すでに、他のレポートにもあるように、今回は出展社こそ多いものの、今ひとつ目玉に欠ける感があった。それは通信関連機器でも同じことで、新たな参考出品はあまり見られなかった。ただ、市場に新たに投入された製品などもいくつか見かけることができたので、そのあたりを中心にレポートをお送りしよう。
サイキューブ LFM-105 |
まず、PC Watchでも過去にニュースで紹介したサイキューブが、NE2000互換のLANカードとK56flex方式による56kbpsモデムを一体化したPCカード『LFM-105』、K56flex方式を採用した56kbpsモデム『FMC-560』を参考出品していた。同社はこの他にも、数多くのPCカード製品を出展しており、ノートユーザーならちょっと見ておきたいところ。
ラトックシステム REX-R256 | アイ・オー・データ機器 PCMI-336/128 |
同様に、数多くのPCカードを扱うことで知られるラトックシステムもK56flex方式を採用したPCカードモデム『REX-R256』を出展していた。こちらはケーブルにちょっとした工夫がなされているのが特徴だ。通常のPCカードモデムはモジュラーケーブルや中継コネクタなどが同梱されているのだが、この製品にはPHSなどからみなし発信をするときに利用するセルラーケーブルも同梱される。PHSからのみなし発信で56kbpsで接続できるわけではないが、FAXを送ることを考えれば、ユーザーにとってもうれしいところ。こちらの製品は11月に発売される予定だ。
一方、アイ・オー・データ機器はK56flex方式を採用した56Kbpsモデム『PCML-K56f』、ISDNカードとV.34/33.6kbpsモデムのマルチファンクションPCカード『PCMI-336/128』などを出品していた。こちらはすでに発表済の製品で、パソコンショップの店頭などにも並んでいるようだ。
Panasonic CF-VML201 | Supra PC Card |
いち早くK56flex方式による56kbpsモデムを国内市場に投入した松下電器・松下電子応用機器は、従来製品の『TO-CAF56K』に加え、9月11日に発表した『CF-VML201』も出展していた。同社では9月1日から12月31日までに同社製56kbpsモデムを購入したユーザーを対象に、「InfoSphereの加入料と1カ月間の基本接続使用料が無料」「ITU-T規格勧告後の無償アップグレード」をサービスするキャンペーンを実施している。
海外メーカーではSupraブランド製品を扱うダイアモンド・マルチメディア・システムズがK56flex方式を採用した『Supra PC Card』を出品していた。この製品は国内向けに正式発表されていないはずだが、ブースで配られていたパンフレットには「標準価格:29,800円」と書かれていた。
IBM 56kbps対応PCMCIAモデムカード | IBM 56kbps対応ISAバス用モデムカード |
また、日本アイ・ビー・エムのブースでは、Aptivaの内蔵モデムのK56flex対応がアピールされていたが、その反対側にあるThinkPadシリーズのオプションコーナーではWindows World Expo '97のレポートでも紹介したように、x2対応のPCカードモデムが参考出品されていた。ちなみに、同社のインターネット接続サービス『ネットパスポート』にはx2対応のアクセスポイントが設置されている。こうしたねじれ現象もそろそろ解消してもらいたいところだ。
コンパック PRESARIO1680 |
本体内蔵の56kbpsモデムでは、K56flex方式を採用したコンパックのノートパソコン『PRESARIO 1680』が目についた。ただ、デスクトップ機などと違い、ノートパソコンの内蔵モデムに国際標準規格が定まっていないものを搭載してしまうのはいかがなものかという気もする。しかも、アップグレードに関するアナウンスはされていない。
マシンそのものには個人的に興味を持っているのだが、この部分だけはちょっと怖くて手を出せないのが正直なところだ。いざとなれば、PCカードモデムを購入してしまえばいいという説もあるのだが、勧告が間近いことを考慮すれば、もう少し配慮する方法もあったのではないだろうか。
コンパックに限った話ではないが、56kbpsモデムについては国際標準規格が勧告されるまで、アップグレードの保証がない限り、ユーザーは手を出しにくいだろう。すでに、ショップなどでそんな雰囲気を感じとっていたが、ショー会場に来て、その印象を強くした。56kbpsモデムで冒険をするくらいなら、いっそISDNという冒険の方が堅実のような気もしなくはない。
