【リレー連載 物欲道修行記】

リレー連載 物欲道修行記

第48講 非衝動買い派 師範:西川和久

 今回西川師範には、SONYのVAIOほか、3つの買い物を披露していただきました。しかし西川師範もSONY党とは。広野師範、Watch編集長、デジカメの山田師匠など、Watch関係者でもSONY党の勢力は無視できないものがあります。SONY党は、キャラが立った製品で気に入れば「多少高くても買う、値段はこのさいどうでもいい、ともかく欲しい!」という物欲の強い方に多く見受けられます。ですから、SONYにはこのまま、価格競争とはちょっと違ったスタンスで、PCの分野でもSONYならではの製品づくりをしていただきたいものだと思います。
(編集部)


自宅の環境パワーアップ大作戦!!

SONY VAIO PCV-T700MR

日頃ほとんど自宅へ帰らない筆者であるが、たまに帰って仕事をしようとするとマシンパワーが足らず、最近、作業効率の悪さにイライラする事が多くなってきた。5月から続いた出張攻撃も終わり、やっと落ち着いたので、2年ぶりに自宅のマシンをパワーアップする事に……。また、メインのマシン一台しかTAを使えないのは不便と、複数のマシンから同時にISDNを共有するためNTT-TE東京のMN128-SOHOを購入、最後はなぜかSONY VAIO PCV-T700MRをゲットしたので、そのレポートをお届けする。(実はこれに加えてFUJIFILM DS-20もゲットしているが、改めて紹介する必要はないですね……。^^;)

※今回の写真は全てFUJIFILM DS-20を使用


●Intel MMX ODP and 32MB SIMM×2

筆者が自宅で使っているマシンは、Pentium-133MHz with 256KB cache/RAM 40MB、マザーボードはIntel Advanced/EVの初期モデル(Socket5)。約2年間何も触らないで使ってきたものの、普通にエディット/通信/インターネットしている分には特に不満は無かった。しかし、最近MMX対応ソフトやフォトレタッチをする機会も増え、Photoshop 4.01で色々していると、とにかく会社のPentium Pro-200MHzマシンやPowerMacintosh 8500/180と比べ速度的に見劣りするようになってしまった。

そこで周辺デバイスはそのままにして、CPUだけパワーアップする事にしたが、考えてみると選択肢は5パターンありそうだ。

  1. Pentium II or Pentium Pro
    ○ = 超速くなる。
    × = 多くのマザーボードはATX仕様なのでケースも交換する必要がある。
  2. MMX Pentium
    ○ = かなり速くなる。
    × = マザーボードの交換が必要。
  3. MMX Pentium + ゲタ
    ○ = かなり速くなる上にマザーボード交換の必要はない。
    × = 高さの関係で設置スペースがあるかどうか、入れてみないと解らない。
  4. MMX ODP
    ○ = ちょっと速くなる。
    × = 同レベルのMMX Pentiumと比べ割高で、しかもMAX 166MHzまで。
  5. 互換CPU
    ○ = 色々楽しめる!?
    × = あまり筆者の趣味ではない。
Intel MMX ODP
こうしてまたCPUが一つ余るのであった。
しかもPentium-133MHz!! (^^;

と、大雑把にはこんな感じであろう。もちろん予算の関係もあるが、筆者の場合、消耗品の範囲であればそれほど問題は無い。とは言え、あまり使わないマシンに大金をつぎ込んでもネ……。(^^; また、マザーボードを入れ換えるのは面倒で、Windows 95の自動認識の結果、動かなくなってしまう(または再設定が大変な)デバイスもあるかも知れない……などと色々考えた末、MMX ODPをチョイス!! ついでにメモリも安かったので購入し、16MB×2+32MB×2=96MBとした。

CPUの交換とメモリ増設にかかった時間はたったの数分。MMX ODPは実売で5万円もするので、2のパターン(CPU 2万円強、マザーボード 2万円強)も十分価格的には可能であるが、「手間を買った」と思えば諦めもつく(と、自分で納得しているだけ!?)。 実際PhotoshopなどはCPU交換前と比べ格段に速く動くようになった(もちろんメモリ増設の効果もかなりある)。 これなら少なくともMemphisが出るまでは大丈夫だろう。しかし、できればx3のMMX ODPが欲しかった。いつ出るの!? > Intel

●B.U.G MN128-SOHO(DSU無し)

現在、自宅で実稼動しているマシンは3台。MMX ODPにグレードアップした筆者のメインマシン、かみさんのIBM Aptiva B75、そして持ち運び用のIBM TinkPad 560である。去年一年間はIWE'96の128KB専用線があったので、平和にインターネットしていたが、今年に入ってその専用線は使えなくなり、TAを使った普通のインターネット環境に逆戻り。TAは筆者のメインマシンが占有する形となった。「これでは不便!!」と(特にかみさんの声大)少し前にも検討したが、ダイアルアップ・ルータはまだ高価、Unixなど専用のマシンを追加するのは面倒、ソフトウェアによるオン・デマンドProxyはストリーム系に難あり……と、どれをとっても一長一短。しばらく様子を見ていたところに、B.U.G MN128-SOHOの登場である。

B.U.G MN128-SOHO
上は使わなくなった3Comの8ポートHUB
このMN128-SOHO、特筆すべきは"とにかく設定が簡単"。標準設定はプライベートIPアドレスの"192.168.0.0~192.168.0.255/0x0000ff"を使い、MN128-SOHO=192.168.0.1。DHCP/BOOTPサーバー内蔵で、クライアント側の設定は考える必要無し。ダイアルアップIP接続用の電話番号/ID/パスワードを、http://192.168.0.1/として、MN128-SOHOの設定用httpdサーバーへ接続・設定すれば、あっと言う間に設定完了となる。この状態で、AutoNATAutoDNSが動いているので、何も考えずに複数のマシンから同時にインターネットへアクセス可能となるのだ。

