AMUAMUの「アキバの楽屋から」第3回

秋葉原

月1回連載:ショップの側から見た秋葉原事情

AMUAMUの「アキバの楽屋から」 第3回

3月の商戦……商品が足りない!

TEXT:AMUAMU

 「アキバの楽屋から」は、秋葉原のパソコンショップ店員である「AMUAMU」が、ショップの側から見た秋葉原事情を、月1回お送りするコーナーです。
 第3回はメール版では4月9日版に掲載、Web版ではメール版掲載から約1週間後に公開します。(編集部)


■3月の商戦は?

 毎年の年度末決算セールに加えて消費税アップ直前。そんな3月は予想通りというか、予想以上に売り上げが良かった。3月末の最後の土日あたりは、買われるお客様の目が怖いぐらいでした。(^^;
 新聞などでも報じられていますが、パソコンだけに限らず消費税アップ前効果というか、どの業種でもこの3月は、例年以上に売り上げがよかったようです。パソコンショップはどこも軒並み通常の3~5割増しぐらいいっているのではないでしょうか?
 おかげさまで筆者も忙しくて、かなり疲れています。4月に入って少しは休めるかな?


■商品がもっと欲しい!! 3月の人気商品

その1 Microsoft Office97, Professional Edition, for Windows with Bookshelp Basic , MS-IME97 Upgrade Microsoft IntelliMouse Special Upgrade
(なんて長い商品名だ)

 3月に一番よく売れたのが、マイクロソフトの「Microsoft Office 97 Professional Edition」です。3月14日に発売したのですが、発売前から予約注文が殺到。発売してからも、その勢いは衰えるところを知らず4月に入っても売れています。とりわけ、スペシャルアップグレードパッケージのMicrosoft IntelliMouse付きが売れました。

 このスペシャルアップグレードパッケージの何が良いかというと、従来のOfficeユーザーだけでなく、一太郎のVersion5~7やOASYS、Lotus等の他社Windows用製品からもアップグレード出来るのです。大半のユーザーはこのうちどれかを持っているのではないかと思います。また、富士通のFMVやIBMのAptivaあたりを持っている人は、こうしたアプリケーションがプリインストールされている場合が多いでしょう。

 さらにMS IntelliMouse付きですが、これに関してはPC Watchのリレー連載、『物欲道修行記 第32講』で広野忠敏師範が「Microsoft IntelliMouseは便利!」と書いておられるように純粋に便利なのです。
 FMVなど大手メーカー製パソコンに付いているマウスは決して使いやすいものではなく、安価でのっぺりとしたマウスです。その点IntelliMouseは従来から人気のあった普通のMicrosoftマウスの形を継承し、さらに使いやすいホイール付きとあれば、「どうせ買うならマウス付き」って感じでしょうか。価格からいっても、InteliMouse製品版を単品で買うよりずっと安い値差で買えますからね(単品だとMS推定価格7,800円。Office97のMS推定価格のInteliMouseパッケージ差額は4,000円。やっぱり割安!)。

 もちろん本体のOffice97も相当良いです。(^^;
 ところがそんな良いことばかりの製品で人気がある。そうなると生産が追いつかなくて品不足というのは世の常(?)。注文をいくら入れても商品が少しずつしか入ってこない。通販は注文をバンバン取るし、店頭に並べても飛ぶように売れて数日で完売。なんでもマイクロソフトはIntelliMouseの生産が追いつかないとか。そのせいでIntelliMouse製品版の単品も入荷してこないし、せっかく良い物でも入荷しないと売るに売れないというジレンマに直面。
 さらに余波を食らってか普通のMS-MOUSEの製品版の入荷が未定になってしまい四苦八苦。マイクロソフトさん頑張って生産してください! 販売店もユーザーも待っています。

その2 Office97に押され気味ながらも
売れてる一太郎8

 そんなマイクロソフトのOffice97ですけど、その半月ぐらい前に一太郎のVersion8が発売されています。マイクロソフトの宣伝の効果もあってか、最近はちょっと陰が薄い一太郎8ですけど、3月のトータルだけを見るとOffice97に追いつかないまでも、かなり売れています。特に「一太郎8 優待販売バリューパックセット」は特筆に値します。このセットは従来の一太郎ユーザーがアップグレードする事が出来ると同時に、バリューパックが一緒になっていて、定価でたったの8,000円というもの。ちなみにこれは店頭販売できる普通のパッケージ製品です。

 このセットの特筆すべき点は「一太郎シリーズ全ユーザーが対象」ということです。つまり一太郎5や一太郎dashなどのユーザーもアップグレード出来るのです。さらにOS/2版やMacintosh版のユーザーもアップグレード出来ます。筆者の母校にも8インチFDの一太郎(笑)がありましたけど、そうした製品も恐らくアップグレード可能で しょう。
 ひとつ思うのは、Office97も一太郎8もアップグレードという言葉の域を越えている気がしないでもないのですが……。(^^;

 古くからの一太郎ユーザーというのはたくさんいます。今でこそマイクロソフトのWordをはじめ、いろいろなワープロソフトがあります。でも以前はパソコン用ワープロといえば一太郎、漢字変換(IME)といえばATOK。昔からのユーザーならば一太郎を持っている人も少なくないでしょう。それに古いバージョンの一太郎を特価販売しているお店もありますから、そういうのを見逃す手はありません。一太郎を使っていなくてもATOKを愛用している人は多いと思います。ATOKのためだけに買う人も多いのではないかな?

