Weekend Watch【'97/6/20版】

 スターウォーズ特別編が公開され、巷ではふたたびブームがまき起こっている。国内のPCゲーム市場でも、米LucasArts Entertainment社(以下、LucasArts)開発のスターウォーズものが好調な売れ行きを示しているようだ。LucasArtsのゲームは、マイクロマウスが日本総代理店となっている。そこで、マイクロマウスの広報担当者に今後のスターウォーズのゲームや、日本での商品展開などについて聞いてみた。

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■インタビュー■

マイクロマウスに聞く:今後のスターウォーズゲーム

【米LucasArts Entertainment社

 スターウォーズ、インディー・ジョーンズなどで著名な、ジョージ・ルーカスアーツが率いる米Lucas Film社のゲーム部門で、アクション・シューティングゲーム「Rebel Assault」シリーズなど、スターウォーズを題材にしたゲームを始めとして、フルアニメーションのアドベンチャー「FULL THROTTLE」など、映画的な手法を取りいれたゲームなども発売している。

マイクロマウス株式会社】

 LucasArtsのほか、「ウェアウルフvsコマンチ2」などのフライトシミュレーションを製作している米NovaLogic社の日本総代理店で、日本語ローカライズを始めとして、英語版の国内販売なども行なっている。
 最近では、ネットワーク対戦に対応した3Dシューティング「X-WING VS TIE Fighter」(英語版)を始めとして、「スター・ウォーズ<特別篇>」の公開に合わせて、映画の未公開シーンなどを収録した非売品CD-ROM「メイキング マジック」を同梱したパッケージソフト「レベルアサルト2+メイキングマジック 日本語版」、「スター・ウォーズ スクリーンセーバー+メイキングマジック 日本語版」などが発売されている。

※このインタビューは6月9日に行なわれたもので、各ソフトタイトルの情報なども6月9日現在の情報に基づいています。



※以下、PCW=PC Watch、M.マウス=マイクロマウス

●「シャドウオブザエンパイヤ」PC版発売決定!

PCW 最近、LucasArtsでは新作を続々と発表していますね。
M.マウス そうですね。近く米国でE3がありますので、LucasArtsもノバロジックもさらに新しいタイトルを発表すると思いますよ。
 LucasArtsのタイトルでは、マイクロマウスから最近「X-Wing VS Tie Fighter」を出荷したんですが、次回作となる予定の「ジェダイナイト」は9月になると言っています。逆に、TVのCMでご存じかと思いますが、NINTENDO 64用の「スターウォーズ―帝国の影(シャドウオブザエンパイヤ)」日本語版が6月14日に発売になりました。それがPC版に移植されることに決まったんですよ。
 「シャドウオブザエンパイヤ」のNINTENDO 64の米国版用は去年の11月くらいに発売していまして、この3月までにワールドワイドで100万本出荷したと聞いています。LucasArtsとしてはかなりのヒット商品です。米国ではコンシューマ機で成功したので、いつもとは逆に、PCのほうへ移植しようということになったみたいです。早ければ、「ジェダイナイト」より前に出せるとLucasArtsでは言っています。
PCW移植する際に、PCとコンシューマ機のマシンパフォーマンスの差は、あまり影響ないのでしょうか。
M.マウスですから今回は、PCには3Dグラフィックボードが必要になります。
PCWそれは専用ボードですか?
M.マウスいえ、一応すべての3Dグラフィックボードに対応すると聞いていますが、まだ詳しいことは発表されていません。だいたい標準的なボードはサポートすると思うのですが。

X-Wing vs Tie Fighter
(C) 1997 Lucasfilm Ltd. and LucasArts Entertainment Company.All Rights Reserved. Star Wars, X-Wing, TIE Fighter and the LucasArts logo are trademarks of Lucasfilm Ltd., used under authorization. Totally Games is a trademark of Totally Games.

●「X-Wing vs Tie Fighter」も好調

PCW ネットワーク対戦をサポートした3Dシューティング「X-Wing vs Tie Fighter」のほうも好調だと聞きましたが。
M.マウス 5月16日の発売以来、3週間くらいで、8,000~9,000本くらい出荷しています。ちょうどスターウォーズの映画の公開と重なりましたので、その影響もあったと思いますが。
PCW 「スター・ウォーズ<特別篇>」の公開にあわせて、映画の未公開シーンなどを収録した「メイキングマジック」を同梱している製品もありますよね。
M.マウス ええ、スクリーンセーバーにメイキングマジックを付けたものと、レベルアサルト2に付けたものと、2つパックを作りました。
PCW 映画が公開されてさまざまな相乗効果もあると思いますけど、そのあたりはいかがですか。
M.マウス 映画館のほうでも、このスペシャルパックを販売しているんです。メインで公開している日比谷スカラ座の初日に、ショーケースの上に2種類のパックをそれぞれ10本ずつ並べたんですよ。そうしたら、1回めの上映が終わって、2回目との入れ替えのときには、ソフトはすべて売れてしまったんです。
PCW かなり手応えは感じてらっしゃるということですね。映画のほうは、具体的にどうなんでしょう。総動員数などは。
M.マウス まだ公開されて1週間経ったばかりなので集計が出ていませんが、感触としては、配給元の20世紀FOXも予想よりも良かったと言っていました。当初、7月からの公開を予定していたのですが、米国で非常に好評だったのを受けて、日本での映画公開を予定より早めたんです。夏休みに公開するタイトルとしては、「ロストワールド」がほかに入っていたこともありまして。

●謎の新作、「レベリオン」

PCW 2月に世界中の代理店の方を集めて、今後の予定などをLucasArtsが発表されたそうですが、そのときに「ジェダイナイト」まで正式発表で、それ以降のこともちょっと話が出たという話を聞いたのですが。
M.マウス そうですね。そのあとにLucasArtsが発表したのが、「シャドウオブエンパイヤ」。あともうひとつありまして、それが「レベリオン」です。スターウォーズの戦略ゲームですね。
PCW シミュレーションですね。タイプとしてはリアルタイムシミュレーションなんでしょうか。
M.マウス そのようですね。
PCW これは米国のほうでは、すでに出てるんですか。
M.マウス いいえ、まだ発売されていません。これは米国でも年末ぐらいに出荷だと思いますよ。「ジェダイナイト」の次くらいかと……。
PCW 初めてですよね。スターウォーズのシミュレーションのタイトルというのは。
M.マウス おっしゃるとおり初めてですね。こういうジャンルのゲームは。
PCW 米国でシミュレーションゲームというのは、受けるんですか。アクションのほうが受けるのかなって気もするんですけど。
M.マウス そうですね、まだこれもLucasArtsとして、どのように考えているのか、よく分からないんですよ。スターウォーズマニアの方を中心に、それなりに売れるのではないかとは思いますが(笑)。

ジェダイナイト
Jedi Knight: Dark Forces II game(C) 1996 Lucasfilm Ltd. All rights reserved. Used under authorization. Star Wars is a registered trademark and Jedi Knight and Dark Forces are trademarks of Lucasfilm Ltd. The LucasArts logo is a registered trademark of LucasArts Entertainment Company.

●注目のジェダイナイト

PCW マイクロマウスとして、これからプッシュしたいタイトルを教えてください。
M.マウス やはり「ジェダイナイト」ですね。映画公開中に出てくれれば、ウチとしてはいちばん売りやすいのですが。このままだと出荷は映画公開か、終わった直後ですね。
PCW 映画は9月初旬まで公開の予定ですよね。
M.マウス そうです。映画は好評であれば公開期間が伸びるので、まだ分かりませんが。第2作が7月5日から、第3作が7月26日からですので、少なくとも4週は上映するというので、8月の終わりまでですね。
PCW 「ジェダイナイト」の発売とタイミングを合わせるには、ギリギリというところですね。
M.マウス そうですね。はじめは7月だ、8月だといっていたのですが、いまでは9月といっています。もしかしたら、もうちょっと遅くなるかもしれません。
PCW 9月に出るのは英語版ですか。日本での発売はいつごろでしょう。
M.マウス マイクロマウスも米国と同時に「ジェダイナイト」を発売します。まず英語版を簡易マニュアルをつけて出荷し、それから日本語版は、ローカライズに2、3か月から長ければ半年くらいかかりますので、日本語版は年末か年明けですね。
ゲームによってはゲーム内の表示の問題があったりして、ローカライズできない部分がはじめに分かっているものもあるんです。「レベリオン」なんかもそうで、メニューとかラウンチャはできるのですが、ゲーム画面のほうは表示ができないので、アジア圏はあきらめてくれと、今からいわれてます。
PCW シミュレーションで日本語が表示されないのは、ちょっとつらそうですね。
M.マウス そうですね。ただ、日本語化したらどれだけ売れるのか、といわれるとちょっと厳しいですよね。開発サイドとしては、いいものを作りたいんですが、採算とれないからやめましょうという話になると、そうせざるをえないので。
PCW 「X-Wing vs Tie Fighter」などはパッケージも日本語にしてましたが。
M.マウス あれはマイクロマウスが初めて英語版の箱をローカライズしたものです。うちとしては、これは手間もお金もかけてやっています。ただこれに対しては賛否両論ありますが……。日本語の解説がついているほうが、やっぱり分かりやすいですよね。そういう意見がある一方で、オリジナルの英語版の箱が欲しい、というマニアの方の声もあります。スターウォーズものは、やっぱりオリジナルのものが欲しいという人もいますので、そのあたりをこれからも検討しながら、やっていこうと思ってます。
PCW スターウォーズもの以外のタイトルの予定はどうなんでしょう。
M.マウス LucasArtsは、今年春に「アウトロー」という西部劇の3Dアクション、ガンシューティングを出荷しました。当初、フルスロットルみたいなアドベンチャー系を想像していたら、意外にガンアクションだけでバリバリ遊べるので驚きましたよ。LucasArtsはスターウォーズ以外のものもやっているぞ、というのをかなり示したいようです。
こうしたソフトとしては、「アウトロー」の次に、「モンキーアイランド 3」というアドベンチャーがあります。これが秋くらいの予定です。
PCW それもアドベンチャーですか。
M.マウス そうです。このへんもローカライズしないと、日本では売れないんですけど、ローカライズをするマンパワーや採算が取れるかという話になりまして、現在検討中です。
PCW ユーザーとしては、シミュレーションやアドベンチャー系のタイトルは日本語のほうがありがたいですよね。

●E3の目玉ソフトはあるのか?

PCW 6月のE3でLucasArtsの目玉というのはあるんですか。
M.マウス まだ聞いていないのですが、「レベリオン」と「シャドウオブエンパイヤ」、そのあたりが目玉になると思います。それ以外にも発表すると思いますよ。
LucasArtsのブースって、コンシューマ機のような派手なブースではなくて、基本的にはクローズドブースなんです。デモや展示というのは、本当にパソコンが5、6台並んでいて、新しいタイトルをひとつずつやっているという感じなんです。あとはすべて商談スペース、ミーティングスペースなんですよ。
報道の方はデモのコーナーは自由に見られると思うのですが、誰かに話を聞きたいとか、インタビューをしたいというのは、すべて予約制なんです。
PCW そういう展示スタイルが普通なんですか。
M.マウス 多いみたいですね。パソコンのほうは特にそうですね。ノバロジックもそういう形です。基本的には商談の場所ですから。
PCW ノバロジックのほうはどうですか。
M.マウス ノバロジックも、1年前くらいからフライトシミュレーション以外のファイティングゲームみたいなものが、プロジェクトはあるといってますので、今度のE3でなにか出展する可能性はありますね。
ノバロジックのゲームは、いまのところDOSゲームなんです。日本ではNECの市場もありますので、去年のE3でWindows 95版で開発しないのかと聞いたら、向こうはまだDOS版でぜんぜん大丈夫、売れる、といってたんです。ですがこの春になって、Windows 95ネイティブにするようなプロジェクトを立ち上げたいそうなんです。でも、そうすると日本で何本売れるかって聞かれるんですよ。
PCW 難しいですね。
M.マウス ただこのあとに出てくるゲームは、Windows 95版だと思います。
マイクロマウスでは、2社以外のタイトルも英語版ですが、日本語マニュアルを付けてワールドゲームシリーズとして販売しています。現在、開発中のものもあります。
'95年から96年にかけて、日本のメーカーがエンターテイメント市場に参入して、投資のつもりでたくさんお金を払って、ソフトの販売権を買っていたんです。でも、この市場がまだそこまで追いつかなくて、1万本売るといってお金は払ったけれども、実際にはそうじゃないものが多いですよね。
でも、この年明けくらいから、ちょっと様子が変わってきました。ソフトメーカーもだいぶ分かってきたようで、あまり大きな数をふっかけてもムリだというのがわかってきたみたいです。逆にパートナーを探しに、わざわざ日本に乗り込んでくるような会社も年明け以降、増えてきました。着実にやってくれるパートナーを探したいなんて、謙虚なことをいうところもあります。
PCW それには、日本のユーザーに合ったゲーム作らないとダメですよね。

●将来的には自社開発のゲームを

PCW エデュテイメント関係のソフトも発売してますが。
M.マウス 「わくわく で・ん・き コイルのはたらき」というソフトを3月6日に発売しました。ライセンス元は米国で、このソフトには実験キットが付いています。子供たちに電気の仕組みをパソコン上で説明して、子どもたちが実際にキットを作るのです。このソフトは音声を日本語化してます。
これはシリーズ化される予定です。次のタイトルが年末か年明けくらいになると思うのですが、化学の話になります。ここのソフトは、まず英語版ができて、それからローカライズなので、時間がかかりますが。
PCW マイクロマウスの大きな柱としては、LucasArtsがあってノバロジックさんの2本の柱があって、いまのところエデュテイメント関係とそれ以外のワールドワイドゲームシリーズがあるということですね。
M.マウス 実は、オリジナルも開発してるんですよ。まずは教育ソフトになると思いますが、去年の暮れくらいから開発にかかっています。そして、将来的には、オリジナルゲームも出していきたいと考えています。数年後には、自社モノと海外モノが半々くらいにしたいと思っています。それには何年もかかかると思いますが。

[Text by 尾道晃]


Weekend Summary
●EAV、「Dungeon Keeper」など4タイトルを発表 ほか ほか


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