プロカメラマン山田久美夫のMACWORLD Expo/Tokyo '98レポート 第1弾

~新製品もなくやや低調だった『MACWORLD Expo/Tokyo』~


会場前 会場:幕張メッセ

開催期間:2月18日~21日

連絡先:MACWORLD Expo/Tokyo '98展示会事務局
    Tel.043-296-4455


●会場パノラマ

【会場のパノラマ画像です。クリックしてご覧ください】


 数年前まで国内のデジタルカメラの新製品はこの「MACWORLD Expo/Tokyo」で発表されたものだが、今年はいたって低調。なにしろ、今年はデジタルカメラ系メーカーの参加が激減し、今回は富士写真フイルムとオリンパス、エプソン、松下くらい。しかも、実質的に今回のMACWORLD EXPOで一般ユーザーに初めて公開されたモデルは「富士フイルム FinePix700」くらいしかないという、なんとも淋しいイベントとなった。

 しかし、こまめにブースを回り、情報を拾ってゆくと、いくつかの新しい展開が見られたので、今回はそのあたりを2回に分けてレポートしよう。



●富士写真フイルム やはり大人気だった「FinePix700」

 今回のMACWORLD EXPOで初公開された「FinePix700」。ブースでの人気はさすがに高く、かなりの人だかりとなっており、実機を手にするのも一苦労という状態だった。

 ブースでは同機を使って、ステージ上のモデルを撮影することもでき、その感触を確かめられる。興味のある人には必見モノ。もともとFinePix700は企画担当者がMacファンだけに、実際に手にしてみると、どこかMac的な雰囲気がある。それだけに「MACWORLD Expo/Tokyo」で一般に初公開されたのは、まさにタイムリーな感じだ。

 新感覚の高品位なメガピクセル機だけに、来場者にもなかなか好評なようで、一度手にするとなかなか手を離さない人も多かった。もっとも、電源をずっとONにしたままデモが行われていたことと、ボディーが熱伝達性の高いアルミということもあって、デモ機が結構熱くなっていた点はやや気になった。


●オリンパス
水中ハウジングとフロントコンバーターでラインナップ充実を図ったオリンパス

 オリンパスは今回、新製品こそなかったものの、ブースは結構な賑わいを見せていた。さらに今回はCAMEDIAシリーズをより多目的に使えるアクセサリーとして、「C-820L」、「C-420L」系ボディー用の「CAMEDIA 水中ハウジング」と、先だって発表された「C-1400L」、「C-1000L」用の3種のフロントコンバーターを出品した。



 これまでもデジタルカメラ用の水中ハウジングはサードパーティー製のものが何機種かあったが、メーカー純正品として登場したのは今回が初めてで、きちんと“CAMEDIA”ブランドを冠したものとなっている。製品の造りもかなりシッカリしたもの。メインスイッチ兼用のレンズカバーは開いたままハウジングに収納するタイプで、大半の操作部を外部から操作できるようになっている。ブースでは「C-820L」を収納したものを水槽に沈めてのデモを行っており、実物を手にすることもできた。

 もともとボディーサイズが小さいので、水中ハウジングに収納しても意外に気軽に撮影できるレベル。しかも、カメラのほとんどの操作性ができるので、アウトドアでのヘビーデューティー的な使い方もできそう。もっとも、外観デザインは汎用の水中ハウジングそのものなので、防塵防滴仕様(水中は不可)の「富士 BIG JOB DS-250HD」のようなハードさが感じられないのがちょっと残念だ。

 しかし、このような純正ハウジングを自社ブランドでこの時期に発売することを考えると、「次期モデルもこの筐体を使うのか……」と推測してしまうのは私だけではないだろう。




 また、同ブースでは先だって発表された「CAMEDIA C-1400L/1000L専用コンバージョンレンズ」も出品されていた。C-1400Lや1000Lユーザーにとってはなかなか魅力的な存在だが、結構高価なもの。なにしろ、一眼レフタイプとはいっても、3倍ズームレンズ固定式なので、自ずと撮影できる範囲が限られるもの。そのため、実際に写る範囲がファインダー上で確認できるというメリットを生かして、今回0.8倍のワイドと、1.45倍の望遠用、最短16cmも接写ができるマクロ用の三種が用意されたわけだ。

 ”専用”を名乗るだけあって、本当の専用設計かと思って現物を見てみると、いずれもカメラ取り付け用のネジ径を本来の径からサイズダウンするためのステップアップリングが装着されており、新設計というわけではないようだ。しかも、ワイドコンバーターは従来から同社が発売している35mmカメラ用コンバーターと同じものなのにはガッカリ。また、形状から考えても、ワイドコンバーターでは内蔵ストロボの光線がコンバーターの影になって陰ってしまう可能性も高い。もちろん、オプションとして用意した点は好感が持てるが、わざわざ“専用”と名乗るのはおかしいのではと思ってしまった。



●松下
長野オリンピック金メダル獲得記念で出品されたゴールドボディー「New COOLSHOT II」


 「そうかあ~、ついにGOLDモデルかあ~」と思ってしまったのが、写真にあるGOLD仕様の「松下寿 New COOLSHOT II」だ。最近はカラーやスケルトンなどデジタルカメラもさまざまなバリエーションが楽しめるようになったわけだが、いよいよGOLDモデルまで登場したか!と思ったのも束の間。ブースで聞いてみると、本機は“長野オリンピック金メダル獲得記念”で出品された完全な展示用モデルということ。もちろん、残念なことに、販売の予定は全くないという。

 しかし、現物を見るとなかなか魅力的で、ちょっとマニア心をくすぐる世界もある。なにしろ、もともと超コンパクトで基本機能も必要十分なモデルであるうえ、貴金属に近いアクセサリー的なイメージがあるので、こんな金ピカのモデルがあってもおかしくはない。もっとも、表面処理が光沢面になっているので、指紋が付きやすく、汚れが目立つわけだが、もともと実用的なものではないので、これもなかなかいいかも。

 まあ、銀塩カメラの世界では記念モデルではこのようなGOLDモデルが登場することもあるわけだが、次第に個性を失いつつあるVGAクラスのデジタルカメラだけに、ときには、限定発売でも、こんなインパクトのあるモデルが登場してもいいと思った。



□MACWORLD Expo/Tokyoのホームページ
http://www.idgexpo.com/MACW/macindex.html
□関連記事
デジタルカメラ関連記事インデックス
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/digicame/dindex.htm

('98/2/20)


[Reported by 山田 久美夫]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp