AMUAMUの「アキバの楽屋から」第6回

秋葉原

月1回連載:ショップの側から見た秋葉原事情

AMUAMUの「アキバの楽屋から」 第6回

ちょっとした秋葉原ショップ事情

TEXT:AMUAMU


 「アキバの楽屋から」は、秋葉原のパソコンショップ店員である「AMUAMU」が、ショップの側から見た秋葉原事情を、月1回お送りするコーナーです。
Web版ではメール版掲載から約1週間後に公開します。(編集部)


 5月でレポートしたCPU戦争以後、あまり大きな動きやトピックスがありません。そこで今回は、ふだん目につかないような、ちょっとした秋葉原事情をご紹介したいと思います。

■秋葉原 運送業者事情

 秋葉原には商品の納品や、お客様への発送のためにほとんどの運送・宅配業者が出入りしています。秋葉原を歩くときにちょっと見方を変えて運送屋のトラックを見ると、有名なところから、全く知らないような運送業者まで多種多様です。

 ショップからの発送を請け負う宅配業者も何社かありますが、たいていの場合ショップごとにどこの運送業者を使うかが決まっているようです。やはり一番多くのお店が使っているのが佐川急便。佐川急便のトラックは秋葉原でもよく見かけると思います。佐川急便は、ずばり配送料金が安く、大量でも少量でも元気良く取りに来てくれるのがたくさんのショップに選ばれている理由でしょう。ただ輸送事故で壊れる商品が他社より多い気がするのですが……。
 2番目はヤマト運輸(クロネコヤマト)ではないかと思います。ヤマト運輸の良いところは商品の扱いが丁寧であること。通信販売で頻繁に使われる代金引換の手数料が他社より安いこと。細かいサービスが行き届いていることです。不在時の商品保持期間が比較的長いことも良いですね。

 基本的にこの2社が多いのですが、そのほかにも付加価値で勝負している業者もあります。佐川急貨物配送(通称:即配)は午前中に発送を依頼すれば、1都3県(一部除く)のみですがその日の夜までに届けてくれます。困ったときや、お客様が急いでいるときに利用できるので便利です。
 運送業者も新規顧客開拓や他社の顧客から乗り換えさせようと結構必死に営業してくることもあります。ユーザーの目に見えるショップ間の競争以外にも、裏では運送業者の競争もあるのです。


■段ボール箱の行き先

 日々ショップから出てくる色々な商品が入っていた段ボール箱。無料で段ボール箱を回収してくれるおじさんがたくさんいます。山ほど段ボール箱を積んだ台車を引っ張って歩いているおじさんを秋葉原で見かけた方も多いでしょう。この集められた段ボール箱はどこに行くかというと、秋葉原の近くに収集所があります。場所的にはJR山手線をはさんだ昭和通り側になります。ここで圧縮されてどこか(再生場?)へ運ばれていきます。

 秋葉原のショップにとって段ボール箱を無料で回収してくれるのは、事業ゴミが有料化された最近は特に助かることですね。こうした回収が行なわれなかったら、かなりの量のゴミが発生して、たとえば秋葉原の大通り沿いなどはゴミの山になるのではないかという危険性も感じます。おじさんたちは秋葉原の美化にも役立っているのではないかと筆者は考えていたりします。ちなみに同じように回収してくれるおじさんは大阪日本橋でも見かけました。


■秋葉原の夜事情

 秋葉原のショップが閉まるのは午後6時以降から8時前後ぐらいまでの間です。秋葉原のショップの店員達は夜の食事や遊びはどうしているのでしょうか?

 大抵の場合、お店が閉まってから明日の準備をするためもう少し遅くに帰ることになります。やはりパソコン業界の人間はゲームセンターに行く人が多いですね。秋葉原の駅前にあるセガのゲームセンターには多くのショップ店員が通い詰めている気がします。「あの人はどっかのショップで見かけたなぁ~」と思うことが良くあります。

 食事をしたり、お酒を飲んだりする事もありますが秋葉原の電気街方面にはそういうお店が少ないです。ショップごとに行く先というのが決まっているかもしれませんが、秋葉原駅の反対側や、御徒町・上野方面。新宿・池袋方面。神田方面とちょっと離れたところに行く人が多いようです。
 秋葉原の夜は静かで寂しい街です。夜でも人がたくさん居たのは、あのWindows 95の発売日ぐらいだと思います。あれぐらいの異常事態は再び起こるのでしょうか?