ソニー STA-128DSU | NEC AtermIB55Pro II |
まず、ソニーは同社としてはじめて発売したISDNターミナルアダプタ『STA-128DSU』を展示していた。スペック的にはなかなかの製品だが、他社から液晶ディスプレイ付きが発売されている現状を考えると、ややインパクトに欠ける。DSUを切り離せないため、設置場所がある程度制限されてしまう。一人暮しのワンルームマンションならいいが、屋内配線が引き込まれている居間と、パソコンのある部屋が離れているような環境にはあまり向かない。ちなみに、この製品はISDNターミナルアダプタとしては珍しく、VCCI第二種をクリアしており、他の製品よりもノイズに強く、回りに影響を与えにくいことをセールスポイントにしている。展示会場では、そのあたりを踏まえたデモを見たかった気もするが、ちょっと贅沢な要望だろうか。
一方、国内のISDNターミナルアダプタ市場で独走を続けるNECは、つい先日発表したPCIバス用ISDNカード『AtermIB55Pro II』を展示していた。基本的には従来の『AtermIB55Pro』と同じものだが、添付ソフトウェアがWindows 95だけでなく、Windows NT 4.0にも対応した点が異なる。あとはMac OSに対応すれば完ぺきという説もあるけど、望み薄だろうな(笑)。
ヤマハ RT80i | NEC C&C-NET IP45/007 |
ISDNダイヤルアップルータでは、ヤマハが発表したばかりのRT80iを展示していた。DSUを内蔵し、アナログポート2つを搭載したISDNルータで、NATやIPマスカレード、PIAFSにも対応(V.42bisは未対応)、HTTPサーバの機能を搭載してセットアップをWebブラウザ経由でできるようにするなど、ビー・ユー・ジー/NTT-TE東京のMN128-SOHOを強く意識した製品となっている。注目のセットアップ画面だが、以前のコマンドラインに較べれば、はるかに簡単になったが、MN128-SOHOと較べるともう一息といったところ。しかし、RTシリーズの実績を考えれば、パフォーマンスや安定性は期待できる。STAC圧縮も搭載しているので、通常の64/128kbps同期通信モードよりも高い速度で転送できそうだ(もちろん、相手次第だが)。興味のある人は実際にブースで触ってみて欲しい。
また、NECはSOHO向けダイヤルアップルータ『C&C-NET IP45/007』を出品していた。DSUやハブ、アナログポートの有無などにより、Type1~3までの3モデルがラインナップされており、価格も49,800/59,800/67,800円とかなり安い。Webブラウザからの簡単設定、NAT及びNATe機能の搭載、MP/BACP対応、BOD機能搭載など、機能的にも魅力的な製品だ。当初、伝えられた情報では業販が中心で、量販店などでは販売しないとのことだったが、今日取材したところによれば、「若干、あとになるが量販店にも並ぶようにしたい」「それ以前に必要なら、ショップで注文して欲しい」とのことだった。
NEC USB関連機器 | NEC PCIバス用RS-232Cカード |
まず、今回のショーの目玉でもあるNECのPC98-NXシリーズのコーナーには、USB関連製品が数多く展示されていた。コントロールパッド、ジョイスティック、キーボード、USBハブ、USBデジタルカメラなんてものまであった。でも、よく考えたら、NECにはすでにUSBがついてる製品があったはずだよねぇ。なんでそれを置かないんでしょ?
その隣のコーナーにはPCIバス用カードがいくつも並んでいたのだが、『PCIバス用RS-232Cカード』が展示されていた。PC98-NXシリーズにはPCIバスしかないのだから、きっとあるだろうと予測していたが、ちゃんと用意しちゃうところがさすがNEC。Texas Instruments製のTL16C750というチップが搭載されていた。これはすぐに欲しいかも(笑)。
アルプス View Phonica | LG電子 IEE1394用CCDカメラ |
また、今回のショーで最も目についたのがCCDカメラだ。テレビ会議やNetMeetingなどに使えるというアレだ。以前はパラレルポート接続のものばかりだったが、今回はビデオAV端子、PCカード、USB、IEE1394など、いろいろなインターフェイスに対応したものが展示されていた。価格的にも2万円前後と手頃なものが多いので、テレビ会議で遊んでみたい人にはいいだろう。
[Text by 法林岳之]