Weekend Watch【'97/6/12版】

 今回のゲームソフトインプレッションは、ケイエスエスの力士育成シミュレーション「土俵の嵐」です。
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■ゲームソフトインプレッション■

土俵の嵐



ジャンル:力士育成シミュレーション
発売メーカー:KSS
標準価格:9,800円
対応OS:95
備考:新しく相撲部屋を興した親方として、新弟子のスカウトや育成を行ないながら、横綱を輩出することが目的となる育成シミュレーション
【筆者紹介】
  • 名前:本田雅一
  • 好きなジャンル:ドライブゲーム、スポゲー……でも、おもしろいものなら何でもいいな
  • プロフィール:ビジネス系からパーソナルまで、PC系全般のライター。なぜかマリンリゾート系なんて仕事もあったりする。とある人に「本当に“フリー”ライターなんですね」と言われた。喜んでいいのか??
【プレイ時間・ハード環境】
  • 総プレイ時間:約10時間
  • 使用ハード:IBM PC 365
    CPU:Pentium Pro 200MHz メモリ:64MB グラフイック:Total 3D(Verite 1000L) サウンド:Sound Blaster 32


 前略、おふくろさま。
 もう故郷は雪解けが始まっている頃でしょうか。僕は東京の水にもやっと慣れてきたところです。でも、その空は暗く、晴れそうにもありません。

 前略、おふくろさま。
 僕は今さらになって、世間の厳しさを身にしみて感じているところです。稽古はとても厳しいものです。本当に相撲だけで生きていくことができるのか、自信が持てなくなってきました。

 前略、おふくろさま。
 毎日なじられ、痛めつけられながらも、鍛えられていく毎日です。僕は人間なのでしょうか。多少の小遣いを与えれば、どんなしごきにも耐えなければならないのでしょうか。

 前略、おふくろさま。
 伸び悩みはじめています。親方は僕に失望しているのかもしれません。故郷の川の冷たさを思ひだしながら、汽車の切符を買ってしまいそうになるこのごろです。


(C)1997 KSS

●厳しく辛い修行の先には、厳しく辛い戦いがある

 いくら体格がいいとはいえ、私には相撲取りの経験はない。だから、相撲取りの厳しさなんて、これっぽっちも理解していないのかもしれない。しかし、しかし……いくらなんでも、ちょっと辛すぎるんじゃないか? と思うのがKSSの「土俵の嵐」だ。

 親方になって部屋を興し、入門者を募って鍛えに鍛えて横綱を目指す育成シミュレーションゲーム……と聞けば「なるほど、競走馬の育成シミュレーションと根っこは一緒なんだな」と、思うに違いない。
 その考察はとても正しいのだけれど、プレイ感覚は全然違う。辛い、とにかく辛いのだ。プレイヤーは親方になるのだから、自分自身は辛いことはないはずなのだが、実際にはかなりの我慢を強いられてしまう。
 というのも、競馬と相撲では、根本的にスケジュールの進み方や戦略の建て方が異なるからだ。

 まず、競馬の場合はデビューしたての頃から、いろいろなイベントが待っている。未勝利戦、クラシック戦線などなど、もし出来の悪い馬だとしても、ちゃんとレースに出ることもできる。しかし、相撲の場合はそうではない。せめて十両ぐらいにならなければ、他人に勇姿を見てもらうことさえできない。
 実際、土俵の嵐の中で、幕下以下の力士の取り組みは、一切画面上に表示されない。単に結果が表示されるだけだ。単に淡々とマウスのクリック作業だけが流れて行くだけ。
 では、弟子たちが十両になれば楽しいか? というと、これがまた結構苦痛になってくる。というのも、画面の切り替えが遅く、取り組みの表示も冗長(左右に力士が押し合いするだけ。その上、30秒以上も行ったり来たする事はザラ)なのだ。取り組みの表示をオンにしたままだと、これが15回×関取の分だけ繰り返される。
 また、競馬の場合は毎週、必ず開催があり、4頭ほど競走馬を持っていれば、結構、調教の合間に自分の育てた馬たちのレースがある。しかし、相撲の場合は15日の場所と、それ以外の稽古。ゲームでは場所前15日を稽古に充てて、毎日親方がアメと鞭で鍛え上げるのだが、稽古を15日間ず~っとつけてからでないと、相撲のシーンを見ることはできない。

 さらに根本的に、相撲には血統がない、という違いもある。サラブレッドの血統から、奇跡の血を見つけだす、といった楽しみはない。単に数値化された入門希望者を選ぶだけなのだ。競馬ゲームで言えば、外国産馬しか買うことを許されず、自分の牧場では一切馬を生産してはいけません、というルールになっているのと同じこと。これでは、出来のいい入門者が現れるのをひたすら待つ以外には、才能のある若者をスカウトできない。せめて、親方自身が掘り出し物を求めてスカウトに出かけるフィーチャーがあればいいのに。

 ちょっと厳しく言い過ぎかもしれないが、操作性自身も練られているとは言い難いから、なかなか進まない。かれこれ10時間以上もプレイして、やっと幕内力士が誕生したけど、そらもうかなりイライラすること間違いない。


●多彩なイベントと言うけれど

 とはいえ、もともと育成シミュレーションとは、かなり単調なゲーム。何度も何度も基本的なことを教え込み、それを繰り返して大物に育てる。この基本は、馬だろうが、力士だろうが女の子だろうが、全く変わらないのだ。
 じゃぁ、なんで育成シミュレーションが流行っているのだろう。それは、自分自身の行動によってさまざまな影響が出てくる仮想現実の世界を楽しめるからとか、いろいろ難しいことを言えばそれなりに解決できるはず。でも、根本的に楽しくないならば、よほど暇でなければ続ける気にはならない。ヒットするゲームには、それなりの理由(飽きさせないための演出)がある。

 土俵の嵐の場合は、プロレスに転向したり、親方が夜遊びしたり、はたまた女将さんが家出をしたり、まぁいろいろなイベントを差し込み、3D CGムービーを流すことで効果的な演出を狙っている。しかし、そのねらいはずれていると言いたい。

 なにしろ、特別なイベントなんて、ほとんど発生しない。数時間プレイしていて、1度もイベントがないことさえある。競走馬育成シミュレーションのシステムを、そのまま相撲に応用してしまった時点で、競走馬育成シミュレーションを越えられないものになってしまったのではないだろうか。
 じゃぁ、土俵の嵐って何なの? って話になる。着眼点は悪くないと思うのだが、まだ作り込みが甘い。もっと楽しく、もっと育てる楽しさを刺激するゲーム構成にすれば、いくら相撲ブームが下火とはいえ、結構面白いゲームに仕上がると思うのだが。それだけに少々残念ではある。

[Reported by 本田雅一改め雅ノ花]


Weekend Summary
●セガ、「バーチャファイター2」などを発表 ほか


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