81万画素・3倍ズーム付きの個性派モデル「ePhoto1280」メインのデモを展開。地元でのイベントだけに新製品の発表を期待していたのだが、ちょっと肩すかしを食った感じだった。


 


□CeBIT 98のホームページ(英文)
http://www.messe.de/cb98/index_e.html

('98/3/27)


[Reported by 山田 久美夫]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp