【リレー連載 物欲道修行記】


リレー連載 物欲道修行記

第41講 気絶派 師範:スタパ齋藤

 第41講では、スタパ師範が現在お使いのモバイルギアとカラーザウルスがテーマです。スタパ師範はカラーザウルスを入手されてしばらく、「出先におけるすべての入力をカラーザウルスで行なう!」という試みをしておられたと聞いておりますが、その後モバイルギアを導入されたようです。
 ちょうどというか、本日6月3日に、注目の富士通の新情報携帯ツール、「INTERTop」の発表会が開催されました。重量750g、A5サイズで486SX搭載のDOSベースの携帯端末。当然DOSに抜けることもでき、33.6kbpsモデム内蔵、ペン入力できる7.2インチ液晶内蔵、デザインもかっこよい、価格は実売10万前後という、ボーナス商戦の目玉になりそうな製品です。製品発売後、この物欲コラムに登場しそうですね。
(原稿料よりネタのための買い物が高くつくのを少し後ろめたく思っている編集担当――このコラムは資金・物欲・締切厳守のパソコンライターにおけるトライアスロンとも言われています。もちろんデジカメ画像も各ライターさんの私物で撮影していただいたもの)


ColorZaurusとMobileGearで出先型電子手紙端末使用を実践中!

疑問を感じつつモバイルコンピューティングする俺

 最近では、猫も杓子も雑誌もネットもモバイルコンピューティングだが、この件に関してふたつ、疑問がある。
 ひとつは、人が作っているメディアである雑誌やネット、あるいは猫がモバイルコンピューティングに注目したり実践したりするのはわかるが、杓子はいかがなモンであろうか。コレはすなわちオタマであって、味噌汁などをすくうだけの器具なのに、なぜ猫などと並列に並べられて語られるのだろうとかっていう糞疑問は置いとくとして、もうひとつの疑問。
 どうしてMobileComputingを“モバイルコンピューティング”って言うのだろうか。“モービル”じゃダメなのか!? モービル石油に叱られるのか!? モービルコンピューティングの方がバットモービルみたいでカッコいいのに。 まあ“モバイル”でよしとしよう。が、そうした場合、MultiMediaは“モーティミィーディア”とかにすべきではないのか!? ていうかまあモバイルコンピューティングに対し、この別に考えても考えなくてもどうでもいいヘボ疑問を感じつつ、俺はけっこう頻繁にモバイルコンピューティングしており、最近は猫も杓子も(以下同文)なので、今回は俺のモバイル環境をちょっいとばかり紹介してみたい。



ハードウェアが超好きな俺

 俺の場合、若い頃に幾多のハードウェアを不注意で壊したという経験がある。落として壊した、踏んで壊した、押して壊した、触っちゃイケナイところを触って壊した、割った、曲げた、水没させたなどなど。『写るんですフラッシュ』を分解して感電したことまである。電気製品の注意書きにあるようなやっちゃあイケナイコトはだいたい全部(不注意で)やっちゃったので、ハードウェアを壊したユーザーの気持ちもだいたい全部わかる。  ハードウェアが壊れたときの残念さ加減というのは、WIndows 95が起動しなくなったときよりも凄い。Mac OSで爆弾マークが出るなんてことよりも全然朦朧とすることなのだ。
 なので、俺はどのハードウェアに対しても細心の注意を払う。絶対に乱暴に扱わないし、常にハードウェアが壊れる可能性が低くなる工夫をしている。

 で、そんな俺がモバイルコンピューティングをしようというのだから、それに使うマシンも限られてくる。  まず、ハードディスクが入ってちゃダメ。アレは超高速で回転する超精密な円盤の上に超高密度でデータが書かれているからだ。そんなものを持ち歩くのは危険だ。
 それから、重いのはダメ。重いモノを持ち上げれば、それだけ位置エネルギーを得ることになり、すなわち落下したときに受ける地面からの反作用の力が強くなるからだ。ある程度軽ければ、筐体がそのショックを吸収してくれるゆえ、安心度が増す。
 デカいのもダメ。デカければデカいほど、何かと物理的に接触する可能性が高くなるからだ。
 とかいうふうに、考えていたので、結局小さくて軽くてハードディスクが入ってないマシンに限られた。まあ、一時はHiNoteUltraとかThinkPadとかLet's NoteとかLibrettoとかも使ったのだが、結局俺の頭から離れない“壊れることへの不安”から、頻繁に持ち歩くまでには至らなかった。



メール送受信中心のモバイル

 モバイルコンピューティングというと、外出先でコンピュータを使ってなんかすることになるわけだが、俺には出先での表計算やグラフィックデータ変換やマルチメディアゲームは不要だ。最低限メールの送受信ができて、多少の文書が編集できればいい。つまりネットにつながってテキストがどうにかなりゃそれでOKなのだ。  てなわけで、最終的に(というか現在は)、ColorZaurusとMobileGearをモバイルに使っている。小さいし、軽いし、ハードディスク要らずのSolidStateな設計だし、ネットにつながってテキストがどうにかなるマシンだからだ。
 実際の話、これらのマシンを使ってする俺のモバイルコンピューティングは、ほとんどメールの送受信だけだ。たまーに原稿の書き落とし部分を書いて、メールで送る程度である。それ以上のことは家に帰ってからやるか、電話で詫びを入れてどうにか処理してもらうか、やらないのである。
 でもところで、よく雑誌や雑誌や雑誌なんかで、白い歯をキラリと光らせるスガスガシくてエリートなイメージのサラリーマンがオシャレなカフェなんかでエギュゼクティブなクライアントに対し自分の携帯型コンピュータを見せて表計算やらプレゼンテーションやらの画面を見せていたりする感じのトビラページから始まる『実践モバイルコンピューティング』的特集をやっているが、ああいう特集ページの内容をそのままやる人ってホントにいるのだろうか? 秋葉原の喫茶店でノートパソコンを向き合わせて、謎のデータをIrDAで送受信しているマニアの人や、ISDN電話でパソコン開いてメールチェックしてる人ならよく見るのだが、どうなのだろう?



ちょっと出かけるときにColorZaurus

カラーザウルスモバイル一式。
(A)=左が携帯電話用バッテリ、右がColorZaurus用バッテリ。(B)=ColorZaurus本体。(C)=NTT DoCoMoの800MHzデジタル携帯電話。(D)=デジタル携帯電話用アダプタCE-DA3。(E)=モジュラーケーブル。

 俺の場合、外出のパターンによって、2種類のモバイルコンピューティングセットがある。
 まずひとつめは、数十時間から2~3日、デスクトップマシンから離れるというときのセット。持ち出すのはColorZaurusと携帯電話とバッテリとケーブル類だ。
 具体的には写真のようなモノらで、(A)が携帯電話やColorZaurus本体の予備バッテリ、(B)がColorZaurus本体、(C)がNTT DoCoMoの800MHz携帯電話、(D)がColorZaurusと携帯電話をつなぐアダプタ、(E)がColorZaurusと加入電話回線をつなぐモジュラーケーブル。
 このセットを持って出かける場合は、基本的にはメールの受信と、簡単なメールの返信だけ行なう。ColorZaurusを長時間ホストにつなぐ必要がないので、使うのは携帯電話だ。バッテリを持って行くのは、俺が心配症だからで、まあ通常はほとんど役立つことはない。で、これらのコマモノをシャープ純正のカラーザウルス用のケースに入れる。携帯電話を含めてスッポリ収まってしまうので、非常にコンパクトな感じでメール端末を持ち出せる。
 たとえば、2泊3日の旅行とかなら、このセットで十分足りる。以前はその程度の外出にサブノートやモデムカードやケーブルや予備バッテリなんかをごっそり持ち歩いてその重さを楽しんだりしたのだが、結局初日に1度だけ使って、あとはバッグから出しもしなかった、なんてことがよくあった。なので、現在では、このセットが入ったケースを片手に、ポケットにはタバコと財布を入れて出かけるのである。重さを気にせず、気軽にメールの送受信ができる。

言わずと知れたColorZaurus。手書き入力の面倒臭ささえ割り切れば、コレだけで十分モバイルできる。最近ではPIAFS対応モデルも出た。旧モデルからのアップグレード(というかファーム書き換え)もできる。 SHARP純正のColorZaurus用ケース。けっこうタフな作りで、ColorZaurusとその周辺機器をショックから守ってくれる。 ColorZaurus用ケースは、閉じた状態では片手でラクに持てるようなサイズになる。 デジタル携帯電話用アダプタCE-DA3を付ければ、デジタル携帯電話を接続できる。


かなり出かけるときにMobileGear

モバイルギア+電話+ケーブル
(A)=MobileGear本体。(B)=NTT PersonalのPHS(パルディオ312S)、32Kパルディオデータカード(DC-1S)、接続ケーブル。(C)=NTT DoCoMoの800MHz携帯電話、DATA/FAX CARD 9600MarkII、接続ケーブル。

 4~5日以上出かけるときは、MobileGearの出番だ。
 持ち歩くのは写真のようなモノらで、(A)がMobileGear本体、(B)がNTT PersonalのPHS(パルディオ312S)と32KパルディオデータカードDC-1Sと接続ケーブル、(C)がNTT DoCoMoの800MHz携帯電話とDATA/FAX CARD 9600MarkIIと接続ケーブル。それから、MobileGearと加入電話回線をつなぐためのモジュラーケーブル。
 これらすべてを持ち歩くわけではなく、(A)と(B)のセットか、あるいは(A)と(C)のセットというふうに使い分ける。都市部中心に出かけるのなら、(A)+(B)のMobileGearとPHS、小都市などが多い場合は(A)+(B)のMobileGearと携帯電話のセットだ。モジュラーケーブルは緊急用として、常にセットに加えておく。でも現実的な話、(A)+(B)のPHSセットはあまり使わない。とりあえず携帯電話があればたいていの場所でメールの送受信ができるからだ。

 どうしてMoboleGearなのかというと、長期間外出していると、どうしてもメールボックスに“細かく答えるべき内容”のメールが入るからだ。たとえば原稿一部修正要求や企画案提出要求のメールだ。そんなメールの返事には、やや長い文章を書く必要があるので、キーボードでサクサク入力できるMobileGearを使う。以前はいつでもColorZaurusという感じだったのだが、ペン入力で長い文章を書いていると、非常に疲れる。ハッキリ言って苦痛なのだ。

MobileGear(モデルMC-MK12)。インターネットへのPPP接続もできちゃう賢いヤツ。知人から何となく買ったものだが、使ってみたらアラびっくり!! 非常に便利。キーボードも打ちやすい。乾電池で長時間動くのが魅力。 携帯電話なら、比較的に通信が安定するので、電話端末をどんなふうに置いても使える。接続はデジタル携帯電話用のデータ通信カード(DATA/FAX CARD 9600MarkII)をMobileGearに差し込んで使用。 ポーチを開いた状態。モバイルギア+携帯+PHS+ケーブル一式を全部入れてもスッポリ収まる。モバイルギアユーザーの人はぜひ無印良品のこの(型番不明)ポーチを使ってみてほしい!! ポーチを閉めた状態。案外コンパクト。

 どちらのセットを持ち出すかが決まったら、セットをケースに入れる。ケースは無印良品で売ってた(恐らく女性用の)ポーチに入れる。偶然発見したポーチなのだが、MobileGearのジャストサイズで、カード類とケーブル類、さらに電話端末がうまく入るようになっていた。
 あっ、ところで、PHSのモバイルでちょっと便利な技、というか工夫をひとつ。PHSでデータ通信すると、PHSの置き場所が問題になることがある。というのも、携帯電話と違って、PHSは電波の出力が低いうえに出す電波の周波数が高いので、端末置き場所によって、通信の安定性がガラリと変わったりする。手で持っていると安定するのに、テーブルの上だと不安定になる、なんてこともある。
 で、結局は、サブノートなどの液晶プレート面にリャンメンテープ(両面テープですな)で貼り付けたりするのだが、俺はリャンメンテープの代わりに練りゴム(という呼び名しか知らない)を使っている。練りゴムというのは、チャコールペンとか木炭でデッサンをやるときに使う消しゴムで、ネンドのように練って使う、いわばゴムネンドだ。これをマシンの液晶面にグニョっとつけて、そこへPHSをペタッとくっつける。コレがけっこうイイのである。何度も使えるし、PHSもマシンも汚れないしで、案外重宝するので、一度試してみてほしい。なお、練りゴムは、文房具店や画材店で売られている。
 閑話休題。ケースに入れた状態だと、ColorZaurusのセットも、MobileGearのセットも、だいたい似たような容積になる。片手で持って苦にならないようなサイズだ。女性ファッション誌をふたつ折りにして持ったような感じで、どこでも使えるメール端末としては、まあこのサイズは許せると思う。

デッサンとかをやる学生は必ず使っているネンド型消しゴム。画材店や文具店で100~300円程度で売られている。 練りゴムテク1:
十分にネリネリする。
練りゴムテク2:
MobileGearの液晶パネルの端にペタっとつける。
練りゴムテク3:
その上からPHSをペタっとつけて出来上り。


ColorZaurusとMobileGearの近未来

 てなわけで、現在はColorZaurusとMobileGearで出先型電子手紙端末使用を実践している俺だが、この先、きっとこの状況も変わってくるのだろう。まずColorZaurusだが、コレはコレでヒッジョーに便利なのだが、まっとう過ぎて飽きもする。俺としてはPalmPilotとか、Windows CE端末とかも使ってみたい感じだ。MobileGearは、コッチもコッチでスッゲー良くできていて超快適で超便利なのだが、NECもWindows CE端末を出すらしいし、それ以外のMobileGear的キーボード搭載端末が出たら、ちょっと使ってみたい。
 でもきっと、「出先ではメールの送受信とちょっとだけワープロ使えればいいや」というテキスト指向な俺のモバイルコンピューティングスタイルは、かなり先まで変わらない気がする。


[Text by スタパ齋藤]


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