【リレー連載 物欲道修行記】


リレー連載 物欲道修行記

第40講  テレコム道 家元:法林岳之

 法林家元は最近、携帯とPHS 3台、つまり最大4台の携帯電話を持ち歩いている。もっとも普段持っているのはPHS2台と携帯の計3台のようだし、いつもクルマで移動だから、持ち歩いているというのはホントは正確な表現じゃないんだけど。そういえば、東芝の「GENIO」も発売日をチェックしておられました。あれも買われるとPHS端末だけでも4台になるわけだ。PHSは電波が弱いから大丈夫だと思いますが(デジタル携帯1.5Gは鳴る前からディスプレイがぶぅ~ん、といっていかにもヤバそう)、大事な筆者の健康保護のため、編集部で電磁波防止グッズでもアメニティに作るといいかもしれませんね。
(電磁波浴をたくさんしている人は、おおむね生活自体が不健康なので有意差が見いだせない編集担当)


PHSの奥深さを知る

NTT Personal Logo

いつの間にやらPHSに……

3社のPHS端末  読者のみなさんもご存じの通り、今年4月1日からNTTパーソナルDDIポケット電話アステルのPHSキャリア3社が揃ってPHSデータ通信サービスを開始した。その影響か、最近、ボクの回りにも急速にPHSユーザーが増えている。かく言うボク自身も3月にはじめて契約して以来、思い切りPHSにハマってしまい、今や3キャリアの端末を所有する羽目になってしまった。

 ちなみに、紹介しておくと、左から順にパルディオ312S(NTTパーソナル)、ビクター TN-PZ5(DDIポケット電話)、AN-11(アステル)となっている。

 「3台も買ってどうするの?」ってよく言われるけど、何のことはない。3キャリアのデータ通信サービスを実際に使ってみて、ちゃんと評価してみたいからだ。使いもしないで、いい加減な記事は書いたりできないもんね……。と言いつつ、実は今までPHSにあまり興味がなく、不勉強だったため、実体験で取り返そうっていう考えもあったんだけど。おかげで、ここ2カ月ほどの間にかなり勉強させていただきました。

 今のところ、買ったばかりなんで3台持ち歩くこともあるけど、たぶん最終的に持ち歩くのは1台になるだろうなぁ。さて、どれが勝ち残るのか……。



パルディオ312Sを選んだのは?

 最初に契約したPHSは、NTTパーソナルのパルディオ312Sだ。最近、NTTパーソナルと契約した人は、おそらくこれを使っている人が最も多いはずだ。ボクの回りでも312Sユーザーが圧倒的に多い。特に、3月はじめの段階ではこれしか入手できるものがなく、色もかなり限られていた。一時は白がかなり人気だったらしいけど。

312s & P101 32Kデータ通信端子
 パルディオ312Sを選んだのは、32kbpsデータ通信サービスきゃらメールに対応しているのは言うまでもないが、数あるPHSの中でもかなりコンパクトであることと、32Kデータ通信端子が横についていることも理由として挙げられる。

 まず、大きさについては携帯電話と較べるとよくわかる。写真で並んでいるのはNTTドコモmova P101というモデル。最新のmova P201はもっとコンパクトだが、パルディオ312Sはそれよりも小さい。

 32Kデータ通信端子は横についていると、写真のように充電器に乗せた状態で通信ができる。長時間、転送テストをするとき、途中で「あ、電池切れちゃった」はマズい。効果はどれだけあるのかわからないけど、やっぱりこういう環境の方が安心してテストができる。いざとなりゃ、この状態でリモートアクセスの着信用としても使えるからね。



ホームアンテナは便利だぞ

HA-2S  パルディオ312Sを使い始め、まず気になったのが電波状況だ。とりあえず、PCが置いてある部屋では使えるのだが、他の部屋に行くとアンテナのインジケーターが1本になってしまったり、まったく使えないことがある。つまり、電波が弱いのだ。