■秋葉原 駐車場事情

 秋葉原は駐車場が少ない! ショップの店員は通勤に車が使えない場合が多いです。店員の中には駅前駐車場を月極契約して駐車場を確保している人もいますが、それは一部の人だけで、たまに車で来て路上駐車でもしたら即、万世橋警察署に行く羽目になります。秋葉原周辺は路上駐車への取り締まりが厳しいのです。

 秋葉原に訪れる人も車で来るのはやめた方が良いと思います。特に土曜日・日曜日は駅前駐車場へ入るための待ち行列が長いこと長いこと。路上駐車の取り締まりも厳しいですから、電車で来た方が絶対良いです。隠れたところにある駐車場を知っていれば良いのですけど、それは秋葉原マスターだけが知ることが出来る特権? (^^;
 ちなみに筆者はバイクで移動するので、楽だし駐車場の心配もいらない。冬は寒いですけど、今の季節は気持ち良いですね。


■価格調査をする人多くない?

 秋葉原の店頭でお客様を見ていると、最近よく目に付くのが価格を紙やPDAに書き留めている人。PC Watchでも価格調査をしていますけど、それ以外にも調査をしているところもあるみたいで、パーツ系を中心に頻繁に調査する人を見ます。ライバル店の調査員も考えられますけど、カバンとかが妙に大きかったら雑誌社の人だと睨んでいるのですけど当たりかな?(笑)

 個人のホームページで価格調査をして掲載している人もいるようですが、なぜか雑誌社の人と風体が似ている気もしますが……。
 ここでショップの店員からの一言「価格も大事だけど、それ以外の部分(保証やサポート、安心感など)も見て欲しい」。でも価格ってやっぱり一番重要ですよね。


■■6月の秋葉原ショップ状況■■

●ボーナス商戦突入!

 6月後半からボーナス商戦へと突入しました。幸い天気も比較的良くて秋葉原は土日にたくさんの人が歩いていた気がします。パソコン本体やノートパソコンがよく売れるのはやはりボーナス商戦だからですね。みなさん高価なマシンをガンガン買っていかれます。天気さえ良ければ7月はもっと売れるのではないかと非常に楽しみです。

●売れ筋商品の変化

 6月に入って売れ筋商品に変化が見られます。パソコン本体はPentium IIよりMMX Pentiumを搭載したパソコンの方が売れます。一時期はみんなPentium IIばかりという状態で、このままPentium IIにみんな移行するのかな? と思いきや、急激に値段の落ちているMMX Pentiumに人気が集まっています。また互換CPUであるAMD K6と Cyrix 6x86MXの人気も上々です。Socket7に人気が偏っているのは互換CPUメーカーのおかげなのか、それともIntel 440LXを搭載した次のPentium IIマザーボードを待っているんでしょうか。
 そういえばPentium Proを挿すことが出来るSocket8のOverDriveProcessorが正式に出ることがアナウンスされたようです。噂では、現時点ではPentium IIより速いかもしれないという話も耳にします。あえてここでSocket8のPentium Proという選択も良いかもしれません。

 売れ筋商品といえば、ノートパソコンとその周辺機器。特にノート用の周辺機器には人気が集中していて、ちょっとしたパーツを求めて来る人やノートの純正オプションを求めてくる人が多いです。

●目玉商品は空振り状態

 6月の一番の目玉ではないかと思っていたMatroxのMillennium IIは出荷が遅れて入荷してきたのは早いところでも6月末。本格的に出荷が潤滑になってくるのは7月の半ば以降みたいです。人気が集中していたMillennium IIの8MBバージョンは発売中止になったという話(日本語版発売元コマツソフトより)なので、4MB版と増設メモリのみとなってしまいました。ちょっと残念。しかし今年の秋から年末にかけてはRAMDACが250MHzになった新バージョンのMillennium IIが発売されるらしく、このときに8MB版も出すらしいです。

 隠れた人気を博しているのが同じくMatroxのMystique220。Mytiqueの最新バージョンでRAMDACが220MHzとなり、改良も加わっているようでかなり速いです。もしかしたら現時点ではMillennium IIより速い?
 しかし、Millennium IIはMatroxお得意のドライババージョンアップによる性能アップが将来見込めますので、どちらを選ぶかかなり悩むところです。Millennium II用ドライバの完成はずっと先になりそうという話ですから非常に楽しみです。古いMillenniumも先日のドライババージョンアップでMMX対応となりベンチマークで3割増し。体感でも十分わかるぐらいのスピードアップが図られてびっくりしました。2年前のビデオカードにそれだけの潜在能力があることに純粋に驚きを感じます。Millennium IIもそうなる可能性はあります。

●7月の注目はCPUの価格変動

 7月に入っての注目ポイントはCPUの価格変動でしょう。7月に入ってかなり激しい価格の変動がおきており、Intelや互換CPUを含めたCPUの値段の動きから目が離せません。逆に言えばショップにとっては怖いぐらいの値下がりで下手な仕入れをすると高い価格のCPUが残ってしまうことになりますから、細心の注意を払っています。
 ユーザーにとってはありがたい話なんですけどね。(^^;

 次回はCPUの価格変動によって売れ筋商品に変化があったかなども書きたいと思います。暑い日々が続くと思いますが、みなさん秋葉原や大阪日本橋に足を運んでくださいね。

[Text by AMUAMU]


【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp