【リレー連載 物欲道修行記】
リレー連載 物欲道修行記
第37講 こもの派 師範:広野忠敏
今回の広野師範のお題は、ランナーご用達の腕時計です。ふつう結婚すると老け込む、あるいは落ちつくと世間では思われておりますし、実際そういう人の方が多いようです。しかし、広野師範は結婚されてから、茶髪にされ、こんどは体を鍛えるなど、心身ともにどんどん若返られておられます。それ自体はうらやましい限りですが、週何十キロも走ったりするのはちょっと……寝ている間に、気が付かないうちに鍛えられちゃう、というような都合のいいシロモノは、まだ出てこないのでしょうか。
なお、第35講にて告知しました、“金銀マウスプレゼント”は名古屋の宮崎様が当選されました。金銀セットでプレゼントいたします。
(秋葉原の電気街口から、総武線ホームまで一気に上ると息が切れる編集担当)
プログラマよ体を鍛えろ! - SEIKO PULSE GRAPH
さて、今回は以前予告した通りSEIKOのPULSE GRAPHという時計を紹介しよう。私は腕時計がとっても好きで、実にさまざまな時計を所有している。いくつかお気に入りがあるが、まず定番のROLEX GMT MASTER-II。ROLEXといえばコンビのダイヤ入り時計ばかりがクローズアップされがちだが、本来はヘビーデューティな利用に耐える由緒正しい時計なのだ。GMT MASTER IIはROLEXの一連のモデルの中でも特に気に入って使っているもの。CASIOの関数電卓腕時計は関数電卓内蔵で10進-16進の変換ができるプログラマなら泣いて喜ぶ素晴らしい時計だが既に廃盤。是非再販して欲しいものだ。その他にもCASIOの一連のセンサー付きモデルたくさん。CITIZENのパイロットウォッチなど多くの腕時計を所有している。今回私の目に止まったのは、SEIKOのPULSE GRAPHという時計。この時計は装着した状態で脈拍を計ることができる素晴らしい時計なのだ。
物欲人の正しいトレーニング
30も半ばを過ぎると目だって体力の衰えを感じてしまう。おなかの回りの贅肉も気になるものだ。とはいえ運動するのもかったるいし、そんな時間もない。と考える人も多いハズ。外回りの営業なんて仕事ならば、それなりに体を使うからいいかもしれないけど、我々プログラマやライターといった職業はデスクワークがメイン。つまり、とーーーーっても運動不足になってしまうワケ。もー、階段をかけあがっただけでぜーぜーしてしまうのだ(笑)
運動不足を解消するには、本格的なジム通いなんて考えずに、とりあえず手っ取り早くそのへんをジョギングするという方法もあるにはあるが、やっぱり面倒だ。そんなことを考えているときに目に止まったのがSEIKOから発売されているPULSE GRAPHだ。PULSE GRAPHはジョギングやランニングなどのトレーニングを支援するためのスポーツウォッチ。ランニングの脈拍トレーニングが非常に簡単にできるというシロモノだ。
脈拍トレーニングとは、脈拍を運動強度の基準ににしたトレーニングで、心肺機能と最大酸素摂取量をアップさせることが目的のトレーニング手法。運動強度とはその名の通り運動の強さを表すもので、脈拍と密接な関係があるらしい(安静時の脈拍が運動強度0%にあたり、最高脈拍数が100%の運動強度にあたる)。一般に40%~80%までが有酸素運動にあたり、80%を越えると無酸素運動になるといわれている。有酸素運動は体内の脂肪が燃焼するため、ダイエットなどにも効果的なのだ。また、有酸素運動と無酸素運動の境(ATポイント:Anerobic Threshold)で段階的なトレーニングを行うと、心肺機能が強化するとともに有酸素運動の幅が広がるという効果をもたらすらしい。このあたりの話はSEIKOのPGT(Pulse Graph Training) Webに詳しく解説されているのでそちらを見てもらうとして、要するに脈拍がトレーニングの指標になるというワケなのだ。
この指標になるというのが、元来とっても面倒くさがりの私にとっては大きなキーワードになったわけ。漠然と走ってもそれなりに効果はあるだろうが、具体的に数値になって効果が上がるわけではない。せいぜい走れる時間が長くなったとか、スピードが早くなったと感じる程度の感覚的なものだ。ところが、結果が脈拍という形で数値で目に見えるとなると話が違ってくる。目標の設定もしやすいし、なにより数値で見えることによってヤル気がでてくるわけなのだ。さらに、スポーツ科学に裏づけされたテクノロジーが利用されているというウンチクもそそられるものがある。
PLUSE GRAPHの機能
では早速PULSE GRAPHの機能を紹介しよう。PLUSE GRAPHは腕時計部とセンサー部の2つで構成される。センサーを人指し指に装着し、腕時計部と接続すると脈拍の測定ができるようになっている。センサーを取り外してカバーを付ければ少々デカいが普通の腕時計として利用することも可能だ。PULSE GRAPHにはTIME、RUN、LAP RECALL、RESULT RECALLの4つのモードがあり、RUN、LAP RECALL、RESULT RECALLの3つがトレーニングのためのモードだ。
RUNモードにしてストップウォッチをスタートすると、トレーニングのスタート。脈拍がモニターされ、脈拍の推移がリアルタイムにグラフ表示される。また、腕時計内部にセンサーを持ち、腕の振り、つまりピッチもリアルタイムにモニターすることができるようになっている。