 そこで目を付けたのがホームアンテナだ。ホームアンテナは電波の弱いところで、外部から入ってくる電波を受け、増幅して端末に渡すという役目のもの。一種のブースターみたいなものだ。確実に電波が入ってくる窓際などに設置しておけば、家のどこでもPHSとして利用できるというわけだ。

 NTTパーソナルでは以前からHA-1Sというホームアンテナを販売していた。当初はこれを買うことも検討したが、4月にある筋から「後継モデルが出るみたいだよ」という情報を得ていたため、新機種を待つことにした。そして、噂通り、5月12日にNTTパーソナルからHA-2Sという製品が発表され、先週あたりから店頭に並ぶようになった。これをめでたくゲットしたというわけだ(写真右)。

 では、従来のHA-1Sと新型のHA-2Sはどこが違うのだろうか。簡単に表にまとめてみた。


機種名 HA-1S HA-2S
標準小売価格 2万4800円 1万9800円
店頭価格(参考)
5月23日ヨドバシカメラ調べ
8500円 9800円
電源 AC100V
アルカリ乾電池(単4乾電池5本)
AC100V
アルカリ乾電池(単4乾電池3本
バッテリーパック(オプション)
外形寸法 120(W)×63.5(H)×30(D)mm 125(W)×58.5(H)×31.5(D)mm
重量
ACアダプタ使用時 110g
アルカリ乾電池使用時 170g 145g
バッテリーパック使用時 不可 152g
連続待受時間
アルカリ乾電池使用時 約10時間 約38時間
バッテリーパック使用時 不可 約24時間
連続通話時間
アルカリ乾電池使用時 約4時間 約8時間
バッテリーパック使用時 不可 約5時間
登録可能な
PHS台数
通常登録 4台
簡易登録 6台 16台

乾電池ボックス  まず、最初にわかるのはHA-2Sが省電力設計になっているという点だ。単純計算で3~6倍程度はロングライフになっている。大きさについては容積で計算するとわずかに増えているが、実際に持った感覚はほとんど変わりない。重量は乾電池の本数が減った分だけ、軽くなっている。つまり、ホームアンテナが実は移動体通信のお助けアイテムとして利用されていることを考えた設計になっているわけだ。ちなみに、乾電池ボックスは本体の背面についている。

 ホームアンテナを知らない人のために、登録可能な台数について説明しておこう。通常登録というのは特定のPHSだけで利用できるモードで、いずれも4台まで登録することが可能だ。これに対し、簡易登録というのは簡易登録機能をONの状態でホームアンテナを設置しておけば、PHS側でホームアンテナの登録操作をするだけで利用できるというモードだ。つまり、友だちがたずねてきたとき、ホームアンテナ側で何も操作をしなくても、PHS側でちょっとした操作をするだけで利用できるというわけだ。

 ただ、マンションのように各世帯が隣接する環境では、ホームアンテナの購入者が知らない間に隣の家の人が勝手に登録してしまうといったケースも考えられる。ゆえに、簡易モードはオフィスなどでの利用が中心となる。ただし、同時に利用できるPHSはいずれも1台までとなっている。せめて2台くらいにしてくれれば、もっと便利なのだが……。

 余談だが、最近ではオフィス内にアンテナをつけるケースも増えている。実はインプレスが入っているビルにもNTTパーソナルのアンテナが設置されており、非常に重宝している。聞くところによれば、DOS/V PowerReportのスタッフがNTTパーソナルのユーザーを募り、設置を申し込んだそうだ。



PHSってあやしい

 さて、PHSはご存じのように、簡易型携帯電話としてだけでなく、コードレスホンの子機としても使うことができる。NTTパーソナルも3種類のホームステーションを販売しており、シャープ松下電器なども自社のPHSを登録できるコードレス留守番電話を販売している。

 我が家ではごく普通の留守番電話とコードレスホンを使っているが、留守番電話は9年も前の製品でかなり機能不足を感じていた。たとえば、留守番電話に残されたメッセージにはタイムスタンプがいっしょに録音されるが、時間しか記録してくれない。おかげで、24時間以上、家を空けたとき、残されたメッセージが月曜なのか、火曜なのかがまったくわからなくなってしまうのだ。PHSを購入したら、PHSを子機登録できるデジタルコードレスホンに乗り換えたいと考えていたのだが、なかなか情報が乏しく、悩んでいた。

 通常、ホームステーションやデジタルコードレスホンは子機として登録できるPHSが限られている。たとえば、NTTパーソナルのホームステーションはパルディオシリーズしか子機として登録ができなかったり(機種が限られていることもある)、特定メーカーのデジタルコードレスホンを購入すると登録できる子機も限られてしまう。我が家のように3社の端末がある環境で、それぞれをコードレスホンの子機として登録するには、3台の親機が必要になってしまう可能性もあるわけだ。

 ところが、国内のPHS関連のホームページを見ていると、非常に面白い情報を発見することができた。アステルのPHSを子機として登録するプロトコルには、NEC・シャーププロトコル松下プロトコルの2種類があり、NEC・シャーププロトコルに対応したアステルPHSなら、NTTパーソナルの901Uなどのホームステーションに登録できるというのだ。しかも、シャープのJD-B7というデジタルコードレスホンでも同じようなことができるそうだ。この情報はつかななさんが運営するKansai PHS Janker's Page公開されている。このページはマニアックながらもたいへん有意義な情報が多く、個人的には非常にありがたく拝見させていただいている。PHSを持っている人なら、ぜひご一読をおすすめしたい。

SHARP JD-B5  この情報をもとに、JD-B7を買い求めるべく、新宿ヨドバシカメラに出かけたのだが、なんとすでにJD-B7は生産が終了しており、後継機のJD-B5しかないというのだ。ところが、やっぱり蛇の道は蛇。店員にいろいろ聞いていると、JD-B5でも同じようなことができるというのだ。

 店員の話によれば、JD-B5はJD-B7の廉価版ではなく、細かい設計を見直し、PHS伝言クロス転送などの機能を追加した後継機だそうだ。登録できる子機もパルディオシリーズを中心にかなり増えているという。ただ、ボクが持っているAN-11は対応機種に含まれておらず、ほぼ同じ仕様のA221も対応機種から外れている。しかし、それは表向きの話であって、実際にはシャープやNEC東芝日立などのアステルPHSを子機として登録できるというのだ。

 店員の言葉を信じてJD-B5を購入し、自宅で早速、子機の登録をしてみた。まず、パルディオ312Sについては、対応機種に入っていることもあり、いとも簡単に子機として登録ができた。続いて、問題のAN-11に挑戦。予想していた方法では登録できず、ちょっと悩んだが、AN-11に添付されてきた『主電話機(親機)または接続装置への登録のしかた(販売店様用)』と書かれたマニュアルを参考にしたところ、いとも簡単に登録できてしまった。つかなな氏のページによれば、JD-B7などを利用すれば、NTTパーソナルとアステルPHSの全機種でトランシーバー通話が可能になるそうなので、JD-B5でも試してみるつもりだ。

 しかしまあ、考えてみれば、3月にパルディオ312Sを購入して以来、完全にPHSにハマってしまった。我ながらここまでハマるとは考えてもみなかった。それもこれも研究熱心な方々がしっかりとインターネット上で情報発信をしていたおかげだ。この場を借りて感謝の意を述べさせてもらいます。

※注意
 記事中の動作については著者が個人的に試して確認したものであり、著者および編集部が動作を保証するものではありません。この情報をもとにいかなる結果が生じても、いっさいの責任は追いかねます。各自の責任においてのみお試しください。また、登録方法などに関する問い合わせもご遠慮ください。
 また、当記事記載の内容につきまして、メーカー、PHS事業者、販売店、および、つかなな氏などへ、お問い合わせにならないようお願い申しあげます。



【PC Watchホームページ】


ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp