後藤弘茂のWeekly海外ニュース
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Memphisの正式名は「Windows 98」に決定か?


●Memphisの正式名は「Windows 98」に決定か?

 今週は米Microsoft社のウォッチサイト/ニュースレターのひとつ「Windows Watcher」のスクープから。同サイトの最新レターの中の記事、「Windows 98 it is」(Windows Watcher,6/4)によると、Windows 95次期バージョン「Memphis」の正式な名称は「Windows 98」に決まったようだという。それは、来年の出荷になるということを意味している。Memphisに関して、Microsoftはまだ97年中の出荷という当初の予定からスケジュールをアップデイトしていない。しかし、実際の出荷は'98年にずれ込むのでは、という観測がこの数ヶ月間、じょじょに強まっていた。そこへこのニュースだ。Windows Watcherによると、この件が判明したのは、Microsoftの出版部門Microsoft Pressの新しいカタログに、新タイトルとして"Windows 98 Resource Kit"、"Getting Started with Windows 98"それに"Windows 98 Step by Step"というタイトルが並んでいたからだという。このニュースは、Windows Watcherへの取材をベースに「Memphis: Windows 98 It Is」(COMPUTER RESELLER NEWS,6/6)も伝えている。まだ公式に確認された情報ではないが、いかにもありそうな話だ。もっとも、ユーザーにとってはMemphisを早く欲しいというより、バグをできるだけ少なくして欲しいというのが本音。Windows 98になっても、Memphisによる新しいハードウェアサポートを期待するOEMメーカー以外からは文句が出ないのでは?


●Windows戦略の発表イベントを延期

 Memphisの遅れが本当かどうかはわからない。しかし、Microsoftはここに来て、6月26日に予定していたWindowsファミリの将来戦略の解説を行うイベントReviewers Workshopを取りやめることを決定したという。これは、「Whither Windows?」(COMPUTER RESELLER NEWS,6/4)が伝えているものだ。記事によると、Microsoftは、これはMemphisのスケジュールとは無関係だと主張、改めて夏の終わりか秋の初めにWindows戦略についてのイベントを行うという。


●MSNを取りやめるという報道も

 先週は、Microsoftがオンラインサービス「MSN(The Microsoft Network)」をやめるというニュースも流れた。火元はLos Angeles Timesで「Microsoft May Drop Internet Access Business」(Los Angeles Times,6/2,http://www.latimes.com/HOME/ARCHIVES/で有料サーチ)という記事のなかで、貧弱なサービスや未達Eメール、課金問題などでカスタマーの不満が高まった結果、Microsoftの幹部はプロバイダービジネスからの撤退を検討し始めたとしている。もっとも、この記事は、ちょっと勇み足過ぎたようで、すぐさまMicrosoftはこの報道を否定した。しかし、「Analysts see firms' Internet strategies changing」(Seattle Times,6/3)などは、撤退はありえないものの、Microsoftの戦略が変わりつつあるのではと指摘している。MSNや大手プロバイダUUNetを足回りに使い、課金やメールなどは自前でやっているが、今後はアクセスビジネスには手を出さずに、コンテンツに注力するかも知れないという。

 アクセスビジネスから撤退するかどうかはともかく、Microsoftがコンテンツ戦略をさらに推進するのは確かなようだ。「Microsoft Moves to Rule Commerce on the Internet」(The Wall Street Journal,6/5,http://www.wsj.com/から、有料)は、Microsoftの内部メモなどをもとに、Microsoftが地域広告市場の過半数シェアを取り、さらに、航空チケット、中古車販売、その他一般の商品などの販売手数料や売上げを狙っていると報じている。地域密着型の生活情報ガイド「Sidewalk」を中核に、3カ年計画でさまざまなコンシューマ向けサービスを加えて行くのだそうだ。


●MicrosoftのHydraの概要が明らかに

 Microsoft関連では、Windows NTのマルチユーザーアプリケーションサーバー「Hydra(ハイドラ)」についてのニュースもいくつか登場した。「Microsoft to unleash 'super-thin client' known as Hydra」(InfoWorld Electric,6/6)によると、Hydraは3つの要素からなるという。Hydra Serverと呼ばれるWindows NT Server Multiclient Core、Hydra Clientと呼ばれるWindows CEベースのクライアントソフト、それにHydra Remote Protocolだそうだ。年内にβテストに入る予定というから、そう遠くない時期に概要が明らかにされるのではないだろうか。


●Netscapeはエンタープライズ戦略を発表か

 さて、そのMicrosoftの目下最大のライバル米Netscape Communications社は、今週、開発者向けカンファレンスDevConを開催する。InfoWorldが、その概要を予測している。「Netscape to breathe life into 'networked enterprise'」(InfoWorld Electric,6/6)によると、"Networked Enterprise."という企業情報システムビジョンのもとでの企業向けアプリケーション開発における戦略やツール、パートナーシップなどを一気に発表するらしい。そのなかには、Lightweight Directory Access Protocol (LDAP)対応ディレクトリサーバーなども含まれる。また、DevConでは、Netscape SuiteSpot 3.0とNetscape Communicatorもいよいよ正式版が配布される。今週は、Netscapeで一気に盛り上がりそうだ。


●Oracleはこの夏家庭向けNCを投入

 Netscapeとエンタープライズソリューションでは連携する米Oracle社は、NC (Network Computer)を次のステップに進める。「NCI to compete with WebTV」(CNET NEWS.COM,6/5)によると、Oracle傘下のNetwork Computer社(NCI)が、いよいよ家庭用NC (Network Computer)がこの夏に登場すると明かしたらしい。TVに接続するセットトップボックス(STB)やTV一体型のこのNCは、米Zenith Electronics社やRCA、それに赤井電機といったパートナー家電メーカーが発売する。ということは、NC向けサービスをホームユーザーに提供するNCプロバイダーも同時に立ち上がることを意味するのだろう。OracleのNCの特色は、IBMやSunと異なり、エンタープライズだけでなくホームユースも最初から開拓しようとしている点。米国のTVメーカー最大手を引き込んでの展開だが、WebTVも苦戦しているこのマーケットで成功できるか。


●東芝もASICでインターネット端末対応

 家庭用インターネット端末には、東芝も可能性を見いだしているらしい。といっても、とりあえずは半導体事業としての話だが。「Toshiba licenses technology to enable Internet-ready electronic products」(InfoWorld Electric,6/7)によると、東芝は、今週、インターネット端末向けASICについて発表を行うという。これは、新興ASICメーカーiReadyからライセンスを受けたインターネット端末のシリコンモジュール(HDLで記述したメガセル)を使うものだそうだ。つまり、家電メーカーが、セルベースICやエンベデッッドアレイを設計する際に、簡単にインターネット機能を加えることができるようになるというわけ。これで、0.25ミクロンASICが本格化して、DRAMの混載も容易になれば、ワンチップインターネット端末がごくふつーになるかも知れない。


●企業と家庭の2戦線に打って出るCompaq

 さて、最後のニュースは米Compaq Computer社関連で締めくくろう。「Compaq to unveil workstations」(CNET NEWS.COM,6/8)によると、Compaqは月曜日(日本時間火曜日)に、新しいWindows NTワークステーションを発表するという。詳細は明らかではないが、Pentium Pro 4個構成のハイエンドワークステーションもあるらしい。また、PC Expoでは同社も他のPCメーカーと同様にNetPCを発表する見込みらしい。「Compaq to debut Net PC, new strategy」(CNET NEWS.COM,6/4)によると、これは同社のビジネスデスクトップ「Deskpro」ラインの新機種として提供されるという。

 また、Compaqはホームユースも新たな戦略を練っているようだ。「Gateway, Compaq pitch low-cost PC-TVs」(CNET NEWS.COM,6/5)によると、リビング向けの低コストの情報家電を計画中だという。この新デバイスは将来のディジタルTV放送に対応、また、Windows CEをOSにする可能性もあるという。また、すでに話題になっているが、Compaqはいよいよ通販にも参入するようだ。「Compaq sales made to order」(CNET NEWS.COM,6/5)によると、同社は来月発表する新モデルの一部から通販を開始するという。


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('97/6/9)

[Reported by 後藤 弘茂]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp