スタパ齋藤

月1回連載:スタパ齋藤のパソコン的衝動買い的日常コラム

第3回:俺も買ったからキミも買え!!「VAIOノート PCG-505」




■あああっ!! 欲し過ぎ!!

VAIOノート PCG-505  VAIOノートPCG-715をゲットして浮かれて調子づいて「ラララ~ん、VAIOちゃん専用のカラープリンタ買っちゃうんだもーん」と脳天気にスキップしてLaOXに到着した俺の脳幹部を、希にみる物欲のグーパンチがブン殴ったので即座に気絶した俺が帰宅して気づいてみると、そこには新型のサブノートパソコンが置かれていた。

 くぅ~ッ!! これだコレだぜコイツなんだよアニキ!! 俺は生まれてこのかたずーっとこーゆーコンピュータが欲しかったんだ!! ていうか俺のDNAは何億年も前からこのよーなコンピュータを欲しがっていたんだ!! と本気で思うほど、俺は会心にして痛快なる衝動買いをしていた。すなわちVAIOノート505である。

 このコンピュータはとにかくイカス!! 505本体を購入したというのにまた翌日ショップに出向いてカタログを3部もらって来ちゃうほどイカス!! そして1部を閲覧用、1部を保存用、最後の1部を万が一のための予備として保管したくなるほどイカス!! どうせなら有り金はたいてもう一台505を購入して使わないで新品のままずっと保管しておこうかナと考えたりするほどイカス!! だから皆さんもぜひ買おう!! 俺も買ったからキミも買え!! をはり。



■をはり、じゃねえよこの糞っケツ野郎!!

厚さ23.9mm!!
 と、不適切な発言を含んだ小見出しを付けてしまうほど、俺は気分爽快なのである。何たってこの、世にもカッコよいし、しかも実用的だし、ついでにコンセプト的にもキまくってるサブノートを手に入れたのだから。

 505は、まず非常に魅力的な外観を持つ。マグネシウム合金に包まれてるだけでとりあえずバッチグーだと言える。例えば5年前のパソコンユーザーにこのマシンを見せたら、まず間違いなく地球外知的生命体のパソコン野郎だと思われて警察や消防署に通報されるだろう。10年前なら未来から来た未来のパソコン野郎だと思われて「映画の撮影かなんかですか」とか質問されるだろう。世紀末の現在見ても、505は超尖ったフォルムをしているのだから。

 が、外見だけではなくて、そのサイズときたらB5!! しかも厚さ23.9mm!! 重さは1.35kg!! なのに10.4インチのSVGA(800×600)のTFT液晶ディスプレイ!! この筐体のどこにハードディスクが入ってんだよふざけんじゃねえよ素人だと思ってバカにしてんだろおいコラ放課後体育館の裏に来い、みたいな感じで一瞬呆気にとられる内容だ。

 見た途端欲しくなると言うのはこういうモノのことだ。で、スペックを知った瞬間買ってしまうというのはこういうモノだ。さらに、使ってみた瞬間買うのを忘れて万引きしちゃいたくなるような内容なのだ、コレは。



■全然見かけ倒しじゃない!!

 ハッキリ言って、このテのマシンはいくつかあった。あ、こういうデザインということではなくて。ひとつのコンセプトを貫き通しまくったため、市場にあるものとはまったく異質な存在となって世に出たマシン。が、悲しいかな、そういったスーパーコンセプチャルなマシンは、一部のマニアを喜ばせはするが、一般には受け入れられなかったりする。コンセプトばっかり貫き通すと、使いづらくなりがちだからだ。

 俺の場合も、数台、そういったマシンを購入した。敢えて製品名は挙げないが、とにかくそれらのマシンはカッコよくて、ステキで、持ってるだけでシアワセになれるようなモノだったのだが、非常に使いづらかった。強引にそれらのマシンを使いこなす人々もいたが、俺にはそーゆー半導体的一蓮托生根性がないので、最終的には何の未練もなくなって手放したりした。コンセプトばかりが先行したマシンというのは、話の種になりはするものの、それだけで、いつかはそのコンセプトが放っていた光が失せ、忘れ去られるのだ。が、505は違う、と俺は直感した。だって実際使っても支障なく使えるし、今まで俺がサブノートに対して抱いていた不便さをほとんどクリアしてるんだもーん もーん もーん。

