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開催期間:3月19日~25日
●世界最大の見本市『CeBIT』に集結した、この春のニューフェース!
世界最大のPC、情報機器、通信系の総合イベントである「CeBIT」。日本ではあまり知られていないが、ヨーロッパではCeBITをターゲットに新製品が続々登場し、各メディアとも特集を組むほどの巨大イベントといえる。実際に、デジタルカメラ系でも3月中旬に発表されたモデルは、19日から開催されるCeBITをターゲットに日程が決められたといっても過言ではない。
開催地は世界最大のメッセ(見本市)会場であるドイツのハノーバー(HANNOVER)。このメッセの広さたるや驚くばかりで、幕張などとは比べものにならないレベル。約一キロ四方の敷地内に約26の独立した展示会場(独立した建物)があり、徒歩で会場内の一番離れたホールに移動するだけでも30分以上、混んでいれば1時間近くかかるほど。もちろん、会場内には循環バスがあり、それで移動する人も多い。
毎年、この地で開催され、開催期間は3月19日~25日までの一週間(それでもドイツの巨大な見本市では短めだ)。期間中にはヨーロッパ全土から約60万人が訪れ、開催だけはヨーロッパの各都市から直行便が飛び、IC(国際特急)が臨時停車するほどといえば、その凄まじさの一端が理解できるかもしれない。
あまりに巨大で広範囲な展示内容のイベントのため、第一弾ではまず、この春、CeBIT向けに発表され、一般向けに初公開された、デジタルカメラのニューモデルたちについてレポートしよう。
●ようやく姿を現した168万画素モデル「キヤノン PowerShot Pro70」
CeBITをターゲットに発表した、キヤノン自社開発の第二世代モデル「PowerShot A5」「PowerShot Pro70」。キヤノンブースでは、両機ともになかなか熱の入ったデモが行われていた。すでに実写データをお届けした「A5」はもちろんだが、今夏発売予定の168万画素/2.5倍ズーム搭載の「Pro70」も、モックアップではなく、ワーキングサンプル(動作モデル)が出展されていた。
実機を手にしてみると、C-1400Lよりも一回り以上大きな感じで、手の小さな私にはやや手に余る感じ。操作性は一眼レフの人気シリーズ「EOS」の操作性に近いものがあり、さほど違和感はない。また、液晶モニターがあらゆる角度に回転させて使うことができる点も便利だ。まだまだβ版の初期という感じだったが、記録時間は5秒前後と短く、CFカードが2枚装着できる点も便利そうだ。
もっとも、ファインダーが一眼レフタイプではないので、スタイルが似通ったC-1400Lとは撮影感覚が異なり、どちらかというと「DS-300」に近い感じ。しかも、ストロボが内蔵されておらず、外付け式になるため、ややバランスが悪い点が気になる。
ブースで配布されたプリントサンプルを見る限り、解像力はかなり高そうで、BJプリンターでA4判にプリントしてもほとんど不満のないレベル。顔だけを撮影した女性ポートレートでは、産毛すら写っているほどといえば、そのレベルが理解できるだろう。
現地での価格は2200マルクとアナウンスされており、日本よりやや高めといえる。
一方の「A5」もブースでの人気が高かったが、「Pro70」ほどの人気ではなかった。
●人気上々の「ニコン COOLPIX900」
ニコンは今回、130万画素の3倍ズームモデル「COOLPIX900」と、コンパクトなメガピクセル機「COOLPIX600」を出品。ブースの雰囲気もなかなか斬新な感じだった。
人気の中心は、やはり「COOLPIX900」。サイズが大きめでデザインも実用本位なモデルだが、興味の中心はカメラ本体は同じくらい、画質面に注がれているようだ。ブースでも、実写データをPC上で拡大表示し、そのシャープさをアピールしているシーンもしばしば見受けられた。
来場者の反応を見ていると、体格が大きく、合理的で基本性能を重視するドイツ人の指向にあった面を備えているらしく、なかなか好感を持って受け入れているように感じられた。
また、ブースではオプションのフィッシュアイやワイドコンバーターレンズも用意されており、実写デモも行われていた。モニター上でこれらを見る限りでは、専用設計ということもあって、画質の低下はほとんど感じられなかった。
●コンパクトな130万画素機「C-840L」とMO書き込みアダプターを出展したオリンパス
オリンパスは今回、CeBIT直前に発表したばかりのコンパクトな130万画素モデル「C-840L」をアピール。といっても、台数が少ないせいか、ハンズオン・デモはC-1400LやC-820Lがメインで、C-840Lは奥に隠してあるケースもあった。ブースにあったモデルを見ると、完全に日本仕様のままという感じで、”131万画素”と漢字で書かれたシールが貼ったままなのはご愛敬。しかし、このサイズで130万画素クラスのモデルが登場した点は、やはりかなり衝撃的に受け止められている感じがした。
□CeBIT 98のホームページ(英文)
('98/3/23)
[Reported by 山田 久美夫]
もともとは事務機系のイベントだったが、いまやPC系からマルチメディア、ネットワークなど、情報関連機器のほとんど網羅するイベントへと成長しており、ヨーロッパ市場の一年を占う、きわめて重要なポジションを占めている。今年も、参加国60以上、7200社が一堂に集う巨大イベントとなった。
もちろん、実際に手にすることもできるうえ、簡単な実写デモも行われ、さらにはプリントサンプルまで配布されるなど、かなり積極的なアピールを行っていた。人気も高く、興味のある人は10分近く触っている人もおり、手にすることはできるものの、かなり順番を待ちたされることもしばしば。
また、コンパクトなメガピクセルモデルである「COOLPIX600」も、動作モデルがきちんと用意されており、自由に手にすることができた。手にしてみると、本当にコンパクトでメガピクセル系モデル(画像はXGA)とは思えないほど。写りはまだ未知数であり、β機だけに画像の記録時間も結構かかっていたが、手にした感じも、カメラっぽく、携帯性のいい高画素機として期待できそうだ。
また、本邦初公開のものとしては、同社のモデルからシリアル経由でデータを転送し、PCなしで直接同社のMOドライブを駆動しデータを記録できるアダプター「dimo」を出品(199マルク)。PCなしではデータ保存が難しいという現行システムのネックを解消するものとして注目される。だが、MOという記録媒体自体、日本以外ではほとんど使われておらず、このあたりは大きなネックになりそう。また、ブースでの説明では、同社の特定ドライブだけに対応しているということだが、このあたりもネックになりそうだ。
http://www.messe.de/cb98/index_e.html
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http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm
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pc-watch-info@impress.co.jp