ここで収集されたデータはリアルタイムに表示されるだけではなく、LAP RECALL、RESULT RECALLの2つのモードで呼び出すこともできるようになっている。さらに、RUNモードでは脈拍の上限と下限をあらかじめ設定しておくと、ランニング中に脈拍が上限を上回ったときや、下限を下回ったときにアラームが鳴って警告してくれる。そのため、各人の技量やトレーニングの目標を設定しておけば効果的に使うことができるわけだ。
また、ストップウオッチと停止させると、2分間の間脈拍をモニターする仕組みになっている。つまり、トレーニングを終了した時点から脈拍が正常に戻るまでの特性(回復特性)もモニターすることができるようになっている。
このように、まさにジョギング、ランニングのための時計なのである。あ、ちなみに、この時計LIGHTボタンを押すと液晶パネル全体がELで発光するんで結構カッコ良い。
なお、PULSE GRAPHのくわしい製品紹介はここにあるので、チェックして欲しい。
トレーニングの結果はこんな感じ
とまーウンチクはこのくらいにして、PULSE GRAPHによってどのくらい成果が上がったかを報告してみよう。ブルーワーカーの広告じゃあないけど、「とっても、カ・ン・タ・ン」なのだ。
- ●まずは運動強度70%がどの程度なのかをチェックしてみる
- トレーニング開始時の私の最大脈拍数は185、平常時の脈拍数は75だった。この脈拍から運動強度70%。つまり、ちょっときついかなという程度の運動量の脈拍数は約152。PULSE GRAPHを腕につけて、どのくらいのスピードで走ると脈拍が152になるのかを試してみた。で、試してみたらもーびっくり、走るに至らず早足程度の歩きで、すでに脈拍がどーーーんと上がってしまったのだ。うーん、運動不足だ(笑)。
- ●ちょっと走ってみた
- つぎにやったのが、時速9Km程度でどのくらいの時間走れるかをチェックすること。時速9Kmというといわゆるジョギングの速度。ちょっと運動している人なら長時間走れるくらいの比較的ゆっくりとしたスピードだ。このチェックにはスポーツクラブに置いて有るランニングマシンを利用した。で、走ってみると脈拍はどんどん上がり170~180程度。つまり、既に無酸素運動をしているワケ。これでは長時間走れるワケがない。10分程度走るともー目の前がマックラになってリタイア。がーん、つまり、とっても運動不足なのである。
- ●これではイか~~~~~んのだ。
- まさか自分がこれほど運動不足とは思わなかった。うーん、これではイカんと思い、トレーニングを開始したのだ。PLUSE GRAPHを購入したのが、約2カ月前。2カ月間の間、毎週4回。脈拍数150~160で走るというトレーニングを開始した。最初はなるべく20分程度走れるようにゆっくり、徐々に時間を延してゆくという方法。最初の1、2週間はボロボロ。ちょっと走ると、PULSE GRAPHのアラームがぴーぴー鳴り、とても20分も走れないという状態。うーん、やっぱり運動不足なのね。
- ●徐々に効果が表れる
- トレーニングを開始してから約1月くらいしてから徐々に効果が表れるようになってきた。いままでは、ちょっと走ると脈拍がどーんと上昇していたのだが、走り込むにつれて脈拍が上昇するスピードが遅くなる。つまり、目に見えて効果がでるようになったのだ。このように、効果が目に見えるととっても楽しいものだ。
- ●今では....
- トレーニングを開始してから約2カ月。今では、脈拍数150をキープして1時間程度は楽に走れるようになった。ちなみに、時速換算で約8Km~9Kmだ。まだまだ、運動不足だけど、走り始めた頃にくらべると、すごく進歩しちゃったわけだ。ちなみに、この結果は体重にも表れている。2カ月前までは65Kgあった体重は今では59Kg、2カ月で6Kgの減量に成功しちゃったわけだ。ちなみに、おなかの回りの脂肪も少なくなりつつあるのだ。あ、そーそー、今では毎週20Km~30Kmくらいは走ってます。
パソコンにもデータ転送できるぞ
さて、ここまで読んでくれたあなた。どーしてPC-Watchで腕時計なんて取り上げるの?と思っているかもしれない。別に、PC-WatchとWrist-Watchをかけているワケではなく、ちゃんと(?)理由があるのだ。なんと、PULSE GRAPHはパソコンとデータをリンクして、PULSE GRAPHで収拾したデータを、パソコン側で管理することができるようになるのである。ね、ちゃんとパソコンとも関係あるでしょ。
パソコンとリンクするためのアイテムは別売、PG'S ADDRESSという名前だ。PG'S ADDRESSはPULSE GRAPHとパソコンをシリアルで接続するためのインターフェースモジュールと専用ソフトで構成される。価格はちょっと高め(30,000円)だけど、専用ソフトは過去のデータを整列させたり、グラフ化させたりと結構便利に使うことができるようになっている。
ちなみに、PULSE GRAPHとPG'S ADDRESSは一般には小売りされておらず、直販のみ。ゲットしたい人はSEIKOのPGT Webを見てくれ。
[Text by 広野忠敏]
ウォッチ編集部内PC Watch担当pc-watch-info@impress.co.jp