CyrixがM3を開発中!?
やれやれ、米Cyrix社はもう次期x86互換MPU「M3(コード名)」について語り始めた。「Cyrix Works On "M3" Jump In X86 MPUs」(Electronic Buyers' News,8/12)では、CyrixのSteve Tobak副社長にインタビュー、同社が新たに2つのx86互換MPUの開発をしていると報じている。同氏は、そのうちの片方の詳細は、秋のMPU関連のカンファレンス「Microprocessor Forum」で明かされるかも知れないと示唆している。米National Semiconductor社との合併でMediaGXタイプに特化するという報道もされていた同社だったが、このニュースによると、スタンドアローンのCPUをまず開発、次にそれを他の機能とインテグレートしたチップを作るというパターンを今後も取るという。ちなみに、MediaGXでは、5x86を製品化して、そのあと5x86をコアにしたMediaGXを製品にしている。というわけで、6x86MX(コード名M2)のあとの最先端MPU路線は続くらしい。
一方、米Intel社は、一部の米国のメディアに対して、Pentium IIのロードマップを説明したらしい。「Intel charts course for Pentium II」(CNET NEWS.COM,8/13)や「Intel Plans to Put a Pentium II in Every System」(PC World,8/14)などが次世代のPentium IIに関して、かなり突っ込んだ報道をしている。まず、Pentium IIは'98年に333MHz~400MHz版が登場するという。同時にシステムクロックも、現在の66MHzから100MHzにアップされるそうだ。これは、おそらくシステムパフォーマンスを劇的にアップさせることになるだろう。それから、Intelは現在Pentium IIが採用している「Slot 1」とは異なる「Slot 2」についても概要を明らかにしたらしい。このSlot 2は、'98年中ごろに登場する新しいスロットで、ミッドレンジからハイエンドのサーバーとワークステーション向けだという。Slot 1が2CPUのマルチプロセッサまでしかサポートしていないのに対して、Slot 2では4CPUのマルチプロセッサをサポート。また、CPUコアと同速度の高速なキャッシュ(今のPentium IIは半分の速度)もサポートするという。ちなみに、Slot 2に関しては、5月8日のこのコラム「Pentium II登場!!」でも扱ったことがある。それから、ノートパソコン用のPentium IIも登場するが、このパッケージはIBM ThinkPad 560のようなスリムなノートにも入る形状だそうだ。
また、IntelはPentium Proにも最後のパワーアップを行う予定らしい。「Intel to add horsepower to new, faster Pentium Pro」(InfoWorld,8/13)によると、Intelは今週月曜日、つまり8月18日(日本では19日)に、2次キャッシュを従来最大だった512KBから1MBに増量した200MHz Pentium Proを発表するという。どうして今ごろPentium Proを強化するのかというと、それはSMPサーバーで3CPU以上の場合は、Pentium IIがまだ使えないからだ。ハイエンドサーバーによくある最大4CPU構成なんて場合は、必然的にPentium Proになる。そして、その分野では高速化のニーズが高いので、キャッシュ増量版を出したというわけ。パフォーマンス的には15~20%アップするそうだが、価格も相当高いらしい。
さて、いよいよAGPをサポートするIntelのPentium II用チップセット「440LX」の発表が近づいてきたらしく、関連の記事が増えてきたが、そのなかで目を引いたのがこれ。「Micron designs own core logic chip to boost workstation」(InfoWorld,8/14)では、米Micron Electronics社が、PCワークステーション用には440LXを採用せず、自社のチップセット「Samurai」(!)を搭載するという。これは月曜に発表する予定らしいが、最大の特徴は64ビット/66MHzのPCIバスを採用したこと。今のPC用のPCIバスは32ビット/33MHz。「PC OEMs roll own core logic for NT systems」(Electronic Engineering Times)によると、SamuraiのPCIバスは実効レートが400MB/secなのに対して、現行のPC用PCIバスは80MB/secで、格段のパフォーマンスアップになるという。ようは、AGPだとグラフィックスのボトルネックは回避できるけれど、今どんどん増えてきているI/Oの負担はグラフィックスの分だけしか減らないので、解決にならないのだそうだ。また、AGPが当初はWindows NTでサポートされないことも、PCワークステーションで440LXを採用する意味がない大きな理由だという。
さて、先々週の大騒動のあと、米Apple Computer社の事実上のリーダーになったジョブズ氏は、さっそく先週火曜日にAppleの社員たちに経営改善策を示したメモを送ったらしい。「Memo From Jobs: The Perks Have Peaked」(Los Angeles Times,当該記事はすでにリンクされていない)によると、まず社員に対してApple Computer株のストックオプションを増やし、幹部に対しては現金のボーナスは止めてストックオプションに代えるという。ようは、みんなでがんばれば株価があがってお金持ちになるという、鼓舞策だ。その一方で、10時間以内の飛行ならエコノミークラスを使うとか、これまで実施されていたサバティカル(大学などにある長期有給休暇)制度も廃止するという。それから、幹部向けの特別な退職金制度も廃止したそうだが。「Jobs shakes Apple employee benefits to the core」(Computer Retail Week,8/12)によると、これはジョブズ氏がギル・アメリオ元CEOの法外な退職金に激怒したためだという。ちなみに、その額は約350万ドル。アメリオ氏に払う退職金だけで、何人レイオフしないで済むかを考えれば、それも当然か?
('97/8/18)
[Reported by 後藤 弘茂]