デジタルカメラは普通のカメラと違って、主要部品が調達でき、一定水準の製造技術があれば、取りあえず参入できる世界。もちろん、現時点では国内外の大手メーカーが先行していうものの、今後はパソコン同様、台湾や韓国のメーカーが続々参入してくることが容易に想像できる。
実際に今回のCOMDEXでも、これらのメーカーから続々と低価格帯のモデルが登場してきている。なにしろ、クォリティーはともかく、低価格化は得意中の得意というメーカーも多く、アメリカ市場のように、実販価格の安さや見かけ上のスペックが重視される市場では、コスト高になりがちな日本メーカーよりも有利な展開になる可能性が高いだけに、今後の動向が大いに注目される。
●半アンダーテーブルだったIntelデジタルカメラ規格採用機「AZTECH MDC180」
実はこのモデル、外観上は、Intelの資料にあるモデルそのもの。とはいっても、一版来場者向けの展示はなく、同社のCOMDEX向けパンフレットにその写真が載っているだけのようだった。しかし、ブースのショーウインドウの裏側に、黒いカーテンに閉ざされた小部屋があり、カーテンの隙間から覗き込むと、なんと実機が……
あとはもう、片言の英語で交渉。そして「日本のフリーランスのプレスだ!」というと、その小部屋に案内され、実機を見せてくれた。
この「MDC180」というモデルは、写真で分かるように、なんともSFっぽいデザインで、サイズは結構大きめ。機能的にはシンプルなもので、液晶モニターはなく、光学ファインダー専用機。ストロボは内蔵式だ。
もちろん、パンフレットにもIntelの「Portable PC Camera '98 Design Guideline」に沿ったものであることが明記されており、それによると、撮像素子にはCMOSを採用しており、画像サイズは768×576ピクセル。記録媒体はやはりIntelのミニチュアカードが採用されている。また、インターフェースはUSBを装備しており、Windoes98 Readyとされており、Windows98に標準で備わっているデジタルカメラとの連携機能(プラグインプレイで、接続すると自動的に画像データの転送などがおこなわれるという)にも完全対応しているようだ。
価格について訪ねると、一瞬、いやな顔をしたあと、「まだ分からない……」という。噂によると、アメリカでのシンプルなデジタルカメラの中心的な価格帯である299ドルを上回るという話もあり、同社が狙っているものよりも、意外に高いものになりそうな雰囲気が感じられた。
いずれも、なかなかよくできたモデルで、デザインもコンパクトカメラ的で、価格も手頃なので、アメリカ市場ではそれなりに受けそうな感じだ。しかし、個性や面白さという点では物足りない部分も多く、価格競争以外には大きなメリットが感じられなかったのが残念だ。
残念ながら、カタログなどがなく、実機の展示のみだったが、実用本位ではあるが、こちらもいまひとつポイントがないモデルだった。
韓国のLG電子は、日本のWorld PC Expoと同じくCOMDEXでも、36万画素の液晶付きVGAモデル「ArtShot LDC-F20」を出品。とはいっても、同社は製品も豊富でかなり大きなブースを備えている上、Windows CEマシンの巨大なディスプレイがブースのメインで、本機はその片隅でひっそりと展示している感じ。つまり、ラインナップのひとつとして、デジタルカメラもありますよという感じだった。
あまり知られていないが、あのフィリップスもデジタルカメラを発売している。今回は「Philips ESP2」という新製品を出品しているが、ご覧のように、本機は「リコー DC-3」のOEMモデルといえる。もちろん、機能的にもまったく同じだが、カラーリングが異なっており、フィリップス版のほうはどちらかというとガンメタリックに近いものになっており、なかなか高級感がある。ちなみに価格は399ドルとまずまずのレベル。説明員の話によると、「ズーム版も予定しているが、なにしろ高価になるので……」ということだった。
('97/11/25)
[Reported by 山田 久美夫 ]