短期集中連載:西川和久の「Windows NT 5.0 Beta1 使用レポート」

Windows NT 5.0 Beta1 使用レポート
最終回
『残りを一気に!編』

Text by Kazuhisa Nishikawa


 "Windows NT 5.0 Beta1使用レポート"も今回で取り敢えず最終回。とはいえ、まだ書いていない部分がかなりあるので、“サーバー”、“ネットワーク”、“ファイルシステム”、“管理ツール”……など、残りを一気に紹介する。


IPSec
TCP/IP Protocol Properties->
Advanced IP Addressing->Enable Security(ON)
■サーバー

 サーバーの強化ポイントは、Active DirectoryHydra ServerIIS 4.0が上げられる。Active Directoryは従来のWINS+ドメインという管理方法から、TCP/IPベースのLDAPを用いた"階層型リソース管理アーキテクチャ"を導入。グループ/ユーザー/マシン/公開リソース/サービスなど、管理に必要な全ての情報をデータベースで集中管理し、大規模なネットワークの構築も可能になった。(但し、互換性を保つためWINSベースも残されている。)

 Hydra Serverは前回触れたWBT用のサーバー。IIS 4.0は既に先日公開されているので、Windows NT 4.0でも使用可能である。
Packet Scheduler MiniPort Driver
同じNetworkCardにPacket Scheduler MiniPort
ドライバが追加された。
これによって帯域保証が可能になる。
■ネットワーク

 ネットワーク関係では以下の様な機能が標準で追加された。ただし、DFSなど本来Windows NT 5.0で搭載される予定の機能も前倒しでWindows NT 4.0へ搭載されたものもある。
  • Dynamic DNS
    Active Directoryに連動し、動的に変更されるリソースをリアルタイムに反映する。
  • Distributed File System(DFS)
    Windows NT 5.0では更にActive Directoryへ統合化
  • IP Security(IPSec)
    データパケットの暗号化
  • VPN(Virtual Private Network)
    L2TPがWindows NT 5.0になって追加
    • PPTP(Point to Point Tunneling Protocol)
    • L2F(Layer 2 Forwarding)
    • L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)
  • Admission Control Service
    マルチメディアなどで必要な帯域幅保証
  • WWWベースのプリンタ管理
  • IntelliMirror
    ファイルのレプリケーション

 余談になるが、「Windows NT 5.0の出荷は'99年説」が飛び交うなか、さらに前倒しでWindows NT 4.0へこれらの機能が組込まれても何ら不思議ではない。


Admission Control Service
ここで実際の帯域幅などを設定する。
■ファイルシステム

 FAT32にWindws NT 5.0も対応した。Windows NTでFATを利用するのはあまり得策ではないが、デュアルブートによって、Windows 95 OSR2.xやWindows 98からもアクセスできる共有ボリュームにする場合は有効であろう。また、従来のNTFSがNTFS Version 5になり、共有ボリュームに対しサイズ制限を付けるDisk Quata、任意のファイル/ディレクトリを暗号化し、暗号化した人以外アクセスできなくするEncrypting File System(EFS)などが新機能として追加された。

 Distributed Link Trackingでは、ネットワーク上のショートカットやOLEのリンク先に対して、オブジェクトの変更・移動があった場合、自動的にトラッキングする。つまり、文書に貼り付けてあった他人(?)のオブジェクトがファイル名を変更したり、ファイルを移動しても、「おーい!!何処へやった!?」と、騒がずに済む様になるのだ。その有効範囲は"ファイル名の変更"、"同一ボリューム内の移動"、"同一ドメイン内のマシン間移動"となっている。

 この他、FAT/NTFSに対応したデフラグメントツール、転送先としてブロックデバイスも選択できるバックアップツールも搭載。
MMC
従来のディスク管理をMMC上で行っている。
■管理ツール

 これまで、ユーザー/デバイス/サービス/イベントログなどの管理に関して、個別のツールを用いて来たが、Windows NT 5.0からMicrosoft Management Console(MMC)を搭載。全てこのMMCから管理可能になった。またこれに伴い、コントロールパネル上にあったデバイスやサービスのアプレットはMMC上へ移動している。(β1ではユーザー管理はまだ未対応)

 更にMMC用設定ファイル(*.msc)を用意すれば、色々な管理ツールを構築できる仕掛けになっており、システム管理者にはありがたい機能といえよう。
Backup
ブロックデバイスやネットワークドライブへも
バックアップ可能。
■その他

 WDMによるDVDやUSB、IEEE1394などの話しは書いたが、肝心な事を忘れていた。 Windows NT 5.0ではDirectX5に対応する。これまでWindows NTでは中途半端だったDirectXも、やっとWindows 9xと同じになる。ゲームはともかく、動画や3D関係には非常に有効だ。

 さて、駆け足であるが、Windows NT 5.0の概要を4回にわたってお届けした。ご覧の様に便利な機能満載である。ただ、Unixベースのシステムに追いつき、追い越そうとしている姿勢は評価できるものの、OSを安定作動させる方へも同じだけの力をつぎ込んで頂きたいと思うのは筆者だけではないだろう。色々な意味で興味津々のWindows NT 5.0である。

[終了]

[Text by 西川和久]


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