★ ゲームソフトインプレッション ★

G-POLICE
& 制作者スペシャルインタビュー付き
ロゴ

  • ジャンル:3Dシューティング
  • 発売メーカー:ゲームバンク(制作:PSYGNOSIS
  • 標準価格:9,800円<>
  • 発売日:12月11日発売予定
 
【ゲームの内容】
     最新のCG技術を駆使して作り上げられた、3Dシューティング・ゲーム。プレイヤーは、未来警察の一員となりヘリコプターに乗り込み数々のミッションを解決していかなければならない。ミッション数は、練習ステージが5つ、ストーリーモードのミッションが35 + α用意されている。ステージ間には、フルモーションビデオテクノロジーを駆使したムービーが挿入され、雰囲気を盛り上げてくれる。
【動作環境】
  • OS:Windows 95(DirectX5必須)
  • CPU:Pentium 133Mhz以上(200Mhz以上推奨)、MMX対応
  • RAM:16MB以上(32MB以上推奨)
  • HDD:5MB
  • グラフィックカード:DirectDraw、Direct3Dコンパチブル
  • 解像度:320×200、320×240、640×400、640×480、800×600、
  • CD-ROMドライブ:2倍速以上
  • サウンドカード:DirectSound対応のSound Card
  • SideWinder Force Feedback Pro対応
  • AGPマザーボード対応

ゲームバンクのホームページ
http://www.gamebank.co.jp/
ニュースリリース
http://www.gamebank.co.jp/pages/softinfo/gamenew/gpolice.html
PSYGNOSISのホームページ(英文)
http://www.psygnosis.com/
「G-POLICE」のページ(英文)
http://www.gpolice.com/main.html


 時は近未来。地球の資源が完全に使い果たされた結果、人類はその生産活動に必要な資源を宇宙に求めていた。だが、貴重な鉱石の獲得を巡って、各所で戦争が勃発。事態を重く見た地球連合政府は、宇宙コロニーの秩序を維持するため、直属の多国籍軍、G-POLICEを結成する。
 この「G-POLICE」は、近未来の世界を舞台にした3Dシューティングゲーム。プレイヤーはG-POLICEのメンバーとして、武装ヘリコプター、HAVOCに搭乗。宇宙資源の独占を狙う謎の勢力の壊滅を目指し、激しい戦闘を繰り広げることになる。

ゲーム画面1 ゲーム画面2 ゲーム画面3
Pygnosisのゲームにおける画面情報量はかなり多い。必要な情報だけを的確につかめ! 攻撃時のハデな画面効果が雰囲気を盛り上げる。もう、気分は映画の主人公だ。 Pygnosisのゲームの特徴として、透過光の美しさがあげられる。この作品も例外ではなく美しい。


●超美麗グラフィックが満載の3Dシューティング

 このソフトのオリジナル英語版を制作したのは、“洋ゲーファン”にはもうおなじみの、Pygnosis(シグノシス)というソフトハウス。イギリスを本拠地にしたこのソフトハウスは、Amiga(今は亡きCommodore社が発売したマルチメディアマシン。知ってる?)用のゲームソフトの制作で頭角をあらわしたソフトハウス。その後Amigaがフェードアウトしたあとは、PC/AT互換機やプレイステーション用のソフトを精力的にリリースしている。アクション/シューティング系を中心に、パズルやリアルタイム・シミュレーションなど、その作品のジャンルは多岐に渡るが、すべてのタイトルにはあるひとつの共通点がある。それは、とにかくグラフィックに気合が入っている点だ。
ゲーム画面4
敵の攻撃はかなり激しい。ちなみに最後のほうの面ではハンパじゃない。
 FM TOWNS(これももはや懐かしい)にも移植された横スクロールアクションゲーム「Shadow of the Beast」や、プレイステーション版がスマッシュヒットを記録した近未来レースゲーム「Wipe Out」シリーズなど、同社のソフトはその時々においてトップクラスのグラフィックを実現してきた。そうしたPsygnosisらしさは、この「G-POLICE」にも生かされている。もう本当にすごいんだ、これが。“百聞は一見にしかず”というが、掲載写真を見てほしい。グラフィックが綺麗なゲームをよく“アーケード並み”と表現するが、この作品の場合、そこら辺のアーケードゲームを軽く凌駕する。眼下に広がる道路を行き来する交通機関や、林立する高層ビルのガラスの映り込み。細部まで描き込まれた未来都市は、“ワカモト”の看板こそないものの、まさにあの映画「ブレードランナー」そのままの世界だ。しかも、そのグラフィックは単なる背景ではなく、それぞれが独自のオブジェクトとして成立している。地上を走行する車の1台に流れ弾が当たると、誘爆が起こって空高く跳ね上げられる、なんて現象も見ることができるのだ。おまけに、このクルマ一台一台がそれぞれ個別にAIで動いているのだから恐れ入る。
 もちろん、アクション系ゲームでは要となる自機の動きもいい。まあ、元がヘリコプターということで、あまりキビキビした動きはできないのだが、ある程度練習すれば思いのままのコースを飛行できるようになる。ビルの合間を縫うように飛行していく爽快感は、なかなかのもの。特に、狭いトンネルを抜けていくシーンなどは思わず感動してしまうほどだ。