 そして価格が安い! 前述したように優待販売セットならば標準価格は8,000円です。マイクロソフトのワープロ単品であるWord97はOffice97から遅れて3月末に発売したばかりで、それまではOffice97の何万もするセットしか無かったわけですから、ワープロだけ欲しかったユーザーは一太郎8を買った人も多いのではないかと思いま す。

 そんな優待販売セットですけど、ジャストシステムさんはこんなに売れると予想していなかったのでしょうか? ちょっと品薄気味でした。Office97ほど深刻ではなかったですけど……。

その3 各社ノートパソコン

 ここ半年ぐらいの傾向としてノートパソコンがよく売れるのですが、特に3月中で目立った売れ行きを示したのは以下の5機種。

松下Let's NOTE
IBMThinkPad 560 マルチメディアモデル
IBMThinkPad 535 2606-MF9モデル
NEC98NOTE Lavie PC-9821Nr15/S14F
東芝Libretto50

 すべての機種に共通して言えることは「品薄」です。人気が高い証拠だと思うのですが……ThinkPad 560マルチメディアモデルは限定販売だったので生産終了ですし。どれももうちょっと生産をしても良いと思うのですが。
 Libretto50は価格帯も方向性も他の機種とちょっと違うので別として、その他の機種を比べたときに、特筆すべきはNECのPC-9821Nr15/S14Fです。最近はDOS/Vブームですし筆者もDOS/Vメインのショップにいるため、ちょっと陰の薄かったNECの98NOTEですが、この機種は特に目立っていました。スペックと実売価格を見れば分かるのですが、他のDOS/Vノートパソコンと比べて、一言で言うと「このスペックでこの価格は安い!」。最近のNECの低価格戦略は、はっきり言ってすごいです。

 上に挙げた5機種はどれも人気が高く売れていたのですが、もっと出荷してくれれば……という気がしてなりません。最近はとくに、在庫を絞る傾向がノートパソコン・デスクトップパソコン共に強いので、しかたがないのかもしれませんが……。そういう意味では、型落ち機種の値下げも狙いいにくなっていると思います。

その4 CPU単品は実はPentium 133MHzが今一番売れている

 今度はDOS/V用のパーツ、CPU単品です。intel Pentium with MMX CPUやPentiumPro、価格が下がってきているCyrix 6x86シリーズなどを横目に、3月に一番売れたCPUは実は普通のPentiumの133MHz版。
 多くのDOS/Vパーツショップが2万を切る価格で販売出来るようになったPentium133MHzは今一番コストパフォーマンスが良いCPUではないかと思います。筆者のショップの1店舗での3月の販売数順位を出すと、以下のような結果でした(円グラフがここにあります。)

1位Intel Pentium 133MHz20%
2位Intel MMX対応Pentium 200MHz12%
3位Intel PentiumPro 200MHz 256KB Cache11%
4位Intel Pentium 166MHz10%
5位Cyrix 6x86-P166+GP (133MHz) 9%

 Pentium133MHzはダントツの1位で、2位以下は僅差です。Cyrixはかなり健闘しているのではないかと思います。
 消費税アップ前とあって、マシンを新たに作ろうと思う人達が「とりあえず」のCPUとして値頃感の強いPentium 133MHzを買ったのではないでしょうか。
 4月以降にはAMDのK6 CPUや、intel PentiumII等の出荷開始も控えているとあって、安いCPUと安くなったPentium用マザーボードを買って、新しいCPUが出たところで買い換える方が多いと思います。CPU単品を買うのは、自作をするハイエンドユーザーが多いと思うので、これは納得できる結果という気がします。

 しかし、システムとして完成されたパソコン(メーカー製やショップブランド)のCPU別統計を取るとMMX Pentiumを搭載したパソコンが一番売れています。このあたりに、自作をするハイエンドユーザーと一般ユーザーの買い方の違いが現れていると思います。幸いCPUに関しては品不足ではありませんでした。(^^;


■4月はショップの真価が問われる月

 3月が売れたのは良いですが、その反動が4月以降に現れて来ると思います。消費税がアップしたため4月はパソコンショップも売れ行きが鈍り、かなり厳しい結果になるのではないかと推測できます。ショップによっては、客足がばったり途絶えることも考えられます。4月でもお客さんがたくさんいるお店は、本当の意味で人気がある パソコンショップと言えるかもしれません。店員としてはゆっくり出来てうれしいところなのかもしれませんが。こういう時期は、店員も初心者の方にも余裕を持って対応できるので、いろいろ教えて貰うには良い月かもしれません。

 ただし、4月は良い話題もあります。AMD K6も発表されましたし、intel PentiumIIも控えています。AMD K6は現時点では最速CPUは間違いないでしょうから、どのような売れ行きを示すか、かなり結果が楽しみです。それとメモリの価格もどう変動するのか興味深いところです。次回ではそのあたりも話題に出したいと思います。

[Text by AMUAMU]


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ウォッチ編集部内PC Watch担当 pc-watch-info@impress.co.jp