【リレー連載 物欲道修行記】


リレー連載 物欲道修行記

第39講 業界通情報講座 講師:一ヶ谷兼乃

 今回一ヶ谷講師は、いつものCPUやマザーなどのハードコア路線はひと休みして、カラースキャナを購入されたようです。一ヶ谷講師が本講で触れているとおり、スキャナで文書などを電子化するというのは、便利なようでいて、データにした後がいろいろと面倒。気のきいたソフトウェアが付属しているなら、ちょっと買ってみたいという方も多いのではないでしょうか。
(デジカメ画像でシールが作りたいので、カラープリンタが欲しい編集担当)


シートフィードタイプカラースキャナ

最近の物欲

 毎年のことながら、5月になるといわゆる五月病になってしまう。何をやるにもやる気がない自分に、毎年この時期に会うことになってしまうのだ。そのせいか、物欲のベクトルもパソコン関連から、別なモノに向かったりして、どうも調子が出ない。

 法林氏に洗脳されてしまった物の中にUS RoboticsのPDA「Pilot」がある。ちょっと前まで、Pilot5000を使っていたのだが、意味もなく最新型の「PalmPilot PROFESSIONAL」も購入したところ、細かな部分での使い勝手が向上していて、この物欲は当たりだった。さすがに買い換えはお勧めしないが、1 MB Professional Upgradeを使ってのアップグレードを行う価値は十分ある。

Black IntelliMouse
 もう一つ、私の物欲にヒットしたものが、MicrosoftIntelliMouse。国内でも既に使われているかたも多いと思うのだが、今回手に入れたのは黒マウス。IntelliMouseの黒バージョンがあるということで、アメリカ在住の友人にお願いして、購入してもらった。どうも、アメリカとカナダで販売されているようだ。
 テラテラと黒く輝く質感は、Star Warsのダース・ベイダーを連想させてくれる。アメリカで80ドル弱で販売されているので、日本への送料も合わせると、白IntelliMouseなら2個買えるくらいの金額になってしまうが、見た目強そうな黒の魅力を考えると致し方ないところだ。



初めてのスキャナ

PageScan  パソコンを使い始めて、既に15年以上過ぎてしまった。これまで様々なパソコンの周辺機器を購入してきた。カセットテープにプログラムやデータを保存するデータカセットレコーダから始まった周辺機器も、ダイヤルアップルータ、640MB MOドライブ、CD-Rドライブといったパソコン雑誌の特集で扱われるような製品類は、ほとんど手に入れて使ったこことがあるのだが、これまで一度も手にしなかったモノも存在する。それがスキャナだ。
 スキャナといえば、真っ先に思い浮ぶのがフラットベッドタイプと呼ばれる製品。この手の製品は、置き場所に困るので、一度も購入を考えたことがない。もちろん、今後、広い部屋に引っ越しして、十分な設置スペースが確保できれば、購入を検討することもあるかもしれないが、いまのままでは手に入れることはまずないだろう。
 最近は、シートフィーダタイプと呼ばれる小型のスキャナが各社から発売されている。これまでもシートフィーダタイプの製品はあったが、カラースキャンに対応してないものが多く、個人的にはあまり気にしていなかったというのが本音だ。しかし、最近のシートフィーダタイプのスキャナは、カラースキャンができるのは当たり前になってきている。

前面から原稿を入れてみた(手差し) 後にあるオートシートフィーダ(連続自動給紙10枚程度)
スキャナ読み取り部分アップ 本を開いて、自走方式でのスキャニング

 今回、物欲連載で紹介するのはロジクールから発売されている「PageScan Color Pro(以下PageScan)」だ。ロジクールといえば、マウスやトラックボール製品が有名だが、ジョイスティックやスキャナなども発売している。PageScanは、シートフィーダタイプのカラースキャナ。私とって初めてのスキャナとなるわけ。ディスプレイの上に置ける程度のサイズだととりあえず、私の部屋に入れてみてもいい大きさの機材だということで、早速使ってみることにした。



初物はとりあえず楽しい

 手に入れたPageScanをWindows 95パソコンに接続し、付属のユーティリティソフトをインストールする。PageScanはパラレルポートを利用して接続するタイプなので、SCSIホストアダプタを持っていないノートパソコンにも簡単に繋ぐことができる。
 準備を終えて、さっそくスキャニングしてみる。スキャンしたい用紙を挿し込むと、自動的にスキャンソフトが起動し、みるみるうちに取り込んでいく。吸い込まれていく様子を見ていると、無意味な楽しさを感じてしまうのは私だけだろうか(笑)。
 PageScanは、後ろのほうから印刷物を挿し込んでスキャンすることもできるし、前のほうから挿し込んでスキャンすることもできるのがうれしい。後ろ側からスキャンする場合には、一度に10枚程度まとめて、印刷物をセットすることができる。また、一枚の紙として挿入できない雑誌や書籍のような印刷物でも、本体部分を外してスキャンできる。



コレって便利かも

 PageScanには、「ページスキャンデスク」というイメージファイルを管理するユーティリティが付属している。スキャンしたデータを管理するだけでなく、日本語OCRや名刺管理の機能も持っている。この名刺管理機能は、名刺をスキャニングすれば、名刺に印刷されている氏名、住所、電話番号などを自動認識して、名刺管理データベースに保存してくれるスグレものだ。データベースに入ったデータは、テキスト形式などで出力できるので、別のアプリケーションでも使用できるのがうれしい。スキャンして取り込んだ画像データをレタッチするために、日本語版のアドビ・フォトデラックスが付属しており、ページスキャンデスクから呼び出すこともできる。
 これまで、スキャナは印刷物上の情報をデジタルデータにしてくれる周辺機器だと理解していた。もちろん、データになってしまえば、その後の加工方法によって、様々なデータの使い道があることも分かっていた。しかし、いろいろなアプリケーションを組み合わせて実現するのは意外と面倒で、実際には諦めてしまうことになりがちだ。しかし、「ページスキャンデスク」のようにいろいろな機能がうまく統合されていると、使ってみようかな、と思わせてくれる。実際に数枚名刺を試してみたが、当然のコトながらちゃんとデータになってくれた。
 カラーの印刷物もスキャンしてみたが、ホームページ用のグラフィックデータであれば、十分なクオリティで取り込むことができる。写してすぐデータ化する必要がなければ、デジカメを使わなくても、普通のカメラとこのスキャナを使ってデータ化するほうが、一般的には綺麗なデータを作ることができるのではないだろうか。



シートフィードタイプスキャナは、結構使える!?

PageScan Color PROのカタログを、グレイスケール(左)、カラー(右)で100dpiでスキャンしてみた。

リンクしたJPEG画像は、カラー221KB、モノクロ189KBある。

 デザイナーやイラストレーターなどは、現状ではまだ、解像度、画質などの面でフラットベットタイプのスキャナを選択することになってしまうだろう。しかし、そこまでのクオリティが必要ないユーザーの場合、シートフィードタイプスキャナも、購入の選択肢に入れてみるのもいいのではないかと感じるようになった。
 なぜなら、雑誌や新聞の記事をスキャンしてデジタルデータとして整理したり、取り込んだデータを日本語OCRでテキスト化するといった使い方であれば、シートフィーダタイプのスキャナで十分事足りるし、PageScanのように、付属ソフトが充実していれば、名刺管理まで出来てしまう。カラースキャンに関しても、家族の写真を取り込んでカラープリンタで年賀状を作るといった程度であれば、十分すぎるクオリティの画像データが手に入るのだ。

 とりあえず、今回は、諦めていた周辺機器「スキャナ」が自分の部屋に来たというコト、意外にも(メーカの方に失礼な表現ではあるが……)いろんなコトに使えそうな機能が標準で入っている「お買い得感」が得ることが出来たコトで、無条件にうれしくなった所が良かったのではと、不調な物欲ながら満足してしまった(笑)。

[Text by 一ヶ谷兼乃]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp