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2月5日にITUによって56kbpsの標準規格、V.90の技術仕様が決定した。V.90の正式勧告は9月になるが、ITUで決定した技術仕様の部分は今後変更されないため、正式勧告を待たずに各社からV.90対応のモデムが発売される見込みだ。各メーカーからいつごろV.90対応製品が発売されるか、また既存の56kbpsモデムに対するアップグレードがいつ提供されるかは、Rockwell、3Com、Lucent各社のV.90対応ファームウェアのリリース時期にかかっている。そこで、各社の日本法人にリリース時期を取材してみた。
各社の話を総合すると、V.90対応モデム製品は3月末から4月頃にリリースされ、アップグレードも4月中旬ころから提供される見込みだ。K56flexとx2のふたつの規格があり、双方標準規格の座を争って譲らない状況が長く続いたため、56kbpsモデムは話題にはなったものの、これまで肝心の売れ行きはふるわなかった。しかし、ようやくこの春には、店頭に並んでいる56kbpsモデムはどれもV.90対応しているという、一本化された状況になるようだ。
●ロックウェル・インターナショナル・ジャパン
ロックウェル・インターナショナル・ジャパンはV.90規格対応のモデム・チップセットの出荷を開始したと10日に発表。チップセットの量産出荷をすでに開始しているという。ただし、ファームウェアのリリースはこれとは別で、V.90対応のファームウェアのリリースは、2MB ROM版で2月25日、1MB ROM版で4月15日を予定している。ファームウェアアップグレードにより、2MB ROM版はV.90とK56flexの両方に対応するが、既存の製品に採用されている1MB ROM版では、V.90のみの対応となり、K56flexは使えなくなる。これはメモリの容量の制限によるもので、1MB版では両方のプロトコルを入れることができないという。
●スリーコム ジャパン
スリーコム ジャパンもITUのV.90規格決定を歓迎するとのリリースを10日に発表。このリリースで「3Comおよび他社は第一四半期にV.90規格準拠の製品を出荷する」としている。スリーコム ジャパンによると、3Comおよび3ComのDSP技術を採用しているモデムメーカーからのV.90とx2両対応の新製品は3月末ごろ、既存のx2モデムに対するV.90とx2両対応のファームウェアアップグレードは4月中旬には公開する予定。
●日本ルーセント・テクノロジー株式会社
メーカーのデスクトップ機には、K56flex準拠の56kbpsモデムを搭載しているものが多い。こうしたメーカー製パソコンに内蔵されているのが、Lucent社のDSP技術による56kbpsモデムだ。x2対応は3Com(旧 U.S. Robotics)のDSP技術を採用しているが、K56flex対応の場合、単体で販売されているモデムはRockwellのチップセットを採用しているものが多く、メーカー製パソコンに組み込まれている56kbpsモデムはLucentのものが多い。Lucentはコンシューマー向けの宣伝活動はしないため目立たないが、数としては、Lucentのモデムは非常に多く出荷されている。
日本ルーセントでは、V.90のファームウェアのリリース時期については、「まだ公表する段階ではない」が、「なるべく他社と足並みが揃うよう努力したい」としている。また、同社のモデムは3Com同様、DSPチップを採用しているため、「V.90対応のファームウェアはK56flexとの両対応になる」。なお、Lucentのモデムの場合、ユーザーへのサポートはLucentのモデムを採用した本体メーカーから行なわれる。
□米Rockwell International社のホームページ(英文)
http://www.rockwell.com/
□スリーコム ジャパンのホームページ
http://www.3com.co.jp/
□日本ルーセント・テクノロジーのホームページ
http://www.lucent.co.jp/
('98/2/12)
[Reported by hiroe@impress.co.jp]