いつの間にやらPHSに……読者のみなさんもご存じの通り、今年4月1日からNTTパーソナル、DDIポケット電話、アステルのPHSキャリア3社が揃ってPHSデータ通信サービスを開始した。その影響か、最近、ボクの回りにも急速にPHSユーザーが増えている。かく言うボク自身も3月にはじめて契約して以来、思い切りPHSにハマってしまい、今や3キャリアの端末を所有する羽目になってしまった。 ちなみに、紹介しておくと、左から順にパルディオ312S(NTTパーソナル)、ビクター TN-PZ5(DDIポケット電話)、AN-11(アステル)となっている。 「3台も買ってどうするの?」ってよく言われるけど、何のことはない。3キャリアのデータ通信サービスを実際に使ってみて、ちゃんと評価してみたいからだ。使いもしないで、いい加減な記事は書いたりできないもんね……。と言いつつ、実は今までPHSにあまり興味がなく、不勉強だったため、実体験で取り返そうっていう考えもあったんだけど。おかげで、ここ2カ月ほどの間にかなり勉強させていただきました。 今のところ、買ったばかりなんで3台持ち歩くこともあるけど、たぶん最終的に持ち歩くのは1台になるだろうなぁ。さて、どれが勝ち残るのか……。
パルディオ312Sを選んだのは?最初に契約したPHSは、NTTパーソナルのパルディオ312Sだ。最近、NTTパーソナルと契約した人は、おそらくこれを使っている人が最も多いはずだ。ボクの回りでも312Sユーザーが圧倒的に多い。特に、3月はじめの段階ではこれしか入手できるものがなく、色もかなり限られていた。一時は白がかなり人気だったらしいけど。
まず、大きさについては携帯電話と較べるとよくわかる。写真で並んでいるのはNTTドコモのmova P101というモデル。最新のmova P201はもっとコンパクトだが、パルディオ312Sはそれよりも小さい。 32Kデータ通信端子は横についていると、写真のように充電器に乗せた状態で通信ができる。長時間、転送テストをするとき、途中で「あ、電池切れちゃった」はマズい。効果はどれだけあるのかわからないけど、やっぱりこういう環境の方が安心してテストができる。いざとなりゃ、この状態でリモートアクセスの着信用としても使えるからね。
ホームアンテナは便利だぞパルディオ312Sを使い始め、まず気になったのが電波状況だ。とりあえず、PCが置いてある部屋では使えるのだが、他の部屋に行くとアンテナのインジケーターが1本になってしまったり、まったく使えないことがある。つまり、電波が弱いのだ。そこで目を付けたのがホームアンテナだ。ホームアンテナは電波の弱いところで、外部から入ってくる電波を受け、増幅して端末に渡すという役目のもの。一種のブースターみたいなものだ。確実に電波が入ってくる窓際などに設置しておけば、家のどこでもPHSとして利用できるというわけだ。 NTTパーソナルでは以前からHA-1Sというホームアンテナを販売していた。当初はこれを買うことも検討したが、4月にある筋から「後継モデルが出るみたいだよ」という情報を得ていたため、新機種を待つことにした。そして、噂通り、5月12日にNTTパーソナルからHA-2Sという製品が発表され、先週あたりから店頭に並ぶようになった。これをめでたくゲットしたというわけだ(写真右)。 では、従来のHA-1Sと新型のHA-2Sはどこが違うのだろうか。簡単に表にまとめてみた。
まず、最初にわかるのはHA-2Sが省電力設計になっているという点だ。単純計算で3~6倍程度はロングライフになっている。大きさについては容積で計算するとわずかに増えているが、実際に持った感覚はほとんど変わりない。重量は乾電池の本数が減った分だけ、軽くなっている。つまり、ホームアンテナが実は移動体通信のお助けアイテムとして利用されていることを考えた設計になっているわけだ。ちなみに、乾電池ボックスは本体の背面についている。 ホームアンテナを知らない人のために、登録可能な台数について説明しておこう。通常登録というのは特定のPHSだけで利用できるモードで、いずれも4台まで登録することが可能だ。これに対し、簡易登録というのは簡易登録機能をONの状態でホームアンテナを設置しておけば、PHS側でホームアンテナの登録操作をするだけで利用できるというモードだ。つまり、友だちがたずねてきたとき、ホームアンテナ側で何も操作をしなくても、PHS側でちょっとした操作をするだけで利用できるというわけだ。 ただ、マンションのように各世帯が隣接する環境では、ホームアンテナの購入者が知らない間に隣の家の人が勝手に登録してしまうといったケースも考えられる。ゆえに、簡易モードはオフィスなどでの利用が中心となる。ただし、同時に利用できるPHSはいずれも1台までとなっている。せめて2台くらいにしてくれれば、もっと便利なのだが……。 余談だが、最近ではオフィス内にアンテナをつけるケースも増えている。実はインプレスが入っているビルにもNTTパーソナルのアンテナが設置されており、非常に重宝している。聞くところによれば、DOS/V PowerReportのスタッフがNTTパーソナルのユーザーを募り、設置を申し込んだそうだ。
PHSってあやしいさて、PHSはご存じのように、簡易型携帯電話としてだけでなく、コードレスホンの子機としても使うことができる。NTTパーソナルも3種類のホームステーションを販売しており、シャープや松下電器なども自社のPHSを登録できるコードレス留守番電話を販売している。我が家ではごく普通の留守番電話とコードレスホンを使っているが、留守番電話は9年も前の製品でかなり機能不足を感じていた。たとえば、留守番電話に残されたメッセージにはタイムスタンプがいっしょに録音されるが、時間しか記録してくれない。おかげで、24時間以上、家を空けたとき、残されたメッセージが月曜なのか、火曜なのかがまったくわからなくなってしまうのだ。PHSを購入したら、PHSを子機登録できるデジタルコードレスホンに乗り換えたいと考えていたのだが、なかなか情報が乏しく、悩んでいた。 通常、ホームステーションやデジタルコードレスホンは子機として登録できるPHSが限られている。たとえば、NTTパーソナルのホームステーションはパルディオシリーズしか子機として登録ができなかったり(機種が限られていることもある)、特定メーカーのデジタルコードレスホンを購入すると登録できる子機も限られてしまう。我が家のように3社の端末がある環境で、それぞれをコードレスホンの子機として登録するには、3台の親機が必要になってしまう可能性もあるわけだ。 ところが、国内のPHS関連のホームページを見ていると、非常に面白い情報を発見することができた。アステルのPHSを子機として登録するプロトコルには、NEC・シャーププロトコルと松下プロトコルの2種類があり、NEC・シャーププロトコルに対応したアステルPHSなら、NTTパーソナルの901Uなどのホームステーションに登録できるというのだ。しかも、シャープのJD-B7というデジタルコードレスホンでも同じようなことができるそうだ。この情報はつかななさんが運営するKansai PHS Janker's Pageで公開されている。このページはマニアックながらもたいへん有意義な情報が多く、個人的には非常にありがたく拝見させていただいている。PHSを持っている人なら、ぜひご一読をおすすめしたい。 この情報をもとに、JD-B7を買い求めるべく、新宿ヨドバシカメラに出かけたのだが、なんとすでにJD-B7は生産が終了しており、後継機のJD-B5しかないというのだ。ところが、やっぱり蛇の道は蛇。店員にいろいろ聞いていると、JD-B5でも同じようなことができるというのだ。 店員の話によれば、JD-B5はJD-B7の廉価版ではなく、細かい設計を見直し、PHS伝言クロス転送などの機能を追加した後継機だそうだ。登録できる子機もパルディオシリーズを中心にかなり増えているという。ただ、ボクが持っているAN-11は対応機種に含まれておらず、ほぼ同じ仕様のA221も対応機種から外れている。しかし、それは表向きの話であって、実際にはシャープやNEC、東芝、日立などのアステルPHSを子機として登録できるというのだ。 店員の言葉を信じてJD-B5を購入し、自宅で早速、子機の登録をしてみた。まず、パルディオ312Sについては、対応機種に入っていることもあり、いとも簡単に子機として登録ができた。続いて、問題のAN-11に挑戦。予想していた方法では登録できず、ちょっと悩んだが、AN-11に添付されてきた『主電話機(親機)または接続装置への登録のしかた(販売店様用)』と書かれたマニュアルを参考にしたところ、いとも簡単に登録できてしまった。つかなな氏のページによれば、JD-B7などを利用すれば、NTTパーソナルとアステルPHSの全機種でトランシーバー通話が可能になるそうなので、JD-B5でも試してみるつもりだ。 しかしまあ、考えてみれば、3月にパルディオ312Sを購入して以来、完全にPHSにハマってしまった。我ながらここまでハマるとは考えてもみなかった。それもこれも研究熱心な方々がしっかりとインターネット上で情報発信をしていたおかげだ。この場を借りて感謝の意を述べさせてもらいます。
※注意
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