 まず、非常にコンパクトなのに、物理的なユーザーインターフェイスを無理矢理コンパクトにしていないのがいい。サブノートだから640×480、サブノートだからキーボードのサイズは犠牲に、サブノートだから過剰に小さく、てなことがない。さらに、サブノートだから処理性能はいまひとつ、サブノートだから空きストレージサイズもテンポラリ程度、サブノートだから機能は限定、サブノートだから割高、なんてなことだって全然ない。

 持ち出して使いまくるための機能を十分に持たせてある。505をいじくっていると、今までの“サブノートだから”というのは単なる屁理屈であり言い訳であり、“サブノートなのに”というのが贅沢でも何でもないことがよくわかる。ある意味怠惰なサブノート市場に対し、まるで喧嘩腰で送り出されたようなマシンなのだ、505は。ていうか怒ってるんですかもしかしたらソニーさんは。



■ソニーらしいと言うのは簡単だが……

 このマシン、外見もさることながら、内容も主張ありまくりなギミックでいっぱいだ。プログラマブルパワーキーによるワンタッチ的メール読み出し、液晶ディスプレイ脇にあるペン収納サイドポケット、ペン操作対応タッチパッド、マグネシウム合金がもたらす筐体の強度・安心感、他のVAIOシリーズに通じるホビー指向のプレインストールソフト。部分的に見ても総合的に見ても、まあずいぶんと個性のあるコンピュータだ。

 で、505のこういうことをひっくるめて“ソニーらしい”と言ったりするわけだが、そんな簡単な一言で片づけるには余りにももったいない。

 全部が全部パーフェクトでこれ以上はなくて最高で完璧だ、というわけではないが、個々のギミックのこだわりようをもっとじっくり味わいたい。とりあえずマグネシウム合金でB5でPentium 133MHzのサブノート、というだけで売れる状況なのに、コネクタの位置やレイアウト、内蔵された機能、ソフトウェア、それからあのやり過ぎっぽいほどサイバーな起動音、さらには起動時に表示されるSONYの4文字まで、どーしてそこまでこだわるのかなっ(欽ちゃん風)と叫びたくなるほど、ていねいに作り込まれている。

 そういう見方で他のメーカーのハードウェアを見ると、まあなんと大雑把なことか。このコネクタが小さければ、この箇所がもうちょい後ろなら、ココにあとちょっと強度があれば。些細なことかもしれないが、ユーザーにとってはこの些細なトコロが気になってしょうがないのだ。もちろんヒジョーによくできているという製品もある。でも、大半のハードウェアからは、「さああの路線が売れてるからウチでも出そう」という“だけ”で出したよーな印象を受けてしまう。

 ソニーに限らず、その分野でのリーダーシップを取っているメーカーの製品には、やはりそういった細部へのこだわりが感じられる。まあ、たまーに、リーダーシップを取っていながらも全然ナニな製品ばかり出してる偶然的メーカーもあるが。

 ともあれ、やはり、こういった、“金儲けを超えた何か”をもってしてモノ作りをしているメーカーの製品からは、“~らしさ”というのが匂ってくる。しかもかなりいい匂いだ。



■でね、でね、でね

 そんなわけで、このソニーらしいコンピュータであらせられるVAIOノート505は、もう持ってるだけでニヤついてしまうほど、いい感触をしている。液晶も(鮮明かつ明るくて)イイし、キーボードも(十分な大きさがあって打ちやすくてタッチも)イイ。そしてVAIOの得意技(?)のCommunicationCenterで電話できちゃうトコロもステキ。使ったり持ち歩いたり見せびらかしたりするのがとても楽しいコンピュータなのだが、その値段もいい感じだ。

 オープン価格なので公式資料では価格不明なのだが、俺が発売直後に買ったときは、どこでもだいたい248,000円だった。で、この価格、俺としてはかなり安いように感じた。マジで使い物になるサブノートを手に入れて、その手触りがよくて存在感が重厚で、ついでに非常に楽しい気分になれて、で、25万円程度だったら、これは安いと思う以外に何を思えばいいのかーっ!! 我思う故にコレ安いとでも思えというのかーッ!! ってわけわかんねえよ>拙者。

 正直な話、これだけヒキのあるマシンを25万円程度で売るのは、太っ腹というか世間知らずというか価格破壊というか、なーんか非常識な気がしなくもない。

 でも、続けざまに同メーカー同シリーズのノートパソコンを買っちゃった俺の年末年始の懐具合は、パソコン野郎としての愉快感に反比例して残念な内容となっているので、衝動買いもほどほどにした方がいいヨ>わし。


[Text by スタパ齋藤]

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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp