究極の(?)NotePC!!
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今年3月4日の"リレー連載 物欲道修行記
第28講"ネタで使った、IBM ThinkPad 560
Multimedia Modelは、筆者があまりにも酷使するのでCOMDEX Fall'97へ行く前から非常に調子が悪かった。取り敢えずだましだまし使って今回の海外出張は何とかなったものの、もう限界であろう。
ただ考えてみればガタが来るのも当たり前。
……など、たった約9ヶ月間であるが、いくらThinkPadとは言え過酷な条件が続き過ぎた。このため、あっちこっちの立て付けはガタガタ、液晶のドット欠けは数えられない程増え、輝度調整も固定になり、接触不良でパネルが消える事もしばしば。更に運が悪いと「OSが入っていない!」とHDDに怒られる始末。(つまりHDDが壊れかけ ^^;) 「これはそろそろ交換しないと仕事にならない」と、色々悩んだ結果、飽きもせずIBM ThinkPad 560Xに決定した。
とは言え、今回は即ThinkPad 560Xに決まったわけではなく、もちろん候補としてPC Watchラジオで見たSONY
VAIO PCG-505も上がっていた。SONY VAIO PCG-505はSONY党の筆者としてはかなり気になる存在。ルックスも良く、非常にコンパクト。これまで使っていたThinkPad
560 (Pentium-133MHz / L2 cache none、RAM 40MB、HDD 1.08GB)
と比較するとスペック的には少し上であり、そう考えれば十分仕事をこなしてくれそうだ。他にはIBM ThinkPad 560EやThinkPad 535Eも候補に上がったが、あまりにも代わり映えしないしないのでボツとした。
いずれにしても二倍以上の価格差もあるので、単純比較は変かも知れないが、仕様を表にまとめるとこんな感じになる。
Model | IBM ThinkPad 560X(2640-70J) | SONY VAIO PCG-505 |
CPU | MMX Pentium-233MHz/L2 256KB | MMX Pentium-133MHz/L2 256KB |
RAM(最大) | 32MB(96MB) | 32MB(64MB) |
Video | MagicGraph128XD / 2MB 800x600 24BitColor 1024x768 16BitColor(CRT接続時) |
MagicGraph128ZV+ / 約1.1MB 800x600 16BitColor 1024x768 8BitColor(CRT接続時) |
液晶パネル | 12.1inch 800x600 TFTカラー液晶 | 10.4inch 800x600 TFTカラー液晶 |
HDD | 4GB | 1GB |
PC Card | Type2×2、ZVポート/CardBus対応 | Type2×1、ZVポート/CardBus対応 |
ポインティングデバイス | TrackPoint III | タッチパッド |
サイズ | 297mmx31.0mmx222mm 1.9kg |
259mmx23.9mmx208mm 約1.35kg |
さて、NotePCの主な用途をアプリケーション毎に分類すると、1)Netscape
Communicator 4.04、2)FrontPage 98、3)Schedule+、4)ThumbPlus 3.10、5)秀丸、6)秀Term、7)Photoshop
4.01……。小物を除けばこんなところだ。これを見ても1)~6)まではVAIO
PCG-505で特に問題はない。
ただ最後のPhotoshopが曲者。デジタルカメラの画像をレタッチする場合、一般的な140万画素までであれば、RGB
24ビットカラーモードで一画像4MB未満。これなら64MBもあればレイヤーを10枚重ねても大したことはない。しかし、筆者の使っているCanon EOS DCS 3c(130万画素)やDCS 1c(600万画素)になるとRGB各12ビットあり、RGB
36ビットモードを使ったTWAIN取り込みで130万画素でさえも一画像7.34MB、600万画素に至っては一画像35.5MBと膨大なメモリを必要とする。欲を言えば128MB以上欲しいところなのだ。ただし、レベル補正した後は24ビットモードへ変換するので、そこからはかなり楽になるものの、いずれにしても最大64MBではちょっと不足。こんな要求はかなりレアケースだと思うが、筆者にとっては重要な問題である。
更にTrackPoint党としては、どうしてもタッチパッドは好きになれず、VRAMが少ないのも減点要素。結果、高価なのは承知でThinkPad
560Xとなったのだ。しかし、SONYのVAIO PCG-505もかなり魅力的なマシンである。余分にお金があれば是非とも欲しい。来年出るであろうNew
Modelを考えると、せめてCPUがMMX Pentium-166MHzになり、赤字の所さえ直ればバッチリだ。期待してます!!
>SONY
◎とにかく速い!! 現在、筆者のメインマシンはPentium Pro-200MHz、RAM 128MB、HDD 2GB(SCSI)、ビデオ ATI XPERT@Play(4MB)であるが、MMXの効果もあり、特にPhotoshopに関しては圧倒的にThinkPad 560Xが速い。驚く事に600万画素の画像をストレス無しに扱えるのだ。しかし考えてみれば、事務所の中ではGATEWAY2000のPentium II-266MHzマシンの次に速いクロック。逆にこのぐらいは動いてくれないと面白くない。ただ「通常の業務にここまで速いマシンが必要か?」はちょっと疑問。一般的にはMMX Pentium-166MHzを搭載したThinkPad 560Eクラスで十分ではないだろうか!? 次にMagicGraph128XDのビデオもけっこう強力。同じ800x600 24BitColorや1024x768 16BitColorで比較する分には大差なく、「これ本当にNotePC?」と疑いたくなる程のパワーだ。もちろんMPEGなどビデオ・プレイバックはATI XPERT@Play同様、どの解像度でも再生エリア内は24BitlColor表示となる。外部CRT使用時はハイ・リフレッシュもOK。できれば、ディスプレイのプロパティに"ガンマ補正"のパネルが欲しいところだ。 実際長時間使って驚いたのは"熱くない"こと。Tillamookの特徴として低消費電力化が図られ、従来の約半分となっているが、確かにそう感じられる。これまでThinkPad 560や535を股の上へ置いて操作していると「熱い!!」って感じになった。しかし、このマシンを何時間使っても「少し暖かい」程度。この冬場なら丁度良い感じである。 調子にのって、今回は"拡張ポートリプリケータ"もゲット。あらかじめモニタ、キーボード、マウス、EthernetCardなどを接続しておけば、本体の蓋を閉じたままでオペレーション可能となり、正にDesktopPC代わりに使え便利。オマケでType2のPC Cardが4つ使えるのも筆者にとってはありがたい。 さて残念ながら、今回のThinkPad 560Xから搭載されたUSBに関しては、USB対応の周辺機器を持っていない関係で、何もチェックはしていない。何か接続するにしても、あまり欲しい物も無いのが現状だ。 |
拡張ポートリプリケータ(前) リレーが入っているのか?電磁ロックが入っているのか? 電源のON/OFFで「バッチン」と大きな音がする。 拡張ポートリプリケータ(後) Type2のPC Cardが4つ入る CardBusコントローラにはTI PCI-1131/1250を使用 左端がUSBポート だんだん防水・防塵性が悪くなって行く……。 |
×気に入らない点 高価なだけあって、満足度の高いマシンであるが、もちろん気に入らない点も数多い。
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■総評
何にこのパワーを使うか?はその用途にもよるだろうが、とにかく「重量2.0kg未満でカバンに入れて持ち運びができ、実用的且つ最速・最大容量、そしてWorldWideサポートの最強NotePC」としては今のところThinkPad
560X以外の選択肢は無い。そういった意味で、このマシンに魅力を感じる人は意外と多いかも知れない。今更ながら最大の弱点は価格である。SONY
VAIO PCG-505を2台買ってもまだ余るのだから……。(^^;
以上、現時点ではある意味において"究極の(?)NotePC" IBM
ThinkPad 560X使用レポートをお届けした。概観こそ従来のThinkPad 560(E)とあまり代わり映えしないが、中身はとてもパワフルなマシンに仕上がっている。ただちょっと恐いのは数ヶ月後に1024x768の液晶を搭載し、MMX
Pentium-266MHzとなってニューモデルが出るかも知れない事である。さすがにこの価格帯はおいそれと衝動買いできる範囲を超えている。その時は宜しくネ!!
:-) >IBM ThinkPad担当殿
[Text by 西川和久]