●良くも悪くもPsygnosisらしい作り

ゲーム画面5
「Wipe Out」同様、登場するロゴなど細かいところまで凝りまくっている。
 もっとも、これだけ素晴らしいグラフィックを実現しながらも、残念な点がないではない。Psygnosisのソフトは、「グラフィックはピカイチだが、肝心のゲーム内容は単調な感がある」と評価されるものが多かった。残念ながらこのソフトでも、その傾向は否めない。
 ゲームは、指令部から与えられる任務を次々とクリアしていく、いわゆるミッション制で進行する。ミッションの数は、全部で35 + アルファー。時間の都合もあってそのすべてを体験したわけではないので断言はできないが、前半部分のミッションをいくつかやってみた感じでは、各ミッション間にそれほどの差はないように感じる。おっ、敵が来た。撃って撃って撃ちまくれ。おっ、しばらく進んだら妙にデカイ奴が出てきたぞ。こいつがボスだな。よーし、撃って撃って撃ちまくれ。てなパターンの繰り返しなのだ。まあ、目まぐるしく描き替えられるグラフィックのおかげで、従来のPygnosisの作品ほど飽きが早くはないのだが、もうちょっと頑張ってバラエティーに富んだ内容にしてほしかったところだ。 そうそう、Psygnosis製ソフトのもうひとつの特徴として、超絶的な難易度というものも挙げられるが、こちらに関しては大丈夫。決して簡単ではないのだが、それなりにやり込んで敵の出現パターン及びその攻撃パターンを覚えれば、あまりアクション系のゲームが得意ではない人でも、先に進むことができるようになるはずだ。まあ、すべてのプレイヤーがエンディングまで進めるとまでは言わないけどね。

●動作環境はけっこうハード

 さすがにこれだけのグラフィックを駆使するだけあって、このソフトの動作環境はかなりハードルの高いものになっている。まずCPUはPentium 133MHz以上となっているが、やはりPentium 166MHz以上でないと、動作に影響が出てしまうようだ。そしてさらに厳しい条件となるのが、グラフィックカード。Direct3Dを駆使してグラフィックを描いているため、使用するグラフィックカードの3Dアクセラレーター機能が貧弱だと、目も当てられない結果となってしまう。一応「G-POLICE」には、“8ビットバージョン”というグラフィックのクォリティーを落としたモードが用意されており、ハードウェアレベルで3Dに対応していなくとも、とりあえずプレイすることはできるようになってはいる。とはいうものの、それではグラフィックが最大のウリになっているこのソフトをプレイする意味がないだろう。
 Pygnosisのホームページには、本ソフトが対応する3Dグラフィックチップとして、3DLabのPremedia及びPremedia2、S3のVirge VX、ATIの3D Rage II、nVIDIAのRIVA128、MatroxのMystique、3DfxのVooDoo及びVooDoo Rush、そしてNECのPower VRの名前が挙げられている。とはいえ、もともと3D機能のポテンシャルがそれほど高くないVierge VX、3D Rage II、Mystiqueの各チップでは、満足な結果は得られないはず。やはりそれなりに快適なプレイを楽しみたければ、Premedia及びPremedia2、RIVA128、VooDoo及びVooDoo Rush、そしてPower VRのいずれかのチップが必要となるだろう。ちなみに私が本作をプレイしたマシンは、K6/233 + ET6000 + VooDoo(ダイアモンドマルチメディアの「Monster3D」)という組み合わせ。この構成だと、かなり快適なプレイができたことをお知らせしておこう。

●「SideWinder Force Feedback Pro」にも対応

 ところでこの「G-POLICE」は、10月24日のゲームソフトインプレッションでも取り上げた、マイクロソフトのグリグリジョイスティック、「SideWinder Force Feedback Pro」にも対応している。とりあえずこの組み合わせも試してみたが、もともと操縦桿型ジョイスティックとは相性のいいタイプのゲームだけに、その使用感はなかなかのもの。バリバリとショックを受けながら敵を撃破しながら進んでいく総快感は、なかなか心地好かった。ただし、敵の攻撃が激しい場面では、スティックがビリビリ振動しっぱなしになって、照準が合わせにくくなってしまう。これはちょっと困りものかも。


Published under license from PSYGNOSIS LIMITED. (C)1997 PSYGNOSIS LIMITED. PSYGNOSIS and the PSYGNOSIS owl logo are trademarks of PSYGNOSIS LIMITED and are used with permission. G-Police is a trademark of PSYGNOSIS LIMITED and is used with permission. All rights reserved. Licensed in conjunction with JPI.

【筆者紹介】 【総プレイ時間・ハード環境】



「G-POLICE」制作者スペシャルインタビュー
「いまはもう『G-POLICE2』を作っているんだ!!」
制作者
向かって左がデビッド・ウィッテン氏、右がエッド・パーシー氏

 今回は、11月5日に行われたインテルのAGP関連のセミナーに出席するために来日した、Psygnosisのエッド・パーシー氏とデビッド・ウィッテン氏に話を伺う機会を得た。「G-POLICE」の制作裏話から、Psygnosisの未来まで、熱く語ってもらった。

■超話題作「G-POLICE」とは?

 まず最初に、かなりの完成度を誇る注目作「G-POLICE」だが、どのような人が作ったのだろう。
パーシー氏 「G-POLICE」では面構成などを担当したんだけど、ゲームの制作に携わるのは、実は今回の「G-POLICE」が始めてなんだ。これまでからゲームに対してはずっと興味を持ってたんだけどね。日本で言う“オタク”だったんだよ。ちなみにPsygnosisにくる前は、勉強しながら世界中をまわっていた時期もあるし、直前まではお百姓さんをしてたんだよね。
ウィッテン氏 私はPsygnosisにおいてヨーロッパと日本のマーケティングを担当しています。

 どういったゲームを作ろうと思って「G-POLICE」を作り始めたのだろうか?
パーシー氏 各ミッションの内容が濃くて、かつエキサイティング。そして、遊ぶたびにいつも違った感動がある。プレイしていくうちにのめり込んでいくようなゲームを目指して作ったんだ。「G-POLICE」では、今までのゲームでは見たことのないような世界が展開される。なんといってもグラフィックがすごいんだけどね。これはとにかく一度自分の目で見てほしいね。
 たとえば、街の中では車が走りまわったりしているだけど、これらの車を自分で交通規制したり、ほかにも警官を増やすなど、いろいろプレイヤー側でコントロールすることができるんだ。これは、これまでのゲームにはないアイディアだろう? 車の規制の仕方や、このほかのコントロールによってゲーム内のイベントも変化してくるんだ。最後のほうの面ではものすごく多くのクルマや戦闘機なんかが画面中を飛び交うし、先の面に進めば進むほどより新しい体験ができると思うよ。
 Psygnosisのゲームは難しいといわれるけど、難易度はそれほどではないと思うね。自機の操作に慣れるまではちょっとかかるかもしれないけど、トレーニングするための面ももちろん用意している。基礎的な動きをマスターして、何度かチャレンジしていけば8万人(!)の人が街にあふれかえっていても、クリアすることはできるだろう。あんまり簡単だとゲームをする意味がないしね。
 この秋アメリカで、優れたゲームを表彰するアワードがいくつかあったんだけど、Psygnosisの「G-POLICE」と「Colony Wars」そして、CORE DESIGNの「Tomb Raider 2」が総なめだったんだ。そういった意味でも非常に満足している。

■グラフィック制作の秘密

ゲーム画面6
画面の美しさに見とれて“ドカーン”てなこともしばしば。
 やはり、もっとも注目される点はグラフィックの美しさにある。どうすればこのようなグラフィックが実現できるのだろう?
パーシー氏 一番よかったと思うことは、グラフィックデザイナーの感性に任せたことじゃないかな。ごく簡単なイメージを伝えたら、あとはデザイナーの自由なんだ。もちろん、「グラフィックエンジンを改良したほうがいいんじゃないか」とか、話し合いは頻繁にしたけどね。普通は「このスペックのマシンで表現できるようにやって」とか、かなり細かい指示が出るんだ。

 ハデな爆撃や爆発シーンが出てくるが、画面効果やカメラアングルなどの画像表現に日本のアニメなどの影響も感じるのだがそこらへんはどうなのだろうか?
ウィッテン氏 グラフィックデザイナーが、そういった日本の映像文化に影響を受けていたことは事実だね。日本のアニメなどをみて影響を受けない人はいないんじゃないかな? なぜって? それはオリジナルだからだよ。世界で唯一無比だろ? 同じ物は世界中探してもどこにもない。そりゃ影響力は大きいよ。この業界で日本のアニメ、マンガに影響を受けてないものなんてないよ。

 Psygnosisはずいぶん早くから3Dグラフィックに取り組んでいた。なぜいち早く2Dゲームから3Dゲームに移行できたのだろうか?
ウィッテン氏 ほかの会社はやってなかったけど、マシンのスペックが満たされた時点で、僕たちは3Dゲームしかないとおもったんだ。あらゆる状況がうまく重なった上で、われわれがゲームで表現したいことを考えてみたら、行き着く果ては3Dゲームだったんだよ。社長も3Dゲームへの移行に賛成していたことと、SONYの技術的バックアップ、そしてPlayStationが3Dを強力にサポートしたことも理由の一つだね。

■最先端技術者集団Psygnosisよ、どこに行く……

 最近、優れたPCゲームを連発しているPsygnosisだが、ここまでくるのにかなり大変だったのではないのだろうか?
ウィッテン氏 Psygnosisとしては、2年ほど前からPCのハード技術がかなり発展してきたので、これからPCのゲームマーケットは広がっていくだろうと判断して、PCマーケットに力を注いできた。「G-POLICE」もそのラインナップの中の1作品ということになる。「G-POLICE」のほかにも「Overboard!」という作品を開発中なんだけど、Psygnosisが'97年までに制作してきたゲームの数を超えるほどのソフトを'98年に発売することになるだろうね。だからといって、PCプラットフォームだけでゲームを作っていくわけじゃないよ。プレイステーションのマーケットは大きいからね。ただし、これまではPCゲームをプレイステーションに移植したり、また逆のことをしたりしていたけど、よりそれぞれのプラットフォームの特性を活かしたものを作ることになるだろう。たとえば同じタイトルでも違うシステムや内容だったりすることになる。

 PCに力を注いで行くという会社の方針だが、その理由は?
ウィッテン氏 まず最初に、2年ほど前はパソコンゲーム市場が小さすぎて、そこに大きな投資をすることはできなかった。だが2年ほど前からパソコンも普及してきたし、技術も発達してきて表現力も向上してきた。もう一つは、ここにきて人材育成の成果が現われてきたということだ。ソニーから技術供与も受けたし、優秀な人材(プログラマ、デザイナー)が多く集まってきた。そういった人材がここにきて優秀な仕事をこなせるようになってきたということも一因だと思う。自分達の作りたいゲームを作れる市場と環境が出来上がってきたということだね。
パーシー氏 3Dグラフィックアクセラレータカードの表現力の向上と、製品の価格が劇的に下がったことも一因だね。

 ハイスペックを要求するということは、同時にユーザーを限定することにもなる。新しい技術とユーザーのバランスをどう考えているのだろうか?
ウィッテン氏 会社としては、ユーザーのマシンにゲームをあわせるのではなく、ハイエンド・マシンの性能を利用したゲームを作っていくことになる。そうしないと制作スタッフも満足しないんだ。もし会社がマシンのレベルに合わせたゲームを作っていくとすれば、技術力のあるスタッフは最先端技術を使うゲーム会社に移籍してしまうのが実状なんだよ。
 ただ、ハイエンドのマシンにばかりターゲットをあわせるとユーザーが限定されてしまうので、一般的なマシンのちょっと上のレベルのマシンでも稼動するようなモードは作っている。今回の「G-POLICE」でいえば、“8-bitモード”というのがそれにあたる。

 そして最後は恒例の次回作についての質問だ?
パーシー氏 Psygnosisはいくつかの場所に分かれているんだけど、僕たちのチームはフライトシミュレーターのほかに「G-POLICE2」を作っている。Psygnosisは続編を作らない主義なんだけど、この「G-POLICE」の出来にはスタッフ全員すごく満足していて、もう1作つくりたいと考えたんだ。今回はHAVOC(ヘリコプター)ということで、戦いの場が空中だけだったけど、「G-POLICE2」では地面を走行したり、より複雑な動きが楽しめるようになる。完成は'98年のクリスマス頃になると思うけどね。

 まだ、1作目も発売されていないうちから2作目の話もないのだが、ユーザーとしては、まずは12月に発売される「G-POLICE」を存分に楽しみたいとおもう。

インタビュア by PC Watch編集部


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