将来的にOCNを含む専用線接続を考えても、128KBまでならこれで対応できる上に、実売5万円程度となると、もう下手なTAを買って同期・非同期変換のシリアル接続するより、これでEthernet接続する方がお特であると言えよう。(FTPなどの転送レートも1KB近くアップする) しかし去年から考えれば凄い時代になったものだ。ショップで聞いた話によると、驚く事に購入ユーザーのほとんどは"個人"。下手な企業より、LAN化が進んでいる証拠である。

文句無しのMN128-SOHO、最大の欠点は以前のMN128の時と同じく入手困難。(^^; 特にDSU内蔵型は市場に出てもアッという間に売り切れるらしい。こんなダイアルアップ・ルーター、この価格で出せば売れるに決まっている。もう少し生産計画に余裕が欲しいところだ。(と、この原稿を書いている時にファームウエアがV1.01になっている!!)

●SONY VAIO PCV-T700MR

さて最後はSONY VAIO PCV-T700MR。久々にSONYがPCを出した事で興味を持っている人も多いと思う。まず、気が付いたのはHDDがFAT32になっている事。FAT32は賛否両論あるものの、複数のOSを一つのHDDで管理するのはレア・ケース(マニアやエンジニアだけ)となった今、4GBのHDDを有効活用するのは当たり前の話であろう。

入力2系統(Audio R/L,Video In,S-Video In,VHF/UHF + Audio R/L,Video In,S-Video In)、出力1系統(CRT、Audio R/L,S-Video Out,Video Out)、オーバーレイ表示による高速描画、MMX対応ソフトウェアMPEG1デコーダ、ハードウェアMPEG1リアルタイム・エンコーダ、トリニトロン管を使った17インチのモニタは高性能、付属スピーカの音質上々……など、外観も含めマニアックな仕上げとなっている。

触った感じは「昔流行ったテレパソコンの高級版」の雰囲気を持ち、いかにもSONYらしい。流石にPentium II 266MHzを使ってのMPEG1デコードはフレーム落ちも全く無く、30fpsで再生してもCPUには余裕がある。画面解像度はモニタとグラフィックカードの特性から1152×864/24BitColorがベストマッチング。また標準搭載メモリは32MBなので、価格も下がった今、少なくとも32MB×2を追加して計96MBとしたいところだ。
SONY VAIO PCV-T700MR / 前
どちらかと言うと、Mac互換機の雰囲気!?
SONY VAIO PCV-T700MR / 後
後のコネクタは色分けされているので
間違える事はないだろう。

モニタにはUSBのHUB付きで、
デザインも良い。
付属のアプリケーションは通常パソコンで一般的なOffice系は全く無く、静止画・動画を問わず、画像処理系の実用ソフト満載。特にMPEG関連には力が入っており、MPEG編集から標準搭載のCD-Rを使ったVideoCD 2.0/プレイバック・コントロールを含んだVideoCDオーサリングにまで対応し、その筋の人ならかなりそそられる内容となっている。付属アプリケーション"Slipclip"とDCR-VX1000を使ってS-Video経由でMPEGエンコード→編集と実験したところ、約4分の画像で約40MBのファイルサイズ(VideoCD用ビットレート)となり、画質も良好。コントロール用ソフトの"Slipclip"はシンプルなインターフェースでマニュアルを全く読まずに操作できた。

もちろんMPEGを扱いたいだけなら、速いマシンへMPEG1エンコード・カードを入れるだけで十分だが、何故かVAIOはそれだけではない魅力がある。Cyber-shot同様にブランドイメージの力かも!?そう言えば、旧Cyber-shotやDVBK-1000も持っているな……。実のところ筆者は昔からSONY党なのだ。(^^;

欠点としては表1からも解る様に、標準設定で余っているIRQはたった1つ(IRQ9)しかない。スロットは3つ空いているものの、DVキャプチャ・カード/ネットワーク・カード/SCSIカードを入れるにはちょっと辛い。(但しOSR2では、PCIデバイスに関して多くの場合IRQの共有が可能)筆者だと、AT&T Win Modemを外す事になるだろう。価格やバンドル・アプリケーションから見ても、家庭用と言うより、クリエータ寄りのこのマシン。もう少し割り切って、IDEを止めSCSIでHDDやCD-Rを接続すれば、2つIRQの空きが増える。コストを押さえるために、こうなったと思われるが、今一歩の拘りが欲しいところである。

とは言え、"何処を切っても金太郎アメ状態"のPC市場の中で、あえてこのVAIOを出したSONYには拍手を送りたいと思う。後は、MemphisのICM 2.0と対応アプリケーション・ドライバを待つばかりである。

表1 - 主なデバイス

Motherboard Intel PD440FX  
HDD ST34340A(プライマリIDE)  
CD-ROM Drive SONY CD-R CDU928E(ATAPI/セカンダリIDE)  
Video ATI 3D PRO TURBO PC2TV/4MB  
Audio YAMAHA OPL-3SAx Sound System IRQ5
Modem AT&T Win Modem IRQ10
MPEG SONY MPEG1 Encorder Board IRQ11
  Mediamatics MPEG Driver Ver.2.00.04b/MMX対応 Software
MIDI YAMAHA SoftSynthesizer S-YXG50 Ver.2.07 Software

[Text by 西川和久]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp