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インテル、モバイル用の新世代MMX対応Pentiumを発表


'97/9/9 発表会開催

●新世代のモバイル用CPU登場

MMX対応Pentium 200/233MHz インテル株式会社は、9日、ノートPCにむけた新世代のMMX対応Pentiumを発表した。このCPUは、従来“Tillamook(ティラムーク)”のコード名で呼ばれていたもので、インテル初の0.25ミクロンプロセスで製造される。モバイル用Pentiumとしては初の動作周波数200/233MHzを実現。デスクトップ用CPU並みの高クロックを実現しながら、モバイル用の低消費電力を合わせ持っている。

 パッケージはTape Carrier Packaging(TCP)と、モバイルモジュールが用意される。モバイルモジュールは従来“MMO”と称されていたチップセット一体型のボード型モジュールで「インテル モバイルモジュール(IMM)」が正式な名称となった。

 価格は233MHzのTCPが85,110円、IMMが94,100円、200MHzのTCPが65,280円、IMMが74,390円(1,000個ロット時の単価)。当初は、4,000ドル以上のハイエンド機種への搭載が見込まれる。

 インテルによれば、モバイル用としては最上位CPUであったMMX対応Pentium 166MHz(モバイル版、以下同)が7.7Wの消費電力なのに対し、今回の200MHzは3.4W、233MHzは3.9Wとほぼ半分になっている。これは166MHz版の動作電圧がコア部2.5V、I/O部3.3Vだったのに対し、コア部1.8V、I/O部2.5Vと低電圧化されたことが大きい。消費電力の減少により、ノートの大きな問題である熱設計も従来よりも余裕を持って設計できるため、空冷ファンを省略した超薄型や超小型のノートの登場が期待される。 また、性能面ではインテルが公開している整数演算、浮動小数点演算、マルチメディアなどの各ベンチマークテスト結果で、166MHz版の1.2~1.26倍の性能を示している。

 なお、発表は米Intel社副社長兼モバイル&ハンドヘルド製品事業本部本部長のStephen Nachtsheim氏によって行なわれた。発表後の質疑応答の際にNachtsheim氏は、「Pentium IIのモバイルバージョンは'98年前半、ノート用のAGP対応チップセットは来年の後半に発表される」、「モバイル用のCPUのパッケージはモバイルモジュールとTCPの両方の開発を続ける」、「デスクトップ用の0.25ミクロンプロセスのCPUは、半年以内に登場の予定」、「Intelは、モバイル市場がパソコンにとって重要な市場であることを認識しはじめており、この2年間で投資額は3倍になっている」などと述べた。

●新CPUを搭載したノートPCが一斉に登場

三菱 Pedion  本日の発表会場には10指に余るメーカーが新CPUを搭載した自社の新製品をひっさげて参加した。アキア、キヤノン、コンパック、富士通、ゲートウェイ2000、日立、日本IBM、三菱電機、三洋電機、シャープ、ソニー、松下電器が実機を展示した(松下、コンパックは参考出品)。また、発表会に参加しなかったマイクロンも製品を発表した。

 しかし、ノート用PCの最上位に位置するCPUだけに、最初に搭載されたのは各メーカーの旗艦ともいうべき最高峰のモデルがほとんどだ。20倍速CD-ROMドライブ、5GBを越えるHDD、13インチ以上のXGA対応TFT液晶ディスプレイ、4MBのビデオメモリなど、ほとんどデスクトップPCに比肩しうるスペックをもっている。もちろん価格的にも70万円以上のものが多く、企業向けの製品が大半を占めている。いわば、大艦巨砲主義のノートである。

 一方、三菱「Pedion」は、価格こそ高いものの、他の製品とはまったく異なる方向を向いた製品であり、新CPUの高性能と低消費電力という可能性を示した。発表会場でも唯一、発表者の米Intel副社長Nachtsheim氏が手にもって製品を示し、その薄さは会場内に強い印象を与えた。 Pedionの薄さは、単に新CPUが直接もたらしたものではなく、どうしても薄くするという熱意による各部品へのこだわりが生んだものではあるが、新CPUのイメージリーダーとしてかけがえのない存在だ。

 また、IBMのThinkPad 770が14インチを越す巨大な液晶ディスプレイと、新しいポインティングデバイスを搭載し、DVD-ROMドライブの搭載などをふくめて技術的にトップを走り続けるというメーカーの気迫を感じさせた。また、従来からIMMを採用していたゲートウェイ2000が、いち早く製品を発売したことが印象的であった。

 なお会場には、最大手であるNECの製品が展示されていなかった。インテル側では「こちらからは声をおかけしているので、理由はNECさんの方へ聞いてください」との発言があり、NEC広報に確認したところ「ボーナス商戦もすぎており、いま発売するのは得策ではないと判断している。技術上の問題ではなく、純粋に販売政策上の問題」との回答であった。インテルが音頭をとった各社一斉の発表であっただけに、今回のNECの不参加は両社の思惑の違いが現われた格好となった

□インテル株式会社のホームページ
http://www.intel.co.jp/
□ニュースリリース
http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press/ppmtn233.htm

('97/9/9)

[Reported by date@impress.co.jp]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp